第186回定時株主総会招集ご通知 証券コード : 2503

対処すべき課題

 政治情勢も相まって今後の経済の先行きは依然として不透明です。また、地球温暖化による気候変動対策も急務であり、経営を取り巻く環境は課題が山積しています。
 キリングループは、不確実性が増す時代だからこそ、CSVを経営の根幹に据え、社会課題をグループの強みで解決し、経済的・社会的価値を創出します。
 10年後を見据えて長期ビジョンを描き、いかなる環境変化に対しても、迅速かつ柔軟に戦略を最適化しながら実行していく組織体制へ変革します。経営の原点である「お客様本位」「品質本位」に基づき安全・安心を確保しながら、人財・デジタルICT・R&Dへの投資を積極的に行い、イノベーションを実現する組織能力を向上させていきます。
 人財では、専門性と多様性を軸に価値創造に挑戦する従業員を育成すると同時に、そのための制度や環境整備も進めます。また、今後のグループ経営を担うグローバル人財やキャリア採用の拡充も図ります。
 デジタルICTでは、生成AI等のデジタル技術を活用し、マーケティングやR&D領域等で価値創造を推進するとともに、グループ全体で業務プロセスの変革に取り組みます。人とAIの分業化を進めることで働き方を変え、飛躍的な生産性向上を目指します。
 R&Dでは、強みである発酵・バイオテクノロジーを基盤とした技術力で、「乳酸菌ラクティスプラズマ(プラズマ乳酸菌)」の機能研究によるさらなる高付加価値化やファンケル社の技術を活用したスキンケアへの展開の可能性等、事業戦略に連動した研究開発を実践します。
 また、すべての事業において戦略を実行していく「現場力の強化」を共通目標におき、経営と現場が一体となって取り組むことで、グループの成長と収益基盤の強化を図ります。
 こうした取り組みにより、財務目標である「EPS」「ROIC」と、非財務目標である「健康」「コミュニティ」「環境」「人的資本」各項目の達成を目指します。


酒類事業

 お酒に対するお客様の価値観も多様化しているなかで、キリンビール社は、CSVパーパスの「酒類事業を営むキリングループとしての責任」を前提に、お酒の未来を創造し、人と社会につながるよろこびを創出していきます。事業の成長に向けては、2026年の酒税改正等、今後の市場環境を見据えて主力ビールブランドに注力することで、収益基盤の強化を目指します。
 「一番搾り」ブランドでは、4月に「キリン一番搾り ホワイトビール」を発売し、お客様に新たな飲用機会を提案します。「キリンビール 晴れ風」では、4月から飲食店向けに中びん(500ml)の展開も開始するほか、引き続きビールの新しい美味しさを提案しながら、日本の風物詩の保全・継承に取り組む「晴れ風アクション」を通じて、市場での定着を図ります。クラフトビールでは、3月に「スプリングバレー」ブランドを大幅に刷新し、日本各地のクラフトブルワリーとの連携も積極的に行うことで、引き続きビール文化の魅力化に取り組みます。
 ライオン社は、豪州でのビールブランド「Hahn (ハーン)」や、「Stone&Wood(ストーン&ウッド)」、豪州とニュージーランドで展開する「Hyoketsu(ヒョウケツ)」等の販売を強化します。また、北米では、ニューベルジャンブリューイング社の「Voodoo Ranger(ブードゥー・レンジャー)」に加え、RTDの「Voodoo Hard Charged Tea(ブードゥー・ハード・チャージド・ティー)」の拡大に取り組みます。


飲料事業

 国内飲料市場の厳しい競争環境下において、キリンビバレッジ社では、「お客様の毎日に、おいしい健康を。」をパーパスに掲げ、ヘルスサイエンス飲料をドライバーとして事業成長に取り組みます。3月に「キリン おいしい免疫ケア」「キリン イミューズ ヨーグルトテイスト」をリニューアルするほか、幅広い層に向け飲用機会を提案します。「免疫ケア」を毎日の健康習慣として啓発することで、さらなる市場拡大につなげます。
 「午後の紅茶」ブランドでは、3月に「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」をリニューアルし、無糖紅茶の魅力を発信することで、紅茶市場の拡大及び無糖茶市場の強化も図ります。コーク・ノースイースト社は、好調な炭酸飲料を中心に、市場環境にあわせた価格戦略に取り組みながら、デジタルICTをはじめとしたサプライチェーンの効率化を図り、高い収益性を確保していきます。


医薬事業

 協和キリン社は日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして、病気と向き合う人々に笑顔をもたらす“Life-changing(ライフチェンジング)”な価値創出にむけた取り組みを加速していきます。
 経営体制を一層強固なものとすべくCEO、COOの2名体制に変更※29し、さらなる飛躍を目指します。
 注力する疾患領域の製品である「Crysvita(クリースビータ)」や「Poteligeo(ポテリジオ)」の成長による利益拡大を目指すとともにパイプラインの充実に向けて、「KHK4083/AMG451(一般名:rocatinlimab(ロカチンリマブ))」や「ziftomenib(ジフトメニブ)」の開発推進及び販売開始に向けた取り組みを着実に進めていきます。また、グローバルでの研究開発力の強化にも取り組みます。


ヘルスサイエンス事業

 健康志向の高まりにより市場が大きく伸長するなか、キリングループは、事業を行う地域すべての人の生きるよろこびとこころ豊かな生活の実現にむけ、市場を上回る成長を目指します。当社、ファンケル社、ブラックモアズ社それぞれの成長と、統合効果の早期実現により、提供価値の最大化を図ります。
 ファンケル社は、国内における化粧品事業と健康食品事業のさらなる成長を実現します。ファンケル社の強みである店頭販売や通信販売を通じた顧客分析力に、当社の市場リサーチ力を掛け合わせて、新商品開発につなげる等、両社の強みを生かした価値創出に取り組んでいきます。

 海外では中国でのブランド育成のほか、ブラックモアズ社との協業により東南アジア等へ展開していきます。
 ブラックモアズ社は、豪州・ニュージーランドでの「Blackmores(ブラックモアズ)」、医療機関向けサプリメント「BioCeuticals(バイオシューティカルズ)」の持続的な成長と、中国や東南アジアでの収益拡大を目指します。
 プラズマ乳酸菌事業では、さらなる成長にむけ、付加価値商品の拡充や、ブラックモアズ社との連携による海外展開の拡大により収益性向上を目指します。
 また、国内のサプリメント商品は、ファンケル社との販売基盤の一体化を進め、事業の効率化や収益性向上を目指します。また、ヘルスサイエンスと医薬の新たなシナジー創出も加速していきます。当社と協和キリン社の共同出資で2024年9月に設立したCowellnex(コヴェルネクス)(株)においては、健康に関する研究や事業開発等、両社の強みを融合したイノベーションにより、健康を取り巻く社会課題を解決していきます。


 キリングループは、今後もユニークな事業ポートフォリオ経営と高い戦略実行力で、持続的に成長する企業としてご期待いただけるよう取り組んでまいります。KV2027を見据え、従業員一人ひとりがイノベーションを実現するために挑戦し続けることで、世界のCSV先進企業に向けたステージアップを目指します。

 今後とも、株主の皆様の一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。


※29 協和キリン社における2025年3月開催予定の定時株主総会及び同株主総会終了後の取締役会において正式に決定する予定です。

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2025/03/28 12:00:00 +0900
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