当連結会計年度におけるわが国経済は、年度を通じ新型コロナウイルス感染症の波や変異株の出現等により、まん延防止等重点措置の実施や緊急事態宣言が再発出されるなど、外出等の移動やイベント開催等における制限の緩和は繰り返し見直しを余儀なくされましたが、延期されていた東京2020オリンピック、パラリンピックは昨年開催され、また今年3月下旬から期末に向けては、まん延防止等重点措置の実施も終わり、日常生活や海外渡航にはまだ一部制限が残るものの、経済活動は回復の基調を見せ始めました。
こうした状況のもと、当社グループのディスクロージャー関連事業に関係が深い国内株式市場においては、ワクチン接種の進展や日本国内での収束傾向などから昨年9月には日経平均株価が一時30,000円台に回復しましたが、その後、米中対立の激化や米国のインフレ懸念の強まりと金融引き締めによる米国株式の下落、今年2月からのロシア・ウクライナ情勢の緊迫化などを背景に、一時26,000円を割り込み、25,000円台から30,000円台の水準を推移しました。
通訳・翻訳事業は、特に通訳事業における主たる事業領域である大規模な国際会議やイベントの開催に対し、海外渡航を含め引き続き一定の制限が課されているものの、海外との対面での交渉やオンラインの形での国際会議などの通訳機会は回復してきています。
このような事業環境において、当社グループは新型コロナウイルス感染症拡大に伴う資本市場、経済活動の停滞、感染拡大を契機とした情報開示充実への要請とWeb化、オンライン化、事業体のグローバル化への動きは今後も一層進展していくものと考えております。
with/afterコロナを見据え、多様化するお客様のニーズにお応えするべくお客様の決算開示実務の一層の利便性向上を推進する次世代の決算プロセス自動化ツール「WizLabo(ウィズラボ)」をリリースし、導入社数の増加に注力してまいりました。また、コーポレートガバナンス・コード適用や東京証券取引所における今年4月からの新市場区分への移行に伴い積極性を増すステークホルダーとの対話や非財務情報開示の充実化への需要に対する製品やサービスの提供、「ネットで招集」や株主総会の動画配信(ライブ・オンデマンド)をはじめとする株主総会プロセスの電子化への対応にも取り組んでまいりました。
また、afterコロナにおいても一定規模でリモートワークや遠隔会議の環境は定着していくことが予想されます。通訳事業でコロナ禍の中、遠隔同時通訳プラットフォーム“interprefy”は、従来よりも安価で、簡便な形で大規模なイベントの通訳や、通訳者自身が海外渡航を行わずとも国内から、海外における異言語の会議の通訳を可能にし、一気に普及しています。これからの経済社会の変化において通訳事業が成長するための基盤の一つを構築するものになると捉えております。
その結果、当連結会計年度の売上高は25,317百万円(前連結会計年度比540百万円増、同2.2%増)となりました。利益面については、営業利益は3,560百万円(同853百万円増、同31.5%増)、経常利益は3,680百万円(同799百万円増、同27.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,249百万円(同610百万円増、同37.2%増)となりました。
売上高をセグメント別にご説明いたしますと、次のとおりであります。
なお、セグメントの業績数値は、セグメント間の内部売上高または振替高を相殺消去し記載しております。
売上高 18,640百万円 前連結会計年度比 1.7%減
当セグメントにおきましては、開示書類作成支援システムや株主総会関連商材の売上が増加しましたが、収益認識に関する会計基準等の適用による影響額△1,418百万円により、売上高は18,640百万円(同326百万円減、同1.7%減)、セグメント利益は2,763百万円(同253百万円増、同10.1%増)となりました。
従来と同様に「ディスクロージャー関連事業」を製品区分別にご説明いたしますと、次のとおりであります。
■ 金融商品取引法関連製品
売上高 7,279百万円 前連結会計年度比 2.6%増
収益認識に関する会計基準等の適用による影響額△27百万円はありましたが、次世代の決算プロセス自動化ツ-ル「WizLabo(ウィズラボ)」の導入顧客数が増加したことにより、売上高は7,279百万円(同184百万円増、同2.6%増)となりました。
■ 会社法関連製品
売上高 5,671百万円 前連結会計年度比 3.7%増
収益認識に関する会計基準等の適用による影響額△87百万円はありましたが、株主総会招集通知および関連文書の翻訳、株主総会動画配信の売上増加により、売上高は5,671百万円(同201百万円増、同3.7%増)となりました。
■ IR関連製品
売上高 4,506百万円 前連結会計年度比 12.8%増
統合報告書の売上が増加したことにより、売上高は4,506百万円(同510百万円増、同12.8%増)となりました。
■ その他製品
売上高 1,182百万円 前連結会計年度比 50.8%減
株主優待関連の売上が増加しましたが、収益認識に関する会計基準等の適用による影響額△1,303百万円により、売上高は1,182百万円(同1,223百万円減、同50.8%減)となりました。
売上高 6,676百万円 前連結会計年度比 14.9%増
当セグメントにおきましては、売上高は6,676百万円(同866百万円増、同14.9%増)となりました。通訳事業では、“interprefy”等を活用したオンライン会議形式が普及したこと、また、未だ渡航制限は残るものの下半期は大型会議も一部再開され、売上は大幅に増加しました。翻訳事業では、堅調な大手顧客に加え新規顧客を開拓し、経営関連やマーケティング、医薬、AI関連等の領域の文書を中心に売上を大きく伸ばしました。
利益面では、売上の増加に加え、生産性の改善、販売管理費のコスト削減効果もあり、セグメント利益は222百万円(前連結会計年度はセグメント損失437百万円)となりました。