第76回定時株主総会招集ご通知 証券コード : 2229

対処すべき課題

【環境認識】
 当社グループを取り巻く事業環境は、インフレによるコスト上昇や消費者の節約志向の高まり、国家間の対立や紛争、関税政策を巡る影響等、依然として不透明感が強い状況が続くものと想定されます。中長期的には、国内市場では少子高齢化や単身世帯の拡大、生活スタイルの変化によって食に対する価値観の多様化が進む一方、グローバルマーケットでは新興国での中間所得層拡大等による食料需要の増大が想定されています。また、温暖化等の地球環境変化による資源獲得競争の激化が進む中、サプライチェーン上の環境負荷や人権への配慮がより強く求められています。当社グループにとって、このような事業環境変化は成長機会でもあると捉えています。

【経営の基本方針】
 当社グループはOur Value(企業理念、グループビジョン、およびコーポレートメッセージ)を基盤として、2030年に向けた2030ビジョンを定めています。1949年の創立以来、私たちは、自然の恵みを大切に活かし、おいしさと楽しさを創造して、人々の健やかなくらしへの貢献を実践してきました。変わらぬOur Valueのもと、中長期の社会課題に対応し、事業機会を捉えて、次なる成長に向けた変革に踏みだしていくことが重要です。
 当社グループは、2030年に向けた成長戦略「Change 2025」(2024年3月期〜2026年3月期)を推進しています。この中で、海外や新たな食領域等の成長領域に集中して投資を振り向けることで、将来的に収益性と成長性を両立させる事業ポートフォリオへの転換を図ります。さらに、100年を超えてなお成長し続ける企業となるべく、ステークホルダーとともに「サステナビリティ経営」を進化させていきます。継続的な事業の成長と持続可能な社会の実現を両輪として、カルビーグループの企業価値向上を目指します。


【成長戦略 Change2025】
<3ヵ年変革プラン>
 3ヵ年変革プラン「Change 2025」の重点課題は以下のとおりです。2026年3月期は来年度以降の成長を加速させるべく「次なる成長に向けた事業構造改革」の残された課題を確実に遂行してまいります。

次なる成長に向けた事業構造改革
(1) 収益力強化
 国内コア(スナック菓子・シリアル食品)事業においては、量的拡大から脱却し、ブランド強化による付加価値向上を目指すとともに、限られた資産・資源を活用して利益を最大化するために、DXを活用し販売・稼働・供給の最適化を図ります。また、次世代型工場の基盤を構築し、環境負荷の低減や自動化・省力化による生産性の向上、働く人の作業環境改善を実現します。
(2) 事業ポートフォリオ変革
 中長期的に成長機会の大きい領域を見極め、積極的に資源(人財・資金・設備等)を投下します。海外では現地ニーズに根差した既存ブランドの強化に加え、北米、中国を中心に日本発ブランドの展開を拡大します。また、新規領域ではアグリビジネス(ばれいしょ、甘しょ、豆等)、食と健康事業に注力しています。
(3) 事業基盤強化
 「全員活躍」の方針のもと、次世代を見据えた人的資本の基盤整備を進めます。全員活躍をさらに進める施策として、失敗を恐れず誰もが挑戦できる組織風土の醸成、多様な貢献と成長を促す人事制度の整備、個の可能性を広げるキャリア自律の促進、未来を創る人財(グローバル・経営人財)の育成強化を図ります。同時に、全員活躍の土台となる施策としては、多様性の尊重、カルビーの理念やDNAの伝承、健やかな心と体づくりの推進を強化します。また、人権や生物多様性等の重要性の高い課題を特定し、サステナビリティ経営の実践・進化を進めます。

<成長ガイダンス(2024年3月期〜2026年3月期)>

<財務戦略>
キャッシュアロケーション
 国内コア事業の収益性向上を高めることにより創出したキャッシュで、グローバルおよび新規領域への投資を進め、持続的に成長できる事業ポートフォリオへの構造改革を推進します。
 2024年3月期から2026年3月期の3ヵ年で創出する営業キャッシュ・フローの総額は900億円程度を想定しています。これに加え、手元資金等300億円程度、借入金を活用し、成長投資、効率化投資、株主還元へ配分します。
・成長投資 :国内外の設備投資、M&Aなど新規領域の成長投資 800億円程度
・効率化投資:ESG対応、自動化・省力化等生産性向上のための設備投資 600億円程度
・株主還元 :DOE4%、総還元性向50%以上を目途に安定的な増配を実施 250億円程度

財務戦略方針の見直し
 構造改革の推進に伴う資金需要の増加等を踏まえて、財務戦略方針を見直し、財務健全性を確保しながら成長に向けた最適投資を促進し、企業価値の持続的向上を目指すため、以下の3つの方針で進めています。
(1)収益の質的向上
・事業ポートフォリオの成長に向けた最適な投資を実現
・資本コストを意識した投資判断とリターンの追求
・資本収益性改善を目指す経営管理の導入
(2)財務健全性の確保
・財務リスクの管理と財務安全性の確保
・最適資本構成による資本コスト水準の適正化
・全社戦略実行のための資金調達手段の確保
(3)株主還元の適切な実施
・持続的かつ安定的な株主還元の実施
・中長期的な視点で、株主還元の引き上げ
・機動的な資本政策の遂行(配当政策、自己株式取得)

 事業成長と付加価値創出を重視した経営の実践のため、全社経営指標としてROIC目標を設定します。ROIC向上のため、EBITDAを指標とした事業成長の推進と投下資本の最適化に取り組みます。また、最適資本構成等を通じて資本コストの低減を目指します。

【サステナビリティ経営の進化】
 カルビーグループは、サステナビリティを経営の根幹に据え、自然素材を活かして人々の健やかなくらしに貢献するという想いのもと、顧客や取引先をはじめとするステークホルダーとの共創を行ってきました。環境や人権問題など企業を取り巻くあらゆる社会課題のうち、カルビーグループが将来にわたって事業活動を継続するために重要な課題を5つのマテリアリティとして定め、13の重点テーマを設定しています。農業に密接に関わるカルビーグループとして、自然資本を未来につなぐため、TNFD開示等を通してより一層の取り組みを進めてまいります。また、2024年3月に制定した「カルビーグループ人権方針」に基づき、2025年より人権委員会を立ち上げ、ガバナンスを強化していきます。

<5つのマテリアリティ>
(1) 人々の健やかなくらしと多様なライフスタイルへの貢献
(2) 農業の持続可能性向上
(3) 持続可能なサプライチェーンの共創
(4) 地球環境への配慮
(5) 多様性を尊重した全員活躍の推進

<マテリアリティマップ>

 今後も環境・社会・経済を取り巻く課題に対して、ステークホルダーとともに新たな価値を創造するサステナビリティ経営を進化させていきます。

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2025/06/25 11:00:00 +0900
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