事業報告

会社の対処すべき課題

ソフトバンク・ビジョン・ファンドの成功

当社グループではソフトバンク・ビジョン・ファンドを成功に導き、同ファンドの利益の最大化および同ファンド出資者としての当社グループの持続的な成長の双方を実現していきます。ソフトバンクグループ㈱の海外子会社が同ファンドのジェネラル・パートナーを務め、英国の金融行為規制機構(Financial Conduct Authority)に登録される予定の他のソフトバンクグループ㈱の子会社からの投資アドバイスを受けて同ファンドの運営を行います。

ネットレバレッジ・レシオの改善

当社グループの当期末のネットレバレッジ・レシオ(注)は、2016年9月のアームの買収により2015年度末から0.4ポイント悪化し、4.2倍となりました。今後、ソフトバンク・ビジョン・ファンドへの出資を行いながらも、スプリント事業を中心とした調整後EBITDAの拡大、および国内通信事業で創出される潤沢なフリー・キャッシュ・フローを原資とした純有利子負債の削減により、ネットレバレッジ・レシオの改善を目指していきます。

(注)

  • ネットレバレッジ・レシオ=純有利子負債÷調整後EBITDA(純有利子負債はハイブリッド債で調達した金額の50%を資本とみなして算出。調整後EBITDAは直近12カ月累計)。純有利子負債=有利子負債-手元流動性(アリババ株式に係る株式先渡契約金融負債は有利子負債から控除)

今後の成長分野でのアームのシェア拡大

プロセッサーの設計を手がけるアームのテクノロジーは、省電力性に優れており、現在、スマートフォン用メインチップの95%以上に採用されています。アームの製品・サービスが属する世界の半導体市場は堅調な成長が見込まれており、アームは、研究開発にさらに積極的に取り組むことで、スマートフォン分野での圧倒的なシェアを維持するとともに、ネットワーク・インフラ、サーバー、車載機器、IoT、AIなどの成長余地が大きいとみられる分野でもシェアを拡大させていきます。

スプリントの着実な改善

米国の移動通信市場は成熟期を迎えており、メディアやケーブルテレビも巻き込んだ業界再編の機運が高まっています。こうした状況を踏まえつつも、スプリントは現状、単独で成長軌道への復帰を目指し、契約数の拡大を図るとともに大規模なコストの削減を進めています。

最大の収益源であるポストペイド携帯電話の契約数が2期連続の純増となったことで、当期の米ドルベースの売上高は2015年度を上回りました。コスト削減については、当期に事業運営の効率性を向上させ、ネットワーク関連費用を中心に大幅な削減を達成しました。

こうした売上高の拡大とコストの削減を引き続き推し進めることにより、調整後EBITDAおよび営業利益を着実に成長させていきます。

国内通信事業のフリー・キャッシュ・フローの安定的な創出

日本の移動通信市場は成熟期を迎えている上に、MVNO(注)が格安の料金プランを武器にシェアを急速に伸ばしています。こうした状況下でも、国内通信事業は設備投資の効率化を図りながら、スマートフォン契約数の拡大に重点的に取り組み、フリー・キャッシュ・フローを安定的に創出していきます。スマートフォンは、最大の収益源であるとともに、注力するインターネットサービスの入り口として重要な役割を担っています。

具体的には、移動通信サービスと「SoftBank 光」などのブロードバンドサービスをセットで契約する顧客に対して、移動通信サービスの通信料金を割り引くサービス「おうち割 光セット」の拡販に注力し、スマートフォンの新規契約獲得および既存契約維持を図っています。また、格安スマートフォン市場が拡大する中、移動通信サービスのサブブランド「Y!mobile」の拡販も積極的に進めています。さらに、これらのスマートフォン顧客がヤフー㈱のサービスをこれまで以上に利用するよう、イーコマースを中心に同社との協業に取り組んでいます。

(注)

  • MVNO: Mobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信事業者)の略。通信事業者からネットワークを借りて移動通信サービスを提供する事業者。