第2号議案
定款の一部変更の件(投融資ポートフォリオを2050年炭素排出実質ゼロを求めるパリ協定1.5度目標に整合させるための移行計画の策定及び開示)

株主提案 一部の株主さまからご提案された議案

第2号議案は、3名の株主さま(議決権比率は0.001%)からのご提案となっております。
提案内容および提案理由は、株主さまから提出された書面に記載された内容を原文のまま記載したものです。

株主提案とは
 会社法は、一定の要件を充足する場合に株主提案権を認めております。ご提案につきましては、法令・定款違反等の場合を除いて、会社は議案を掲載することが義務付けられております。
 今回、一部の株主さまからご提案をいただいておりますが、取締役会としては、これに反対しております。次の当社取締役会の意見をご確認いただき、議決権の行使をお願いします。

1 提案内容

以下の条項を、当社の定款に追加的に規定する。

 第 章 移行計画(ポートフォリオの整合)
 第 条(投融資ポートフォリオを2050年炭素排出ネットゼロを求めるパリ協定1.5度目標に整合させるための移行計画の策定及び開示)

1.当会社は、当会社の投融資ポートフォリオにおいて2050年炭素排出ネットゼロを実現するという公約を果たすため、2050年まで又はより早期に炭素排出ネットゼロに至る確かなシナリオと整合する短期、中期及び長期目標を含む移行計画を策定し、これを開示する。なお、当該移行計画には、当会社の投融資ポートフォリオ内の主要な温室効果ガス集約型セクターにおける戦略的な投融資方針及び目標を含み、スコープ3の全てのバリューチェーンからの排出を考慮するものとする。

2.当会社は、前項の移行計画及び目標の進捗状況を統合報告書において開示する。

2 提案理由

本提案は、当社の2050年ネットゼロ公約の達成計画の信頼性を株主が判断し、また、当社が気候変動リスクを適切に管理し、長期的な企業価値を維持向上するために必要な情報開示を求めるものである。
当社は化石燃料等の炭素集約型セクターに大きく関与しており、重大な財務リスクを抱えているが、当該セクターにおける投融資ポートフォリオを2050年ネットゼロシナリオに整合させるための十分な目標又は投融資方針を設定・開示していない。
国際エネルギー機関等の確かな達成シナリオが示す経路や主要な結論と整合する目標及び戦略的な投融資方針を設定・開示することで、当社の気候目標及び移行計画の信頼性を担保することは、極めて重要である。世界の同業他社はこの種の情報を開示している。
本提案が求める開示は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)やネット・ゼロ・バンキング・アライアンス等を通じ、投資家が求める情報開示に合致する。(400文字)

取締役会の意見

取締役会としては、本議案に反対いたします。
  当社グループは、投融資ポートフォリオからのGHG※排出量(スコープ3)2050年ネットゼロを目指す移行計画を策定し、統合的に取り組みを推進しております。(移行計画には、電力、石油・ガス、石炭採掘(一般炭)セクターのスコープ3削減中期目標、エンゲージメントを通じたお客さまの移行支援、移行リスクの高いセクターへの投融資方針の運用・見直し、及び炭素関連セクターのリスクコントロールを含み、削減目標設定には、2050年ネットゼロに整合するシナリオを用いております。)移行計画及び目標への取組状況は、統合報告書などで開示しており、今後も取り組み、開示を積極的に進めてまいります。
 また、会社組織等の基本を定めるべき定款へ、個別の業務執行に係る事項を定めることは適当でなく、機動的かつ迅速な対応の支障となる虞があります。
 従って、定款に本議案が求める内容を規定する必要はないと考えます。

※ GHG: Greenhouse Gas、温室効果ガス

当社取締役会の意見の詳細につきましては、以下で詳しくご説明しておりますのでご覧ください。

1.移行計画について
当社グループでは、気候変動対応を経営上の重要な課題と位置付け、2050年ネットゼロ実現と気温上昇1.5℃抑制への努力を追求するため、ネットゼロ移行計画を策定し、気候変動への取り組みを進めています。


2.投融資を通じたGHG排出削減目標の設定について
以下のセクターについて、2050年ネットゼロに整合するシナリオを用いた2030年度中期目標を設定しております。今後も、鉄鋼・自動車・海運など、排出量等の観点から重要な他のセクターについて、順次、2050年ネットゼロに整合するシナリオを用いて目標を設定してまいります。なお、高排出セクターの移行に向けては、事業構造転換など時間を要する取り組みが必要であるため、短期目標は設定しておりませんが、実績については定期的に確認・開示してまいります。


3.移行リスクが高いセクターに対する投融資の方針や取り組みについて
(1)リスク管理
 当社グループに重大な影響を及ぼすリスクを経営で認識するトップリスクの一つに「気候変動影響の深刻化」を選定しています。また、シナリオ分析を通じ、企業の移行リスク対応、エンゲージメントの重要性を認識しており、リスク管理態勢・方針の継続的な高度化を図っています。
 具体的には、移行リスクが高いと認識したセクター(炭素関連セクター)のうち「高リスク領域」について、エクスポージャーコントロール方針を定めて、リスクコントロールを実施しています。
 また、投融資等を通じた環境・社会に対するネガティブな影響を防止・軽減するため、「環境・社会に配慮した投融資の取組方針」において、石炭火力発電、石油・ガス、石炭採掘セクター等への投融資方針を定め、運用と継続的な高度化を実施しています。


(2)サステナブルファイナンス/環境・気候変動対応ファイナンスの推進
 中長期を見据えたお客さまの持続的な成長・企業価値向上および産業の競争力強化を念頭においたお客さまとのエンゲージメントを起点に、お客さまの脱炭素社会への移行に向けた取り組みを支援しています。2023年4月には、サステナブルファイナンス目標を100兆円(うち環境・気候変動対応ファイナンス50兆円)*へと引き上げました。環境・社会課題の解決に対し、さらなる資金の流れを作り出してまいります。

*2019~2030年度累計。従来目標はサステナブルファイナンス25兆円(うち環境ファイナンス12兆円)

4.開示について
当社グループは、移行計画を含む気候変動対応への取り組み内容や指標・目標に対する実績を、統合報告書、TCFDレポート、2022年度サステナビリティプログレス(気候変動)などにおいて開示しています。今後も、透明性向上やステークホルダーとのコミュニケーションの観点から積極的な開示を行っていきます。

なお、本議案は、移行計画の策定及び開示といった個別具体的な業務執行に係る事項を定款に定めることを求めています。当社は、気候変動という喫緊の課題に対し、目まぐるしく変わる情勢を踏まえながら、移行計画の機動的な見直しやその迅速な遂行をしてまいりますが、定款はその変更に株主総会における特別決議が必要となることから、仮に本議案が可決された場合、当社の機動的かつ迅速な対応の支障となる虞があります。
当社グループは、現定款のもと、ステークホルダーのみなさまからのご意見も踏まえながら、気候変動対応に真摯に取り組み、気温上昇1.5℃抑制に向けた努力を追求してまいります。

以 上

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2023/06/23 12:00:00 +0900
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