第171回定時株主総会招集ご通知 証券コード : 4062

経営方針、経営環境及び対処すべき課題

会社の経営の基本方針

企業理念

『私たちは、人と地球環境を大切にし、革新的な技術で、豊かな社会の発展に貢献します。』

当社グループの企業理念体系
~イビデンウェイ~

当社グループの長い歴史における、「幾多の困難を全員で乗り越え、イビデンを存続させてきた力」と「近年の飛躍的な成長を実現させた英知と活力」。これらを、世代や国籍を超えて受け継がれるように体系化したものが「イビデンウェイ」です。

共有すべき行動精神

誠実
私たちは、現地現物を行動の基本におき、顧客や社会からの信頼に応えます。


私たちは、全員参加のもと、多様な英知を結集し、より大きな力を生み出します。

積極性
私たちは、時代の変化を予見し、新たな価値の創造に果敢に挑戦します。

イビテクノの進化
私たちは、創意と工夫を重ね、高き目標をやりきることで成長します。

イビデンのDNA

 イビデンのある大垣市は、かつて揖斐川を通じて東海道の要衝桑名と結ばれる水運の商業地として隆盛を極めました。やがて明治維新後の衰退を受け、揖斐川の豊富な水源を利用した水力発電事業による産業誘致に活路を見出すべく、1912年(大正元年)に当社の前身である「揖斐川電力株式会社」が設立されました。揖斐川電力株式会社は大垣再興のシンボルとして大企業の工場誘致による発展に貢献いたしました。その後、電力事業で培った電気炉技術を応用し、電気化学工業へ進出し、モノづくり企業としての歴史をスタートさせます。

 以降、石炭から石油へのエネルギー革命、高度経済成長、情報化社会へのシフトなど、時には存続の危機に陥れるような外部環境においても、常にその時代の業界のリーディングカンパニーである当社のお客様から次の時代のニーズを敏感に察知し、蓄積した要素技術を応用した新たな技術・製品を生み出してまいりました。

 このような変化の中でも一人ひとりが当事者意識を持ち、「現地」、「現物」、「自掛(じがかり)*」を実践する企業風土と高き目標に挑戦する「人財」こそが、難局を乗り越える大きな力であったと考えております。また、水力発電から始まったイビデンの事業には常に「自然の恵み」が欠かせませんでした。イビデンが積み重ねた110有余年は常に自然の恵みに感謝をし、共生していくことと向き合ってきた歴史でもあります。これらの先人たちの精神は、イビデンが大切にする価値観「イビデンウェイ」として現在に受け継がれ、次を担う世代にもバトンをつないでまいります。

 *自掛(じがかり):自分たちが手掛ける業務・仕事を、自ら考え、自らの力で仕上げていくこと

新たな環境変化への挑戦

 当社グループでは、2023年度より始動しております5ヵ年の中期経営計画「Moving on to our New Stage 115 Plan」で掲げている5本の活動の柱に基づき、事業環境変化に確実に対応するとともに、安定した成長の実現に向け、新たな経営体制のもと、全社グループ一丸となって取り組んでまいります。また、経営と従業員の視点による人的資本経営を実践し、自立型人財の育成とフレキシブルな組織体への変革を図るとともに、引き続き、経営の基盤としてのESG経営を推進することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 当社グループといたしましては、これらの経営課題・リスクに着実に対処することで、収益基盤を一層強固なものとし、中期経営計画の目標達成とともに、その先の永続的・安定的な成長を実現するための取組みを継続してまいります。

(ご参考)中長期的な会社の経営戦略

事業環境の変化

(ご参考)
中期経営計画〜Moving on to our New Stage 115 Plan〜(2023年度〜2027年度)

    活動の5本柱    


    全社経営目標    


対処すべき課題

事業環境

 今後の世界経済の見通しにつきましては、緩やかな景気の拡大局面の継続が期待される一方で、地政学リスクの継続や中国における経済成長鈍化の長期化など、不安定かつ不確実な状況が継続すると見込んでおります。当社グループにおきましては、事業環境変化に強いビジネスモデルの構築と最新のデジタル技術の導入・展開による歩留り・生産性改善を進め、競争力強化を図るとともに、市場の変化に対し、グローバルで生産体制を機動的かつ柔軟に運営することで、事業への影響を最小限に留めてまいります。

電子事業

 電子事業の市場におきましては、足下は、生成AI用サーバー向けの需要は引き続き堅調に推移しておりますが、パソコン及び汎用サーバー向けの需要は厳しい状況が継続しております。しかしながら、2024年度の下期以降は、AI分野のさらなる成長に加えてハイパースケーラーの投資回復により、汎用サーバー向けを含む高機能ICパッケージ基板全体の需要回復が見込まれます。当社におきましては、大野事業場の建設を計画どおりに遂行するとともに、市場回復後の再成長に向け、デジタル技術の活用による高効率・高品質なモノづくりを目指したOne Factory構想に基づくグローバルでの品質力強化と匠(たくみ)人材の育成による現場力の強化を進めてまいります。

セラミック事業

 セラミック事業におきましては、DPF・AFP事業の市場については、先進国を中心とした乗用車市場の電動化への急激な流れからの揺り戻しが当面は継続することが想定されるものの、中長期的には、内燃機関向け製品の需要は減少すると見込んでおります。当社におきましては、伸びる中国・新興国市場の産業用車両(トラック・建機など)向けの需要を確実に取り込むとともに、乗用車市場における電動化の進展を睨んだEVバッテリー用安全部材の拡販を強化してまいります。また、FGM事業においては、SiCパワー半導体を含む中長期的な半導体向け需要の伸びに対し、積極的な設備投資を行うことで、事業を拡大してまいります。

その他事業

 その他事業におきましては、国内グループ各社の独自競争力を持つコア事業の拡大と併せて選択と集中を実施することで、安定した電力事業とともに、当社グループの電子事業・セラミック事業に次ぐ「第3の収益の柱」としての位置づけを確かなものにしてまいります。

(ご参考)
岐阜大学との関係強化を通じた地域貢献

 当社と岐阜大学は、2024年3月26日、産学連携に関する包括協定を締結いたしました。
 包括協定は、当社の事業活動から得られた技術と岐阜大学が持つ教育研究資源を連携させることで、社会課題の解決に資する新たな技術を生み出し、地域社会の持続的な発展に貢献することを目的としております。
 また、当社は岐阜大学全学共通教育棟1階多目的ホールの命名権を取得し、愛称を「IBIDEN Innovation Hub」(イビデンイノベーションハブ)と命名いたしました。この愛称には「様々なアイデアや夢を持つ学生が全国から集まり、学び、新たなイノベーションを創っていってほしい」という想いを込めております。当社が岐阜大学に支払う命名権料は、教育及び研究の発展・向上に役立てていただきます。
 当社は、一連の活動を通じた岐阜大学との関係強化により、産学のネットワークを広げていくとともに、社会課題を解決するための新たなイノベーションを創出し、持続可能な社会の発展への貢献、さらには将来の産業を支える人材の育成に貢献してまいります。

(ご参考)
One Factory構想の取組み(DXの推進)

 One Factory構想とは、国内外の各拠点間の情報をデジタル技術により、一括で集約・共用し、全拠点を大きな一つの工場として、最も優れた条件で、安定した品質・生産性を可能にする体制のことです。
 当社では、長年の改善活動で得られた貴重なノウハウ・知見とデータが蓄積されております。各拠点の膨大なデータを吸い上げ、最新のデータ解析技法を用い、発生メカニズムの分析を行うことで、生産性や品質、歩留りの向上が期待されます。デジタル技術を駆使して各拠点とリアルタイムに連携し、世界全体を一つの工場として捉え、改善アイテムや新技術を同時展開する一体的な運営を目指してまいります。

中期経営計画の中核を担う大野事業場の建設

 生成AI向けなど将来の成長の核を担う、高機能ICパッケージ基板の量産体制を構築するため、岐阜県揖斐郡大野町に、大野事業場を建設しております。
 世界のデジタルイノベーションの発展が進む中、高機能ICパッケージ基板の重要性と付加価値が高まっております。大野事業場の設備投資計画は、国の「供給確保計画」の認定を受けており、当事業場によるICパッケージ基板の安定生産は、グローバルな半導体産業の発展と経済安全保障への貢献を両立するものです。中期経営計画を支える主力工場と位置づけ、2025年度の稼働を見据え、安全第一に建設工事を進めております。

競争力強化を支える人的資本経営の実践

 社員は事業競争力の源泉であり、社会に価値を提供する主体です。一人ひとりが会社の方針、戦略をよく理解し、会社の成長と社会に貢献できる役割を持つ、働きがいのある職場づくりに取り組んでおります。
 当社は、中期経営計画の中で、企業文化の改革を柱の一つに置き、人的資本経営の実践を重点実施項目に掲げております。中期で事業の競争力を一層強化していくため、目的意識を持った自立型人財の育成と、活躍に報いる賃金体系や福利厚生制度の見直しなど、やりがいと働きやすさを両立した環境の整備を進めております。

(ご参考)成長投資と株主還元

成長投資

 当社グループは、コア技術をベースに、そこから派生する技術を顧客・社会のニーズに合わせて変化させ、伸びる市場に対し、積極果敢な設備投資を行うことで成長してまいりました。昨年度、半導体市況の大きな変化を受け、新工場の立ち上げ時期を含む事業計画の見直しを実施しましたが、引き続き、当社グループの事業拡大、収益力向上による株主価値の拡大を目指し、中長期的な需要拡大が見込まれるICパッケージ基板の生産能力増強を目的に、大野事業場及び河間事業場における新工場建設を進めてまいります。なお、設備投資に伴う減価償却費の負担増加が見込まれますが、生成AIを含む最先端の高機能サーバー向けを主とした高付加価値製品の割合を増やすことで、投資回収リスクの最小化と資本コストを上回るROEを目指してまいります。

株主還元

 当社の主力事業であり、収益をけん引している電子事業は、市況変化の大きい業界です。その変動に対応するためにも、高い自己資本比率に代表される強固な財務基盤の構築が必要であると認識しております。株主還元につきましては、当面は資本配分の考え方として、事業拡大に向けたICパッケージ基板向けの設備投資を優先いたしますが、長期安定配当とのバランスを総合的に検討して実施しております。なお、2023年度の1株当たり年間配当金につきましては、昨年度中間期に実施した1株当たり10円の創立110周年記念配当を除くと昨年と同額となる1株当たり40円とさせていただきました。

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2024/06/13 15:00:00 +0900
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