三菱商事グループは、国内外のネットワークを通じて、エネルギー、金属、機械、化学品、生活産業関連の多種多様な商品の売買や製造、資源開発、インフラ関連事業、金融・物流事業を行うほか、新エネルギー・環境分野等における新しいビジネスモデルや新技術の事業化、全産業を俯瞰する総合力を活かした各種サービスの提供等、広範な分野で多角的に事業を展開しています。
平成29年度の収益は、(株)ローソンの子会社化や資源価格の上昇などにより、前年度を1兆1,416億円(18%)上回る7兆5,674億円となりました。
売上総利益は、(株)ローソンの子会社化や資源価格の上昇などにより、前年度を5,580億円(42%)上回る1兆8,866億円となりました。
販売費及び一般管理費は、(株)ローソンの子会社化等により、前年度から4,547億円(49%)負担増の1兆3,873億円となりました。
有価証券損益は、前年度に計上した関係会社の経営統合や売却などに伴う一過性利益の反動等により、前年度を789億円(95%)下回る44億円となりました。
固定資産除・売却損益は、資源関連資産の売却や保有資産の交換益計上などにより、前年度を265億円(184%)上回る409億円となりました。
固定資産減損損失は、前年度に計上した資源関連資産及び船舶事業に係る減損損失の反動等により、前年度から230億円(22%)負担減の802億円となりました。
金融収益は、資源関連投資先からの受取配当金の増加等により、前年度を468億円(35%)上回る1,792億円となりました。
持分法による投資損益は、資源価格の上昇等により、前年度を939億円(80%)上回る2,114億円となりました。
この結果、税引前利益は、前年度を2,113億円(35%)上回る8,127億円となりました。
法人所得税は、米国税制改正に伴う繰延税金負債の取崩しがありましたが、税引前利益の増加による負担増に加え、資源関連資産の撤退に係る追加税金費用等により、前年度から809億円(67%)負担増の2,023億円となりました。
以上の結果、当期純利益は、前年度を1,199億円(27%)上回る5,602億円となりました。
地球環境・インフラ事業グループは、電力、水、交通や、その他産業基盤となるインフラ分野における事業及び関連する取引を核として、電池の製造、電池を活用する事業や水素エネルギーなどの環境関連事業にも取り組んでいます。
【主な変動要因】
英国における洋上風力発電事業への参画
2018年3月、欧州・中東・アフリカ地域の発電事業統括会社であるDiamond Generating EuropeLimited(三菱商事100%出資、在英国)を通じて、モーレイイースト洋上風力発電所の開発・建設・運転を担うMoray Offshore Windfarm(East)Limitedに出資参画しました。同発電所は2022年に運転開始を予定しており、総発電容量は約95万kW、約100万世帯の電力を賄う英国最大級の洋上風力発電所です。今後も洋上風力発電事業に継続的に取り組み、低炭素社会の実現に貢献していきます。
新産業金融事業グループは、金融機能を活用して事業を拡大し得る分野として、企業投資事業、リース事業、不動産・都市開発事業、物流事業をグローバルに展開しています。
【主な変動要因】
本邦データセンター事業に係る合弁会社の設立
2017年10月、米国大手データセンター(DC)事業者であるDigital Realty Trust,Incと合弁会社を設立し、共同で本邦DC事業に取り組むことを合意しました。設立時資産として2物件(総資産約400億円)を組み込み、2022年には運営資産を2,000億円規模に拡大する計画です。AI/IoTやクラウド利用の普及に伴い大容量DCへの需要が拡大する中、本邦DC業界をリードする存在となることを目指していきます。
エネルギー事業グループは、天然ガス・石油の生産・開発事業、液化天然ガス(LNG)事業、石油・炭素・LPG関連の事業投資や販売取引、新規エネルギー事業の企画開発等を行っています。
【主な変動要因】
豪州ウィートストーンLNGプロジェクトにおけるLNG生産開始
2017年10月、三菱商事が参画する豪州ウィートストーンLNGプロジェクトが、西豪州北西部沖合のウィートストーン及びイアゴガス田から産出される天然ガスを用いたLNGの生産を開始しました。現在建設中の生産設備第2系列と合わせ、年間890万トンのLNGを生産予定であり、その内約700万トンが(株)JERA等の本邦買主へ供給されます。世界的にLNG需要が高まる中、本邦のLNG安定調達に貢献していきます。
金属グループは、薄板・厚板等の鉄鋼製品、石炭・鉄鉱石等の鉄鋼原料、銅・アルミ等の非鉄金属の分野において、トレーディング、開発、投資等を通じて事業経営に携わっています。
【主な変動要因】
一部資産入替えによるポートフォリオの強靭化
金属グループでは、事業環境の変化を踏まえ、優良資産のコスト削減等を通じた競争力向上、一部資産入替えによるポートフォリオの強靭化に取り組んでいます。資産入替えでは、2017年6月に豪州一般炭ハンター・バレー・オペレーションズ炭鉱、ワークワース炭鉱の売却に合意し、ワークワース炭鉱については2018年3月に売却を完了しました。中長期的な需給環境下でも高い競争力と成長力を有する原料炭・銅を中心に、今後もポートフォリオの強靭化を図ります。
機械グループは、工作機械、農業機械、建設機械、鉱山機械、エレベーター、エスカレーター、船舶、宇宙航空関連機器、自動車等の幅広い分野において、販売、保守、金融、レンタル、保有運航等を行っています。
【主な変動要因】
インドネシアにて新型MPV「エクスパンダー」販売開始
2017年9月、インドネシアにおける三菱自動車工業(株)製品の輸入・販売総代理店であるPT Mitsubishi Motors Krama Yudha Sales Indonesia(三菱商事40%出資)を通じて、同国にて新型MPV「エクスパンダー」の販売を開始しました。同国の乗用車需要の高まりを背景に、2018年3月末時点で当初の計画を大きく上回る6.6万台を受注し、またフィリピン等に向けて輸出も開始しています。今後も成長が期待されるインドネシアで更なる事業拡大を図るとともに、同国の経済発展に貢献していきます。
化学品グループは、原油、天然ガス、鉱物、植物、海洋資源等より生産されるエチレン、メタノール、塩等の工業製品用の原料から、プラスチック、電子材料、食品素材、肥料、医農薬等の製品まで、幅広い分野において、製造、販売、開発等の事業を展開しています。
【主な変動要因】
米国調味料メーカーを買収
2018年1月、食品素材・配合剤販売会社であるMitsubishi International Food Ingredients,Inc.(三菱商事100%出資、在米国)を通じて、米国配合調味料メーカーCarolina Ingredientsを買収しました。同社は米国消費者の健康・安全志向の高まりに対応し、オーガニック等を標榜した「クリーンラベル商品」の開発に力を入れています。今後は三菱商事ライフサイエンス(株)(三菱商事100%出資)等とのシナジーを創出し、消費者の健康・安全志向に沿った高付加価値のフードサイエンス事業の展開を目指します。
生活産業グループは、衣・食・住に関わる「生活必需品」を消費者に提供し、日々の生活基盤を支える事業をグローバルに展開しています。川上の原料調達から川下の小売に至る各事業領域において、消費者のニーズを捉えた安心・安全な商品・サービスの提供に取り組んでいます。
【主な変動要因】
サステナブルな食品原料の生産・調達体制の拡充
生活産業グループでは、社会に役立つ事業価値を追求するため、サステナブルな食品原料の生産・調達体制の拡充に取り組んでいます。農産物事業会社Olam International Limited(Olam)と設立した食品原料販売会社(株)MCアグリアライアンスでは、サステナブルな農園の基準を満たしたことを証するレインフォレスト・アライアンス認証等の第三者認証品のほか、Olam独自のサステナブルプログラムの下で生産されたコーヒーやココアなどの販売にも注力しています。
▶各セグメントの事業内容・主な事業投資先:「事業グループのご紹介」内各リンク
https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/bg/
▶各セグメントの主なB/S、P/L、キャッシュ・フロー項目:「決算公表資料(短信等)」ページ(IR資料内)
https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/earnings/fs2017.html