対処すべき課題

 今後の我が国経済は、政府の各種政策の効果やウィズコロナの生活様式の定着による経済社会活動の正常化が進むことにより、個人消費や企業収益の持ち直しが期待されますが、長引くウクライナ情勢や世界的な金融引締めが進展する中で海外景気の下振れや物価上昇、供給面の制約などのリスクを孕んでおり、景気は依然として先行き不透明な状況にあります。
 建設業界におきましては、民間企業の建設投資は企業収益の改善等を背景に持ち直しの動きが続くと思われ、また、公共投資も2023年度予算は前年度とほぼ同水準が確保されるなど、防災・減災、国土強靭化への計画的な投資により底堅く推移するものと予想されます。一方で、原油高や建設資材高といった採算悪化や需要減退を招くリスクについて動向を注視していく必要があります。
 このような経営環境のもと、当社グループは前述の中期経営計画(2021~2023年度)に則り、持続的成長へ向けた諸施策に引き続きグループ一丸となって取り組んでまいります。しかしながら新型コロナウイルス感染症の影響の長期化や、ウクライナ情勢などに起因する資材価格の高騰などといった、計画策定時には想定し得なかった経済・社会情勢の劇的変化の影響は大きく、誠に遺憾ながら2023年度の業績は以下のとおり、計画最終年度の財務目標を下回る見込みとなりました。

・現中期経営計画における財務目標(2023年度)
連結売上高4,700億円、連結経常利益330億円

・今回業績予想(2023年度)
連結売上高4,331億円、連結経常利益157億円

 なお、2024年度以降の業績につきましては、外部環境変化の影響が一定程度収まると見込んでおり、また業績改善に向けた各施策の効果の発現が期待されますので、現中期経営計画で掲げている「建設請負事業の深化」「建設周辺事業の進化」「新たな事業領域の開拓」「経営基盤の強化」の4つの基本戦略をさらに強力に推進し、併せて業務・資本提携している住友林業株式会社との協業成果も含めた投資収益を確保するなどにより、まずは連結経常利益を300億円水準に引上げ、その後、将来の姿として掲げた500億円を目指します。

 また、当連結会計年度終了後に、当社共同企業体が施工中の「北海道新幹線、羊蹄トンネル(有島)他」において、発注者と定めた条件によるコンクリートの単位水量試験及びスランプ試験に関して虚偽報告を行っていたことが判明しました。
 発注者様をはじめとするご関係の皆様には、多大なるご迷惑をお掛けすることとなり、誠に申し訳なく深くお詫び申しあげます。
 現在、対象のコンクリートの強度については調査を進めているところでございますが、当社といたしましては、本件事態の重大さを痛感し、二度と同様の事態を起こさぬよう再発防止策を講じるとともに、コンプライアンス教育を再徹底し、信用・信頼の回復に全力を尽くしてまいる所存でございます。
 株主の皆様におかれましては今後とも一層のご支援を賜りますようお願い申しあげます。

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2023/06/29 12:00:00 +0900
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