事業の経過及びその成果

 当連結会計年度における我が国経済は、ウィズコロナの生活様式の定着が進む中で、個人消費に持ち直しの動きがみられ、設備投資もソフトウェア投資を中心に堅調に推移しましたが、円安や資源高による物価上昇などの下押し要因もあり企業収益に一部弱さが残るなど、景気の回復は緩やかなものにとどまりました。
 建設業界におきましては、住宅建設は建設コストや金利上昇への懸念から弱含んでいるものの、民間企業の建設投資は企業の設備投資意欲の高まりを背景に堅調であり、公共投資も関連予算の執行により底堅く推移したことなどから、受注環境は総じて堅調でありました。しかしながら、資材高や労務費の増加等による建設コストの上昇もあり、採算面においては一部に厳しさが残りました。
 このような経営環境のもと、当社グループは2021年5月に策定した①建設請負事業の深化、②建設周辺事業の進化、③新たな事業領域の開拓、④経営基盤の強化を基本方針とする『熊谷組グループ 中期経営計画(2021~2023年度)~持続的成長への弛まぬ挑戦~』にグループ一丸となって取り組み、持続的成長へ向けた事業の推進へ注力してまいりました。なお、2021年11月には、株主還元の拡充並びに資本効率の向上を図るため現中期経営計画期間(2021~2023年度)に総額100億円規模の自己株式を取得する方針を決定しており、当該方針に基づき当期も約40億円の自己株式の取得を実施しました。これにより、当期における総還元性向は121.6%となる見通しです。
 当連結会計年度における当社グループの連結業績につきましては、売上高は、前連結会計年度比5.1%減の4,035億円となりました。利益は、売上高の減少並びに売上総利益率の低下に伴う売上総利益の減少等により、営業利益は114億円、経常利益は122億円となりました。また、法人税、住民税及び事業税等の計上などにより、親会社株主に帰属する当期純利益は79億円となりました。
 当社の業績につきましては、以下のとおりであります。
 受注高は、国内土木工事の減少等により前年度比0.5%減の3,486億円となりました。このうち、土木工事は1,012億円、建築工事は2,473億円であり、これらの発注者別内訳は官庁28.6%、民間71.4%であります。
 売上高は、同9.6%減の2,993億円となりました。このうち、土木工事は899億円、建築工事は2,093億円であり、これらの発注者別内訳は官庁20.2%、民間79.8%であります。
 翌事業年度への繰越高は、同10.2%増の5,348億円となりました。
 利益につきましては、売上高の減少並びに売上総利益率の低下に伴う売上総利益の減少等により、経常利益は101億円、当期純利益は69億円となりました。

当社の部門別の状況は以下のとおりであります。
〔土 木〕
 土木の受注高は前年度比8.6%減の1,012億円となりました。
 主な受注工事は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構:北海道新幹線、岩尾別高架橋(北海道)、札幌市:国庫補助事業創成川処理区Ⅳ-01000(北45条東1丁目ほか)下水道新設工事(北海道)、国土交通省:令和4年度42号熊野第2トンネル工事(三重県)、東日本高速道路株式会社:首都圏中央連絡自動車道新利根川橋(下部工)西工事(茨城県)等であります。
 完成工事高は同4.4%減の899億円となりました。
 主な完成工事は、西日本高速道路株式会社:新名神高速道路原萩谷トンネル西工事(大阪府)、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構:北陸新幹線、芦原温泉駅高架橋他(福井県)、東京地下鉄株式会社:銀座線浅草駅折返し線延伸に伴う土木工事(東京都)、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構:北海道新幹線、村山トンネル他(北海道)等であります。

〔建 築〕
 建築の受注高は前年度比3.3%増の2,473億円となりました。
 主な受注工事は、三井不動産レジデンシャル株式会社、野村不動産株式会社、三菱地所レジデンス株式会社、伊藤忠都市開発株式会社、東方地所株式会社、株式会社富士見地所、袖ヶ浦興業株式会社:(仮称)幕張新都心若葉住宅地区計画(B-4街区)(千葉県)、阪神電気鉄道株式会社:阪神タイガース二軍施設移転計画新築工事(兵庫県)、医療法人徳洲会:徳之島徳洲会病院移転新築工事(鹿児島県)、兵庫県:県立西宮総合医療センター(仮称)病院棟外建築工事(兵庫県)等であります。
 完成工事高は同11.6%減の2,093億円となりました。
 主な完成工事は、株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス・日下部洋子・株式会社サン・エトワール・星野浩一 他:(仮称)渋谷区道玄坂二丁目開発計画 新築工事(東京都)、医療法人徳洲会:湘南鎌倉総合病院外傷・救命救急センター先端医療センター増築工事(神奈川県)、日本電産株式会社(現 ニデック株式会社):日本電産株式会社 向日町プロジェクトC棟建築工事(仮称)(京都府)、野村不動産株式会社:(仮称)阪急塚口駅前建替計画(兵庫県)等であります。

(参考)当社の部門別受注高・売上高・繰越高


(注)

翌事業年度繰越高に含まれる海外工事の繰越高について、為替相場の実勢を反映させるため、事業年度末レートで修正しております。
この増加額は55百万円であり、( )内は修正前であります。

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2023/06/29 12:00:00 +0900
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