第3号議案
定款の一部変更の件(投融資ポートフォリオを2050年炭素排出実質ゼロを求めるパリ協定1.5度目標に整合させるための移行計画の策定及び開示)

1.提案内容

以下の条項を、当社の定款に追加的に規定する。

第 章 移行計画(ポートフォリオの整合)
第 条 (投融資ポートフォリオを2050年炭素排出ネットゼロを求めるパリ協定1.5度目標に整合させるための移行計画の策定及び開示)

1.当会社は、当会社の投融資ポートフォリオにおいて2050年炭素排出ネットゼロを実現するという公約を果たすため、2050年まで又はより早期に炭素排出ネットゼロに至る確かなシナリオと整合する短期、中期及び長期目標を含む移行計画を策定し、これを開示する。なお、当該移行計画には、当会社の投融資ポートフォリオ内の主要な温室効果ガス集約型セクターにおける戦略的な投融資方針及び目標を含み、スコープ3の全てのバリューチェーンからの排出を考慮するものとする。

2.当会社は、前項の移行計画及び目標の進捗状況を統合報告書において開示する。

2.提案理由

 本提案は、当社の2050年ネットゼロ公約の達成計画の信頼性を株主が判断し、また、当社が気候変動リスクを適切に管理し、長期的な企業価値を維持向上するために必要な情報開示を求めるものである。

 当社は化石燃料等の炭素集約型セクターに大きく関与しており、重大な財務リスクを抱えているが、当該セクターにおける投融資ポートフォリオを2050年ネットゼロシナリオに整合させるための十分な目標又は投融資方針を設定・開示していない。

 国際エネルギー機関等の確かな達成シナリオが示す経路や主要な結論と整合する目標及び戦略的な投融資方針を設定・開示することで、当社の気候目標及び移行計画の信頼性を担保することは、極めて重要である。世界の同業他社はこの種の情報を開示している。

 本提案が求める開示は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)やネット・ゼロ・バンキング・アライアンス等を通じ、投資家が求める情報開示に合致する。

〔(会社注)以上は、株主から提出された書面に記載された提案内容及び提案理由を原文のまま記載したものです。〕

3.取締役会の意見

本議案に反対いたします。

 当社は、気候変動対応・環境保全への取り組みを経営の最重要課題として位置づけ、2021年5月に「MUFGカーボンニュートラル宣言」を公表しています。
 この宣言のもと、当社は、投融資ポートフォリオのGHG排出量の2050年ネットゼロ、自らのGHG排出量の2030年ネットゼロをめざし、着実に取り組みを推進しています。

 具体的には、以下に記載のとおりです。

1.MUFGでは、2050年投融資ポートフォリオのGHG排出量ネットゼロへ向けた取り組みを着実に進展させていること

  1. 当社は、GFANZ、NZBAのガイドライン等に基づき、投融資ポートフォリオのGHG排出量への影響の大きい、高排出セクター(電力、石油・ガス、不動産、鉄鋼、船舶)の2030年中間目標を設定し、実績も開示しています*1。今後、2024年6月までに、自動車、航空、石炭セクター等の中間目標の設定も予定しています*2。当社の2030年中間目標は、IEAの1.5℃シナリオ等を参考に、入手可能な最善のデータを用いて算出した数値です。当社としては、お客さまのカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを支援することが最も重要であり、多くのお客さまが2030年中間目標を設定していることを踏まえ、この時間軸を共有した中間目標の設定により、お客さまとの有効なエンゲージメントが可能になると考えています。2021年以降、これまで約1,500社のお客さまにエンゲージメント活動を展開し、気候変動ビジネスを着実に拡大しながら、継続的な支援を行っています。
  2. 当社は、環境・社会に関するリスクを管理する投融資方針の枠組みとして、「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」を制定し、ファイナンスの対象となる事業の環境・社会に対するリスク・影響を特定し、評価するデューデリジェンスのプロセスを導入しています。また、気候変動に関するリスク管理は、グループ全体の視点から、気候変動に関するリスクとその潜在的なポートフォリオ、事業、財務への影響をより的確に把握、測定、低減することを目的として、リスク管理枠組みの中に統合されています。

2.MUFGでは、移行計画を2023年度中に開示すること、また、目標の進捗状況をProgress Reportで開示しており、今後も統合報告書等でも開示予定であること

  1. 当社は、2050年ネットゼロに向けた移行計画につき、既に2023年度中の開示をコミットしています。策定にあたっては、GFANZのガイダンス*3等も参考にしつつMUFG全体の移行計画を策定予定です。
  2. また、目標の進捗はTCFDやNZBAのガイダンス等に沿って、毎年Progress Reportで報告しており、併せて統合報告書・サステナビリティレポートでも開示しています。今後も、統合報告書等の媒体において、目標の進捗の報告を行っていく予定です。

3.本邦において、定款は会社の組織・運営の基本的事項を定めるものであり、個別具体的な業務執行に関する事柄を定款に規定することは適切ではないこと

  1. 当社は、社会情勢をはじめとする各種状況の変化に臨機に対応すべく、事業計画を機動的に見直し、迅速に執行しています。一方で、定款は、その変更に株主総会での特別決議を必要とするものであり、仮に本議案が可決された場合、当社の機動的な対応がかえって難しくなり、お客さま等、多くのステークホルダーに悪影響が及ぶ可能性があることを懸念します。
  2. 当社としては、気候変動対応等、経営課題の取り組みは、株主の皆さまから信認を受けた取締役が、その責務として、機動的に対応すべき事柄と考えております。

 従って、定款に本議案のような規定を設ける必要はないと考えます。

*1 一例として、GHG排出量でセクター別最大の「電力」につき、当社は2030年に排出原単位156-192gCO2e/kWhをめざしています(これは2019年対比で約41%~約52%の削減に相当)。2022年3月時点では299gCO2e/kWhとなり、2019年(基準年)の328gCO2e/kWhから約9%減少しています。
*2 2021年における世界のCO2排出量のうち、これら8つのセクターで約8割を占めています(出所:IEA World Energy Outlook2022)。
*3 GFANZは、2022年11月にガバナンス、実行戦略、エンゲージメント戦略等を含む、5つの主要項目で構成される「移行計画」に係るガイダンスを公表しています。

【ご参考】
カーボンニュートラル実現に向けた当社の取り組みにつきましては以下の当社HPもご覧ください。
①「MUFG Progress Report 2023」
MUFGのカーボンニュートラル実現に向けた取り組みの進捗状況について、定量的な実績や目標の提示に加え、そこに至るアプローチやベースとなる考え方を報告しています。
https://www.mufg.jp/dam/csr/report/progress/202304_ja.pdf

②「MUFG サステナビリティレポート2022」
持続可能な環境・社会の実現と持続的成長に向けたMUFGのサステナビリティの取り組みについて、方針や体制・施策を中心に、直近の取り組みをまとめています。
https://www.mufg.jp/dam/csr/report/2022/sr2022_ja.pdf

その他、各種セミナー資料につきましては以下の当社HPをご覧ください。
https://www.mufg.jp/ir/presentation/index.html

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2023/06/29 12:00:00 +0900
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