事業の経過及び成果

① 事業概況
 当連結会計年度における当社グループの事業環境は、米中貿易摩擦の長期化の影響等により、世界の製造業が設備投資に対して慎重な姿勢を強めたことから厳しい状況で推移しました。また、下半期に入ると、日本を含むアジア市場を中心に受注環境に回復の兆しが見られたものの、年度終盤に発生した新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、世界経済の先行きに対する不透明感は未曾有の高まりを見せました。

② 受注高の概況
 当社グループの受注環境は、年の前半は中国を始め世界的に製造業の設備投資計画が見送りや縮小されたことに加え、過年度におけるお客様からの旺盛な先行発注の反動による発注調整の影響を受け、厳しい状況となりました。年の後半にかけては、一部のお客様において過剰在庫の解消が進んだことに加え、半導体関連の需要が回復したことにより受注環境に底打ちが確認されたものの、通期の連結受注高は前期比33.0%減少の300億29百万円となりました。

③ 売上高の概況
 連結売上高は、受注高が減少した影響を受け、、前期比44.7%減少の374億87百万円となり、大幅な減収となりました。

④ 用途別売上高の概況
 用途別の売上高の動向は、産業用ロボット向けは、お客様及び当社代理店各社の当社製品に係る在庫調整の影響により大きく減少しました。
 一方、従来の産業用ロボットとは異なる、安全性を確保したことで人と並んで作業することができる協働型ロボット向けの売上高は増加しました。
 半導体製造装置向けは、年の後半から一部で需要の回復がみられましたが、通期での売上高は減少しました。
 フラットパネルディスプレイ製造装置向けは、設備投資案件が乏しく売上高は減少しました。
 その他、工作機械向け、車載用途等も売上高は減少しました。

⑤ 利益の概況
 損益面につきましては、このような厳しい事業環境に対応するため、設備投資の一部凍結による減価償却費の抑制や、徹底した経費管理によるコスト削減に取り組んでまいりましたが、売上高の減少による影響を吸収するには至らず、営業利益は前期比99.6%減少の67百万円となりました。主に営業利益の減少に加え、繰延税金資産を取り崩した影響も受け、親会社株主に帰属する当期純損失は8億32百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益116億1百万円)となりました。

⑥ 事業上の取り組みの概況
 2019年度は、中期経営計画(2018年度~2020年度)の2年目であり、財務目標は未達となるも、当該計画に掲げた各施策に取り組んでまいりました。
 営業面におきましては、世界的に加速している「ものづくり」の自動化、様々な分野で躍進するロボット技術に貢献するべく、より高度化、多様化するご要求にお応えするため、お客様ごとに課題解決策を提案し、受注の獲得に取り組んでまいりました。また、当社グループが有する独創的な技術を深耕・応用することによって、今後の成長が期待される新たな市場の開拓にも傾注してまいりました。
 品質面におきましては、生産量が急激に変動した環境下においても、品質の維持・向上を図るため、人材育成と並行し自動化を取り入れた工程改善を進めるとともに、サプライチェーン全体にわたる品質管理体制の強化を進めてまいりました。また、生産能力を拡大した当社グループの各生産拠点(日本、ドイツ、米国)の品質を高度に均質化するため、「世界共通品質」の維持・改善にも努めてまいりました。
 研究開発面におきましては、新たな原理・理論の確立や技術の追求など基礎研究の拡充と深化を図り、波動歯車装置(ハーモニックドライブ®)の進化を図るとともに、次世代のモーションコントロールに必要となり得る要素開発と製品化に取り組んでまいりました。また、日本とドイツを拠点とする研究開発部門間の連携を強化し、開発テーマの共同推進や研究資源の相互活用などにより、研究開発活動の効率化と研究レベルの向上にも取り組んでまいりました。
生産面におきましては、2017年より中期的な需要増加を見据え、日・米・欧の各拠点において波動歯車装置(ハーモニックドライブ®)の生産能力増強に取り組んでまいりました。日本では、2019年9月に有明工場(長野県安曇野市穂高有明)の新工場棟を竣工しました。現在は、生産量拡大が計画されている特定案件の生産拠点とすべく、生産ラインの構築に取り掛かっております。また、主要部品であるクロスローラーベアリングの生産工場として2019年1月に竣工した松本工場(長野県松本市)は2019年3月より操業を開始しました。米国においても、既存工場の近隣に2020年1月に新工場棟を竣工しました。米国現地での生産能力を拡大することにより、コスト・納期・サービス面における競争力を高め、北米市場における顧客満足度の向上を図ってまいります。また、ドイツでも、既存工場の増強に加え、近隣に新たな賃貸工場物件を手当てするなど、将来の需要増加に備えるべく、生産体制の増強を完了いたしました。
 当社グループでは、生産能力の向上と並行し、生産性の向上、製品リードタイムの短縮についても継続的な取り組みを実施してまいりました。生産性の向上にあたっては、高度な熟練作業を要する工程は人材育成と技能伝承を加速する一方で、それ以外の工程は積極的な自動化投資を実施することによって省人化を推進しました。また、製品リードタイムの短縮にあたっては、新たな生産管理システムの導入を決定し、これまで蓄積してきた多品種・少量生産のノウハウを生かしながら、需要変動に柔軟に対応可能な生産体制の構築を目指し取り組んでまいりました。

⑦新型コロナウイルス感染拡大に関して
 当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、2020年2月3日に当社内に対策本部を設置し、社員、お客様、お取引先など、ステークホルダー各位の安全と安心を最優先に感染防止に努めてまいりました。現在に至るまで、新型コロナウイルス感染等による健康被害、工場の操業、サプライチェーンへの影響は発生しておりません。引き続き、感染防止策の徹底に傾注してまいります。

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2020/06/24 12:00:00 +0900
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