当連結会計年度におけるわが国経済は、年度を通じ新型コロナウイルス感染症の波及により、まん延防止等重点措置の実施や緊急事態宣言が再発出されるなど、外出等の移動やイベント開催等における制限の緩和は繰り返し見直しを余儀なくされ、経済へ及ぼす影響は依然として不透明な状況が続きました。
こうした状況のもと、当社グループのディスクロージャー関連事業に関係が深い国内株式市場においては、新型コロナウイルス感染症への様々な感染対策、政策対応、ワクチン開発への期待、そして医療従事者や高齢者へのワクチン接種が開始されたこと等を要因に堅調な動きを見せ、日経平均株価は期初の21,000円台から一時30,000円を超える水準へ推移しました。
通訳・翻訳事業は、新型コロナウイルスの感染拡大により、特に通訳事業における主たる事業領域である大規模な国際会議やイベントの開催に厳しい制限が課され、また海外渡航の制限によりビジネスでの人の往来が途絶え、通訳機会が減少することにより業績に多大な影響を受けました。
このような事業環境において、当社グループは新型コロナウイルス感染症拡大に伴う資本市場、経済活動の停滞、感染拡大を契機とした情報開示充実への要請とグローバル化、Web化、オンライン化、事業体のオフサイト化への動きは今後も一層進展していくものと考えております。
with/afterコロナを見据え、お客様の決算開示実務の一層の利便性向上を推進する開示書類作成支援ツール「X-Smart.」の機能性向上と導入社数の増加に注力しつつ、多様化するお客様のニーズにお応えするべく次世代の決算プロセス自動化ツール「WizLabo(ウィズラボ)」の開発を進め、5月にリリースしました。また、コーポレートガバナンス・コード適用に伴い積極性を増すステークホルダーとの対話や非財務情報開示の充実化への需要に対する製品やサービスの提供、「ネットで招集」や株主総会の動画配信(ライブ・オンデマンド)をはじめとする株主総会プロセスの電子化への対応にも取り組んでまいりました。
さらに、情報開示のグローバル化の進展に伴い今後一層ニーズが高まると予想される通訳・翻訳事業では、人の往来が途絶えた状況への打開策として、『同時通訳』のために開発された遠隔同時通訳プラットフォーム“interprefy”は、これを活用することにより、新たな様式の大規模なイベントを開催したり、人が海外渡航を行わずとも日本と海外とを通訳者を介して繋がる機会を提供しており、afterコロナにおける経済社会の変化において通訳事業が成長するための基盤の一つを構築するものになると捉えております。
その結果、当連結会計年度の売上高は24,777百万円(前連結会計年度比5,660百万円増、同29.6%増)となりました。利益面については、営業利益は2,707百万円(同459百万円増、同20.5%増)、経常利益は2,881百万円(同517百万円増、同21.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,639百万円(同84百万円増、同5.4%増)となりました。
売上高をセグメント別にご説明いたしますと、次のとおりであります。
なお、前連結会計年度に行われた会社分割による持株会社化以前の当該損益は「ディスクロージャー関連事業」に含まれております。また、セグメントの業績数値は、セグメント間の内部売上高または振替高を相殺消去し記載しております。
売上高 18,967百万円 前連結会計年度比 8.4%増
当セグメントにおきましては、開示書類作成支援システムや株主総会招集通知および関連商材の売上が増加したことにより、売上高は18,967百万円(同1,473百万円増、同8.4%増)、セグメント利益は2,509百万円(同763百万円増、同43.7%増)となりました。
従来と同様に「ディスクロージャー関連事業」を製品区分別にご説明いたしますと、次のとおりであります。
■ 金融商品取引法関連製品
売上高 7,094百万円 前連結会計年度比 0.8%増
法定開示書類作成支援ツール「X-Smart.シリーズ」の導入顧客数が増加したことや決算開示サポート等の売上が増加したことにより、売上高は7,094百万円(同56百万円増、同0.8%増)となりました。
■ 会社法関連製品
売上高 5,470百万円 前連結会計年度比 39.8%増
新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年5月期である5月に売上を見込んでいた株主総会招集通知および関連文書の売上が2021年5月期である6月にずれ込んだことや、株主総会の動画配信の売上が増加したことにより、売上高は5,470百万円(同1,556百万円増、同39.8%増)となりました。
■ IR関連製品
売上高 3,996百万円 前連結会計年度比 5.2%減
事業報告書等の売上が減少したことにより、売上高は3,996百万円(同221百万円減、同5.2%減)となりました。
■ その他製品
売上高 2,405百万円 前連結会計年度比 3.5%増
株主優待関連の売上が増加したことにより、売上高は2,405百万円(同81百万円増、同3.5%増)となりました。
売上高 5,810百万円 前連結会計年度比 258.0%増
当セグメントにおきましては、前連結会計年度末に株式会社サイマル・インターナショナルおよびその子会社を連結の範囲に含めたことにより、売上高は5,810百万円(同4,187百万円増、同258.0%増)となりました。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、イベント、シンポジウム等の開催が延期、中止となりました。これに伴い通訳案件が相次いでキャンセルとなることで通訳事業の業績が落ち込みました。翻訳事業においては堅調に推移しているものの、のれんおよび無形固定資産の償却の影響もあり、セグメント損失は437百万円(前連結会計年度はセグメント利益177百万円)となりました。