① 事業の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス5類への移行後、人流の活発化やインバウンド需要の拡大等により経済正常化が一層進み、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。
食品流通業界におきましては、商品価格の値上げ等により消費マインドが低下し、需要減退は見られるものの、賃金上昇や行楽需要の活発化により個人消費は徐々に回復しました。外食業界やコンビニエンスストアでは、本格的な人流回復に加え、価格上昇による客単価の向上により回復・拡大が見られました。スーパーマーケットにおきましては、買上げ点数の減少や低価格・PB商品の人気が高まる一方で、消費者ニーズを満たした付加価値商品が伸長するなど、消費の二極化が一層進んでおります。
このような状況下、当社グループは今期スタートさせた中期経営計画「Transform 2025〜創造と循環〜」に基づき事業を推進してまいりました。重点分野として掲げた「情報」では、店頭への来店動機や商品の購買意欲の喚起を目的として、デジタルサイネージを活用した売り場作りを積極的に推進いたしました。
旬の食材の紹介や新商品情報の発信、プレゼントキャンペーンの実施など、デジタルサイネージ上で放映するコンテンツと売り場を連動させることで、売上拡大につながる魅力的な売り場づくりを進めてまいりました。「商品開発」では、おせちやクリスマスケーキに加え、冷凍食品のオリジナルブランド「凍眠市場」のラインナップを充実させ、拡販に努めました。国産の高品質な素材を新鮮な状態で凍結することで、これまで生産地で限られた期間しか味わえなかったおいしさを消費者に提供することができ、ギフトやふるさと納税の返礼品など幅広いシーンで需要が生まれております。「物流」においては、デジタル技術活用によるさらなる庫内作業の効率化に加え、トラックの積載効率改善やドライバーの労働負荷軽減など2024年問題に対して自社のみならず業界全体での取り組みも推進し、サプライチェーン全体の効率化を図りました。また、これらの重点分野を支える基盤の強化として、人材育成の充実やダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進、働きがいのある職場環境整備などの人的資本経営の高度化に加え、DXの推進も積極的に進めております。
サステナビリティへの取り組みでは、2020年度に公表したマテリアリティ(重要課題)の見直しを行うとともに、2030年度までの長期目標に加え、マテリアリティと連動した非財務目標を設定いたしました。
また、2023年10月には「コーポレートレポート2023」を発行し、中期経営計画「Transform 2025〜創造と循環〜」の考え方や重点分野及びマテリアリティごとの取り組みなど、非財務情報を含めた情報開示の充実を進めております。引き続き温室効果ガス排出量の削減、食品廃棄量の削減、健康経営推進など、各マテリアリティに掲げた項目への取り組みを推進し、持続的な成長を目指してまいります。
② 業績
〔売上高〕
当連結会計年度の売上高は商品価格上昇により収益面では総じて好調に推移しており、コンビニエンスストアやスーパーマーケット向けにおける新規取引の獲得、ドラッグストア向け取引の拡大、外食・業務用取引の需要回復等により、前期比29,498百万円(4.6%)増収の672,451百万円となりました。
なお、商品分類別の売上高は以下のとおりであります。
(注)
〔経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益〕
利益面では、取引拡大及び採算改善努力等による増収により売上総利益増、コンビニエンスストアの市況好調による物流事業の収入増等により、営業利益は前期比153百万円(2.0%)増益の7,660百万円、経常利益は前期比277百万円(3.1%)増益の9,220百万円となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比1,756百万円(36.3%)増益の6,598百万円となりました。