第56回 定時株主総会招集ご通知 証券コード : 8439

事業の経過及び成果

 当連結会計年度におけるわが国経済は、総じて好調な企業収益と設備投資、高水準の賃金上昇等に基づく個人消費の持ち直しや旺盛なインバウンド需要等を背景に、緩やかな回復基調が見られたものの、円安の加速、物価上昇、人手不足、地政学リスクなどといった制約要因も顕著に現れ、依然、予見困難な情勢下にあります。さらに、今年1月に発足したトランプ政権の経済政策等により、経済環境は混迷さを増しております。
 当社グループにおきましては、2023年度を初年度とした5ヵ年の「中期経営計画2027」を策定し、「自らを変革し、変化を創造する−TC Transformation and Sustainable Growth −」をテーマに、利益成長とROA向上に徹底的にこだわり、高い収益性と安定性あるポートフォリオへ変革することを進めてまいりました。

① 営業基盤の強化
■ 国内リース事業分野

オムロンフィールドエンジニアリング株式会社と当社は、高圧FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)太陽光発電所を保有する発電事業者に向け、「FIT売電保証サービス」を開始しました。発電事業者に対し、初期費用・ランニングコストゼロでFIP制度(再生可能エネルギー発電事業者の売電時に一定の補助額(プレミアム)を支払う仕組み)への移行及び併設型蓄電池を設置し、出力抑制によるFIT売電ロスを補填することで、FIT同様の収入を保証するものであり、発電した電力の売買も代行し、発電事業者は手間なくスムーズなFIP発電所の運用が可能となります。本サービスを通じ、売電ロスに悩む発電事業者の課題解決や持続可能な循環型社会、カーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。

富士通株式会社と当社、及び両社が出資する当社連結子会社のFLCS株式会社は、企業や組織におけるモダナイゼーション推進のための「モダナイゼーション・ファイナンス・サービス」を開始しました。モダナイゼーションの費用面等の課題解決を図るため、新システムの初期費用平準化、新旧システムの二重支払回避、機器・システムの契約窓口一本化等を通じた管理業務軽減、移行元システム費用の逓減などを提供するものです。これまでデジタル領域のビジネス拡大で協業してきた3社は、お客様のモダナイゼーションを強力に推進し、DX実現に貢献してまいります。

■ オートモビリティ事業分野

当社連結子会社のニッポンレンタカーサービス株式会社は、料金改定効果、インバウンド需要の取り込み、車両売却益増加、販売管理費コントロール等の高効率運営により、過去最高益を更新した前期を更に上回る成績となりました。前期から開始した全店舗の3分の1にあたる約200店舗の好立地移転やリニューアル、スマホアプリを利用したカウンター手続不要の車両チェックインサービス開始、セルフレンタカーの台数拡大等の顧客サービス拡充も図っており、業界のパイオニアとして多彩な取り組みを推進し、収益拡大を実現してまいります。

当社及び当社連結子会社の日本カーソリューションズ株式会社は、GO株式会社(以下、GO)と、法人向けオートリースの電気自動車(以下、EV)の利用促進と最適化されたEV充電インフラの拡充を推進するため、業務提携契約(以下、本提携)を締結いたしました。本提携では、当社グループは顧客の充電に関する課題や運行実態を調査し、GOはそれらニーズを踏まえた充電インフラ整備と、充電サービス『GO Charge(注1)』を運営・提供します。本提携により法人向けオートリースのEVシフトを促進し、脱炭素社会の実現を目指してまいります。

(注)
  1. 街中に設置されているEV急速充電スポットの検索・予約・決済の3ステップをオンラインで完結できる充電サービス

■ スペシャルティ事業分野

当社及び当社連結子会社のTC Realty SG Pte. Ltdと、シンガポールを地盤としたアジア圏の有力不動産開発・ヘルスケア企業のOUE Limitedは、シンガポールのチャンギ国際空港ターミナル2に直結する「Hotel Indigo Changi Airport」(以下、本ホテル)の共同開発を決定しました。当社の経営するホテルとして海外初の本ホテルは、客室数255室を有し、革新的なデザインや屋上プール・ジムなどの施設に加え、滑走路などを見渡すことができるパノラマビュー等、空港ならではの宿泊体験提供をコンセプトに、太陽光発電パネル、ハイブリッド冷却システム、自然換気の廊下、雨水貯水技術などの機能を取り入れ、環境への影響を軽減しながらゲストの快適さとWell-beingの向上を目指しています。

当社は連結子会社のTCインベストメント・パートナーズ株式会社を通じ、株式会社アドバンテッジパートナーズ(以下、AP)が投資関連サービスを提供するファンド及び古河電気工業株式会社(以下、古河電気工業)とともに、株式会社AP78(以下、公開買付者)の親会社であるサステナブル・バッテリー・ホールディングス株式会社に対して出資を行い、公開買付者が古河電池株式会社(以下、古河電池)の発行済み普通株式の全部を公開買付け等により取得すること(以下、本取引)について、AP、古河電気工業及び古河電池との間で合意しました。当社は、「中期経営計画2027」において「脱炭素領域」「社会インフラ領域」「サーキュラーエコノミー領域」を注力領域に掲げ、本取引を契機にいずれの領域とも親和性の高い蓄電池と既存事業の連携を深め、付加価値の高い金融・サービスを提供するとともに、新規事業の開発・育成にも取り組み、社会インフラの整備及び環境に配慮した循環型経済社会の実現に貢献してまいります。

■ 国際事業分野

当社連結子会社のBPI Century Tokyo Lease & Finance Corporation(以下、BPICT)は、子会社のBPI Tokyo Century Rental Corporation(以下、BPITCR)を通じ、フィリピン共和国の独立系オートリース会社のDiamond IGB Inc.(以下、ダイヤモンド)及びダイヤモンドのグループ会社2社の事業を譲り受けた新会社・Brilliant Car Rental Corporationの全株式を取得しました。BPITCRは、フィリピン全土でオートを中心とするオペレーティ ング・リースを展開しており、ダイヤモンドの短期レンタルや車両管理サービスを加えることで、より質の高いオートサービスをワンストップで提供します。フィリピンの経済成長と新車販売の回復を背景に、当社はBPICT の合弁パートナー企業であるBank of the Philippine Islandsのネットワークと金融ノウハウを活用し、オートビジネスの強化と拡充を図り、社会インフラ整備への貢献を目指します。

当社連結子会社のCSI Leasing, Inc.は、ブラジル子会社のCSI Remarketing Locação de Equipamentos Ltda.(以下、CSIブラジル)を通じ、ブラジルでフォークリフトのメンテナンス付レンタル事業を展開する企業Somov Rental Ltda.(以下、Somov)の全株式を取得しました。Somovは、高水準のロジスティクスとリファービッシュスキル、顧客サイトに常駐する技術者の高いオペレーション能力を有しており、CSIブラジルとして新たにリースと親和性の高いフォークリフトのレンタル事業を展開し、経済規模の大きいブラジルにおいて、更なる収益の拡大を目指してまいります。

■ 環境インフラ事業分野

当社は、英国・イタリア・スペインを中心に約2GW超のclean発電資産を保有・運用するアセットマネージャーのCapital Dynamicsが開発・建設するイタリアの太陽光発電プロジェクト(以下、本プロジェクト)に出資いたしました。本プロジェクトは、日照条件が非常に良好なイタリアのシチリア州パレルモ県及びトラーパニ県に所在する2件の太陽光発電所(発電容量:188.8MW予定)の開発権益を取得するものです。当社は「中期経営計画2027」における成長戦略の一つとして「海外再生可能エネルギー事業の拡大」を掲げており、イタリアではIT企業を中心とした電力消費量の増加に伴う再生可能エネルギー(以下、再エネ)需要の拡大に伴い、市場の成長が見込まれていることから、本プロジェクトに出資することと致しました。今後も、高い知見を有する事業パートナーとともに、欧州・北米を中心とした再エネ事業の拡大に注力してまいります。

当社は、テスホールディングス株式会社(以下、テスホールディングス)と、再エネ事業の開発に係る協業を目的とした資本業務提携契約を締結しました。今後、国内における2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、脱炭素を取り巻く市場規模の拡大により、蓄電システム及び再エネ・省エネ関連ソリューションの堅調なニーズが見込まれる中、テスホールディングスが持つ再エネ発電所・蓄電所の開発に関する高い技術力及びEPC(注1)やO&M(注2)などの多様なソリューションの提供力と、当社の持つ豊富な顧客基盤及び再エネ発電所・蓄電所の事業者としての知見・実績とのシナジーにより、再エネ・省エネ領域でのさらなる成長・発展を目指してまいります。

(注)
  1. Engineering:設計、Procurement:調達、Construction:施工の略
  2. 「Operation(運転管理)」と「Maintenance(保守点検)」の略であり、発電設備や蓄電設備を安全かつ長期的に稼働させる上で欠かせない業務

② 経営基盤の強化
・当社は、2020年7月30日に発行した第2回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)の初回任意償還日における期限前償還を行うとともに、その借換資金として公募形式による第4回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)の新規発行及びハイブリッドローン(劣後特約付ローン)(以下、本調達)による資金調達を行いました。本調達は、資本と負債の中間的性質を持つハイブリッドファイナンスの一形態です。負債であることから、株式の希薄化は発生しない一方で、利息の任意繰延、超長期の償還期限、清算手続及び倒産手続における劣後性等、資本に類似した性質及び特徴を有しており、本調達は各格付機関から資本性認定を受けております。本調達は、当社のみならず当社グループ全体の資金調達力の強化及び調達コストの抑制に資するものです。
・当社は、経済産業省が東京証券取引所及び独立行政法人情報処理推進機構と共同で実施する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」において、「DX注目企業2024」に選定されました。当社は「中期経営計画2027」の基本方針の一つに「デジタル Transformation(DX)」を掲げ、昨年度には、DX推進活動の起点となるリース基幹業務システムの更改プロジェクトを完遂しています。お客さまに対するデジタル技術や様々なデータを有効活用した金融・サービスの提供と、社員一人ひとりの主体的な生産性向上を目指し、価値を創造し続ける組織への改革を進めてまいります。
・当社は、一般社団法人work with Prideが策定した職場におけるLGBTQ+など性的マイノリティに関する取組評価指標「PRIDE指標2024」において、過去2年の「シルバー」に続き最高位の「ゴールド」を受賞しました。当社は「中期経営計画2027」の基本方針の一つに「人材・組織Transformation(HRX)」を掲げ、「ダイバーシティ基本方針」に基づく人種、宗教、性別、年齢、性的指向、障がいの有無、国籍にとらわれない多様な人材の採用・育成・登用を推進し、昨年度には、法律上の配偶者のみに適用していた社内制度の対象を事実上の婚姻関係のパートナーに拡大するなど、一人ひとりがお互いを尊重しながら能力を最大限発揮できる環境づくりを進めており、今後ともダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを実現してまいります。

 業績につきましては、売上高は前期比225億円(1.7%)増加し1兆3,686億円、売上総利益はスペシャルティ事業及び国際事業での増益を主因に前期比270億円(10.7%)増加し2,802億円となりました。
 販売費及び一般管理費は、前期比142億円(9.5%)増加し1,632億円となりました。主な要因は、国際事業の人件費及び物件費の増加であります。
 営業外損益は前期比21億円(16.3%)増加し152億円の利益となりました。主な要因は、為替差益及び受取配当金の増加であります。
 これらにより、経常利益は前期比150億円(12.8%)増加し1,323億円となりました。
 また、特別損益は投資有価証券売却益を主因に前期比124億円増加し131億円の利益、法人税等は前期比152億円(42.7%)増加し506億円、非支配株主に帰属する当期純利益は前期比9億円(8.6%)減少し95億円となりました。
 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比131億円(18.2%)増加し853億円となりました。

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2025/06/23 11:00:00 +0900
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