POCTは、臨床現場即時検査と訳され、病院検査室あるいは外注検査センター以外の医療現場、つまり外来、手術室、病棟のベッドサイドなど患者のそばで行い、速やかに検査結果を得て医師の早期診断や治療につなげるために行う検査をさします。迅速性が求められることから、一般に大きさがコンパクトで操作に簡便性が求められます。
デンカが製造販売する「クイックナビシリーズ」のような抗原迅速診断キットはPOCTの代表例で、感染症分野の迅速診断に貢献しています。
これまでに培った多様な技術により最短5分で判定が可能です。また、供給力の高さは国内トップクラスとなっています。
一つの検体浮遊液を使って検体共有が可能なため、マイコプラズマ、インフルエンザ、新型コロナウイルス、RSウイルスなどの感染症を同時に検査できます。医療従事者の感染リスクと受診者の負担が低減されます。
着色ラテックス免疫クロマト法を使用し、特定の抗原や抗体を迅速に診断します。この技術は、色付きのラテックス粒子が特定の抗原や抗体に結びつくと、検出ラインに配置された抗体と結合します。その結果、テスト結果はラインとして表示され、色分けにより簡単に判定できます。
デンカは、ヘルスケア事業のさらなる成長を目指して、五泉事業所の鏡田工場で抗原迅速診断キットの生産能力を増強しました。さらに、デジタライゼーションを活用して業務、製造、物流のプロセスを改革・自動化し、省力化を強化していきます。本設備は2025年から稼働し、拡大する検査需要に対応して、世界中の人々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上に貢献することを目指しています。