事業の経過および成果

 当連結会計年度(2020年3月1日から2021年2月28日まで)の連結業績は、連結売上高が1,703億48百万円(前年同期比21.2%減)、連結営業損失53億35百万円(前年同期は連結営業利益39億26百万円)、連結経常損失19億64百万円(前年同期は連結経常利益33億69百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は75億3百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益7億13百万円)と減収・減益となりました。
 売上高は、前期末に実施したアークミール社の株式譲渡による売上減少198億10百万円に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大影響に伴い、グループ各社で店舗の休業・営業時間の短縮を実施したことにより、前年同期に対して大幅な減収となりました。国内においては2020年5月の緊急事態宣言の解除以降、海外においては外出禁止令の解除以降、営業再開が進み、新商品の導入や各セグメントでキャンペーンを積極的に展開したことにより、売上高は回復基調となりましたが、2021年1月7日の再度の緊急事態宣言に伴う政府・各自治体からの外出自粛や営業時間の短縮要請により、下半期においても前年の水準を下回って推移しました。
 コスト面では、賃料減額交渉や管理可能経費の削減などに加え、グループ全体で構造改革に取り組みコスト削減を進めており、その成果は着実に表れ、下半期においては営業利益が黒字に転じました。また、売上高の減少に対し、当期はキャッシュ・フローを重視し当初計画していた出店・改装投資も抑制し、不採算または売上高の回復が見込めない直営店舗の閉店を進めました。しかしながら上述のコスト削減策を実施したものの、売上高の大幅な減少や、閉店や店舗資産の収益力の低下に伴う減損損失および新型コロナウイルス感染症による損失など総額57億93百万円を特別損失として計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は75億3百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益7億13百万円)となりました。
 なお、営業外収益には、各自治体からの営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金や雇用調整助成金などの助成金等収入32億75百万円を計上し、特別損失には、各国政府や各行政の指示・ガイドラインに従い休業した店舗の休業期間中に発生した固定費の一部を新型コロナウイルス感染症による損失6億11百万円として計上しております。

 セグメント概況につきましては、次のとおりであります。

[吉野家]

 売上高は、1,056億16百万円と、対前年同期比5.4%の減収となりました。
 全国一斉休校や緊急事態宣言を受け、3月には「お子様・ご家庭食事支援」、4月には「牛丼テイクアウト15%オフキャンペーン」、「テイクアウト限定ファミリーセット」を販売するなど、食のインフラとして各種支援策を機動的に実施しながら、店内飲食からテイクアウトへと変化する顧客ニーズに迅速に対応いたしました。また、デリバリー需要の高まりに対応するため、デリバリー対応店舗を751店舗へと積極的に拡大し、各種キャンペーンを実施いたしました。商品施策においては、テイクアウトでも、よりおいしく召し上がれる商品開発を基本方針に掲げ、4月から「肉だく牛丼」や「スタミナ超特盛丼」を、6月から期間限定で「牛たん麦とろ御膳」を、10月から冬の定番「牛すき鍋膳」を、1月から「牛の鍋焼き御膳」を販売いたしました。また、販売施策としては、5月、7月、9月、11月には昨年大変ご好評をいただいた「ポケ盛」キャンペーンを、6月には「超特盛祭」を実施し、11月にはプレミアム食事券の「Go To Eatキャンペーン」に参加いたしました。その結果、テイクアウト販売数増により売上高は回復傾向ではあるものの、店内飲食による売上の回復が弱含みであるため、既存店売上高前年比は91.5%となりました。セグメント利益は減収に加え、販売促進費ならびにテイクアウト用包材等のコスト増により41億47百万円と、前年同期に比べ17億88百万円の減益となりましたが、上記取り組みにより、下半期においては前年を9億11百万円上回る結果となりました。同期間の店舗数は、25店舗を出店し、50店舗を閉鎖した結果、1,189店舗となりました。

[はなまる]

 売上高は、203億62百万円と、対前年同期比34.1%の減収となりました。
 減収の主な要因は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い商業施設内店舗の大規模な休業や営業時間の短縮を行ったことにより、既存店売上高前年比が7割の水準へと大幅に減少したことであります。商業施設の営業再開に伴い売上高は回復傾向にあるものの、都市部への通勤人口の減少やフードコートの客席稼働率の低下といった厳しい状況が続いております。商品施策としては、3月には「とろ玉フェア」を、6月には「冷かけフェア」を、9月には「温もり、とろーり!あんかけフェア」を実施し、11月には「具・たくさん!豚汁うどん」を販売し、1月にはお持ち帰りも可能な、グループのから揚げ専門業態の「鶏千から揚げ」を販売し、新たな客層を獲得しております。販売施策としては、3月と9月にはご好評をいただいている「天ぷら定期券」を販売し、7月には「コウペンちゃんはなまる日和」とのコラボキャンペーンを実施し、11月にはプレミアム食事券の「Go To Eatキャンペーン」へ参加し、12月には「うどんチケット」を販売いたしました。テイクアウト・デリバリー需要の高まりに対応するため、デリバリー対応店舗を192店(前期末+117店)に拡大いたしました。これらに加えかけうどんの価格改定を行うなど、機動的に施策を展開いたしましたが、セグメント損失は31億60百万円と、前年同期に比べ44億12百万円の減益となりました。同期間の店舗数は、18店舗を出店し、50店舗を閉鎖した結果、490店舗となりました。

[京樽]

 売上高は、188億99百万円と、対前年同期比33.8%の減収となりました。
 減収の主な要因は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い店舗の大規模な休業や営業時間の短縮を行ったことにより、既存店売上高前年比が7割の水準へと大幅に減少したことや、外出自粛要請に伴いイベントによる弁当販売が減少したことであります。商業施設の営業再開に伴いテイクアウト事業を中心に売上高は回復傾向にあるものの、夜間の外出自粛により外食事業の売上高は厳しい状況が続いております。テイクアウト・デリバリー需要の高まりに対応するため、全業態において「すしパーティーセット」や、海鮮三崎港にて「ちらしずしのタネ」を販売するなど、テイクアウト商品の充実を図りながら、デリバリー対応店舗を136店(前期末+134店)に拡大し、「1個買ったらもう一つサービス」キャンペーンを実施いたしました。また、外食事業においてEPARKの予約システムを導入し、店内・お持ち帰り予約に対応いたしました。商品施策としては、豊後の寒ブリ、金華サバ、あん肝醤油・炙り白子など、産地や素材にこだわった旬の食材を用いた季節メニューを各業態で販売いたしました。販売施策としては、テイクアウト事業において、「創業88周年記念祭あかふじセール」やご好評をいただいている「中巻セール」、外食事業における「本まぐろ祭」「(赤皿)99円セール」を実施し、「Go To Eatキャンペーン」に参加いたしました。しかしながらセグメント損失は22億13百万円と、前年同期に比べ26億70百万円の減益となりました。同期間の店舗数は、14店舗を出店し、61店舗を閉鎖した結果、288店舗となりました。なお、2021年4月1日に当社が保有する京樽社の全株式を株式会社FOOD & LIFE COMPANIESへ譲渡いたしました。
※詳細につきましては、第64期定時株主総会招集ご通知に際してのインターネット開示事項12頁に記載しております。

[海外]

 売上高は、195億34百万円と、対前年同期比11.0%の減収となりました。
 減収の主な要因は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い各エリアにおいて外出禁止令が発令されたことにより、店舗の大規模な休業や営業時間の短縮を行ったことであります。アメリカは感染拡大に加え、店内飲食の禁止は続いておりますが、テイクアウトおよびデリバリー需要を底堅く獲得できており既存店売上高は前年の水準まで回復いたしました。中国は、既存店売上高が前年を若干下回っておりますが、経済活動再開に伴い回復基調にあります。感染拡大が続くアセアンは、売上高が前年を下回って推移しております。休業・営業時間短縮による大幅な減収によりセグメント利益は、5億75百万円と、前年同期に比べ3億97百万円の減益となりました。同期間の店舗数は、76店舗を出店し、105店舗を閉鎖した結果、965店舗となりました。なお、海外は暦年決算のため1月~12月の実績を取り込んでおります。

 以上のような状況を受けまして、当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により多額の損失を計上しており、財務の健全性の観点から、誠に遺憾ではございますが、期末配当を見送らせていただくことといたしました。


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2021/05/27 12:00:00 +0900
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