第9期定時株主総会招集ご通知 証券コード : 7180

当社の現況に関する事項

(1)当社グループの事業の経過及び成果等

【当社グループの主要な事業内容】

 当社グループは、銀行持株会社である当社、並びに株式会社肥後銀行(以下、「肥後銀行」といいます。)、株式会社鹿児島銀行(以下、「鹿児島銀行」といいます。)、九州FG証券株式会社(以下、「九州FG証券」といいます。)を含む連結子会社22社で構成され、銀行業務を中心にリース業務、クレジットカード業務、信託業務、金融商品取引業務等の金融サービスに係る業務のほか、DXソリューション事業、ECモール事業等の地域価値共創事業を行っております。

【金融経済環境】

 当年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い行動制限が無くなったことでサービス消費を中心とした個人消費やインバウンド需要が回復するとともに、自動車産業等の半導体不足が解消されたことで生産活動も回復したことから持ち直しの動きがみられました。また、価格転嫁や賃上げの動きも広がり、デフレ脱却に向けた動きがみられましたが、資材価格の高騰等の影響により設備投資や住宅投資がふるわず、人手不足により多くの産業で経済活動が制約されたことから景気回復は緩やかなものにとどまりました。
 こうした経済環境のもと、日経平均株価は好調な米国経済や、半導体・自動車等の輸出関連企業の業績回復期待、新たな少額投資非課税制度(NISA)の開始に伴い高配当株に資金が流入するなどプラス要因が重なったことから、3月4日に初めて4万円台を付け、年度末も4万円台で終えました。
 地元経済におきましては、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う大型イベントの再開などで人流が活性化し、サービス消費を中心とした個人消費や観光需要が回復しました。また、TSMC(台湾積体電路製造)の熊本進出に伴い半導体関連企業を中心に設備投資が高水準で推移しました。人手不足や物価高騰などの懸念材料はあるものの、全体としては緩やかに回復しました。

【当社グループの事業の経過及び成果】

 当社は、2015年10月1日、肥後銀行と鹿児島銀行(以下、総称して「両行」といいます。)との経営統合に伴い、共同株式移転により設立いたしました。両行の地元を中心とした九州での存在感をさらに発揮できる盤石な経営基盤を確立することで、広域化した新たな地域密着型ビジネスモデルを創造し、地元との信頼関係をさらに強化するとともに経営の効率化を促進し、企業価値を高め、地域価値共創グループとして活力あふれる地域社会の実現に積極的に貢献してまいります。
【第3次グループ中期経営計画】
 当社グループでは、2030年度を見据えたビジョンとして「お客様、地域、社員とともに、より良い未来を創造する『地域価値共創グループ』への進化」を掲げ、そのために3年間ですべきことを、第3次グループ中期経営計画(計画期間:2021年4月1日〜2024年3月31日)として策定し、取り組んでまいりました。
1.第3次グループ中期経営計画「改革」

2.グループKPI


※1お客様向けサービス業務利益:貸出金平残×預貸金利鞘+役務収益等利益−経費
※2役務利益比率:役務等利益÷コア業務粗利益(業務粗利益−国債等債券損益)

 第3次グループ中期経営計画の最終年度となる2023年度において、当社グループが実施した主な施策は次のとおりです。

 地域総合金融機能の深化 
<新常態における金融コンサルティング力の強化>
 2024年1月よりNISA(少額投資非課税制度)が抜本的に拡充・恒久化され、貯蓄から資産形成への流れが加速する中で、当社グループはNISAを活用したお客様の資産形成支援に積極的に取り組んでおります。NISA専用ダイヤルの開設や各種お客様向けセミナーの開催、当社グループ会社と連携したキャンペーンの展開など、グループ一体となり取り組んだ結果、当社グループのNISA口座数は約13万2千口座(2024年3月末)と、2023年度の1年間で約4万8千口座増加いたしました。
 また、高齢化社会の進展を背景に高まる相続・資産承継ニーズに対応するため、銀行本体での信託業務を2019年4月より開始しており、信託契約件数は年々増加しております。信託銀行との連携などによる信託業務の専門人材育成にも注力しております。

<金融機能の高度化による地域産業成長支援>
 お取引先の創業期から成長期、安定・成熟期、又は新事業展開などの事業ステージや課題に応じた様々な金融支援を行っております。
 肥後銀行では、大学発ベンチャー・スタートアップ企業の創出拡大を目的として、肥銀キャピタルと共同で「肥銀大学発ベンチャーシード投資事業有限責任組合」(愛称:肥銀シードファンド)を設立いたしました。また、熊本大学キャンパス内に「肥銀アントレプレナーサポートオフィス」を開設し、熱い想いを持ち起業を目指す研究者や創業間もない皆様を支援してまいります。さらに、持続可能な地域社会の実現と発展に貢献するため、日本M&Aセンターホールディングスと玉山ベンチャーキャピタルとの3社共同出資により、M&Aアドバイザリー業務を行う「九州M&Aアドバイザーズ株式会社」を2024年4月に設立いたしました。
 鹿児島銀行では、後継者不在企業に対し、地域に根ざした金融機関と税理士法人が一丸となって円滑な事業承継を実現させることを目的とし、鹿児島県内4先の税理士法人と「事業承継支援に関する連携協定」を締結いたしました。また、お客様の重要な経営課題である事業承継ニーズに対する新たなソリューションメニューの提供を目的として、投資事業有限責任組合(ファンド)の組成・運営を通じたマジョリティ投資などを行う投資専門子会社「株式会社かぎん共創投資」を2023年11月に設立いたしました。

 地域産業振興機能の拡充 
<地域との協働による課題解決実践>
 半導体受託生産世界最大手である台湾積体電路製造(TSMC)の日本で初めての生産拠点である熊本工場が2024年2月に完成し、第2工場も熊本県内に建設されることが発表されております。
 肥後銀行では、2023年6月に台北駐在員事務所を開設し、TSMC進出を機に日台相互のグローバルニーズに対して、現地でのリアルタイムな情報やネットワークの提供によりお客様の輸出入や進出ニーズなどの課題解決を直接支援しております。また、台湾への理解を深め、幅広い分野における産業連携及び人的交流の推進、並びに台湾とのビジネス機会創出を目的に、2023年7月に鹿児島銀行や玉山銀行(台湾)などとの共催で「日台経済交流シンポジウム in 熊本」を開催いたしました。
 さらに、九州・沖縄での半導体関連産業を起点とする経済成長に、より具体的かつ能動的に貢献するため、2024年1月に鹿児島銀行や福岡銀行などの九州・沖縄の地方銀行11行で「新生シリコンアイランド九州」の実現に向けた九州・沖縄地銀連携協定を締結いたしました。

<地域商社機能の強化・創造>
 当社は、従来の金融の枠組みを超えて地域産業振興にかかる課題解決に主体的に取り組むため、2023年4月に地域商社事業を営む子会社「株式会社九州みらいCreation」を設立し、同年6月にECモール「よかもーる」をオープンいたしました。「よかもーる」は南九州の魅力的な逸品を幅広く取り扱い、2024年3月末で商材数は約300品、会員数は約7千名と拡大しております。また、海外ビジネス支援事業では、ポテンシャルの高い熊本県、鹿児島県、宮崎県の農林水産物を中心とした輸出拡大支援に取り組んでおり、これまで香港やマレーシアへの販路先紹介や貿易実務支援を通じた新たな需要を創出しております。

 人づくりとエンゲージメント向上 
<価値共創を実現する人づくり>
 地域価値共創グループへの進化に向け、金融に特化した基本的な育成はもとより、幅広い分野の専門性を高める研修や、グループ横断的な人材の配置、外部企業への派遣等を実施しております。
 特徴的な取り組みとしては、地域価値共創を担う人材育成のため、地域の課題解決につながる新規事業立案に向けた研修プログラムを「学校法人先端教育機構 事業構想大学院大学」と連携して実施しております。さらに、デジタル分野において、データサイエンティストの育成を目的とした「データコンペティション研修」を実施いたしました。また、グループで共通化した自宅学習支援システム(eラーニング)で、リベラルアーツ等の様々なコンテンツを充実させ、従業員の自律的成長を支援しております。

<多様性の尊重と働きがいの向上>
 物価上昇等の社会状況への対応、従業員のエンゲージメント向上、優秀な人材の確保等を目的として、ベースアップを含む5%以上の賃金の引き上げを2年連続で実施しております。なお、採用競争力強化による多様な人材の確保等を目的に、2025年4月まで3年連続で初任給の引き上げを実施いたします。
 また、従業員がいきいきとやりがいをもって働き、お客様の信頼と期待に応え、地域とともに成長し、活力あふれる地域社会の実現に貢献できるよう、肥後銀行、鹿児島銀行の頭取を健康経営責任者として、従業員一人ひとりのこころと体の健康増進に取り組み、健康経営を実践しております。2023年度は、肥後銀行、鹿児島銀行ともに経済産業省による健康経営優良法人認定制度に基づく健康経営優良法人に認定され、肥後銀行は「ホワイト500」として認定されております。
 KFGグループの従業員約5,500名を対象に実施しているエンゲージメント調査結果は業界平均対比で良好なスコアとなっており、スコア良好店に関する情報の発信、スコア低位店への臨店支援、マネジメント層全員を対象とした研修等を継続的に実施しております。さらに、入社5年以内の若年層に対しては「個」に寄り添うことを目的に別途エンゲージメント調査を実施し、結果を踏まえた個別フォローを実施しております。

 KFGビジネスモデルの確立 
<SDGs・ESGの先駆的取り組み>
 当社グループは、気候変動や自然資本を含む環境問題への対応を重要課題として認識しております。地域社会の脱炭素化を積極的に推進するため、2023年3月に「KFGカーボンニュートラル宣言」を公表いたしました。当社グループ(KFG及びKFG100%出資子会社)のCO₂排出量のうち、スコープ1(ガソリン・都市ガス使用等による排出量)・スコープ2(電力使用による排出量)について、2030年までにカーボンニュートラル(ネットゼロ)の達成を目指してまいります。
 また、地域・お客様のカーボンニュートラル実現のため、肥後銀行において、CO₂排出量算定システム「Zero-Carbon-System(通称:炭削たんさくくん)」を開発し、2024年1月よりサービスの提供を開始いたしました。さらに、肥後銀行では、地域の脱炭素化を進めるため、2024年1月に再生可能エネルギー事業子会社「株式会社KSエナジー」を設立いたしました。ヒト・モノ・カネ・グリーンエネルギーの域内好循環を生み出し、地域のカーボンニュートラル・脱炭素化の実現に積極的に貢献してまいります。
 また、当社グループは、自然関連の財務情報を開示する枠組みの開発・提供を目指すイニシアチブ「TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フォーラム」に参画し、2024年1月にTNFD提言の早期採用企業に登録いたしました。今後、事業を通じた自然資本・生物多様性への依存と影響、リスクと機会を認識し、透明性のある開示を行ってまいります。

 デジタル社会に向けたDX推進 
<新たな体験・サービスの提供>
 地域におけるキャッシュレスへの取り組みとして、熊本では「くまモンのICカード」、鹿児島ではキャッシュレス決済アプリ「Payどん」の機能拡大などを継続的に行っております。
 鹿児島銀行では、鹿児島県内の各自治体や商店街などと連携して「Payどん」によるデジタル地域振興券の発行に積極的に取り組んでおります。また、2023年度には鹿児島銀行の「Payどん」を活用したキャッシュレス事業に鹿児島の地域金融機関である南日本銀行、鹿児島相互信用金庫、鹿児島信用金庫の3行庫が参画いたしました。4行庫が協力していくことにより、キャッシュレスの一段の普及とともに地域内における資金循環を促進し、地域のさらなる経済活性化に取り組んでまいります。
 肥後銀行では、非対面チャネルの機能拡充への取り組みとして、2024年3月に新「肥後銀行アプリ」のサービスを開始いたしました。従来の通帳アプリの機能である入出金明細の確認等に加え、インターネットバンキングとのスムーズな連携など、サービスを拡充しております。

<プロセス改革による生産性向上>
 銀行業務における生産性向上への取り組みとして、肥後銀行及び鹿児島銀行では、店頭タブレットを導入しております。お客様が店頭タブレットへ入力いただいた情報を銀行内のシステムに自動連携することにより、行員によるシステム入力作業の省力化とペーパーレス化を実現しております。2023年度も機能追加及び機能改善を実施し、さらなる生産性の向上とお客様の利便性向上を実現いたしました。
 加えて、業務効率化および生産性向上を目的に生成AIの活用にも取り組み、業務における生成AI活用が有効な事例を調査し、その正確性や効率性、実効性を検証しております。

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2024/06/17 12:00:00 +0900
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