TODAグループは、2021年に発表した「未来ビジョンCX150」(以下「CX150」)の実現に向けて、2024年度を最終年度とする「中期経営計画2024ローリングプラン」(2022年5月発表、以下「前中計」)に基づき、事業ポートフォリオの強化と持続可能な価値創造に取り組んでまいりました。
前中計では、CX150のフェーズ1「価値の源泉へのアクセス」を目的に、新本社ビル「TODA BUILDING」の建替え、地域創生を目指す「アグリサイエンスバレー常総」の開業、カーボンニュートラルに向けた「五島市沖洋上風力発電事業(浮体式洋上風力発電事業)」の推進など、将来を見据えた成長投資を積極的に実施いたしました。また、一部の業績目標は未達となったものの、最終年度には建設事業の収益が回復基調に転じており、この勢いを新たな成長の推進力へと転換させてまいります。
このような成果と課題を踏まえ、さらに今後の不確実な経営環境に向け、確固たる強みを見極め展開し、TODAグループ独自の「突出価値」を創造していくことが不可欠であると認識しております。特に、営業・作業所における提供価値を高める「タテ展開」と、建設事業と戦略事業の連携を深める「ヨコ展開」を推進し、高収益化を目指していきます。また、人財のフロントシフト、デジタル・技術開発への投資を拡充するとともに、資本効率の向上を通じ、事業基盤を一層強固なものとしてまいります。
『中期経営計画2027』を通じて、CX150のフェーズ2「価値の再構築」を着実に推進し、皆様のご期待に応える持続的な成長と、中長期的な企業価値の向上を実現してまいります。
※突出価値:TODAグループの独自の視点と最先端の技術に基づく、お客様の期待を超える突出した提供価値
『見極め、つなぐ』〜 発散から結束、価値の最大化へ 〜
・確固たる強みを見極め、総合知としての活用を通じて、競争優位に資するTODAグループ独自の価値(突出価値)を創造する。
・営業・作業所等のフロントラインにおける価値提供(タテ展開)と、建設事業と戦略事業の協働による相互シナジー(ヨコ展開)によって高収益化を目指す。
※ 総合知:多様な「知」が集い、新たな価値を創出する「知の活力」を生むこと(内閣府)
⑴ 連結売上高・営業利益等
・収益成長(2024年度比:売上高+36.4%、営業利益+63.3%)とともに、資本効率を意識した経営(ROE10.0%以上)を推進していく。
※ 労働生産性=付加価値額(営業利益+総額人件費)÷社員数(期中平均、派遣社員等を含む)
⑵ 事業別売上高・利益
・建設事業の収益成長と戦略事業の総合力によって業績目標の達成を計画する。
※ 連結売上高・営業利益には連結消去を含む
※[ ]は利益率
⑶ 株主還元方針
・直接的な利益還元と中長期的な株価上昇による株主還元を目指し、DOE3.5%以上、総還元性向70%程度とする。
※ DOE(自己資本配当率)=配当総額÷自己資本
※ 総還元性向=総株主還元額(配当総額+自社株式取得総額)÷親会社株主に帰属する当期純利益
[人財の育成及び社内環境整備に関する方針]
経営戦略を実現させる主体は「人財(従業員)」に他なりません。ゆえに人財戦略=投資と位置付け、対象領域として人事制度刷新、働き甲斐改革、人財開発、ウェルネス・DE&I、グローバリゼーションの5つの領域を定めました。今後、各領域が連動して施策を展開することにより、経営ビジョンを実現できる価値の高い人財(次世代経営人財)を継続的により多く輩出することを目指しております。また、健康と安全に配慮した働きやすい環境を確保するとともに、多様性と人格・個性を尊重し、資質・能力を最大限発揮できる職場環境の実現に向けて取り組んでおります。
(人事制度刷新)
2023年度に人事制度を刷新して、ミッション・グレード制度を導入し、従来の年功的要素を廃して、実力主義により役割や貢献度に応じた役職付与や報酬へと移行しました。本制度では、年齢や勤続年数によらず役割価値を基準として等級・報酬が設定されるため、実力ある若手の重要ポストへの抜擢や適材適所の配置が可能となり、会社全体の成長意欲の底上げと組織の活力の向上につなげていきます。
さらに、より納得性・公平性の高い新たな評価制度への移行や65歳までの選択定年(定年延長)制度の導入、70歳までの再雇用制度の拡充、若い優秀人財の登用を促進する役職定年制度の導入など、将来に向けて企業風土の改善や持続的な企業価値の向上を図っております。
(働き甲斐改革)
従業員一人ひとりが日々の仕事に働き甲斐を感じて、気持ちをひとつにチャレンジ精神を持って活き活きと仕事に臨むことができる環境を構築することで、新しい価値が生み出されます。また、従業員一人ひとりが思い描く理想の「ライフ(人生)」を実現する手段のひとつとして「ワーク(仕事)」を考え、家族や趣味、学びなどの手段とともに、より自分らしく、充実した働き方を選択する「Work in Life」の考え方を重視しています。
2024年度から適用された時間外労働の上限規制を踏まえ、総実労働時間の短縮や休暇取得日数の増加などの取り組みを全社的に推進しています。さらに、経営者目線で事業案を考え、これまでの業務ではチャレンジできなかった領域に踏み出すことができるなど、従業員がより大きなやりがいや成長を実感できる機会を提供することを目的として、社内ベンチャー制度を導入しております。
今後も引き続き、従業員が「Work in Life」を追求して、日々の業務に働き甲斐を実感できるような環境づくりを進めていきます。
(人財開発)
人財開発・育成の基本方針を、「多様・多彩な人財を育成・確保し、事業基盤を強化する」と定めており、一人ひとりの能力向上に向け、OJT(On The Job Training)による育成を主体としております。OJTでは、現業での実践的な問題解決能力、変化への適応力、企業文化や価値観を体得することを目的としております。経験豊富な社員が計画的に個々に合わせた指導で、社員の早期戦力化と継続的な能力開発を促進します。
一方、Off-JTでの人財育成では、現行職務のスキルアップを主目的とする研修プログラムと、一人ひとりのキャリアアップの志向に合わせて選択できる開発プログラムに刷新し、中長期的な個人の成長を促しております。
当社では、次世代経営人財候補者が常時50人程度プールされている状態を実現するために、全社横断的な取り組みを実施しております。具体的には毎年度、各事業本部において選抜されたポテンシャル人財に対し、伴走型コーチングを中心に効果的な育成施策を展開しております。伴走型コーチングにおいては、人事統轄部に所属する社内のキャリアコーチが1on1の定期的・継続的なコーチングを実施し、経験学習サイクルを促進しております。
(ウェルネス/ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I))
当社が持続的に成長し続けていくためには、従業員が心身ともに「健康」であり続けることが必要不可欠です。当社グループは、重要施策として「健康経営の推進」を掲げ、トップメッセージを通じて、心身ともに健康で成長と働き甲斐が実感できる職場環境を醸成するための各種取り組みを実施してきました。その結果、健康経営優良法人2025(ホワイト500)に継続認定されています。そして、各種施策を通して抽出された健康関連の目標達成に向けた重要指標(KPI)を設定し、健康経営推進ワーキングによる活動を中心に各種取り組みを進めています。従業員のウェルビーイング(心身の健康と幸福)を実現するため、さらなる健康意識の向上に向けて取り組んでいます。
また、多様化したニーズを的確に把握し、社会に必要な価値を提供するためには、従業員の多様な価値観と能力が不可欠であると考えています。そのため、性別やLGBTQ+(性的マイノリティ)、国籍、人種、宗教、スキルなどの多様な背景を持つ人財が活躍できるよう、人権方針の策定や働きやすい環境の整備など、様々な取り組みを推進しています。
さらに、女性活躍推進においては、「キャリア形成」と「就業環境」の両面からの取り組みを強化してきました。女性従業員のキャリア形成のため、女性経営者育成支援研修や大学講座等への派遣を行っており、また育児休業などのライフイベントを支援する制度によって柔軟な働き方ができるよう環境整備をしています。
加えて、仕事と育児の両立支援として、男性女性ともに育休取得予定者とその上司へ面談を実施し、正しい理解のもと相互に安心して育児休業を取得できるようサポートしています。
(グローバリゼーション)
重点管理事業と位置付けている海外事業の更なる推進に向けて、その担い手となる従業員の教育や就労環境の整備に取り組んでいます。近年、研修体制を強化して、従業員の経歴や専門知識・能力・技術・人脈などに加えて、さらに必要とされる「語学力・自己発働思考・異文化理解力」の3点を習得できる環境を整備しています。
その一端として、早い段階からのグローバルマインドとビジネススキルセットの習得を目指し、若手従業員を独立行政法人国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊事業に派遣することを決定しました。
今後も国内外で活躍して企業価値の向上を牽引するグローバル人財を計画的・継続的に創出していきます。