当社グループの現況に関する事項

(1)主要な事業内容

 主要な事業内容は以下のとおりです。

四輪事業

四輪⾞⽤シートおよび内装品等の製造販売

 主要な製品 

二輪事業

二輪⾞⽤シートおよび樹脂部品等の製造販売

 主要な製品 

その他事業

二輪・四輪以外のシートならびに部品等の製造販売および四輪自動車販売等

 主要な製品 

(2)事業の経過およびその成果

 当期の世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大により極めて厳しい状況となりました。いち早く回復を見せた中国に加え、期中は各国で回復基調が見られましたが、感染再拡大の懸念や、世界的なコンテナ不足や港湾混雑、年度末には半導体供給不足などのサプライチェーンの混乱もあり、未だ先行き不透明な状況が続いています。
 当グループにおいては、期初は中国を除く地域での工場稼働停止など大幅な減産を余儀なくされました。その後、中国での急速な景気回復や、その他の地域における挽回生産など、期中は順調な回復を見せましたが、年度末には半導体供給不足による影響を受け、各地域で急速な減産が生じました。そのような中ではありましたが、主要顧客のシェア向上や拡販に向けた積極的な営業展開、未来を見据えた次世代技術開発やさらなる高品質・高効率な生産体制の構築など、将来の成長につながる諸施策を推進してきました。
 当連結会計年度における売上収益は3,461億49百万円と前連結会計年度に比べ135億32百万円(3.8%)の減収となりました。利益面では、徹底した合理化による諸経費抑制などの原価低減により、営業利益は267億42百万円と前連結会計年度に比べ4億16百万円(1.6%)の増益となりました。これに加え、株式会社今仙電機製作所を持分法適用関連会社としたことで生じた負ののれん発生益を「持分法による投資利益」に計上したことにより、親会社の所有者に帰属する当期利益は207億41百万円と前連結会計年度に比べ56億77百万円(37.7%)の増益となりました。

USドル/円平均為替レート・・・
 前連結会計年度累計平均:108.7円
    ⇒当連結会計年度累計平均:106.1円

人民元/円平均為替レート・・・
 前連結会計年度累計平均: 15.6円
    ⇒当連結会計年度累計平均:15.7円

■ セグメント別の状況

 ⽇本 

前連結会計年度との主な増減理由
第1四半期連結会計期間を中心とした新型コロナウイルス感染拡大を受けた減産影響はありましたが、株式 会社ホンダカーズ埼玉北の連結子会社化等により増収となりました。

前連結会計年度との主な増減理由
増収効果に加え、諸経費の抑制や原価低減等により増益となりました。

 当期は、新機種生産開始に向けた生産ラインの構築や、浜松地区生産集約に伴う工場建替えに着手するなど、高効率な生産体制構築に努めています。

※新型コロナウイルス感染拡大を受けた工場の稼働停止は発生していませんが、一部の工場で生産調整を実施しました。

 米州 

前連結会計年度との主な増減理由
第1四半期連結会計期間に生じた新型コロナウイルス感染拡大による工場稼働停止 や、年度末に生じた半導体供給不足など自動車市場におけるサプライチェーンの混乱を受けた減産により減収となりました。

前連結会計年度との主な増減理由
諸経費の抑制や原価低減に努めましたが、減収影響等により減益となりました。

 当期は、アキュラ新型TLXの生産を開始しました。
 工程ごとの品質保証能力向上により、高収益体質の構築に努めています。

※新型コロナウイルス感染拡大を受け、2020年3月下旬から工場の稼働停止が発生しましたが、おおむね同年5月中旬に稼働を再開しています。

 中国 

前連結会計年度との主な増減理由
中国自動車市場の急速な回復を受けた増産により増収となりました。

前連結会計年度との主な増減理由
増収効果に加え、原価低減等により増益となりました。

 当期は、ホンダ新型FIT(広州)および兄弟車となる新型LIFE(武漢)などの生産を開 始しました。
 ホンダ内シェア向上に加え、新規顧客の獲得に向け、強力に営業活動を推進しています。

※第75期(2020年度)は、新型コロナウイルス感染症による影響はありません。第74期 (2019年度)は、2020年2月初旬から3月初旬まで工場の稼働停止が発生しました。

 アジア・欧州 

前連結会計年度との主な増減理由
第1四半期連結会計期間に生じた工場稼働停止やその後の減産など、新型コロナウイルス感染症影響により減収となりました。

前連結会計年度との主な増減理由
諸経費の抑制や原価低減等に努めましたが、減収影響に加え、インドにおける四輪車用シート生産体制再編コストの発生等により減益となりました。

 当期は、ホンダ新型CITYの生産をインド、タイ、インドネシアで開始しました。
 インド四輪事業の再編など、拠点集約や徹底した合理化に努め、来期収益につなげる体質改善を図りました。

※新型コロナウイルス感染拡大を受け、2020年3月下旬から工場の稼働停止が発生しました。国により時期に差はありますが、同年5月初旬より順次稼働を再開しています。

■ 企業集団の事業別売上収益


(3) 設備投資等の状況

当連結会計年度において実施した設備投資の総額は66億86百万円となりました。主な投資内容は、新機種にかかる設備等であります。


(4)資金調達の状況

 特記すべき事項はありません。

(5)対処すべき課題

中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
1)経営基本方針
 当グループは「人材重視」「喜ばれる企業」を経営理念としています。
 「人材重視」とは「人こそ企業成長の決め手」と考え、働く者すべてが「夢」と「情熱」を持って活き活き働くことができる企業でありたいという想いであり、「喜ばれる企業」とは「快適さや感動を与えられる製品」の消費者への提供を通じ社会と融合することで、世界のシート・内装システムサプライヤーとしての地位を確立し、すべてのステークホルダーから喜ばれ、存在を期待される企業でありたいという想いです。
 この経営理念に基づき、「わたしたちは常にモノづくりに夢を求めて無限の可能性に挑戦し快適で良質な商品を競争力のある価格で世界のお客様に提供する」という社是を実践し、企業価値の向上に努めていきます。


2)中長期経営計画
 当グループはこれまで蓄積してきたシート・内装システムサプライヤーならではの多岐にわたる技術を礎に、変化する事業環境の中で、これまでにない新たな価値を創造し続け、社会と共に継続的な事業成長を遂げるため、2030年ビジョンに「Innovative quality company - 新たな価値を創造し続ける -」を掲げています。
 前身である2020年ビジョンに込めた想いでもある「改革」という強い意志を持ち、ぶれることなく、これまで築いた財務基盤をはじめ、全ての経営資源を惜しみなく投入し、2030年ビジョンの実現に邁進していきます。
 最初の一歩となる第14次中期経営計画(2020年4月~2023年3月)では「ESG※経営による企業進化」を経営方針に、「攻め」の施策である「事業成長に向けた進化」と「守り」の施策である「進化を支える事業体質強化」の2軸を企業重点施策とし、7つの企業施策への取り組みを加速させていきます。
※Environmen(t 環境)、Socia(l 社会)、 Governance(企業統治)

3)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
 2021年3月期の自動車市場は、前期末から猛威を振るう新型コロナウイルス感染症影響が続く1年となりました。期初は政府主導の操業制限など、各国で生産活動自体が抑制され、厳しいスタートとなった一方、期中には、中国での急速な景気回復や、各国での稼働停止に対する挽回生産など、回復の兆しが見られました。しかしながら、世界的な半導体やウレタン、ナイロン樹脂などの原材料不足、港湾混雑など、自動車原材料供給網の混乱により、今後も不安定な市場環境が続くものと見込まれます。
 このような中、当グループでは世界14か国にまたがる生産体制を活かし、海外拠点間の連携や相互補完により、コロナ禍においても安定した生産活動を維持してきました。さらなるサプライチェーンマネジメントにより、今後もさまざまなリスクに対応可能な柔軟性ある供給体制の維持・強化に努めていきます。
 一方、自動車業界では技術革新が進み、自動車の概念を変えうる大変革期に突入しています。ユーザーニーズの変化、熾烈な開発競争、新たな競合の台頭や業界再編等、事業環境の変化が急速に進んでいます。特に、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みは世界各国で加速しており、これまで以上に環境技術が重要視されています。
 これに対し、当グループでは次世代技術開発を加速させ、独自技術をもって顧客の潜在ニーズを引き出す魅力ある商品開発に取り組んでいます。
 環境面では、軽量化技術による自動車のCO2排出量削減や、CNF※1など天然由来のバイオマス素材※2利用技術による製品含有CO2量低減、また、低電力で効率よく暖まるシートヒーター用ECUといった電装部品開発による使用電力低減など、さまざまな角度からカーボンニュートラルに寄与する技術開発を推進しています。

 脱炭素社会や自動運転社会を想定し、イノベーションをもって車室空間に求められる新たな価値を探求し、次世代での市場競争力向上に努めていきます。
 また、世界経済の不確実性が高まる中でも、当グループが持続的な成長を遂げるためには、企業としての社会的責任を積極的に果たし、事業を通じた社会課題の解決に取り組み、社会に利益を還元していくことが不可欠であると考えます。この考えの下、社内外に点在する課題を改めて整理し、ステークホルダーにとって、また当グループにとっての重要性の2軸で優先順位を付け、2021年3月、社会・環境・企業基盤の3つの側面から社会と共に持続的な成長を遂げるための重要課題(マテリアリティ)を特定しました。

 当グループの価値創造の根幹である「世の中の期待を超える革新的で魅力ある新商品・新技術の提供」、これらの製品供給や事業活動を通じた環境負荷低減、さらには、サプライチェーン全体での人権尊重や、当グループのイノベーションと競争力を生み出す原動力となる社員一人ひとりの多様性と能力を活かせる仕組み作りに努め、SDGs※3の達成に貢献し、当グループの持続的な成長を実現していきます。

※1 セルロースナノファイバー
※2 再生可能な生物由来の資源を原料にした素材
※3 Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)


(6)財産および損益の状況の推移

1)企業集団の財産および損益の状況の推移

(注)

当社は、2021年4月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っています。
1株当たり情報は、第72期の期首に当該株式分割が行われたものと仮定して算定しています。

2)当社の財産および損益の状況の推移

(注)
  1. 「 『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を第73期の期首から適用しており、第72期にかかる主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。
  2. 当社は、2021年4月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っています。
    1株当たり情報は、第72期の期首に当該株式分割が行われたものと仮定して算定しています。


(7)重要な子会社の状況

1)重要な子会社の状況(2021年3月31日現在)

(注)
  1. サン化学工業株式会社の株式を追加取得したため、同社に対する直接議決権比率が増加しております。
  2. 2020年5月15日付で株式会社ホンダカーズ埼玉北の全株式を取得したため、連結子会社としております。
  3. 寧波出口加工区提愛思泉盟汽車内飾有限公司と寧波保税区提愛思泉盟汽車内飾有限公司は、寧波出口加工区提愛思泉盟汽車内飾有限公司を存続会社として合併し、「寧波提愛思汽車内飾有限公司」に商号変更しております。
  4. TS TECH SUN INDIA PRIVATE LIMITEDは、事業体制の最適化の一環として四輪事業をTS TECH SUN RAJASTHAN PRIVATE LIMITEDに譲渡しております。

2)その他の重要な企業結合の状況

①本田技研工業株式会社は、2021年3月31日現在、当社の株式を15,360,000株(22.8%)保有しており、当社は同社の持分法適用の関連会社であります。当社は同社へ当社製品を販売しております。

②当社は、株式会社今仙電機製作所との間で2020年11月9日付で資本業務提携契約を締結し、公開買付けおよび第三者割当増資の引き受けにより、2020年12月15日付で同社を持分法適用関連会社としております。2021年3月31日現在、当社は同社の株式を7,981,700株(34.75%)保有しております。

(8)主要な拠点等(2021年3月31日現在)

(9)従業員の状況(2021年3月31日現在)

1)当社グループの従業員の状況

(注)
  1. 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。
  2. 臨時従業員数には、パートタイマー、嘱託契約の従業員および派遣社員を含んでいます。
  3. 前期末⽐増減は就業人員の増減です。

2)当社の従業員の状況


(注)
  1. 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。
  2. 臨時従業員数には、パートタイマー、嘱託契約の従業員および派遣社員を含んでいます。
  3. 前期末⽐増減は就業人員の増減です。

(10)主要な借入先

 該当する事項はありません。

(11)その他企業集団の現況に関する重要な事項

 当社は、2021年2月19日開催の取締役会において、取締役会の監督機能とコーポレート・ガバナンス体制の一層の強化を図るため、2021年6月25日開催の第75回定時株主総会において承認されることを条件に、監査等委員会設置会社に移行する旨の決議をしています。


2021/06/25 11:00:00 +0900
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