第75回 定時株主総会 招集ご通知 証券コード : 2229

事業の経過およびその成果

 当連結会計年度における世界経済は、長期化するロシア・ウクライナ情勢、中東問題等の地政学的リスクおよび中国の景気低迷などから先行きの不透明な状況が続く一方、米国経済成長率の堅調な推移といった下支えの動きも見られました。日本経済においては、円安の進行によるコスト高止まりの影響はあったものの、新型コロナウイルス感染症の5類移行により経済再開が本格的に進み、年明けには日本銀行のマイナス金利政策からの転換や昨年以上の賃上げの動き等、経済循環の正常化も顕著でした。このような経済環境のもと、国内においては原材料等のコスト高騰に対応すべく価格・規格改定を前期に続き実施するとともに、昨年2月に公表した「2030ビジョン・成長戦略」に基づき次なる成長に向けた事業構造改革に向けた取り組みを進め、成長ガイダンス以上の業績となりました。海外においては、欧米を中心とした世界的なインフレーション進行や中国の景況感悪化による影響に対応しつつ、各地での事業拡大に努めました。

 国内事業においては、価格・規格改定実施後の早期の販売回復に努め、継続的なマーケティングや旅行需要の獲得で販売数量を伸ばすことにより収益増に取り組みました。また、主力製品の生産ライン増設による生産能力増や2025年3月期に稼働開始を予定する「せとうち広島工場」建設も着実に進めました。海外事業では、北米、中華圏の事業環境の変化に対応しつつ、その他地域の事業拡大に取り組みました。北米では製造受託事業の収益性改善を進める一方、主力ブランドの「Harvest Snaps」や日本発ブランドは営業体制を強化し、現地主要小売業者への販売を拡大しました。中華圏では、消費者の節約志向の高まりや処理水問題に起因する当社主要スナック製品の通関規制の強化による販売減に対し、周辺地域拠点からの輸入代替や製造委託による現地生産に取り組み始めています。また、その他地域では、英国やインドネシアを中心に新製品上市や生産能力増も行い、事業拡大に取り組みました。
 サステナビリティ経営の推進においては、地球温暖化適応策として、海外グループ各社のGHG排出量算定をプロジェクト体制にて推進し、同時に水・パーム油・紙・プラスチックに関する現状把握を行いました。国内では昨年度の環境省支援事業「サプライチェーンの脱炭素化推進モデル事業」にて策定したロードマップに沿って、自社だけの削減に留まらないスコープ3カテゴリー1の原材料「ばれいしょ」の排出量見える化に取り組み(農林水産省支援事業)、契約農家へのヒアリング等を実施しました。その他原材料についてはサプライヤーアセスメントでの現状把握に伴い協働を強化しました。生物多様性や人権課題の重要性を高め再特定したマテリアリティに基づき、2025年秋のTNFD情報開示を目指し準備を進めています。また、「カルビーグループ環境ポリシー」および「カルビーグループ人権方針」を整備し、国連グローバル・コンパクトへの署名も行い、コミットメントをグローバルに拡大しています。

 当連結会計年度の売上高は、303,027百万円(前連結会計年度比8.5%増)となりました。国内事業は、価格・規格改定効果に加え、前年上期に行ったばれいしょ不足による販売抑制の解消や人流回復による土産用製品の需要増、ブランド強化のためのマーケティング、営業活動と生産能力増による需要の着実な獲得から増収となりました。海外事業は北米、中華圏の不調を英国、インドネシア等のその他地域で補い、増収となりました。
 営業利益は、27,304百万円(前連結会計年度比22.8%増)となり、売上高営業利益率は9.0%(前連結会計年度比1.1ポイント上昇)となりました。国内事業において、年度を通じ原材料価格の上昇は継続しましたが、これを価格・規格改定により相殺し、販売数量の伸長により増益となりました。また、海外事業は過去最高益となりました。経常利益は、円安の進行に伴う為替差益の営業外収益への計上により、31,155百万円(前連結会計年度比32.8%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は19,886百万円(前連結会計年度比34.6%増)となりました。


事業別の状況

主要な事業内容

 当社グループは主として、ポテト系、小麦系、コーン系、豆系のスナック菓子およびシリアル食品の製造販売等を行っております。
 創立以来、自然の恵みを大切に活かし、おいしさと楽しさを創造して、人々の健やかなくらしに貢献するという企業理念のもと、製品・サービスを提供しております。

*1 「国内スナック菓子」「国内シリアル食品」「国内その他」の売上高はリベート等控除前の金額を記載しています。



ポテトチップス
 ポテトチップスは、「うすしお味」等の定番品や「堅あげポテト」を中心とした販売増により、98,274百万円(前連結会計年度比8.1%増)となりました。高水準のばれいしょ収穫量による安定した原材料供給、継続的なマーケティングの実施とそれに連動した営業活動が奏功しました。

じゃがりこ
 じゃがりこは、人流回復もあり定番品を中心に強い需要が継続し、生産能力増も寄与したことから、45,353百万円(前連結会計年度比13.4%増)となりました。また、新製品「じゃがりこ細いやつ サラダ」の貢献もありました。

その他スナック
 その他スナックは、国内外観光客の増加等により「じゃがポックル」等の土産用製品が大きく伸長しました。また、小麦系、コーン系、豆系スナックも全体的に好調であり、2024年に発売60周年を迎えた「かっぱえびせん」の販売伸長も寄与し、71,014百万円(前連結会計年度比12.5%増)となりました。



 国内シリアル食品の売上高は、他社とのコラボレーション企画品「フルグラ ブラックサンダー味」やマーケティング活動に連携した営業強化が奏功し、既存の大容量製品も販売増となり下期には需要拡大を牽引したことから、増収となりました。



 国内その他(アグリ・食と健康・役務提供)は、甘しょ事業が伸長し、増収となりました。


*1 中華圏:中国、香港
*2 その他地域:英国、インドネシア、韓国、タイ、シンガポール、オーストラリア
*3 地域別の売上高はリベート等控除前の金額を記載しています。


 海外においては、重点地域(北米、中華圏)を中心に各国でスナック菓子の製造・販売およびシリアル食品の販売を行っています。

 ・北米の売上高は、配荷拡大により豆系スナック「Harvest Snaps」や「じゃがりこ」「かっぱえびせん」が牽引する日本発ブランドは販売を伸ばした一方、スナック菓子の受託製造販売減少が続いたことから、現地通貨ベースで前連結会計年度に比べ減収となりました。

 ・中華圏の売上高は、景況感の悪化や通関規制強化の影響により小売店舗向けおよびECチャネルとも販売が低調になったことから、18,568百万円(前連結会計年度比20.7%減)となりました。

 ・その他地域は、年度を通して英国、インドネシア等における事業拡大が貢献し、40,411百万円(前連結会計年度比11.6%増)となりました。英国ではSeabrookブランド製品の配荷拡大や新製品の発売により増収となり、インドネシアでは、生地スナックの生産能力増もあり販売が伸長したこと等から増収となりました。

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2024/06/25 12:00:00 +0900
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