事業報告

対処すべき課題

 今後の我が国経済は、企業収益の改善や各種政策効果等を背景に、引き続き緩やかに回復していくことが期待されるものの、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動等による下振れリスクに留意する必要があるものと思われます。

 不動産業におきましては、オフィスビル市場では、当面は空室率改善や高い賃料水準が続くと期待されますが、中期的には東京都心部におけるオフィス供給増加の影響等が考えられます。分譲住宅市場では、不動産価格の高止まりにより販売状況の二極化が進むと想定されます。また、2020年度には東京五輪が開催され、再開発事業により当社グループの拠点である渋谷駅周辺が大きく変貌するなど、経済活動の節目を迎えます。

 このように、事業環境及び社会・経済環境が大きく変化を遂げるなか、当社グループは、中長期経営計画「Value Frontier 2020」の後半期にあたる4ヵ年の新中期経営計画を、本年5月に策定いたしました。

【新中期経営計画】

Value Frontier 2020 価値を創造し続ける企業グループへ
STAGE2「中期経営計画2017-2020」

 本計画では、2つの基本方針である「関与アセット拡大」及び「新たな需要創出」を継続し、グループの総合力を活かして3つの成長戦略を推進いたします。

 まず、ライフスタイル提案型の街づくりでは、当社グループの主要物件が集積する広域渋谷圏において、開発・管理・運営にエリアマネジメントを組み合わせ、個別プロジェクトに留まらない広がりのある街づくりを通じて、関与アセットの価値向上を目指します。また、分譲マンションとシニア住宅の複合開発にコミュニティマネジメントを加え、地域社会との繋がりを育む世代循環型の街づくりを推進するなど、幅広い事業領域を活かした新たな働き方、住まい方、過ごし方の創造・提案によって、社会ニーズに応えてまいります。

 循環型再投資事業では、対象領域をインフラ・インダストリーやホテル・リゾート、学生レジデンスへと拡大し、また海外では米国事業の強化を図るなど、成長領域における関与アセット拡大と収益力強化を図ります。

 また、ストックの活用強化では、フロー型社会からストック型社会への環境変化を捉え、管理・仲介などのストック活用型の事業を一層強化するとともに、ストックを利用されるお客さまとの間に生まれる接点を活かして、新たな事業機会の獲得にも取り組んでまいります。

 当社グループの各事業が培ってきたストックや人材などの事業基盤を最大限に活用しながら、これら3つの成長戦略を推進し、“ハコ”や“モノ”の枠を超えたライフスタイルを創造・提案する「価値を創造し続ける企業グループ」の実現と、収益水準の持続的成長を目指してまいります。

 加えて、今後想定される事業環境や経営環境の変化に迅速に対応できる体制を常備するとともに、多様なステークホルダーとのリレーションを強化し、長期持続的な企業価値向上に繋げていくため、ESG(環境・社会・ガバナンス)マネジメントの視点で非財務価値の向上及び経営基盤の進化に努め、長期持続的な企業価値向上に取り組んでまいります。

 株主の皆様におかれましては、引き続き倍旧のご支援とご協力を賜りますようお願い申しあげます。