第62回定時株主総会招集ご通知 証券コード : 2678
当社は、2025年7月4日に「2026年5月期〜2029年5月期中期経営計画(以下、新中期経営計画)」を策定し、公表いたしました。
新中期経営計画の策定にあたっては、まずは、長期的視点で当社が何を実現したいのかというビジョンについて議論を重ねました。
創業以来、全社に根付いているDNA「お客様のために進化する」の根源にある
・創業の精神である中小事業所に大企業並みのサービスを提供すること等、お客様のお困りごとを解決したいという意志。
・1 box for 2 trees project(お客様のコピー用紙1箱ご購入に対して、2本植林し、育てて、収穫して、コピー用紙をつくる仕組み)に代表される社会的責任を果たすこと。
・自社で蓄積したビッグデータをパートナー企業と共有する等、共創によって新たな価値を社会に還元すること。
といったアスクルらしさを発展させ、働くひとの自己実現をサポートすることで幸せなひとを増やしたいという想いを込めて、2050年ビジョンを「誰もがうれしい自分を次々と実現できる社会をつくる。」と定めました。
そして、中間地点である2035年のあるべき姿を「Beyond Retail〜小売を超えて、働くを革新する〜」と位置づけ、バックキャストにて2026年5月期から2029年5月期までの4年間に取り組むべき経営方針を新たな中期経営計画として策定いたしました。
生産労働人口の減少、AI/テクノロジーの進化等、社会を取り巻く環境は加速度的に変化しております。当社はこれからも時代の変化によって生み出されるお客様のお困りごとの解決をサポートし、誰もが何度でも「うれしい」状態になれるような社会を目指してまいります。
前中期経営計画「2022年5月期〜2025年5月期」では、最終年度である2025年5月期には、連結売上高5,500億円、連結営業利益率5%、連結株主資本利益率(ROE)20%を計画しておりました。高い目標を設定したことで成長は加速し、2022年5月期〜2024年5月期の連結売上高、連結営業利益は過去最高を更新しました。特に、物流効率化等によりASKUL事業、LOHACO事業ともに限界利益率は計画を上回り、利益構造は着実に良化し、LOHACO事業は2023年5月期に計画通り営業黒字を実現しました。
しかしながら、新アスクルWEBサイト(システム)の投資額増加に伴う償却費負担の増加およびソロエルアリーナサイトのオープン化効果の計画未達や、商材拡大(アイテム数)偏重による新規投入商品の低稼働、黒字化優先によるLOHACO事業の売上計画未達、「ASKUL関東DC」立ち上げによる固定費増などにより、前中期経営計画の最終数値計画(2025年5月期)は未達となりました。
直近の課題として、仕入原価の高騰を背景とした断続的な商品値上げや配送バーの改定によるお客様数の減少、新規投入したMRO(注1)等の専門商材の低稼働、中堅・大企業向け購買プラットフォーム市場における当社売上高の伸び悩みなどを認識しており、新たな中期経営計画ではこれらの課題に対応することでさらなる成長を目指します。
当社グループの強みとしては、多様な業種・企業規模のお客様の購買ビッグデータの蓄積、全国で当日・翌日配送を可能にする高度に自動化された独自の物流基盤、競合他社との差別化を強化するオリジナル商品の開発力、エージェントの全国各地における強固な営業基盤等があり、今後は強みをさらに活かして成長領域に徹底的に注力し、新たな価値を創造してまいります。
新たな中期経営計画では、主に以下2つのテーマに取り組むことで、最終年度である2029年5月期には、連結売上高6,000億円、連結営業利益率5%、連結株主資本利益率(ROE)20%を目指してまいります。
ASKUL事業の戦略ターゲットは、お客様のロイヤリティと成長率が高く、市場のポテンシャルも大きい医療・介護、宿泊、飲食などの対人サービス業種と定めました。また、重点商材領域は、お客様からのご要望が多く、幅広いお客様業種でご利用いただける「仕事場の日用品」と定めました。この領域は市場規模が大きく、BtoB、BtoC共通のニーズも多いことからオリジナル商品の開発がしやすい点も特徴となります。重要テーマは、ニーズに即した品揃え強化、価格競争力があるオリジナル商品による差別化、売り場の利便性強化となり、BtoB市場における多方面の協業検討も開始いたします。
LOHACO事業は、ASKUL事業の規模を活かしたオリジナル商品の提供、ASKUL事業との物流一本化による納期短縮、LINEヤフー株式会社との協業による進化、販売チャネルの拡大により健全な成長による企業価値向上を目指してまいります。
事業を支える物流戦略は、物流ネットワークのさらなる進化により、物流品質向上とコスト低減を図ります。
またビッグデータ活用による業務効率化を進化させ、AI AGENTによるサービス革新を目指してまいります。
2035年においては、既存のリテール事業を強化することに加えて、あらゆる業種に幅広くご利用いただいている強固な顧客基盤やバリューチェーンの各プロセスで蓄積したデータ、商品力・物流力・営業力などのアセットを活用し、企業の従業員や企業のお客様に向けたソリューションビジネスを、積極的に推進いたします。
新たな価値提供領域の確立のため、2026年5月期期初にCEO直轄に組織を新設しPoC(注2)を積極推進するとともに、成長投資枠最大1,000億円の活用によるM&Aや他社協業を積極的に推進し、2035年における既存事業領域と新規事業領域の利益割合(EBITDAベース)50:50を目指してまいります。