株主総会参考書類 議案および参考事項

第4号議案 当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針継続の件

 当社は、平成19年3月1日開催の取締役会において、「当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針(以下、「現方針」)」の導入を決定し、同年およびその後の現方針の有効期限である2年ごとの定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただいたうえで、現方針を継続してまいりました。現方針は、当社株式に関わる大規模な買付行為の提案がなされた際、当該提案内容が当社の企業価値、株主共同の利益に及ぼす影響等について株主の皆様が的確に判断できるよう、買付行為の提案者および当社取締役会の双方から迅速に必要かつ十分な情報・意見・提案等の提供がなされ、さらにそれらを検討するための必要かつ十分な時間を確保することを目的としたものであります。現方針の有効期限は、本総会終結の時までとなっており、その継続につきましては株主の皆様のご承認を得て行なうことといたしております。
 当社では、現方針について、その後の情勢変化等も勘案しつつ、企業価値の向上および株主共同の利益の向上の観点から、継続の是非も含めそのあり方を検討してまいりました結果、特別委員会の勧告も踏まえ、平成29年4月27日開催の取締役会において、本総会における出席株主の皆様の議決権の過半数のご承認を条件に、現方針を一部変更(以下、変更後の当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針を「本方針」)のうえ、継続していくことを決議いたしました。

 つきましては、本方針の趣旨にご賛同いただき、下記「4.本方針の内容」の通り、その継続につきご承認いただきたいと存じます。本議案につき本総会に出席した株主の皆様の議決権の過半数のご賛同を得られなかった場合には、現方針の有効期間満了後、その継続は行なわないことといたします。

 なお、本方針は、形式的な語句の修正や文言の整理等のほか、資本市場からの要請等を踏まえ、現方針から主に以下の点を変更しております。

①当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や企業価値および株主共同の利益を著しく損なう場合に原則として該当すると考えられる類型の一部を削除し、いわゆる高裁四類型および強圧的二段階買収に限定いたしました。

②対抗措置の発動の可否について株主意思を確認する仕組みを導入いたしました。

③当社取締役会が大規模買付者から大規模買付情報の提供を求める期間に上限を設定いたしました。

1.当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当社は、経営支配権の異動は、企業活動・経済の活性化にとって有効な手段の一つであり、当社株式の大規模買付行為が開始された場合において、これを受け入れるかどうかは、原則として、株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。
 しかしながら、大規模買付行為またはこれに関する提案につきましては、株主の皆様が、当該大規模買付行為または提案の企業価値および株主共同の利益への影響を的確に判断する必要があると認識しております。そのために、大規模買付者および当社取締役会の双方から、株主の皆様に迅速に必要かつ十分な情報・意見・提案等の提供と、それらを検討するための必要かつ十分な時間を確保することといたします。

2.当社の企業価値および株主共同の利益の確保・向上のための取り組み

1)当社の企業理念と事業概要

 JFEグループは、発足以来、企業理念である「常に世界最高の技術をもって社会に貢献する」ことを通じて、企業価値および株主共同の利益の向上に誠実に努めることを経営の基本姿勢としております。
 JFEスチール株式会社は、世界トップクラスの銑鋼一貫メーカーです。世界最高水準の製造技術と商品開発力による高い国際競争力を持ち、優れた機能と品質およびコスト競争力を持つ鉄鋼製品を、高いエネルギー効率と低い環境負荷のもとで安定的に生産することで、長年にわたり社会に貢献してまいりました。
 JFEエンジニアリング株式会社は、鉄鋼業と造船業において長く培われた技術を融合・進化させながら、最先端技術力をベースとした商品・サービスの提供により時代の変化に適応し、環境・エネルギー分野や電力創生、インフラ建設等の多様な分野においてビジネスを展開し、人々の生活と産業を支えるエンジニアリング事業を国内外において幅広く展開しております。
 JFE商事株式会社は、主にJFEスチールの生産する鉄鋼製品の加工・販売、原料資機材の購買等を中心に国内外において取引を行なうグループ中核商社であり、活動ステージとネットワークは、アジアを中心に世界に広がっております。

2)当社の事業特性と企業価値の源泉

 当社グループは、その事業特性に鑑み、持続的な企業価値と株主共同の利益の確保・向上のために、以下に掲げる、長年の経営努力と継続的な投資によって蓄積された当社の企業価値の源泉を、長期的に確保・向上させていく必要があります。

① 他社を凌駕する高度な技術力(プロセス技術力・商品開発力)および知的財産
 前段で述べた幅広い分野において世界最高水準の技術力を維持・向上させるためには、基礎研究をはじめとした幅広い分野における研究開発投資を長期的に継続して行なう必要があります。当社グループは、お客様のニーズを先取りした独自新商品の開発、高品質な商品を効率的に生産する技術の開発、地球環境保全に寄与する商品および製造技術の開発、ならびにグループ全体としてのシナジーを活かした開発により、常に業界をリードし、新たな分野を開拓していくというグループ共通の開発コンセプトのもと、積極的な研究開発活動を展開しており、高付加価値・高機能・高品質の製品を安定的に社会に提供し続けています。

② 世界最高水準の製造実力、コスト競争力
 特に鉄鋼事業においては、その生産には大量かつ高温の物質を取り扱う巨大な設備と、それを安全かつ着実に稼働させる技術・技能が不可欠であり、環境・安全・防災面への対策等を継続的に行ないつつ、絶え間なくコスト競争力強化に取り組むことが求められます。設備投資の金額はグループ全体で年間数千億円に達し、多くの設備は数十年単位での稼働を前提としており、投資効果は短期に発現するものばかりではありません。また、安定的な稼働のためには適切な設備保全・補修等の地道で継続的な努力が必要であるという特徴を併せ持っています。このような事業の特性により、投資の意思決定においても長期的な視点に基づいた経営判断が不可欠となります。

③ 長期的な教育訓練や実務経験により培われた優れた人的資本
 当社グループの多様な事業を企業理念と行動指針に基づいて着実に遂行していくためには、それらを十分に理解し実践することのできる優れた人材の確保と長期的な育成が不可欠です。当社はグループ共通の人材マネジメントに関する基本方針を定め、事業会社各社の実情に応じた具体的な施策を展開しております。

④ お客様・株主の皆様・取引先・従業員・地域社会等、その他全てのステークホルダーの皆様との長期にわたる良好な信頼関係
 当社グループは、長期にわたるお客様との信頼関係に基づいたお取引により、強固で安定的なお客様基盤を有しています。多岐にわたるお客様のニーズを速やかに捕捉し、ご要望に的確かつ迅速にお応えするための製造・販売・流通・品質保証体制の構築や、お客様と一体となった共同研究開発のしくみの整備等を通じて、国内外の多くのお客様から高い信頼と評価を頂いております。
 また、環境保全や安全衛生管理、社会貢献等、いわゆるCSR活動を積極的かつ継続的に行なうことで環境負荷の低減や地域社会との共生を可能とし、事業継続に関するリスクを低減させることにより持続的な成長を図ることが必要です。

 このような企業価値の源泉に基づく強みを最大限に活かし、長期的な視点に立った様々な施策を地道に継続していくことが、当社の事業基盤を堅固なものとし、企業価値等の向上と持続的な成長に資するものと考えられます。このような経営を行なうためには、当社の企業価値の源泉に関する深い理解と知識・経験に基づいて、長期的な観点からメリットを十分に検討し、短期的にはコストが発生したとしても必要な投資を着実に行なう等、適切な判断と資源配分を行なうことが不可欠であります。

3)中長期的企業価値の向上のための取り組み

① 企業理念と経営の基本姿勢
 当社はこれまで、「常に世界最高の技術をもって社会に貢献します」という企業理念を通じて、前述した企業価値の源泉の理解のもと、長期的観点に立って当社の企業価値と株主利益の持続的向上に努めてまいりました。


② 中期経営計画の着実な実行
 当社は、発足後の第1次中期経営計画(平成15年度〜平成17年度)および第2次中期経営計画(平成18年度〜平成20年度)においては、その創設の狙いを最大限発揮することにより、収益性の高い企業体質の確立と、将来の成長に向けた基盤作りに着実に取り組み、高い水準の収益をあげることができました。
 第3次中期経営計画(平成21年度〜平成23年度)では世界金融危機や東日本大震災の発生等、厳しい経営環境の中、強靭な企業体質の構築に取り組み、中長期的な企業価値の向上を図ってまいりました。
 前中期経営計画(平成24年度〜平成26年度)において、持続的な成長のため企業体質の強化に取り組み、 商社事業の資本再編および造船事業の再編ならびに半導体事業の譲渡といった、事業ポートフォリオの見直しを行ないました。鉄鋼事業においては、設備更新等の国内製造基盤の整備や、アジアを中心とする海外事業投資を行なってまいりました。エンジニアリング事業においては、復興再生や太陽光発電等国内需要を捕捉するとともに、海外でのM&Aを推進し事業拡大にも取り組みました。商社事業においては、事業買収等による海外拠点の拡大等サプライチェーンの強化を実施いたしました。
 当社は、平成27年度から平成29年度にかけての事業運営の方針となる「第5次中期経営計画」を策定し、 その達成に向けた着実な取り組みを進めております。以下の5つの施策をその柱とし、中長期的観点に基づいた戦略により持続的な成長と企業価値の向上を図ることを目指しております。

1.国内製造基盤の強化

2.技術優位性による企業価値向上

3.海外事業の収益拡大

4.多様な人材の確保と育成

5.持続的な成長を支える企業体質強化

 このように、当社は創立以来、中長期的な視点に立った戦略に基づき計画的に企業価値等の向上と持続的な成長に取り組んでまいりました。厳しい経営環境の中、グローバルな競争を勝ち抜くため第5次中期経営計画を着実に遂行し、引き続き企業価値・株主共同の利益の向上に取り組んでまいりたいと考えております。

③ 企業の社会的責任(CSR)に関する取り組み
 当社グループは、社会を構成する一員としての企業の責任を自覚し、よりよい社会の構築に向けた企業の社会的責任(CSR)を経営の根幹に据え、その取り組みを一層強化しております。
 当社は、平成17年10月に「JFEグループCSR会議」(議長:社長)を設置し、コンプライアンス、環境、人事労働、安全・防災、社会貢献等多岐にわたる範囲を対象として、グループ全体のCSRへの取り組みを監督・指導する体制を構築しました。各事業会社においても、同様の取り組みを継続しております。
 前述のような多様な事業特性を有する当社グループにおいては、これらのCSR活動への取り組みは、持続的成長へのリスクを最小化するという観点からも極めて重要であります。このような継続的な取り組みにより、事業運営に際して全てのステークホルダーの利益にかなう諸施策の実行に努め、社会に信頼されるグループであり続けたいと考えております。

④ コーポレートガバナンス機能強化への取り組み
 当社は、経営の透明性および公正性を徹底することにより、企業価値および株主共同の利益を持続的に向上させることを目指し、ガバナンス体制の強化に取り組んでまいりました。
 複数の特性の異なる事業から構成されている当社グループにおいては、各事業の執行を当社グループに属する事業会社に委ねる体制を取る一方、純粋持株会社である当社は、グループ経営の統括により経営の実効性を改善するとともに、社外監査役を含む監査役監査、社外取締役の登用、取締役の任期の短縮によりコーポレートガバナンス強化を図ってまいりました。平成19年6月から社外取締役2名を招聘するとともに、最適な経営を機動的に構築しつつ、経営に対する責任を明確化するため、取締役の任期を2年から1年に短縮しております。
 また、当社は、平成27年10月より取締役等の人事および報酬について公正性、客観性および透明性を担保すべく、取締役会の諮問機関として、指名委員会および報酬委員会を設置いたしました。
 さらに、当社は、第2号議案および第3号議案に記載の通り、コーポレートガバナンス体制の一層の充実を目的として社外取締役1名を含む取締役3名を増員し、監査体制および機能の中立性、独立性をより高めることを目的として社外監査役を1名増員することを、本総会において株主の皆様にお諮りいたします。
 当社は、このような取り組みにより公正・公平・透明なコーポレートガバナンスを徹底し、企業としての持続的な成長を図り、すべてのステークホルダーにとっての企業価値向上に引き続き努めてまいります。

⑤ 資本政策と利益配分に関する方針
 当社は、株主価値の持続的な向上を目指し、収益基盤維持強化のための国内外製造拠点における設備更新に加え、グローバルに拡大する事業機会での成長投資とリスクに適切に対応するため、必要となる十分な株主資本の水準を保持します。
 当社は、株主への利益還元を最重要課題の一つと考えており、グループ全体として持続性のある企業体質の確立を図りつつ、積極的に配当を実施していく方針としており、現在の第5次中期経営計画においては、配当性向を25〜30%程度とすることを基本方針としております。

3.本方針の目的

 現在の日本の資本市場および法制度のもとでは、買収者が株式の一部を取得することにより、企業経営の支配権を獲得することができ、濫用的な企業買収が可能となっています。このため、当社の企業価値および株主共同の利益に対して明白な侵害をもたらすような大規模買付行為がなされるおそれは否定できません。
 前述のとおり、当社は、長年の継続的な投資と経営努力の蓄積により、世界最高水準の技術開発力と製造実力、豊富な知的財産、および長期にわたるお客様とのお取引と信頼関係に基づいた強固なお客様基盤を確立してまいりました。
 また、全てのステークホルダーにとっての持続的な企業価値向上を目指して、長期的視点に立った人材育成や、環境・安全・社会貢献・コーポレートガバナンスへの取り組み等に積極的に取り組んでまいりました。
 この結果として得られた当社の企業価値の源泉である様々な経営資源は、新興国を初めとする競合他社にとっては極めて貴重なものであり、他社においては実際に企業秘密を不正な形で取得する等の事案も発生しています。このような経営資源を容易に獲得するため、豊富な資金力を背景に敵対的な買収が試みられる可能性は依然として存在します。
 買収者が、株式買い占めによる高値買取り要求、重要な資産等を廉価に取得する等会社の犠牲の下に買収者の利益を実現する経営を行なうような行為、会社の資産の流用、高額資産等の処分により一時的な利益を得る等の濫用的な買収行為や、強圧的二段階買収(最初の買付条件よりも二段階目の買付条件を不利に設定し、あるいは二段階目の買付条件を明確にしないで、公開買付け等の株式買付けを行なうこと)など、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがある買収行為を行なった場合、当社の長期的な企業価値が全体として損なわれるおそれがあります。
 当社は、当社の財務および事業の方針を決定する者は、当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社が企業価値および株主共同の利益を確保、向上していくことを可能とする者である必要があると考えています。
 以上の観点をふまえ、大規模買付行為またはこれに関する提案につき株主の皆様に正しくご判断頂くためには、大規模買付者および当社取締役会の双方から、当社株主の皆様に迅速に必要かつ十分な情報・意見・提案等の提供がなされ、さらにそれらを検討するための必要かつ十分な時間が確保される必要があります。しかしながら、現行の日本の法制度においてはそのための情報収集・検討期間が必ずしも十分に確保されているとは言えません。
 当社は、濫用的買収や当社の企業価値を損なうおそれが極めて高い不適切な買収行為により株主の皆様の正しい判断の機会が損なわれ、長期的な企業価値および株主共同の利益が損なわれることを防ぐことは、経営者に課せられた責務であると認識しており、以上の理由に基づき、適切な情報提供と検討時間の確保を目的として、以下4.の通り本方針を継続することにつきご承認いただきたいと考えております。

4.本方針の内容

1)本方針の概要

 当社取締役会は、当社株式の大規模買付行為に関するルール(以下、「大規模買付ルール」)を設定し、大規模買付行為に先立ち、大規模買付者に対して大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報の提供を求めるとともに、当社取締役会として大規模買付情報を十分に評価・検討し、大規模買付者との交渉や株主の皆様への代替案の提示等を行なうための期間を確保いたします。
 大規模買付者がこの大規模買付ルールを遵守しない場合、あるいは遵守した場合でも、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかであるときや、企業価値および株主共同の利益を著しく損なうときには、当社取締役会として一定の対抗措置を発動する方針です。また、本方針所定の場合には、対抗措置の発動の是非について株主意思確認手続きを行なうこととしております。
 なお、当社は、大規模買付行為の企業価値および株主共同の利益への影響、並びに本方針に基づく対抗措置の発動について、取締役会判断の透明性、客観性、公正性および合理性を担保するため、社外取締役等を中心とする特別委員会を設置いたしております。

2)大規模買付行為の定義

 本方針は、特定株主グループ(注1)の議決権割合(注2)を20%以上とすることを目的とする当社株式の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株式の買付行為(いずれについてもあらかじめ当社取締役会が同意したものを除きます。以下、このような買付行為を「大規模買付行為」、大規模買付行為を行なう者を「大規模買付者」)に関する当社の対応方針を定めたものであり、その内容は以下に記載のとおりであります。また、特別委員会は、取締役会で定める特別委員会規程(その概要は別紙1「特別委員会規程の概要」のとおり。)に従って運用され、本年6月1日現在の特別委員会委員の氏名および略歴は、別紙2「特別委員会委員の氏名および略歴」のとおりであります。

3)大規模買付ルールの設定

 当社取締役会としては、大規模買付行為は、以下に定める大規模買付ルールに従って行なわれることが、企業価値および株主共同の利益に合致すると考えます。この大規模買付ルールとは、大規模買付者は、①事前に当社取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供したうえで、②当社取締役会による一定の評価期間が経過した後または株主意思確認手続きをとる場合には当該手続きの結果に従った当社取締役会の決議が完了した後に大規模買付行為を開始する、というものであります。

(1)意向表明書の提出
 大規模買付者が大規模買付行為を行なおうとする場合には、まず当社宛に、大規模買付ルールに従う旨の意向表明書を、日本語で作成された書面にてご提出いただくことといたします。意向表明書には、大規模買付者の名称、住所、設立準拠法、代表者の氏名、国内連絡先および提案する大規模買付行為の概要を明示していただきます。

(2)大規模買付情報の提供
 当社は、当社株主の皆様の判断および取締役会としての意見形成のために必要かつ十分な情報(以下、「大規模買付情報」)を大規模買付者より提供していただくために、意向表明書の受領後5営業日以内に、大規模買付者から当初提供していただくべき大規模買付情報のリストを大規模買付者に交付いたします。
 大規模買付情報は、日本語で作成された書面にて当社取締役会に対し提供していただくこととし、その項目の一部は以下の通りであります。

① 大規模買付者およびそのグループの概要

② 大規模買付行為の目的および内容

③ 買付対価の算定根拠および買付資金の裏付け

④ 大規模買付行為完了後に意図する当社グループの経営方針および事業計画

⑤ 大規模買付行為完了後に意図する当社グループのお客様、サプライヤー、地域社会、従業員その他の当社グループに係る利害関係者に関する方針

⑥ 大規模買付者が当社グループの事業と同種の事業を営んでいる場合、独占禁止法や海外競争法に照らした大規模買付行為の適法性についての考え方

 当社取締役会は、大規模買付情報のリストの発送後60日間(初日不算入)を、当社取締役会が大規模買付者に対して大規模買付情報の提供を要請し、大規模買付者が大規模買付情報の提供を行なう期間(以下、「情報提供期間」)として設定し、情報提供期間が満了した場合には、直ちに取締役会による評価、検討、交渉、意見形成、代替案立案のための期間(以下、「取締役会評価期間」)を開始するものとします。ただし、大規模買付者から合理的な理由に基づく延長要請があった場合には、情報提供期間を必要に応じて最長30日間(初日不算入)延長することができるものといたします。なお、当社取締役会は、大規模買付者より当初提供していただいた情報だけでは大規模買付情報として不足していると判断した場合、情報提供期間内に限り追加的に情報提供をしていただくことがあります。他方、当社取締役会は、大規模買付者から提供された情報が大規模買付情報として十分であると判断する場合には、情報提供期間満了前であっても、大規模買付情報の提供が完了した旨の通知(以下、「情報提供完了通知」)を大規模買付者に対し速やかに行なうとともに、その旨を開示いたします。
 大規模買付行為の提案があった事実および当社取締役会に提供された大規模買付情報は、当社株主の皆様の判断のために必要であると認められる場合には、適切と判断する時点で、その全部または一部を開示いたします。

(3)取締役会による評価、検討、交渉等
 当社取締役会は、大規模買付者に対し情報提供完了通知を行なった後または情報提供期間が満了した後、大規模買付行為の評価等の難易度に応じ、60日間(対価を現金(円貨)のみとする公開買付けによる当社全株式の買付の場合)または90日間(その他の大規模買付行為の場合)を上限として取締役会評価期間として与えられるべきものと考えます。従って、大規模買付行為は、下記4.4)(2)③に従い株主意思確認手続きを経る場合を除いて、取締役会評価期間の経過後にのみ開始されるものといたします。取締役会評価期間中、当社取締役会は、特別委員会に諮問し、また、必要に応じて外部専門家の助言を受けながら、特別委員会からの勧告を最大限尊重したうえで、提供された大規模買付情報を十分に評価・検討し、取締役会としての意見を開示いたします。また、必要に応じ、大規模買付者との間で大規模買付行為に関する条件改善について交渉し、当社取締役会として株主の皆様へ代替案を提示することもあります。

4)大規模買付行為がなされた場合の対応方針

(1)大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合
 大規模買付者によって大規模買付ルールが遵守されない場合には、当社取締役会は、企業価値および株主共同の利益の保護を目的として、新株予約権の発行等、会社法その他の法律および当社定款が取締役会の権限として認める措置をとり、大規模買付行為に対抗することがあります。対抗措置の発動は、弁護士、財務アドバイザーなどの外部専門家の意見も参考にし、特別委員会の勧告を最大限尊重し、当社取締役会が決定いたします。具体的な対抗措置については、その時点で相当と認められるものを選択することとなります。具体的対抗措置として新株予約権無償割当てを行なう場合の概要は、原則として別紙3記載のとおりといたします。なお、新株予約権を発行する場合には、対抗措置としての効果を勘案した行使期間および行使条件を設けることがあります。

 なお、今回の大規模買付ルールの設定およびそのルールが遵守されなかった場合の対抗措置は、企業価値および株主共同の利益を保護するための相当かつ適切な対応であると考えます。他方、このような対抗措置により、結果的に、大規模買付ルールを遵守しない大規模買付者に経済的損害を含む何らかの不利益を発生させる可能性があります。大規模買付ルールを無視して大規模買付行為を開始することのないように予め注意を喚起いたします。

(2)大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合
 大規模買付ルールは、当社の経営に影響力を持ち得る規模の当社株式の買付行為について、企業価値および株主共同の利益を保護するという観点から、株主の皆様に、このような買付行為を受け入れるかどうかの判断のために必要な情報や、現に経営を担っている当社取締役会の評価意見を提供し、さらには、代替案の提示を受ける機会を保証することを目的とするものです。大規模買付ルールが遵守されている場合、原則として、当社取締役会の判断のみで大規模買付行為を阻止しようとするものではありません。
 しかしながら、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守していても、以下の①に定める場合には、当社取締役会の判断のみで、4.4)(1)で述べた大規模買付行為を抑止するための措置の発動を決議することがあります。また、以下の②に定める場合には、当社取締役会の判断のみで、大規模買付行為を抑止するための措置の不発動を決議することがあります。加えて、以下の①および②のいずれにも該当しない場合は、以下の③に定める内容に従い、大規模買付行為を抑止するための措置の発動または不発動について、株主意思確認手続きを行ないます。

① 取締役会の判断による対抗措置の発動
 大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や企業価値および株主共同の利益を著しく損なう場合であって対抗措置の発動が相当であると当社取締役会が判断したときは、下 記4.4)(2)③に記載される株主意思確認手続きを経ずに、4.4)(1)で述べた大規模買付行為を抑止するための措置をとることがあります。当社取締役会は、かかる判断に際して、弁護士、財務アドバイザーなどの外部専門家の意見も参考にし、特別委員会の勧告を最大限尊重するものといたします。かかる対抗措置をとることを決定した場合には、速やかに開示を行ないます。具体的には、以下の類型に該当すると認められる場合には、原則として、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や企業価値および株主共同の利益を著しく損なう場合に該当するものと考えます。

(i)次のaからdまでに掲げる行為等により当社の企業価値および株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすような買収行為を行なう場合

a. 株式を買い占め、その株式について会社側に対して高値で買取りを要求する行為

b. 会社を一時的に支配して、会社の重要な資産等を廉価に取得する等会社の犠牲の下に買収者の利益を実現する経営を行なうような行為

c. 会社の資産を買収者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する行為

d. 会社経営を一時的に支配して会社の事業に当面関係していない高額資産等を処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるか、一時的高配当による株価の急上昇の機会をねらって高値で売り抜ける行為

(ii)強圧的二段階買収(最初の買付条件よりも二段階目の買付条件を不利に設定し、あるいは二段階目の買付条件を明確にしないで、公開買付け等の株式買付けを行なうことをいいます。)など株主に株式の売却を事実上強要するおそれがある買収行為を行なう場合

② 取締役会の判断による対抗措置の不発動
 当社取締役会は、特別委員会の勧告を最大限尊重したうえで、大規模買付行為について慎重かつ十分に検討した結果、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすものではなく企業価値および株主共同の利益を著しく損なうものでもないことが明らかであり対抗措置の発動が相当でないと判断した場合には、下記4.4)(2)③に記載される株主意思確認手続きを経ずに、対抗措置の不発動を決議するものとします。かかる対抗措置の不発動を決議した場合には、速やかに開示を行ないます。

③ 株主意思確認手続きによる対抗措置の発動または不発動
 当社取締役会は、上記4.4)(2)①に従い対抗措置の発動を決議する場合および上記4.4)(2)②に従い対抗措置の不発動を決議する場合のいずれにも該当しない場合は、対抗措置の発動または不発動について株主の意思を確認する手続き(以下、「株主意思確認手続き」)を行ないます。当社取締役会は、株主意思確認手続きを行なう場合、取締役会評価期間中にその旨を決定し、当該決定内容を速やかに開示いたします。
 当社取締役会は、株主意思確認手続きを行なう旨を決定後、株主意思確認手続きを株主意思確認総会または書面投票のいずれによって行なうのかを決定したうえで、株主意思確認手続きにおいて投票権を行使できる株主を確定するための基準日(以下、「投票基準日」)を定め、投票基準日の2週間前までに公告を行ないます。そして、取締役会評価期間終了後、実務上必要とされる日数を勘案したうえで可能な限り速やかに株主意思確認手続きを実施します。なお、株主意思確認総会は、定時株主総会または臨時株主総会とあわせて開催することができるものとします。
 株主意思確認総会または書面投票において投票権を行使することのできる株主は、当社取締役会が定めた投票基準日の最終の株主名簿に記載または記録された株主とし、各株主は、株式に係る議決権1個につき投票権1個を有するものとします。株主意思確認手続きにおける対抗措置の発動または不発動についての決定は、株主意思確認総会においては出席した投票権を有する株主の投票権の過半数、書面投票においては投票権を行使した株主の投票権の過半数を以て決するものとします。
 株主意思確認手続きにおいて対抗措置の発動または不発動について決定がなされた場合、当社取締役会は当該決定に従うものとします。当社は、株主意思確認手続きの結果につきましては、判明し次第速やかに開示いたします。
 なお、株主意思確認手続きを実施する場合、大規模買付者は、当社取締役会が株主意思確認手続きにおける決定に基づき対抗措置の発動または不発動について決議を行なうまでは、大規模買付行為を開始することはできないものといたします。

(3)対抗措置発動の停止または変更
 当社取締役会は、対抗措置を発動することを決定した後、当該大規模買付者が大規模買付行為の撤回または変更を行なった場合等、対抗措置の発動が適切でないと判断した場合には、特別委員会の勧告を最大限尊重したうえで、対抗措置発動の停止または変更を行なうことがあります。
 このような対抗措置発動の停止または変更を行なう場合は、特別委員会が必要と認める事項とともに速やかに開示を行ないます。

(4)特別委員会の設置
 本方針において、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守したか否か、および対抗措置をとるか否かの判断にあたっては、その透明性、客観性、公正性および合理性を担保するため、当社は、取締役会から独立した組織として、特別委員会を設置いたします。特別委員会の委員は3名とし、社外取締役、社外監査役、経営経験豊富な企業経営者、投資銀行業務に精通する者、弁護士、公認会計士、税理士、学識経験者、またはこれらに準ずる者を対象として選任するものといたします。

 取締役会は、対抗措置発動の是非を決定するときは、特別委員会に対し諮問し、特別委員会の勧告を受けるものといたします。特別委員会は、当社の費用で、当社経営陣から独立した第三者(財務アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含む。)の助言を得たり、当社の取締役、監査役、従業員等に特別委員会への出席を要求し、必要な情報について説明を求めたりしながら、取締役会から諮問を受けた事項について審議・決議し、その決議の内容に基づいて、当社取締役会に対し勧告を行ないます。取締役会は、対抗措置を発動するか否かの判断にあたっては、特別委員会の勧告を最大限尊重するものといたします。なお、特別委員会は、必要に応じて取締役会への勧告内容を開示するものといたします。

5)本方針の有効期限

 本総会において、本方針について株主の皆様のご承認が得られた場合は、本方針の有効期限は、本総会の日から2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時までとし、以後も同様といたします。
 なお、当社取締役会は、本方針を継続することを決定した場合、その旨を速やかにお知らせします。また、当社取締役会は、企業価値および株主共同の利益保護の観点から、会社法および金融商品取引法を含めた関係法令の整備・改正等を踏まえ、本方針を随時見直していく所存です。

 本方針はその有効期間中であっても、当社株主総会において本方針を廃止する旨の決議が行なわれた場合または当社取締役会により本方針を廃止する旨の決議が行なわれた場合は、その時点で廃止されるものといたします。また、当社取締役会は、本方針の有効期間中であっても、本方針に関する法令、金融商品取引所の規程・規則等の新設もしくは改廃が行なわれ、かかる新設もしくは改廃を反映することが適切である場合、または誤字脱字等の理由により字句の修正を行なうことが適切である場合には、特別委員会の勧告を最大限尊重して本方針を修正する場合があります。なお、当社の取締役の任期は1年とされているため、本方針の廃止または修正は、毎年の株主総会において株主の皆様により選任された取締役によって構成される取締役会において決せられることになります。

5.当社株主の皆様・投資家の皆様に与える影響等

 対抗措置の発動によって、当社株主の皆様(大規模買付者を除きます。)が経済面や権利面で損失を被るような事態は想定しておりませんが、当社取締役会が具体的対抗措置をとることを決定した場合には、法令および金融商品取引所規則に従って、速やかに開示を行ないます。対抗措置として新株予約権を発行する場合に、当社株主の皆様がとる必要のある手続きとして、新株予約権の取得のためには、別途取締役会が決定し公告する新株予約権の基準日における最終の株主名簿に記録される必要があるほか、その発行方法によっては、所定の期間内に申込みをしていただく必要もあります。また、新株予約権を行使して株式を取得するためには所定の期間内に一定の金額の払込みを完了していただく必要があります。これらの手続きの詳細につきましては、実際に新株予約権を発行することとなった際に、法令および金融商品取引所規則に基づき別途お知らせいたします。

 なお、当社は、新株予約権の割当ての基準日や新株予約権の割当ての効力発生後においても、例えば、大規模買付者が大規模買付行為を撤回した等の事情により、新株予約権の行使期間開始日の前日までに、新株予約権の割当てを中止し、または当社が新株予約権者に当社株式を交付することなく無償にて新株予約権を取得することがあります。これらの場合には、1株当たりの価値の希釈化は生じませんので、1株当たりの株式の価値の希釈化が生じることを前提にして売付等を行なった投資家の皆様は、株価の変動により相応の損害を被る可能性があります。

注1:特定株主グループとは、(ⅰ)当社の株券等(金融商品取引法第27条の23第1項に規定する株券等をいいます。)の保有者(同法第27条の23第1項に規定する保有者をいい、同条第3項に基づき保有者に含まれる者を含みます。)およびその共同保有者(同法第27条の23第5項に規定する共同保有者をいい、同条第6項に基づき共同保有者とみなされる者を含みます。)、または(ⅱ)当社の株券等(同法第27条の2第1項に規定する株券等をいいます。)の買付け等(同法第27条の2第1項に規定する買付け等をいい、取引所金融商品市場において行なわれるものを含みます。)を行なう者およびその特別関係者(同法第27条の2第7項に規定する特別関係者をいいます。)を意味します。

注2:議決権割合とは、(ⅰ)特定株主グループが、注1の(ⅰ)の記載に該当する場合は、当社の株券等の保有者の株券等保有割合(金融商品取引法第27条の23第4項に規定する株券等保有割合をいいます。この場合においては、当該保有者の共同保有者の保有株券等の数(同項に規定する保有株券等の数をいいます。)も計算上考慮されるものとします。)、または(ⅱ)特定株主グループが、注1の(ⅱ)の記載に該当する場合は、当社の株券等の買付け等を行なう者およびその特別関係者の株券等所有割合(同法第27条の2第8項に規定する株券等所有割合をいいます。)の合計をいいます。議決権割合の算出にあたっては、総議決権(同法第27条の2第8項に規定するものをいいます。)および発行済株式の総数(同法第27条の23第4項に規定するものをいいます。)は、有価証券報告書、四半期報告書および自己株券買付状況報告書のうち直近に提出されたものを参照することができるものといたします。

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