事業報告
事業の経過及びその成果
当連結会計年度における我が国経済は、力強さを欠きながらも、各種政策による下支え等を背景に企業収益や雇用環境の改善が続き、緩やかな回復基調で推移いたしました。
不動産業におきましては、オフィスビル市場は、需給バランスがタイトな状況のもとで空室率は低水準となっており、賃料水準は小幅な上昇傾向が継続いたしました。不動産投資市場においては、良好な資金調達環境のもとで激しい物件取得競争が続いたことから、取引価格は高値圏で推移しております。また分譲住宅市場では、政策支援や低金利が継続する一方、建築費や用地取得費の高騰などによる販売価格高止まりの影響から、商品に対するお客さまの選別化傾向が一層強まりました。
このような事業環境のもと、当社グループは、中長期経営計画「『ValueFrontier 2020』~価値を創造し続ける企業グループヘ~」の前半期となるSTAGE1(中期経営計画2014-2016)で目標とした、2016年度営業利益730億円、D/Eレシオ2.6倍の達成に取り組んでまいりました。
当連結会計年度は、売上高は8,085億3百万円(前期比0.9%減)、営業利益は732億27百万円(前期比6.5%増)、経常利益は636億31百万円(前期比12.9%増) 、期中に減損損失の計上等はあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益は315億18百万円(前期比9.7%増)となり、営業利益、D/Eレシオともに中期経営計画の目標を達成いたしました。
次に各事業についてご報告申しあげます。
当期の業績(連結)
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セグメント概況
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セグメント概況
都市事業
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都市事業におきましては、東急不動産㈱は、関与アセット拡大に向けて、渋谷や竹芝における再開発事業を推進するとともに、不動産価格が高止まるなかで新規投資案件の厳選に努めたほか、物流施設の開発など、新たな事業領域に取り組んでまいりました。
当期は、投資家向けのビル等売却収益が減少したものの、前期末に開業した商業施設「東急プラザ銀座」(東京都中央区)が通期で寄与したほか、既存の賃貸物件につきましても収益が改善いたしました。なお、本年4月には、商業施設「キュープラザ二子玉川」を新たに開業しております。
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渋谷駅周辺の再開発では、前期に着工した「道玄坂一丁目駅前地区」に続き、昨年7月に「(仮称)南平台プロジェクト」の工事を開始いたしました。また、「竹芝プロジェクト」(東京都港区)につきましては、昨年5月にA街区(業務棟)が着工しております。
東急住宅リース㈱では、暮らしに役立つサービス等をご提供する入居者さま用会員制サイト「かなえていくリーブル」を開設したほか、オーナーさま向けに定額制リノベーション商品「T×HAPTIC withHANDS」を開発するなど、サービス強化と付帯収益の拡大に取り組んでまいりました。また、旧社宅の活用相談から≪暮らしを楽しむ≫賃貸住宅のリノベーション提案をした「テレパレス柏てるて」(千葉県柏市)等の管理開始により、賃貸住宅管理戸数が増加いたしました。さらに、地方エリア拡大策として「福岡センター」(福岡市)を新たに開設しております。
昨年11月に当社は、主要都市圏で学生マンション・学生寮事業を展開する㈱学生情報センターグループ(現:㈱学生情報センター)の全株式を取得し、子会社化いたしました。同グループの有する学校法人との豊富なネットワークと、大学・学生・地域との間で培ってきた強固な信頼関係を活かし、賃貸住宅管理事業の成長加速を図るとともに、当社グループ各社への派生事業獲得や新たな事業機会の創出を目指してまいります。
以上の結果、都市事業の売上高は2,490億21百万円(前期比3.8%減)、営業利益は448億54百万円(前期比0.1%増)となりました。
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セグメント概況
住宅事業
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住宅事業におきましては、東急不動産㈱は、住宅ブランド「BRANZ(ブランズ)」の浸透に加え、お客さまの多様なニーズを反映した商品開発による付加価値の創出や、ご購入者さま向けサービスの拡充に取り組んでまいりました。
当期は、BRANZとして最高峰となるマンションの実現に取り組んだ「ブランズ ザ・ハウス一番町」(東京都千代田区)のほか、「ブランズタワーみなとみらい」(横浜市)、「ブランズシティ久が原」(東京都大田区)、「ブランズ加古川駅前」(兵庫県加古川市)等を売上に計上いたしました。
以上の結果、住宅事業の売上高は1,085億48百万円(前期比7.8%減)となりましたが、分譲マンションの利益率が改善したことから、営業利益は96億63百万円(前期比38.8%増)となりました。
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セグメント概況
管理事業
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管理事業におきましては、㈱東急コミュニティーは、マンション管理の受注強化に取り組んだほか、お客さまの声をサービス強化に反映するべく、カスタマーセンターを開設いたしました。さらに、各種専有部サービスや電力小売サービスのご提案、建物の維持保全に関する情報を管理し、わかりやすくご説明するための新システムの開発などの施策により収益機会の獲得に努めました。
ビル管理では、運営力強化に向けた人材育成や、先端技術の活用による管理運営能力の向上などにより差別化を図り、事業規模拡大に注力いたしました。
また、公営施設等の管理では、関西地区で新規PFI事業3件への参画が決定するなど、事業規模を拡大しております。
当期は、「静岡県草薙総合運動場」(静岡市)、「川崎市とどろきアリーナ」(川崎市)、「ステーションツインタワーズ糀谷」(東京都大田区)等の管理を開始いたしました。
以上の結果、管理事業の売上高は1,486億34百万円(前期比2.3%増)、営業利益は80億79百万円(前期比0.6%増)となりました。
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セグメント概況
仲介事業
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仲介事業におきましては、東急リバブル㈱は、引き続き積極的な店舗展開による収益基盤の拡大に取り組むとともに、ご好評をいただいている「リバブルあんしん仲介保証」のサービス内容を一層拡張するなど、お客さま満足の向上と取引の拡大に注力してまいりました。
また、法人等を対象とした大口取引においては、投資家に対するサービスの向上に努め、事業規模を拡大したほか、新たな収益拡大に向けたプロジェクトマネジメントの機能強化に引き続き注力し、開発型アセットマネジメント事業などへの取り組みを拡大してまいりました。
以上の結果、仲介事業の売上高は820億69百万円(前期比2.2%増)、営業利益は112億92百万円(前期比10.4%増)となりました。
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セグメント概況
ウェルネス事業
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ウェルネス事業におきましては、東急不動産㈱は、訪日外国人などの旺盛な宿泊需要の取り込みや、シニアマーケットの需要獲得に努めてまいりました。
ホテル・リゾート事業においては、都市型ホテル「東急ステイ」が高い稼働率を維持し、また客室単価も上昇したことから増収となりました。2017年度以降は、札幌、京都、福岡など地方主要都市への出店を加速してまいります。また、会員制リゾートホテル「東急ハーヴェストクラブ」では、2018年度開業予定の「東急ハーヴェストクラブ軽井沢&VIALA」(長野県北佐久郡軽井沢町)の会員権販売を開始し、順調に推移いたしました。
ヘルスケア事業では、シニア住宅「グランクレールシリーズ」で培った施設介護のノウハウを活かして、昨年10月に在宅介護サービス拠点「ホームケア横浜」(横浜市)を開業したほか、フィットネスクラブ「東急スポーツオアシス」においては、24時間ハイブリッドフィットネス「24plus」の対象店舗拡大やフィットネスアプリ「オアシスリンク」の導入などサービス向上に努め、会員数が増加いたしました。なお、本年4月には「住道店」(大阪府大東市)を開業しております。
また、福利厚生代行業では、㈱イーウェルは、企業・健康保険組合の福利厚生代行や健康支援サービス提供及びそれに伴うコンサルティング等に注力し、会員数が増加いたしました。
以上の結果、ウェルネス事業の売上高は944億16百万円(前期比4.7%増)、営業利益は75億77百万円(前期比18.2%増)となりました。
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セグメント概況
ハンズ事業
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ハンズ事業におきましては、昨年創業40周年を迎えた㈱東急ハンズは、スタッフの接客能力を高めるための体制整備により現場力の向上に取り組むとともに、ハンズの強みを打ち出すことで、ファン拡大を図ってまいりました。また、ハンズアプリ会員の入会促進並びに会員さま向けの情報発信強化などを通じて、販売促進に努めました。
新規出店としては、昨年4月に「長崎店」(長崎県長崎市)及び「奈良店」(奈良県奈良市)を、10月に「ららぽーと湘南平塚店」(神奈川県平塚市)及び「金沢店」(石川県金沢市)を、11月に「サンテックシティ店」(シンガポール)をそれぞれ開業いたしました。
なお、本年4月には「あまがさきキューズモール店」(兵庫県尼崎市)を開業しており、今後も順次店舗展開をしてまいります。
以上の結果、ハンズ事業の売上高は971億67百万円(前期比1.5%増)となりましたが、営業利益は、開業費用の増加や個人消費が力強さを欠く中で既存店の減収傾向が続いたことなどから、2億53百万円(前期比76.3%減)となりました。
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セグメント概況
次世代・関連事業
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海外事業においては、インドネシアにて、大規模な分譲マンションの建設・販売を引き続き推進するとともに、北米では収益不動産の開発・運用を進めてまいりました。
請負工事業では、㈱石勝エクステリアは、造園工事の積極的な営業が奏功し受注が増加した一方、㈱東急ホームズは注文住宅及びリフォーム商品の拡販に努めたものの、競争の激化により受注が減少し、厳しい状況が続いております。
以上の結果、次世代・関連事業の売上高は495億93百万円(前期比3.2%減)、19億9百万円の営業損失となりました。
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