当社グループは、1931年の創業以来、小売と金融が一体となった独自のビジネスモデルを進化させ続けることで、他社にはない強みと地位を確立してまいりました。近年では、共創投資や新規事業投資からなる未来投資を加え、小売、フィンテック、未来投資の三位一体のビジネスモデルで、さらなる企業価値の拡大をめざしています。
当社グループのミッションは、「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」という経営理念にもとづき、すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブな社会をステークホルダーの皆さまと共に創ることにあります。
当社グループがめざすのは、お客さまをはじめ、株主・投資家の皆さま、地域・社会、お取引先さま、社員、将来世代すべてのステークホルダーの「利益」と「しあわせ」の調和と拡大です。そのために、すべてをステークホルダーの視点で考え、行動することにより共有できる価値づくりに取り組み、結果として企業価値の向上をはかる「共創経営」をすすめてまいります。
2030年に向け「現役世代から将来世代へ」、「デジタル技術は導入期から展開期へ」、「有形資産から無形資産へ」という3つの大きな転換が起き、社会の世代交代により、デジタル、サステナビリティ、Well-beingといった将来世代の常識に対応できない企業は急速に支持を失うリスクがあります。
1.将来世代との共創を通じて、社会課題の解決と企業価値向上を両立
2.店舗とフィンテックを通じて、「オンラインとオフラインを融合するプラットフォーマー」をめざす
3.人材、ソフトウェアに加え、新規事業、共創投資への無形投資を拡大、知識創造型企業へと進化
4.ステークホルダーをボードメンバーに迎え、「利益としあわせの調和」に向けたステークホルダー経営を推進
急速な事業環境の変化が予測されるなか、さらなる企業価値の向上をめざして、2026年3月期を最終年度とする5カ年の中期経営計画を策定しています。
(グループ事業の全体像)
小売、フィンテックに「未来投資」を加えた三位一体のビジネスモデルを創出します。未来投資には、共創投資と新規事業投資が含まれます。
(小売)
これまで取り組んできた百貨店業態のトランスフォーメーションをさらに推進し、新たな成長を実現します。店舗を「オンラインとオフラインの融合」のプラットフォームと位置づけ、EC中心に展開する新規事業がさまざまなイベントを開催し、このイベントが来店動機となる店づくりをすすめます。また、これらのイベントをフィンテックと連携し、丸井の店舗だけでなく全国の商業施設で展開することを視野に、事業化をめざします。
(フィンテック)
2021年4月からスタートした新カード、新アプリを通じて、UXを飛躍的に高め、LTVのさらなる向上をめざします。また、ゴールドカードに次ぐ第二の柱に成長してきた、アニメに代表されるコンテンツカードなど、「一人ひとりの『好き』を応援する」カードを拡大します。
リアル店舗中心の会員募集を見直し、ネット入会の比率を高めるほか、拡大が見込まれるEC・ネット関連サービス、家賃などを中心に家計シェア最大化の取り組みを強化することで、最終年度の取扱高は2倍以上の5.3兆円をめざします。
また、再生可能エネルギーをエポスカード払いで50万人のお客さまにご利用いただき、CO2削減とLTV向上の両立に挑戦します。
(未来投資)
新規事業投資と共創投資からなる未来投資は、サステナビリティ、Well-beingなどのインパクトと収益の両立をめざします。
新規事業は、ECを中心にメディア、店舗、フィンテックを掛けあわせた独自のビジネスモデルを構築し、社内からのイノベーションを創出します。
共創投資は、共創の理念にもとづき、共に成長し価値をつくる取り組みをすすめ、小売・フィンテックへの貢献利益と、ファイナンシャルリターンの両方を追求することで、社外からのイノベーション導入をめざします。
小売は、店舗の定借化による業態転換にともない収益改善および利益の安定化はすすんだものの、自己資本比率は依然として高い水準にあるため、余剰資本を再配分し、連結自己資本比率25%前後を目標にバランスシートの見直しをすすめてまいります。
また、5年間の基礎営業キャッシュ・フローを2,300億円と見込み、未来投資を含めた成長投資に800億円、資本最適化のための自社株取得に500億円、株主還元に1,000億円(うち配当800億円、自社株取得200億円)を配分する計画です。
※資本最適化のための自社株取得は2023年3月期で完了いたしました。株主還元については2024年3月期より方針を変更しております。
2019 年に策定した「丸井グループビジョン2050」にもとづき、サステナビリティとWell-beingに関わる目標を「インパクト」として定義しました。「将来世代の未来を共に創る」「一人ひとりの『しあわせ』を共に創る」「共創のエコシステムをつくる」の3つの目標の構成項目を一部変更し、主要な取り組み項目を中期経営計画の主要KPIとして設定しています。今後はKPI達成に向け、具体的な取り組みをすすめます。
また、ステークホルダーの求める利益としあわせを共に実現する共創経営に向けて、ステークホルダーをボードメンバーに迎えることで、ガバナンス体制を進化させてまいります。
2031年3月期のインパクトKPIを一部変更したことにともない、2026年3月期のインパクト目標についても変更しました。これらのインパクトを実現することで、EPS200円以上、ROE13%以上、ROIC4%以上をめざします。
以上のような取り組みを通じて、さらなる企業価値向上につとめてまいります。
株主の皆さまにおかれましては、今後も変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますよう、お願い申しあげます。
(注)サステナビリティ情報と財務情報のコネクティビティ
当社は、企業価値向上のため、ステークホルダーとの建設的な対話に資すると考えられる有益な情報については、財務情報・非財務情報にかかわらず、積極的に開示を行うことをポリシーとしており、事業報告において主にリカーリングレベニュー(継続的収入)といった当社が経営上重要と考えているLTV(生涯利益)に関する指標やインパクトなどのサステナビリティ情報を開示しています。
これらのサステナビリティ情報は、当社の企業価値の向上や毀損等をステークホルダーが評価するために有益な情報であり、サステナビリティ情報の基礎となるデータおよび仮定は連結計算書類をはじめとした財務情報の作成において、関連する会計上の見積り等に影響をおよぼすため、当社は上記の情報間のコネクティビティを重視しています。
具体的には、サステナビリティ情報の基礎データおよび仮定については、関連する財務情報の基礎データおよび仮定と同一のものを用いることで、サステナビリティ情報と監査証明の対象である財務情報のコネクティビティを確保しています。