第5号議案
自己株式取得の件〔株主提案〕

第5号議案、第6号議案、第7号議案は、株主のOASIS INVESTMENTSⅡ MASTER FUND LTD.様からのご提案によるものであります。議案の件名、議案の要領、提案の理由は、提案株主様から提出されました株主提案書の原文のままで記載しております。

(1) 議案の要領

 会社法第156条第1項の規定に基づき、本定時株主総会終結の時から、1年以内に、当社普通株式を株式総数8,790,000株(発行済株式総数(自己株式を除く)の20%)、取得価額の総額金23,720,000,000円(ただし、会社法により許容される取得価額の総額(会社法第461条に定める「分配可能額」)が、当該金額を下回るときは、会社法により許容される取得価額の上限額)を限度として、金銭の交付をもって取得することとする。

(2) 提案の理由

 2017年、当社は多額の現預金があったにもかかわらず、住友林業に第三者割当増資を行い、25.54%の株式希薄化が生じました。櫻野社長は希薄化を正当化するために、株主に対して、2023年3月期に500億円の営業利益を達成すること、また、5年間に600億円の投資を行い投資から70億円の利益を実現すると約束しましたが、今期の営業利益は全体で156億円の達成にとどまると見込まれる上、資金を有意義に投資せず、希薄化に見合う成果は出ていません。住友林業に対する第三者割当の実施から、当社の株価は25%以上下落したままです。
 一般株主に利益のない第三者割当増資による希薄化は、コーポレートガバナンス・コードに反し、特定の大株主を不当に優遇するものです。当時も今も、株式での資金調達は不必要で、業務提携で十分でした。現在当社の株価は割安で、自己株式取得により希薄化の悪影響を是正して企業価値の向上と資本効率の改善を行うべきです。

 当社の取締役会の意見 

当社取締役会は、以下の理由により本株主提案に反対します。

(理由)
 当社は、中長期的な人口減少に伴う国内建設市場の縮小均衡が予想されるなか、新たな市場の創出や付加価値の高い技術開発、海外における事業展開といった持続的成長に向けた取組みが必要であると考え、既存事業の領域を超えた独自性のある新たなポジションの構築を目指し、2017年11月に住友林業株式会社と業務・資本提携に関する契約を締結し、協業を進めてまいりました。本提携に際しては、当社が営む各事業分野におけるシナジー創出モデルを積極的に展開の上、パートナー関係の長期的な発展・強化と継続性のある協業を追求し、中長期的な企業価値の向上を図り、かつ再開発資金及び土地取得費用その他の資金需要に対応することを目的として、第三者割当増資により約347億円の資金を調達しました。本提携は、資本提携を裏付けとする強固かつ長期的なパートナー関係を背景に、近接した事業分野において各々の強みを掛け合わせた協業を行うことを通じて各種のシナジーを産み出すことを企図するもので、当社の企業価値向上ひいては一般株主の利益に資するものと考えており、特定の大株主を不当に優遇するものではないと考えております。また、提案株主がいかなる点をもって「コーポレートガバナンス・コードに反し」ていると主張しているのかは必ずしも明らかでないものの、いずれにせよ、本提携はコーポレートガバナンス・コードに反するものでもありません。
 その後、本提携の趣旨に沿って2018年3月に策定した『中期経営計画(2018~2020年度)』(以下「前中期計画」といいます。)により、国内/海外アライアンス、国内不動産等を中心に3年間で600億円規模の投資を計画し、本増資による約347億円をその一部に充当することを計画しましたが、各種技術開発の進展等一定の成果を見たものの、再開発事業において、新型コロナウイルス感染症拡大の影響や環境アセスメントに時間を要したことにより事業計画の取りまとめに遅れが生じているほか、再生可能エネルギー事業をめぐる環境の変化等により、前中期計画期間中の投資実績は約150億円にとどまりました。
 前中期計画策定時に想定していた投資環境に大きな変化が生じたこと等を踏まえ、2021年5月に発表した『中期経営計画(2021~2023年度)』(以下「現中期計画」といいます。)において、「建設請負事業の深化」「建設周辺事業の進化」「新たな事業領域の開拓」「経営基盤の強化」という4つの基本方針のもと、当社の長期的・持続的成長を達成するために、新たに400億円規模の投資計画を策定しました。当該計画に基づきこれまで約130億円の投資を実施しており、第三者割当増資以降の投資累計額としては約280億円となっておりますが、今後更に約240億円の投資を現在検討しており、これにより、現在検討しているものを含め、現中期計画策定以降の投資総額は約370億円(国内外の不動産開発事業:約210億円、再生可能エネルギー事業:約70億円、基幹システム刷新等の経営基盤強化:約70億円、その他:約20億円)となることを、第三者割当増資以降の投資累計額としては約520億円となることを見込んでおります。進捗としては、当社が参画している東京都新宿区下宮比町地区の再開発に関し、2022年7月には再開発準備組合が設立される等着実に進展をみております。また、インフラ大更新に対応し、高速道路リニューアル工事等に向けて新たに開発した技術などは既に収益に貢献しているほか、海外不動産開発事業、再生可能エネルギー事業なども今般の投資計画完了後より徐々に収益貢献が始まり、中長期的な安定収益の獲得に寄与することを見込んでおります。なお投資計画には競合者の存在する資産購入や環境変化によるリスクの再検討等により、その執行が当初想定通りに進まない案件もありますが、投資計画の遂行は、当社の長期的・持続的成長のために必要であり、時期にずれが生じようとも事業の組み立てを適切に再構築した上で実施し継続すべきものと考えております。また、現中期計画終了後も、当社の中長期的な企業価値の向上を図るために、引き続き成長投資を実施していくことが必要であると考えております。
 また、当社は資本効率の重要性も認識しており、株主還元の拡充及び資本効率の向上を図るため、2021年11月に現中期計画期間中に総額100億円規模の自己株式を取得する方針を定め、当該方針に基づき、2021年度及び2022年度にそれぞれ約40億円の自己株式の取得・消却を実施し、さらに2023年度においても総額20億円の取得を決議しました。これに加えて、第1号議案が承認された場合、当該配当と合わせた2022年度の総還元性向(連結)は約122%となる見通しです。また今後の自己株式取得につきましては、直近の業績や中長期の業績見通し、成長投資の実行状況、経営環境等を総合的に勘案し、原則として自己株式の取得について定めた当社定款第7条に基づき取締役会において判断いたしますが、配当と合わせた株主還元をより充実できるよう検討してまいります。
 一方、本株主提案は、約237億円もの自己株式取得を1年以内という短期間に実施することを提案するものです。このような多額の自己株式取得を一時に実施することは、長期的・持続的成長の機会を創出することを目的としている上述の投資を財務的に制約することにつながりかねません。さらに、ロシア・ウクライナ紛争及びこれらに関連する資機材価格の高騰や、欧米における金融機関の破綻等、世界経済の変化が当社の事業環境に及ぼす影響はますます不透明になっていることに加え、景気変動等による業績影響が大きく、キャッシュ創出の変動幅も大きいという建設業の事業リスクを踏まえると、長期的な視点に立った事業の継続性担保のためには、手元流動性資金及び自己資本の確保が肝要であると考えております。特に茲もとの工事案件の大型化に伴う施工中の工事費用立替負担の増加等を踏まえ、上述の投資の実行及び当社グループに必要な運転資金を考慮すると、本株主提案が定める自己株式取得を実施することは、当社グループの財務基盤の安定性を大きく損ねることとなり、結果として株主の皆様の利益を毀損するものと考えております。
 以上により、当社取締役会は本株主提案に反対します。
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2023/06/29 12:00:00 +0900
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