当連結会計年度(2024年4月1日〜2025年3月31日)における国内景気は、雇用及び所得環境が改善し、インバウンド需要の拡大等により、先行きについても緩やかに持ち直しの動きがみられるなど回復が継続しております。しかしながら、年度末にかけての欧米諸国における政権交代や国内外の金融資本市場の動向など、景気を下押しするリスクが高まりました。
建設業界においては、高騰する建設資材価格や労務需給の逼迫による建設コストの上昇等の影響があり、厳しい経営環境が続いております。一方で、受注環境においては、官公庁工事の受注が減少したものの、民間工事の受注が製造業、非製造業ともに増加したことにより、受注総額は前年度比で増加になり、建設需要は堅調な状況が続きました。
当社グループにおいては、2022年5月に当連結会計年度を最終年度とする「中期経営計画2024ローリングプラン」を公表し、建築、土木及び戦略の各基幹事業における顧客への提供価値の進化を進めるとともに、重点管理事業として、新TODAビル、海外事業及び浮体式洋上風力発電事業等の再エネ事業を掲げ、これらの事業へ成長投資を行い事業ポートフォリオの強化に取り組んでまいりました。中長期的成長を目指すため、トップマネジメントの積極的関与のもと継続して成長投資を推進しました。なお、成長投資を推進する一方でROE(自己資本利益率)8%以上を中長期的に確保するため、ROIC(投下資本利益率)5%以上を収益性の管理指標として設定するなど投資プロセスの強化にも取り組みました。
このような状況の中、当連結会計年度における当社グループの業績は以下のとおりとなりました。
連結売上高については、手持ちの大型工事が進捗したことにより建築事業の売上高が増加し、また販売用不動産の売却が増加したことにより国内投資開発事業の売上高が増加し、5,866億円と前連結会計年度比12.3%の増加となりました。
営業損益については、主に当社の建築事業において採算性が向上したことや、国内投資開発事業において販売用不動産の売上総利益が増加したことなどから売上総利益は767億円と前連結会計年度比21.7%の増加となりました。また、販売費及び一般管理費は主に人件費が増加し501億円と前連結会計年度比11.0%の増加となりましたが、営業利益は266億円と前連結会計年度比48.8%の増加となりました。
経常利益については、保有する投資有価証券の受取配当金などを営業外収益に計上し、290億円と前連結会計年度比14.1%の増加となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益については、環境・エネルギー事業において減損損失及び将来発生すると見込まれる損失を計上しましたが、政策保有株式の売却を進めたことによる投資有価証券売却益の計上により、251億円と前連結会計年度比56.4%の増加となりました。
また、事業の種類別セグメントにおける業績は次のとおりであります。
建築事業及び土木事業においては、国内及び海外において、施工を核として建設物のライフサイクル全般にわたり、事業の展開を図ってまいりました。
この結果、建築事業の売上高は3,581億円(前連結会計年度比10.0%増)となり、セグメント利益は168億円(前連結会計年度比158.7%増)となりました。また、土木事業の売上高は1,271億円(前連結会計年度比6.0%増)となり、セグメント利益は75億円(前連結会計年度比0.0%減)となりました。
国内投資開発事業においては、国内において保有する土地及び建物の有効利用を図るとともに、賃貸並びに国内の建築及び土木事業に付帯する販売を中心に事業を展開してまいりました。この結果、売上高は477億円(前連結会計年度比108.2%増)、セグメント利益は47億円(前連結会計年度比20.7%増)となりました。
国内グループ会社事業においては、国内の連結子会社が行う建築事業、土木事業、ビル管理を主とする不動産事業、ホテル事業、グループ企業内を中心とした人材派遣業、並びに金融・リース事業を中心に事業を展開してまいりました。この結果、売上高は582億円(前連結会計年度比8.3%増)、セグメント利益は31億円(前連結会計年度比64.1%増)となりました。
海外グループ会社事業においては、海外の連結子会社が行う海外における建設工事及びこれに付帯する事業、並びに不動産の自主開発、売買及び賃貸等に関する事業を中心に展開してまいりました。この結果、売上高は574億円(前連結会計年度比17.6%増)、セグメント利益は11億円(前連結会計年度比20.8%減)となりました。
環境・エネルギー事業においては、当社グループが行う発電及び売電に関する事業を中心に展開してまいりました。この結果、売上高は9億円(前連結会計年度比32.1%減)、セグメント損失は10億円(前連結会計年度は4億円のセグメント損失)となりました。
なお、当社個別の部門別の受注高・売上高・繰越高は、次のとおりであります。
・三田小山町西地区市街地再開発組合 三田小山町西地区第一種市街地再開発事業に伴う施設建築物新築工事(北街区)
・㈻昭和大学(現㈻昭和医科大学) 昭和大学鷺沼キャンパス整備工事
・㈱千葉ヤクルト工場 新千葉工場建設工事
・ルイス特定目的会社 (仮称)KIX01Aデータセンター新築工事
・㈱牧野フライス製作所 株式会社牧野フライス製作所 富士吉田工場 4期工事
・㈱NTKセラテック (仮称)NTKセラテック富谷工場新築工事
・東京都 城北中央公園調節池(二期)工事
・国土交通省関東地方整備局 R6霞ヶ浦導水第2機場新設工事
・豊明間米南部土地区画整理組合 豊明間米南部土地区画整理事業 令和6年度整地工事
・国土交通省北陸地方整備局 R6-9金沢東環 森本トンネル工事
・舞洲開発特定目的会社 (仮称)DPL大阪舞洲新築工事
・㈱ジャパネットホールディングス、㈱リージョナルクリエーション長崎 長崎スタジアムシティプロジェクト(Ⅱ・Ⅲ工区)
・ラム特定目的会社 ESR南港OS1データセンター新築工事
・泉大津市立病院(仮称) 新泉大津市立病院整備事業
・(大)琉球大学 琉球大学(西普天間)医学部関係施設整備事業
・サンライズ印西フォー特定目的会社 (仮称)サンライズ印西フォーDC建設工事
・(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構 中央新幹線、上小山田非常口
・国土交通省近畿地方整備局 大野油坂道路新長野トンネル野尻地区工事
・国土交通省四国地方整備局 令和2-5年度窪川佐賀道路平串トンネル工事
・環境省 令和5年度から令和6年度までの浜通り北支所管内仮置場復旧等工事