グローバルでのデジタルトランスフォーメーション等の加速や、ニーズの多様化・高度化に対応するため、グローバル市場でビジネス拡大を図るとともに、市場の変化に対応したデジタルオファリング(注)、システムインテグレーション等の多様なITサービスの拡大と安定的な提供に取り組みました。
セグメント別の取り組みについては、以下のとおりです。
当連結会計年度末における主な海外拠点の状況は以下のとおりです。
(2019年3月31日現在)
中央府省及びテレコム業界向けサービスの規模拡大等により増収となりました。また、不採算額の増加はあるものの、増収に伴う増益等により増益となりました。
政府・インフラ企業の基幹業務のシステム更改を確実に獲得しつつ、これまでの当社グループの実績や培ってきたノウハウを活用した国内・海外での案件創出、マイナンバー活用ビジネスやSociety 5.0、デジタル・ガバメント実行計画に沿った官民融合の新たな社会基盤実現に向けた新規ビジネス等により事業拡大をめざしました。
<労働基準行政システムのサービス開始によりお客様業務の効率化を実現>
●当社は、日本全国の労働局や労働基準監督署における労災保険等の国民サービス提供や安全衛生のための監督等の業務の基幹システムである労働基準行政システムの開発を行い、2019年1月にサービスを開始しました。当該システム開発は、従来あった複数のサブシステムを統合し効率化を図るなど、高難度かつ長期間のプロジェクトでしたが、これを完遂することで、お客様業務の効率化を実現しました。
<官民連携と異業種横断の取り組みにより事業を拡大>
行政機関と金融機関の情報のやり取りを効率化するためのサービス提供や、社会課題の解決や新たな付加価値の創出に向けた様々な企業・団体等との共創活動を推進し、事業の拡大に努めました。
●当社は、㈱静岡銀行、遠州信用金庫及び3自治体と共同で、税金滞納者等の預金状況を自治体が調査する財産調査業務において、電子データを用いることによる作業時間削減と業務効率化の実務検証を2018年10月に完了しました。また、この結果を踏まえ、行政機関と金融機関の間においてフォーマットが統一された電子データによる預貯金等の照会を実現する「PipitLINQ(ピピットリンク)」を2019年2月より販売開始しました。
●当社及び東京電力パワーグリッド㈱は、業種の垣根を越えた様々なデータを活用した社会課題の解決や新たな付加価値の創出を目的とした「グリッドデータバンク・ラボ有限責任事業組合」を 2018年11月に設立し、2019年3月には関西電力㈱及び中部電力㈱が組合員として加わりました。賛同参画企業・団体等は約30社(2019年3月時点)となりました。また、本取り組みに係る共創活動を推進していく場として、イノベーション環境を備えたオフィス兼ラボを2019年3月に東京都千代田区に開設しました。
前期における銀行向けサービスの反動減はあるものの、保険業界向けサービスの増収等により、売上高は前期並み、営業利益は増益となりました。
マイナス金利等による市場環境が金融機関の経営に影響する一方、規制緩和や技術革新の推進によりデジタル化の流れが加速するなど、金融業界の事業環境が大きく変化している中、引き続きお客様へ高信頼で高品質なサービスを提供し続けるとともに、事業環境の変化に対してはデジタル技術の組み合わせによる新たな価値を提供することで、デジタル時代のTrusted金融ITプラットフォーマーとしてビジネス拡大をめざしました。
<次世代バンキングの実現に向けた様々な取り組みを推進>
デジタル技術を活用した新たなサービスが提供される中、金融機関のビジネス基盤を多様なデジタルニーズへ迅速に対応可能とする取り組みを進めました。加えて、金融機関のみならず、あらゆる産業が金融サービスとつながり、新たなビジネスを創出するためのプラットフォーム構築を推進しました。
●デジタルサービスの提供プラットフォームとして、提供中である当社クラウドサービス「OpenCanvas」に加え、「AWS」「Azure」等のパブリッククラウド(注1)の導入から運用までを一元的にサポートするソリューション「A-gate」を2018年10月より提供開始しました。このサービスは「OpenCanvas」の認証機能等を活用することで、高度なセキュリティ要求にも対応しています。
●当社がメインフレーム上で提供してきた金融機関の基幹系システムについて、デジタル技術と親和性が高いオープンプラットフォーム(注2)の適用を可能とするための主要な技術検証を2018年6月に完了し、本格的に技術開発を開始しました。
●他業態サービスと金融機能を組み合わせた新たなサービス創出に向けた取り組みとして、グローバルで実績のあるMambu社のクラウド型勘定系サービスの実証実験を2019年3月に日本で初めて完了しました。
<AI技術を活用したデジタル関連サービスを提供>
サービスの高度化に向け、金融機関向けの様々なデジタル関連サービスを提供しました。
●NTTグループのAI技術「corevo」を活用し、金融機関の融資稟議書作成業務の負担を軽減するサービスを 2019年3月より提供開始しました。
●映像と音声の分析により対面コミュニケーションの各要素をAIが点数化するサービスを開発し、保険業界を中心にトライアルサービスを2018年4月より提供開始しました。
●新規ビジネス創発拠点である「BeSTA FinTech Lab」に、最新技術を適用したカスタマージャーニー (注3)を体感できる次世代コンセプト店舗「Branch of the Future」を設置しました。
前期のM&A等を含む製造業及び流通業向けサービスの規模拡大等により増収増益となりました。
デジタルを活用する流れの更なる加速や、グローバル競争力強化の要請の高まり等、製造業、流通業、サービス業等における事業環境が大きく変化しています。この変化に対応し、デジタル領域における先進技術・ノウハウや、数多くのお客様のシステムをトータルで支援してきた実績等の強みを活かして、お客様のデジタルトランスフォーメーションに貢献する事業パートナーとしてビジネス拡大を更に進めました。
<利便性、先進性の高い決済関連サービスの提供を推進>
サービス開始35周年を迎えた「CAFIS(注4)」で培ってきた「実績」「多様性」「安全・安心」及び各種ノウハウをコアとした利便性、先進性の高い決済関連サービスの提供の推進により、日本のキャッシュレス化への対応に貢献しました。
●当社及び東京急行電鉄㈱は、企業や店舗等の販促アプリにカードレスのハウスクレジット機能を搭載することができ、スマートフォン1台で決済が可能となるソリューション「.pay(ドットペイ)」を2018年4月より提供開始しました。
●スマートフォンによるバーコード決済サービス「モバイルレジ(注5)」にクレジットカードによる決済機能を追加し、地方公共団体向けに「モバイルレジ公金クレジット収納サービス」として 2018年4月より提供開始しました。
●一次元バーコードやQRコードといった国内外の各種コード決済について、小売業者が1台の決済端末又は1つのインターフェースで対応可能となるサービス「コード決済ゲートウェイ」の提供開始に向けて取り組みました。
<生産関連情報の活用により工場内における情報の持つ価値の最大化を実現>
●当社は、これまで開発に参画してきたファナック㈱の製造業向けIoTプラットフォーム「FIELD system」(注6)上で動作するアプリケーションとして、「DaTa TransLoader」を2019年1月に販売開始しました。本製品は、お客様の工場内のあらゆる機械や装置が接続される「FIELD system」に蓄積された重要な生産関連情報を、お客様の保有システムや外部ツールで活用可能とすることにより、工場内における情報の持つ価値の最大化を実現するものです。
公共及び製造向けサービスの増収はあるものの、ヘルスケア及び金融向けサービスの減収等により減収となりました。また、営業利益は、減収による減益はあるものの、コスト改善や、PMI費用の減少等により増益となりました。
北米における組織・体制の基盤固めを完了し、更なる成長に向けて、ITサービス市場の成長を牽引するデジタル領域への対応力を磨くとともに、特にヘルスケア、公共、金融の各分野においてアウトソーシング等の豊富な実績や知見を活かした事業の拡大を図り、進化を加速させました。
<カナダブリティッシュコロンビア州 Health Authoritiesと新規に大型のITサービス契約を締結、ヘルスケア分野での豊富なサービス提供実績をもとにカナダでのプレゼンスを拡大>
●当社子会社であるNTT DATA Canadaは、新規顧客であるカナダブリティッシュコロンビア州のProvincial Health Services Authority (PHSA)(注7)とITサービスに係る契約を2019年3月に締結しました。期間は5年、総額4億カナダドルを超える大型契約です。本サービスでは、同州内の複数のHealth Authorities(注8)に対して、医療機関で使われるアプリケーションの使用方法や医療機関の業務フローに精通したスタッフによるクリニカルサービスを含め、先進的なITサポートサービスを提供します。本受注にあたり、長年クリニカルサービスを提供してきた実績と信頼性、大規模アウトソーシング案件への対応能力、お客様の多様な要望への柔軟な対応姿勢等が高く評価されたことに加え、2018年12月のSierra Systems 買収等、カナダ市場への積極的な投資姿勢も評価されました。
<米国州政府への業界特化型コンサルティングサービスの強化に向けてCognosante Consulting, LLCの買収交渉を実施>
●当社子会社であるNTT DATA Servicesは、米国各州政府のヘルスケア関連部門に対してコンサルティングサービスを提供し、特に公的医療保険制度であるメディケイド関連システムに対する支援サービス等において強みを持つ Cognosante Consulting, LLCの買収交渉を実施しました(2019年4月買収完了)。本買収により、Cognosante Consulting, LLCの約30年にわたる米国各州政府への豊富なサービス提供実績に基づく知見を獲得することで、ヘルスケア関連分野において専門性の高い業界特化型のコンサルティングサービスを提供することが可能となります。
スペインやイタリアを中心とした欧州での規模拡大等により増収となりました。また、営業利益は、増収等により増益となりました。
EMEA・中南米においてグループ各社がそれぞれの持つ強みやリソースを結集し、事業の一体的運営を推進することでシナジー効果の発現による収益拡大を図るとともに、ますます需要の高まるデジタル領域でのサービス提供力を強化し、更なるローカルプレゼンスの向上をめざしました。
<everis Groupが公共分野において大型案件を受注>
当社子会社であるeveris Groupは、長年にわたる高品質なサービスの提供実績及びデジタル領域への対応力等が評価され、特に高度なセキュリティと信頼性が求められる公共分野にて以下の案件を受注しました。
●スペインの空港運営企業Aena SME, S.A.より、スペイン国内7空港における自動出入国管理システムを受注しました。バルセロナ、マヨルカ等4空港での最先端の自動化ゲート計220台の設置、サービス提供開始に続き、今後、セビリア等3空港においても当該ゲート計81台の導入、運用を担当します。本システムは、パスポート等の高度な照合と顔及び指紋による生体認証を統合し、正確かつ迅速に個人を識別することで、出入国審査の効率化に貢献しています。
●欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会情報技術総局と、30を超えるEU機関等に対してITサービスを提供する包括契約を締結し、ベルギーをはじめ14カ国を対象に2018年10月よりサービス提供を開始しました。
<M&Aを通じてデジタル領域を中心にケイパビリティを拡充>
当社子会社を通じて、デジタル領域を中心に特長のある企業を買収し、サービス提供力の更なる強化及び当社グループの強みとのシナジー発現を図りました。
●NTT DATA EMEA LTD.は、デジタル領域のコンサルティング等のサービスを提供する英国の MagenTys Holdings Limitedを2018年5月に子会社化しました。また、当社グループの強みである自動車業界でのプレゼンスの更なる強化を目的に、自動車ディーラーマネジメントシステムを提供するドイツのgen-ius dms GmbHを2018年6月に子会社化しました。
● itelligence AGは、SAPの戦略分野の一つである顧客管理及びeコマース等のサービス強化を目的に、「SAP C4/HANA(注9)」を活用した同サービスを強みとするSybit GmbHを2018年8月に子会社化しました。