第86期定時株主総会 招集ご通知 証券コード : 4549
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に移行したことにより経済活動の正常化が進み、緩やかに回復しました。一方、海外経済は長期化するウクライナ情勢に加え、中東情勢が緊迫化するなど地政学的な不透明感を背景とした世界的な資源価格の高騰や金融引き締めに伴う影響等による下振れリスクにより、不安定な状況のまま推移しました。
臨床検査薬業界においては医療費抑制策と円安や原油高による物流及び原材料調達などのコスト上昇により経営環境は一層厳しさを増し、各企業はさらにコスト競争力と積極的な海外展開を求められる状況となっております。
このような経営環境の下、当社グループは経営構想「EIKEN ROAD MAP 2030」に基づき策定された中期経営計画に沿って、「がんの予防・治療への貢献」、「感染症撲滅・感染制御への貢献」、「ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供」の3つの注力事業分野を中心に重点施策を展開し、グループ全体で持続的な成長と着実な収益性の向上に努めております。
また、世界の人々の健康を守る企業として「医療」の課題、そして「環境」・「社会」・「ガバナンス」の課題にも積極的に取り組み、さらなる企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指しております。
当連結会計年度の売上高は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類移行により遺伝子検査需要が限定的となり、LAMP法を用いた新型コロナウイルス遺伝子検査試薬の売上が大きく減少し、40,052百万円(前期比7.4%減)となりました。
製品の種類別区分ごとの売上高では、微生物検査用試薬は、新型コロナウイルス感染症以外の感染症関連製品、特に迅速診断キットや薬剤感受性検査用試薬が大幅に回復し、4,312百万円(同9.5%増)となりました。尿検査用試薬は、国内の病院市場や検診市場がコロナ禍前の状況に回復し、4,401百万円(同6.2%増)となりました。免疫血清検査用試薬は、便潜血検査用試薬が国内ではコロナ禍前の状況に回復するとともに海外向けの売上が大幅に増加し、21,710百万円(同4.8%増)となりました。生化学検査用試薬は575百万円(同2.5%減)、器具・食品環境関連培地は1,961百万円(同9.4%減)となりました。その他(医療機器・遺伝子関連等)につきましては、新型コロナウイルス検出試薬の減少によって、7,090百万円(同39.5%減)となりました。
海外向け売上高は、便潜血検査用試薬、尿検査用試薬及びナイジェリア向けの結核菌群検出試薬キットの売上が大幅に増加し、10,115百万円(同15.0%増)となりました。
利益面では、高利益品目である新型コロナウイルス検出試薬の売上及びLAMP法の特許料収入の減少により、営業利益は3,377百万円(同54.7%減)、経常利益は3,568百万円(同52.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,634百万円(同54.1%減)となりました。