第55回 定時株主総会招集ご通知 証券コード : 8439

事業の経過及び成果

 当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要の持ち直しなどにより企業収益や個人消費活動が改善するなど景気は緩やかな回復傾向にある一方、急速な円安の進行や資源価格の高騰、物価高に加え、欧米を中心とした金融引き締め政策、世界各地での紛争リスクによる社会経済への影響が続くなど、依然として先行き不透明な状況にあります。
 当社グループにおきましては、2023年度を初年度とした5ヵ年の「中期経営計画2027」を策定し、「自らを変革し、変化を創造する−TC Transformation and Sustainable Growth−」をテーマに、利益成長とROA向上に徹底的にこだわり、高い収益性と安定性あるポートフォリオへ変革することを進めてまいりました。

① 営業基盤の強化
国内リース事業分野

株式会社ふくおかフィナンシャルグループ(以下、FFG)と当社は、FFGの連結子会社であるFFGリース株式会社(以下、FFGリース)に関して、当社がFFGリースの第三者割当増資を引き受けることでFFGリースに対する両社の出資比率を戦略的に変更し、FFGリースを両社の持分法適用関連会社とすることについて合意いたしました。今後、九州のお客さまに対し多様な資金調達手段を提供し、持続的な地域経済の活性化・発展に貢献してまいります。

当社の連結子会社である株式会社TRYは、同じく連結子会社で米・IT機器リースを手掛けるCSI Leasing, Inc.(以下、CSI)より20%の出資を受け、「EPC Japan株式会社」へ社名変更し、ITADサービスの提供を開始いたしました。ITADサービスとは、IT資産を厳格かつ適正に処分するサービスを指し、ガバナンス・コンプライアンスを重視する企業にとって事業運営上欠かせない重要な分野として位置づけられています。CSIは、グループ会社のEPC,Inc.(以下、EPC)を通じ、世界20拠点以上でITADサービスを展開しております。EPCのノウハウを活用して、日本国内でもグローバル標準かつ高品質なITADサービスを提供してまいります。

オートモビリティ事業分野

当社の連結子会社でレンタカー事業を展開しているニッポンレンタカーサービス株式会社は、高効率運営の推進による利益率の大幅改善や車両売却益の増加により、過去最高益を更新いたしました。具体的な施策として、店舗パワーアップ計画を推進しており、今後、2025年までに全店舗の約3分の1にあたる合計約200店舗を対象に既存店の好立地への移転やリニューアルを進めてまいります。また、個人チャネルの強化や業務効率化計画など、「稼ぐ施策」と「削る施策」を各店舗で実施することで、さらなる収益拡大を実現してまいります。

自動運転サービスの社会実装を推進するため、当社は米国May Mobility, Inc.(以下、May社)及び株式会社T2(以下、T2)に出資いたしました。May社は自動運転技術の開発を手掛け、北米及び日本において自動運転サービスの普及・展開を目指しており、リードインベスターの日本電信電話株式会社をはじめ数多くの日本企業が資本参加し、自動運転の豊富な走行実績と高い評価を誇るテクノロジー企業です。T2は物流トラックの運転手不足という社会課題に対し、走行ルート等の特定条件下で完全自動運転を行う“レベル4”の自動運転システムを装備した幹線輸送サービスの導入により、物流ボトルネックの解決を企図しております。今回の出資をきっかけに、当社と連携して自動運転システムや搭載車両、さらには自動運転車両から物流施設まで一貫したサービスの提供が期待されます。今後、当社は自動運転などの「次世代領域」をオートモビリティ分野における将来の成長事業と位置づけ、持続可能なモビリティ社会の実現に貢献してまいります。

スペシャルティ事業分野

当社の連結子会社で航空機リース事業を展開しているAviation Capital Group LLC (以下、ACG)は、前期にロシア向けの全エクスポージャー(リース8機及び融資・融資保証)について748億円の特別損失を計上し、大幅減益となりましたが、当期はリース料収入及び機体売却益の大幅な回復等により、増収・増益となりました。航空機リースのマーケットは、ACGが主力とするナローボディを中心に、エアラインからの中古機購入や再リースの引き合いが強くなっており、足元のリース料及び機体価格は着実に回復している状況にあります。このような中古機体価格及びリース料の長期的な上昇が期待できる事業環境を背景に、ACGの業績は引き続き堅調に回復すると見込んでおります。今後は、世界各国にて急速に回復している旅行需要や、燃料効率の高い次世代機への更新需要に対応し、航空機リース事業の再成長を目指してまいります。

当社は、住友林業株式会社傘下の米国・森林アセットマネジメント事業会社Eastwood Forests, LLC が組成し、運用を開始した森林ファンドEastwood Climate Smart Forestry Fund Iに出資・参画いたしました。気候変動対策としてのCO2吸収・固定の価値だけでなく、生物多様性や水循環の保全といった自然資本としての付加価値を加えた、質の高いカーボンクレジットの創出を目指し、新たな森林関連ビジネスの展開につなげてまいります。

国際事業分野

当社は、NTTグループのNTT Global Data Centers Americas, Inc.と協業し、米国・シカゴにおけるデータセンター事業の共同運営を開始いたしました。本件事業規模はデータセンター3棟、総計画容量104MWに及ぶ大規模なプロジェクトとなりますが、米国・シカゴはデータセンターの集積地で、ハイパースケーラーからの需要も強いことから、さらなる事業の成長につながる優良な案件であるものと考えております。今後、NTTグループのパートナー企業として、デジタルインフラの整備等につながる取り組みを継続的に推進いたします。

当社の連結子会社であるCSIは、子会社のCSI Leasing Malaysia, Sdn. Bhd.を通じ、マレーシアにおいてIT機器の適正処分を請け負うITADサービス企業ExportXcel, Sdn.(以下、エクスポートエクセル)の全株式を取得いたしました。エクスポートエクセルは、複数の大手ITメーカーのITADパートナーを務めるなど、優れたサービスノウハウと処理能力を有するリーディングカンパニーであります。前述の国内リース事業分野におけるEPC Japanを含め、国内外でのグローバル標準のITADサービスを提供してまいります。

環境インフラ事業分野

当社は、英国屈指の独立系資産運用グループ、シュローダーのグループ会社であるSchroders Greencoat LLP(以下、Greencoat)と共同で英国内の稼働済み太陽光発電所34カ所(303MW)を取得いたしました。本件の共同投資家であるGreencoatは5.6GW(301カ所)の再生可能エネルギー発電資産を保有する英国トップクラスのアセットオーナーであり、英国の太陽光発電事業に本格参入する当社にとって、理想的な事業パートナーであるものと考えております。高い知見を有する事業パートナーとともに、欧州・北米における再生可能エネルギー事業の拡大に注力することにより、クリーンエネルギーの普及に貢献してまいります。


② 経営基盤の強化
・株式会社格付投資情報センター(R&I)より取得している当社の格付「A+」が「AA−」に変更され、格付の方向性がポジティブから安定的に変更されました。
・株式会社日本格付研究所(JCR)より取得している当社の格付「AA−」が「AA」に変更され、格付の見通しがポジティブから安定的に変更されました。
・当社は、持続的成長と中長期にわたる企業価値の向上を図るため、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応方針の現状認識・取組方針等を策定いたしました。前中計期間(2020年度〜2022年度)において、株式市場からは、マクロ環境の変化への対応力やリスクとリターンのバランスに配慮した最適な資産ポートフォリオの在り方が問われるなど、当社の株主資本コストは上昇し、PBRも2022年から現在に至るまで1倍を下回っております。当社の株主資本コストは現在10%と認識しておりますが、今後はリスク管理の高度化に基づく株主資本コストの低減及びROAに徹底的にこだわり中長期にわたる収益性の向上を実現し、ROE10%以上を達成することにより、PBRを改善してまいります。
・「中期経営計画2027」において、持続的成長に向けた基本方針の1つに「デジタルTransformation(DX)」を掲げ、DXを持続的な成長に向けた主要4要素の一つに位置付けております。デジタル技術や様々なデータを有効活用した金融・サービスを不断に創出し、パートナー企業やお客さまが直面する環境変化に対する事業基盤の整備及び新たな社会価値の創出に貢献することが、当社にとっての「DX」の中核であります。また、2023年7月より「DX人材育成プログラム」をスタートさせ、全役職員を対象としたDX研修を開始いたしました。お客さまへ提供する価値の向上と社員一人ひとりの主体的な生産性向上を目指し、価値を創造し続ける組織への改革を進めてまいります。
 業績につきましては、売上高は前期比212億円(1.6%)増加し1兆3,461億円、売上総利益は国際事業及びオートモビリティ事業での増益により前期比277億円(12.3%)増加し2,532億円となりました。
 販売費及び一般管理費は、前期比147億円(10.9%)増加し1,490億円となりました。主な要因は、国際事業の人件費及び物件費の増加であります。
 営業外損益は前期比19億円(12.7%)減少し131億円の利益となりました。主な減益要因は、支払利息の増加及び受取配当金の減少であります。
 これらにより、経常利益は前期比111億円(10.5%)増加し1,173億円となりました。
 また、特別損益は7億円の利益となり、法人税等は前期比144億円(68.2%)増加し355億円、非支配株主に帰属する当期純利益は前期比6億円(6.6%)増加し104億円となりました。
 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比674億円増加し721億円となりました。


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2024/06/24 12:00:00 +0900
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