第76回定時株主総会招集ご通知 証券コード : 2229
当連結会計年度における世界経済は、国家間の対立や紛争による地政学リスクの継続、各国の金融政策の変更および政権交代等から先行きを見極めにくい状況が続く一方、欧米のインフレ鎮静化や中国の景気低迷にも歯止めがかかったこと等から、後半にかけて徐々に回復が見られました。日本経済は、物価上昇が続く中、企業の設備投資の増加、個人消費の緩やかな復調に加え、訪日外国人旅行者の増加に伴うインバウンド需要の増加等から、回復基調で推移しました。また、当社グループを取り巻く社会課題に関しては、温暖化等の地球環境の変化による資源獲得競争の激化が進む中、サプライチェーンにおける環境負荷や人権への配慮がより強く求められています。このような事業環境のもと、当社グループは「2030ビジョン・成長戦略」に基づく次なる成長に向けた事業構造改革を推進しました。
国内コア事業では、消費者のニーズの変化に合わせたメリハリのある製品展開やファンマーケティングの強化、加えてDXを活用しデータドリブンでの収益改善活動を進めました。2025年1月には、優れた環境性能、生産性向上、並びに作業環境改善を実現する最新鋭マザー工場として「せとうち広島工場」が操業を開始しました。海外事業では、国内で培われた専門性をもつ人財の登用や、資金・設備等を成長領域に積極的に配分することにより、地域ごとのポートフォリオ構造が強化され、持続的な成長基盤の構築につながっています。また、新規領域である食と健康事業においては、パーソナルフードプログラム「Body Granola」の認知拡大に努めました。ばれいしょの安定調達に向けたしれとこ斜里農業協同組合との連携では、合わせてアグリビジネスのひとつとなる冷食事業への本格参入に取り組むことを決定しました。
当社グループでは、更なるサステナビリティ経営推進のため、マテリアリティを特定し気候変動対策や生物多様性の保全および人権の尊重に取り組んでいます。2026年3月期のTNFD開示を目指し、当連結会計年度にビジネスと自然の接点における依存とインパクトを把握しリスクや機会を明確にしました。また、農業の持続可能性向上のため、ばれいしょ栽培において適正な施肥でリン酸減肥に取り組むことは、自然資本の保全と気候変動への対策にもつながります。GHG排出量削減の取り組みでは、ばれいしょの契約生産者にヒアリングを行い、削減の着眼点となる「見える化」を農林水産省と協働して推進しました。なお、スコープ1、2においては、当社グループ全体で削減への取り組みを推進し、全海外拠点における2024年実績のGHG排出量算定を完了しました。
当連結会計年度の売上高は、322,564百万円(前連結会計年度比6.4%増)となりました。国内事業は、価格・規格改定効果に加え、継続的なマーケティングによるブランド価値向上、営業活動による着実な需要の獲得および土産用製品の需要増から、増収となりました。海外事業は中華圏の不調は続きましたが、欧米、インドネシア等の各地域の売上高が伸長し、増収となりました。
営業利益は、29,066百万円(前連結会計年度比6.5%増)となり、売上高営業利益率は前連結会計年度並みの9.0%となりました。国内事業において、年度を通じ原材料価格の上昇は継続しましたが、これを価格・規格改定により相殺し、販売数量の伸長により増益となりました。また、経常利益は、営業外費用に為替差損が計上されたことから、29,844百万円(前連結会計年度比4.2%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、税制優遇の適用等から20,874百万円(前連結会計年度比5.0%増)となりました。
主要な事業内容
当社グループは主として、ポテト系、小麦系、コーン系、豆系のスナック菓子およびシリアル食品の製造販売等を行っております。
創立以来、自然の恵みを大切に活かし、おいしさと楽しさを創造して、人々の健やかなくらしに貢献するという企業理念のもと、製品・サービスを提供しております。
■ポテトチップス
ポテトチップスは、2024年北海道産ばれいしょの十分な収穫量を背景に、「うすしお味」等の定番品や「堅あげポテト」を中心とした販売が増加し、102,818百万円(前連結会計年度比4.6%増)となりました。従来製品をサブブランドとしてリニューアルした「ポテトチップスザ厚切り」「ポテトチップス超薄切り」も貢献しました。
■じゃがりこ
じゃがりこは、定番品を中心に強い需要が継続しました。2023年に行った生産能力増強後も高い稼働率を維持することで対応し、48,282百万円(前連結会計年度比6.5%増)となりました。
■その他スナック
その他スナックは、従来製品をリニューアルした成型ポテトチップス「クリスプ」が伸長しました。また、国内外観光客の増加等により「じゃがポックル」等の土産用製品も引き続き販売増となりました。小麦系、コーン系、豆系スナックも全体的に堅調な販売となり、74,297百万円(前連結会計年度比4.6%増)となりました。
国内シリアル食品の売上高は、他社との各種コラボレーション企画品やマーケティング活動と連携した営業強化によりシリアル市場の拡大を牽引し、29,417百万円(前連結会計年度比12.3%増)となりました。
国内その他(アグリ・食と健康・役務提供)は、甘しょ事業や腸内フローラに着目したパーソナルフードプログラムである「Body Granola」等が伸長し、増収となりました。
海外においては、重点地域(北米、中華圏)を中心に各国でスナック菓子の製造・販売およびシリアル食品の販売を行っています。
・欧米は北米、英国ともに伸長しました。北米は、主力の豆系スナック「Harvest Snaps」や日本発ブランドの配荷拡大が進み、前連結会計年度に比べ増収となりました。日本発ブランドでは、「Takoyaki Ball」等の製品ラインアップの拡充や現地生産化した一部製品が貢献しました。英国ではSeabrookブランド製品の全国小売チェーンでの販売拡大等により増収となりました。
・アジア・オセアニアは、中華圏を除くすべての地域で伸長しました。中華圏は、景気の停滞や通関規制強化の影響が続き、ECチャネルの販売が低調に推移したことから、前連結会計年度に比べ減収となりました。一方、注力している小売店舗向け販売は、現地で委託生産を開始した「Jagabee」、周辺生産拠点からの輸入によるスナック菓子と日本から輸出した「フルグラ」の販売増により伸長しました。中華圏以外の各地域においては、生産能力を増強したインドネシアを中心に増収となりました。