代表取締役社長
株主の皆様には、平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。第132期定時株主総会招集ご通知(2022年4月1日から2023年3月31日まで)をお送りするにあたり、ひとことご挨拶申し上げます。
当期の事業環境について
当期(2022年度)の世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19。以下、「感染症」という。)の流行が一服した一方、ロシア・ウクライナ情勢等に起因する高インフレや金融引き締めを背景に、景気は緩やかに減速しました。また、3月に複数の米国銀行の経営破綻や欧州の大手金融機関の経営不安が発覚し、景気の先行き不透明感が強まりました。
当期の取り組み・業績について
当社グループの海運業を取り巻く市況は、当初好調であったドライバルク船においては、世界経済の減速により軟化する場面もありましたが、主力とするケミカルタンカーや、大型ガス船においては、ウクライナ情勢に起因する海上物流の変化等から非常に高い水準で推移しました。
このような中、大型原油タンカーにおいては、支配船腹を長期契約に継続投入し、業績の下支えに貢献しました。
ケミカルタンカーにおいては、当社の基幹航路である中東域から欧州及びアジア向けをはじめとする安定的な数量輸送契約に加え、アジア出しのスポット貨物を積極的に取り込んだことで、運航採算は大きく向上しました。
大型ガス船においては、LPG船・LNG船共に、既存の中長期契約を中心に安定収益を確保したことに加え、一部船舶が好市況を享受しました。また当期末には、LPGを推進燃料とし、温室効果ガスの排出量を削減可能かつクリーンエネルギーとして注目されているアンモニアを貨物として積載可能な、当社初の大型LPG船が竣工しました。
ドライバルク船においては、専用船が順調に稼働し安定収益確保に貢献しました。また、ポストパナマックス型及びハンディ型を中心とする不定期船においても、契約貨物への投入を中心に効率的な配船と運航に努め、夏場以降の市況下落の影響を一部では受けながらも、通期では当初の予想を大きく上回る運航採算を確保することができました。
また、内航・近海ガス輸送においては、既存契約を中心に効率配船に取り組み、安定的な収入を確保しました。
不動産業では、都心のオフィスビル賃貸市場において、事務所集約移転等の新規の需要もみられるようになりましたが、大企業を中心とするリモートワークの浸透によるオフィス需要減少に伴う賃料の下落が続き、空室率も依然として6%台と高い水準で推移しました。
そのような中、当社所有ビルにおいては、オフィスフロアが堅調な稼働を継続し、安定した収益を維持しました。商業フロアにおいては、感染症の影響を受けたものの、一部空室を解消することができました。また、当社グループが運営するイイノホール&カンファレンスセンター及びフォトスタジオにおいては、需要の回復に伴い稼働が改善に向かいました。英国ロンドンのオフィスビル賃貸事業においては、オフィスフロア・商業フロア共に順調に稼働し、収益を維持しました。
以上の結果、売上高は1,413億24百万円(前期比35.8%増)、営業利益は198億35百万円(前期比163.6%増)、経常利益は206億77百万円(前期比119.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は226億81百万円(前期比81.1%増)となり、売上高及び各段階利益において過去最高を達成しました。
なお、当期末の配当につきましては、安定的な配当及び利益成長との連動性を高めるために通期業績に対して配当性向30%を継続するという基本方針に基づき、普通配当38円とし、中間配当27円とあわせ年間で1株当たり65円とさせていただきました。
中期経営計画について
当社グループはこの度、2023年4月から開始する3年間の中期経営計画 「The Adventure to Our Sustainable Future」を策定しました。本計画は、事業ポートフォリオ経営とカーボンニュートラルへの挑戦をテーマに定め、前中期経営計画で掲げた長期目標としてのIINO VISION for 2030を受け継ぎ、これまで取り組んだ共通価値の創造をより力強く推進します。
重点戦略としては、独自のビジネスモデルであるIINO MODELを基盤とした事業ポートフォリオ経営による持続的な成長と、マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)の克服を両立させる諸施策を推進していきます。具体的には、利益の蓄積により強固になった財務基盤から、前計画比で2倍超となる3年間総額で約1,000億円の投資を、成長性やマテリアリティとの関連度の高い成長・新規事業を中心に効率的に配分し、持続的な成長を実現できる最適な事業ポートフォリオの構築を目指します。さらに、重視する経営指標に投下資本利益率(ROIC)を新たに加え、資本収益性の向上と事業間のシナジーの創出を意識した戦略を推進することで、経済的価値を高めていきます。また、マテリアリティの克服については、テーマに定めたカーボンニュートラルを2050年までに達成するロードマップを策定の上、他律的な技術革新を織り込みながらもそれに過度に依存することなく、実行可能な温室効果ガス削減施策に取り組み脱炭素に貢献する他、人的資本の強化や人権尊重への対応等の社会的要請にも着実に対応していきます。さらに、前計画で社内にタスクフォースを設置し、デジタル基盤の整備から着手したDXへの対応については、スタートアップとの協働による課題解決の経験と実績も踏まえ、新たに専門部署を設置の上でその取り組みを一層加速させていきます。
今後とも株主の皆様のご期待にお応えできるよう精励いたしますので、引き続き倍旧のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
日時
2023年6月28日(水曜日)
午前10時(受付開始 午前9時)
場所
当日ご出席の株主様
議決権行使書用紙をご持参いただき、株主総会当日に会場受付にご提出ください。(ご捺印は不要です)
2023年6月28日(水曜日)
午前10時(受付開始 午前9時)
当日ご欠席の株主様
議決権行使書用紙に各議案に対する賛否をご記入いただき、切り取ってご投函ください。
2023年6月27日(火曜日)
午後5時到着分まで
当社指定の議決権行使ウェブサイトにて各議案に対する賛否をご入力ください。
2023年6月27日(火曜日)
午後5時まで