第36回定時株主総会 招集ご通知 証券コード : 9613

事業活動の取り組み状況

 グローバルでのDX等の加速や、ニーズの多様化・高度化に対応するため、当社グループの強みであるつくる力とつなぐ力を生かしたオファリングの拡充やクロスセルの拡大を進めました。
 2023年7月に機動性を高める持株会社体制に移行し、コンサルティングからアプリケーション開発、インフラサービスまでを含めた多様なITサービスの提供に取り組みました。


日本

 主に日本国内における市場特性を考慮した高付加価値なITサービスを提供する事業を行っています。

日本セグメントにおける、各分野の事業活動の取り組み状況については、以下のとおりです。


●公共・社会基盤

 行政、医療、通信、電力等の社会インフラや地域の活性化を担う、高付加価値なITサービスを提供する事業を行っています。

「デジタル社会の実現に向けた重点計画」における行政や準公共分野(医療・教育・防災・モビリティ等)のデジタルサービス拡充等により、デジタル社会実現に向けた取り組みが加速しています。当社グループは、その実現に向け、Foresight起点で社会の未来を描き、先進技術適用・付加価値提案による『顧客ビジネス深化』、利用者目線での『社会システム創出』に取り組むことにより、事業拡大を目指しました。

<国内外におけるハイレジリエント社会の実現に貢献>

・D-Resilio連携基盤の提供開始
 行政や企業が持つ防災情報の収集・連携を支援する「D-Resilio連携基盤」の提供を開始しました。本基盤は防災情報の集約と連携を重視し、災害時に迅速かつ正確な情報収集を行政や企業に提供することを通じてプロアクティブな防災対応を実現します。

・インドネシア「防災情報処理伝達システム(DPIS)」の構築開始
 政府から災害情報を迅速に発信し、国民の安全・安心を守るためのシステムである「防災情報処理伝達システム(DPIS)」の構築プロジェクトをインドネシアで開始しました。当社グループは本プロジェクトにより、日本の防災情報共有システムであるLアラートの海外展開を初めて実現します。LアラートのアーキテクチャーをベースにD-Resilio連携基盤で培った情報配信のノウハウを活用し、インドネシア国民に津波・地震情報を迅速に伝達することでインドネシア国民の避難促進等の災害対策に貢献します。また、今後は噴火・洪水等他の災害情報にも範囲を拡張する予定です。
 当社グループは、防災DXソリューション・ノウハウについて国内外の展開を進め、ハイレジリエント社会の実現に貢献します。

インドネシア「防災情報処理伝達システム(DPIS)」の概要


●金融

 金融機関のサービスや業務効率化に寄与する高付加価値なITサービスを提供する事業を行っています。

 社会のデジタル化の進展により、生活に密着した金融サービスが次々と登場している中、金融システムには、信頼性と先進性の両立が一層求められています。当社はサステナブルな社会の実現に向けて、安心・安全な金融インフラを永続的に支え続けるとともに、業界をつなぐ新たな金融サービスの創出・拡大を目指しました。

<共同利用型勘定系システムのクラウドシフト化に向けた取り組み>

 当社グループは、地域金融機関5行が共同利用しているシステム「MEJAR」に当社グループが提供するフレームワークである「PITON」を適用し、オープン系システムへの移行を完了し、国内銀行業界で初めて、マルチバンクオープン勘定系システムの稼働を開始しました。
当社グループは、本実績により、共同利用型勘定系スキームをクラウド化するための実現性を確認できたことから、本取り組みをさらに一歩進め、安心・安全・安価に永続的なバンキングサービスを提供するための「統合バンキングクラウド」を地銀共同センター(注5)へ2028年1月目途に適用することを決定し、開発に着手しました。「統合バンキングクラウド」は、バンキングシステム専用の国産かつ金融機関に求められる高い信頼性を備えたクラウドで、データセンター・ハードウェア・ミドルウェア等を集約し、当社グループがワンストップで提供することにより、効率的な運用や金融機関の管理負担の軽減へ寄与するだけでなく、永続的なサービスの実現を可能とします。
 当社グループは、今後も先進的なデジタル技術を生かし、銀行システムのクラウドシフト等を進め、「OSA(注6)」のコンセプトに基づき、金融機関のビジネスパートナーとして、顧客体験価値の向上に向けたDXの加速に貢献していきます。

共同利用型勘定系システムクラウド化の展開


●法人

 製造業、流通業、サービス業等の事業活動を支える高付加価値なITサービス及び各分野のITサービスと連携するペイメントサービスを提供する事業を行っています。

 2023年4月に法人分野の組織再編を行いました。コンサルティング、ペイメント、テクノロジーそれぞれの専門性を発揮し提供価値向上を担う組織と、インダストリー軸でそれらを束ね、Foresight起点でEnd to Endでお客様に価値提供するインダストリー組織のマトリクス運営を進めました。さまざまなインダストリーのお客様の、ビジネス変革を加速するビジネスパートナーとして、業界・お客様のあるべきビジネスの姿をお客様と描き、それを実現するための企画策定から、先進技術とシステム開発技術を活用した変革の実現まで、一貫して高い価値を提供しました。

<JR東海のDXプロジェクトに一気通貫で参画>

 当社グループは、東海旅客鉄道株式会社(以下、JR東海)のデジタル変革施策プロジェクトに参画し、デジタルマーケティング基盤と駅ビル共通営業システムを連携することで、お客様の会員基盤強化を実現しました。
 鉄道業界ではコロナ禍以降事業環境の変化に対応する新たな取り組みを加速させる必要がありました。JR東海においても、鉄道事業以外のグループ事業を含めた事業全体の収益拡大を推進するため、沿線都市と移動の価値向上を目指した世界観をもとにグループ共通ポイント(注7)の構想を持っていました。
 このような課題を背景として当社グループは、構想を実現するための具体的なポイント制度や業務設計のコンサルティング、システムの実装方式の提案や構築、その後のサービス拡大に向けた企画の具体化や効果検証等まで、プロジェクトを通して一気通貫でJR東海に伴走しています。
 本取り組みによりデジタルマーケティング基盤と駅ビル共通営業システムが連携することで、JR東海はグループ事業の顧客情報やポイント残高を一元的に管理することが可能となり、さらに、EXサービス(注8)と連携することで、鉄道事業とその他のグループ事業双方の価値向上に寄与しています。
 当社グループは、今後もお客様の事業パートナーとして現行サービスの改善活動だけでなく、会員基盤強化に向けたさらなる提案を実施し、お客様のビジネス発展に貢献していきます。

プロジェクト一気通貫でJR東海に伴走


海外

 主に海外ビジネスにおける市場特性を考慮した高付加価値なITサービスを提供する事業を行っています。

海外セグメントにおける事業活動の取り組み状況については、以下のとおりです。


<Hyster-Yale Group向けフォークリフトの自動制御を目的としたプラットフォーム構築案件獲得>

 NTT DATA ServicesとNTT Ltd.は、グローバルに事業展開するフォークリフト製造企業であるHyster-Yale Groupから、自動フォークリフトの移動サポートを実現するトラフィックマネジメントプラットフォーム(以下、本プラットフォーム)構築案件及び大規模ITアウトソーシング案件を受注しました。
 NTT DATA Servicesのサブブランドである「Launch by NTT DATA(注9)」が中心となり、MVP開発手法(注10)によるお客様提案を通じた専門性が評価されたこと、及びNTT Ltd.のインフラ領域のケイパビリティを高く評価されたことにより本プラットフォーム構築案件の受注につながりました。NTT DATA Services は、本プラットフォームをお客様及びその顧客へSaaSライセンス製品として提供し、NTT Ltd.は、本プラットフォームに関するネットワークのマネージドサービスを提供することで、One NTT DATAとしてEnd to Endのデリバリーを実現します。
 お客様のITアウトソーシングに関わるDX推進について、NTT DATA Servicesは、Azureクラウドへの移行、サービスデスク業務へのAI導入、デバイス更改支援機能の導入を通じて、NTT Ltd.は、ネットワークの改善・更改によりインフラモダナイゼーションをそれぞれ支援します。

Hyster-Yale Group向け連携案件の概要


<大手多国籍企業向けにインフラからアプリケーション領域にわたるフルスタックサービスを提供>

 NTT Ltd.とNTT DATA Servicesは、大手多国籍企業向けに親会社からのスピンアウトに伴うIT環境構築案件を受注しました。NTT Ltd.が要件ヒアリングを丁寧に実施し、NTT DATA Servicesのアプリケーション領域のケイパビリティを加えることにより、インフラ領域だけでなくアプリケーション領域の顧客要件を充足できたことが本案件の受注につながりました。
 同社は親会社からのスピンアウトに伴い親会社からアプリケーション及びインフラを切り離し、スタンドアロンとして稼働させる必要がありました。
 NTT Ltd.はインフラ領域(ワークプレイス、ネットワーク、セキュリティ、ホスティングプラットフォーム環境等)を、NTT DATA Services はアプリケーション領域(Oracle Fusion Cloud ERP、Workday HCM、ServiceNow、MuleSoft等)を担当し、One NTT DATAとしてお客様をサポートし、2024年3月に予定されていたIT環境の移行作業を全て完了しました。

<データセンター事業への積極投資>

 データセンター事業は、旺盛な需要を背景に成長が見込めることから、当社グループは積極的に投資を進めています。2023年度においては、インド、ドイツ、アメリカ、マレーシアに13のデータセンター(電力容量で226MW)の提供を開始し、全世界で約30都市、約120棟、約1,120MWの規模でサービスを提供しています。
 他社との提携も進めており、2023年度は、東京電力パワーグリッド株式会社と千葉県印西白井エリアにおける、データセンターの共同開発及び運用を目的とした新会社の設立に向けて合意し、また、東京センチュリ―株式会社のグループ会社とは米国シカゴのデータセンター事業の共同運営を決定しました。

●参考:各セグメントの業績内訳


その他

<全国銀行データ通信システムの障害について>
 2023年10月に発生した全国銀行資金決済ネットワークが運営する全国銀行データ通信システム(以下、全銀システム)の障害により、加盟金融機関やそのお客様をはじめ、株主の皆さまにも多大なご迷惑、ご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
 当社グループは、不具合箇所を修正したプログラムを反映する本格対処を完了するとともに、今回発生したシステム障害を厳粛に受け止め、当社社長を筆頭として、品質保証部門・技術部門等のさまざまな有識者から構成される「システム総点検タスクフォース」を立ち上げ、各分野の担当役員のもと全銀システム及びその他の重要システムについて総点検を実施しました。
 システムの安定運用は、当社グループに課せられた使命であり、より信頼性の高いシステムの構築及び運用に向けて当社グループ全体として取り組み、お客様や社会に一層の貢献をしてまいります。

(注5) 地銀共同センター
当社グループが構築・運営する、地方銀行・第二地方銀行向け基幹系共同センターのことです。参加行は以下のとおりです。
(利用開始及び銀行コード順)
㈱京都銀行、㈱千葉興業銀行、㈱岩手銀行、㈱池田泉州銀行、㈱愛知銀行、㈱福井銀行、㈱青森銀行、㈱秋田銀行、㈱四国銀行、㈱鳥取銀行、㈱西日本シティ銀行、㈱大分銀行、㈱山陰合同銀行

(注6) OSA(Open Service Architecture)
当社グループにて推し進めている、ポストコロナに求められる新しい金融ITの姿を具体化した標準アーキテクチャーです。

(注7) グループ共通ポイント
JR東海グループの駅商業施設・店舗の共通ポイントサービス「TOKAI STATION POINT」のことです。

(注8) EXサービス
東海道・山陽・九州新幹線のインターネット予約&チケットレス乗車サービス「エクスプレス予約」「スマートEX」のことです。

(注9) Launch by NTT DATA
コンサルティングやデジタルを通じたケイパビリティの拡充を目的としたM&Aにより加わった5社、及びNTT DATA Servicesの既存組織であるModern Applications 及びUser/Customer Experience チームが一体となって、2023年4月に立ち上げた北米リージョンのサブブランドのことです。デジタル(Digital)、IoT、体験型(Experience)、没入型(Immersive)といったオファリングを提供することにより、お客様組織が「デジタル体験」を作り出すことを支援し、カスタマーエンゲージメントの実現とお客様の成長を牽引します。

(注10) MVP(Minimum Viable Product)開発手法
必要最小限のプロダクト開発、リリース、ユーザーからの有効なフィードバックを繰り返し、改善していく開発手法のことです。

前の項目へ次の項目へ
2024/06/18 12:00:00 +0900
外部サイトへ移動します 移動 ×

カメラをかざして
QRコードを
読み取ってください

{{ error }}