対処すべき課題

経営環境の見通し

 技術の更なる進展によりデジタルトランスフォーメーションの流れが加速しており、ITの戦略的活用による事業拡大や新規事業創出等、お客様のニーズは多様化・高度化しています。今後も、このようなお客様の更なるビジネス成長に加え、SDGs(持続可能な開発目標)に代表される環境・社会課題の解決に向けても、ITの果たす役割は世界的に拡大するとともに、より重要になっていくものと考えられます。

前中期経営計画における課題

 前中期経営計画(2016年度~2018年度)において、不採算案件抑止と海外事業の収益性改善を重要経営課題として取り組んできました。不採算案件抑止についてはプロジェクト審査委員会等の効果が出ているものの、引き続き抑止に向けた取り組みを行っていきます。また、海外事業の収益性改善については、ビジネス規模の拡大や技術力強化に伴う先行投資等を行っていることもあり、引き続き収益性改善に向けた取り組みが必要と認識しています。
 また、更なる持続的な成長を実現するために、お客様への提供価値の最大化に向けて、お客様のデジタルトランスフォーメーションの更なる加速への対応や、当社グループのグローバルシナジーの最大化に向けた取り組みが必要と認識しています。

新中期経営計画

 上記のような経営環境の見通し及び課題を踏まえ、当社グループは2019年度~2021年度の中期経営計画を以下のとおり策定しました。

<基本方針>

 変わらぬ信念、変える勇気によって、グローバルで質の伴った成長をめざします。

<中期戦略>

 「変わらぬ信念」のもと、「お客様とともに未来の社会を創る」を基本的な考え方として、当社グループの競争優位性の源泉であるお客様との「Long-Term Relationships(長期的信頼関係)」に基づきお客様との共創による事業を通じて社会に貢献していくとともに、自らの企業活動においても働き方変革等を通じて働きがいのある社会の実現に貢献していくことで、企業価値の持続的向上をめざすESG経営を行います。
 また、「変える勇気」を持って3つの戦略を実行し、デジタルトランスフォーメーションの更なる加速とグローバルシナジーの最大化を実現してお客様への提供価値最大化を図ります。

戦略1.グローバルデジタルオファリングの拡充

 業界や技術の注力領域を定め、積極的に投資していくことで“強み”(オファリング)を創出し、マーケティング・技術活用支援と一体でグローバル連携を加速します。具体的には、個別のお客様へのロイヤルティプログラムを拡充するとともに業界内連携を加速し、同時に、対外リレーションの高度化や成功事例の共有と加速を推進します。
 また、業界の知見を集約したデジタルオファリング戦略を策定し、オープンイノベーションを活用しながら、お客様との共創プロジェクトへ当社も積極投資することで、より提供価値の高いオファリングを創出します。
 更に、技術集約拠点(Center of Excellence)(注1)の拡充によりアセット(注2)の集約と活用を加速し、迅速なオファリング創出と展開を実現します。
 これらの施策によって、グローバル一体となってデジタルビジネスの拡大を推進します。

戦略2.リージョン特性に合わせたお客様への価値提供の深化 

  リージョン特性に合わせた4D Value Cycle(注3)の推進によりお客様への価値提供を深化することにより、2018年度末で70社(注4)となっている顧客基盤を更に拡大します。具体的には、日本においては「既存領域の強みを活かした新しい価値の創出」、中国・APACにおいては「マーケット成長を活かした飛躍的事業拡大」、北米においては「重点志向での強み創出と柱顧客の拡大」、EMEA・中南米においては「三社(注5)一体運営による顧客提供価値の向上」を推進します。

戦略3.グローバル全社員の力を高めた組織力の最大化

 グローバル共通の価値観でコラボレーションを推進し、個の力を高めながら組織力の最大化を図ります。具体的には、社員のプロフェッショナリティの最大化として、全社員のデジタル対応力を高めるとともに、社員の多様な自己実現に沿って制度設計等も見直し、社員エンゲージメントの向上を図ります。
 また、デジタル技術を活用した働き方変革として、グローバルで知見やノウハウを共有できる基盤を構築し、コラボレーションを推進するとともに、引き続き次世代の生産技術を磨くことで更なる生産性の向上をめざします。
 更に、適切なガバナンス態勢の構築として、前中期経営計画の課題でもある不採算案件の抑止等、リスクマネジメントの更なる強化に取り組みます。


 上記に加え、NTTグループ連携の強化を進め、 NTTグループトータルで新たな価値を創造し、グローバルマーケットでのプレゼンスを高めます。具体的には、先進領域における連携として、基盤的研究開発や次世代技術研究開発の成果をグローバルで活用し、先進ソリューションやサービスの提供をめざします。
 また、各地域における連携として、NTTグループ各社が得意とするインフラ、セキュリティサービス等を組み合わせて、トータルでお客様へサービスを提供することで事業の更なる拡大をめざします。
 更に、NTTグループ全体の調達集約等によるコスト削減等のスケールメリットを活かした連携も進めます。


(注1)技術集約拠点(Center of Excellence)
高度な研究・開発活動を行い、人材及び事業の創出・育成の中核となる拠点
(注2)アセット
システムを構成する資材やソフトウェア、ライセンス(利用権)等の要素
(注3)4D Value Cycle
当社の共通の価値提供モデル。Discover(目利き)、 Design(企画)、Develop(つくり)、Drive(活用)のサイクルを繰り返しお客様と信頼関係を深化する
Discover :市場と顧客のニーズの予測、新技術の目利き
Design :様々なビジネスやサービスの連携を視野とした広く深い構想
Develop :高度なシステム構築力や活用力によるソリューションの構築と提供
Drive :お客様がソリューションを最大限活用するためのサポート
(注4)年間売上高50億円以上(日本)、もしくは50百万米ドル(日本以外)のお客様
(注5)NTT DATA EMEA、everis、Business Solutions
(注6)M&A・構造改革等の一時的なコストを除く


 なお、将来に関する記述は、当社グループが当連結会計年度末時点で把握可能な情報から判断する一定の前提に基づいており、今後様々な要因によって記載内容とは異なる可能性があることをご承知おきください。

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2019/06/20 12:00:00 +0900
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