第172回定時株主総会招集ご通知 証券コード : 4062

経営方針、経営環境及び対処すべき課題

会社の経営の基本方針

企業理念

『私たちは、人と地球環境を大切にし、革新的な技術で、豊かな社会の発展に貢献します。』

当社グループの企業理念体系
〜イビデンウェイ〜

当社グループの長い歴史における、「幾多の困難を全員で乗り越え、イビデンを存続させてきた力」と「近年の飛躍的な成長を実現させた英知と活力」。これらを、世代や国籍を超えて受け継がれるように体系化したものが「イビデンウェイ」です。

共有すべき行動精神

誠実
私たちは、現地現物を行動の基本におき、顧客や社会からの信頼に応えます。


私たちは、全員参加のもと、多様な英知を結集し、より大きな力を生み出します。

積極性
私たちは、時代の変化を予見し、新たな価値の創造に果敢に挑戦します。

イビテクノの進化
私たちは、創意と工夫を重ね、高き目標をやりきることで成長します。

イビデンのDNA

 イビデンのある大垣市は、かつて揖斐川を通じて東海道の要衝桑名と結ばれる水運の商業地として隆盛を極めました。やがて明治維新後の衰退を受け、揖斐川の豊富な水源を利用した水力発電事業による産業誘致に活路を見出すべく、1912年(大正元年)に当社の前身である「揖斐川電力株式会社」が設立されました。揖斐川電力株式会社は大垣再興のシンボルとして大企業の工場誘致による発展に貢献いたしました。その後、電力事業で培った電気炉技術を応用し、電気化学工業へ進出し、モノづくり企業としての歴史をスタートさせます。

 以降、石炭から石油へのエネルギー革命、高度経済成長、情報化社会へのシフトなど、時には存続の危機に陥れるような外部環境においても、常にその時代の業界のリーディングカンパニーである当社のお客様から次の時代のニーズを敏感に察知し、蓄積した要素技術を応用した新たな技術・製品を生み出してまいりました。

 このような変化の中でも一人ひとりが当事者意識を持ち、「現地」、「現物」、「自掛(じがかり)*」を実践する企業風土と高き目標に挑戦する「人財」こそが、難局を乗り越える大きな力であったと考えております。また、水力発電から始まったイビデンの事業には常に「自然の恵み」が欠かせませんでした。イビデンが積み重ねた110有余年は常に自然の恵みに感謝をし、共生していくことと向き合ってきた歴史でもあります。これらの先人たちの精神は、イビデンが大切にする価値観「イビデンウェイ」として現在に受け継がれ、次を担う世代にもバトンをつないでまいります。

 *自掛(じがかり):自分たちが手掛ける業務・仕事を、自ら考え、自らの力で仕上げていくこと

新たな環境変化への挑戦

 当社グループでは、2023年度より始動しております5ヵ年の中期経営計画「Moving on to our New Stage 115 Plan」で掲げている5本の活動の柱(強化していく5つの力)に基づき、事業環境変化に確実に対応するとともに、安定した成長の実現に向け、全社グループ一丸となって取り組んでまいります。また、経営と従業員の視点による人的資本経営を実践し、自立型人財の育成とフレキシブルな組織体への変革を推進することで、社員一人ひとりが働きがいを感じ、能力を最大限に発揮できる環境を整備してまいります。さらに、経営の基盤としてのESG経営を引き続き推進することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 当社グループといたしましては、これらの経営課題・リスクに着実に対処することで、収益基盤を一層強固なものとし、中期経営計画の目標達成とともに、その先の永続的・安定的な成長を実現するための取り組みを継続してまいります。

(ご参考)中長期的な会社の経営戦略

事業環境の変化

(ご参考)
中期経営計画 〜Moving on to our New Stage 115 Plan〜(2023年度〜2027年度)

  活動の5本柱  


  全社経営目標  


  資本配分の考え方  


対処すべき課題

事業環境

 今後の世界経済の見通しにつきましては、中国における経済成長鈍化の長期化や、米国の関税政策変化を含む地政学リスクの影響など、不安定かつ不透明な状況が継続すると見込んでおります。当社グループにおきましては、事業環境変化に強いビジネスモデルの構築と最新のデジタル技術の導入・展開による歩留り・生産性改善を進め、競争力強化を図るとともに、市場の変化に対し、グローバルで生産体制を機動的かつ柔軟に運営することで、事業への影響を最小限に留めてまいります。

電子事業

 電子事業の市場におきましては、足下は、生成AI用サーバー向けの需要は引き続き堅調に推移しておりますが、パソコン及び汎用サーバー向けの需要の回復は緩やかなペースが継続しています。しかしながら、2025年度の下期以降は、AI分野の更なる成長に加えてデータ量の増加に伴う処理能力の向上と省電力ニーズの両立が求められることにより、汎用サーバー向けを含む高機能ICパッケージ基板全体の需要回復が見込まれます。当社におきましては、既存工場の生産能力の有効活用に加えて、大野事業場の量産を計画通り2025年度の下期より立ち上げることで高付加価値製品の受注を最大限に取り込んでまいります。また、デジタル技術の活用による高効率・高品質なモノづくりを目指したOne Factory構想に基づくグローバルでの品質力強化と匠(たくみ)人材の育成による現場力の強化を進めてまいります。

セラミック事業

 セラミック事業におきましては、DPF・AFP事業の主力である自動車排気系部品市場については、中国経済の停滞リスクは依然としてあるものの、米国をはじめとするEV関連の政策変更に伴い、内燃機関向け製品の需要は継続するとみております。当社におきましては、成長市場としての中国・インドを中心とした新興国市場の産業用車両(トラック・建機など)向けの需要を確実に取り込むとともに、将来のEV化再加速に備え、NEV向け安全部材の量産体制を整備してまいります。また、FGM事業については、各種半導体製造装置向け需要の動向を見極めつつ、自社の競争力が最大限に発揮できる市場に集中的かつ計画的な投資を行うことで、事業を拡大してまいります。

その他事業

 その他事業におきましては、国内グループ各社独自の競争力を持つコア事業の拡大と併せて選択と集中を実施することで、安定した電力事業とともに、当社グループの電子事業・セラミック事業に次ぐ「第3の収益の柱」としての位置づけを確かなものにしてまいります。

(ご参考)
自然災害リスクに備えた取り組み

 当社グループでは、自然災害からの事業継続・復旧計画を速やかに実行する体制を強化しております。
 東南海地震のリスクが高まる中、2022年度より実施していた東横山水力発電所の耐震工事が2025年3月に完了いたしました。これにより、震度6強の地震が発生した場合においても、建物への被害を最小限に抑え、発電設備の早期運転再開が可能となりました。それと共に、建替工事を実施した広瀬水力発電所や、補修工事による対応を行った川上水力発電所を合わせ、社員の安全確保と再生可能エネルギーによる持続的な発電に努め、地球環境や地域社会の発展に貢献してまいります。
 また、人命の確保、経営資源の保全、事業の早期復旧ができる態勢を整えるため、2025年度より総務部内に防災推進プロジェクトを組織いたしました。各拠点の統括本部機能の強化、地域との防災協定の締結、設備の耐震、防災人財の育成など9つの施策を推進いたします。
 引き続き、自然災害に対するハード・ソフト両面の取り組みに注力し、災害時の機能維持と速やかな回復を実現するための災害対応力(防災レジリエンス)を向上させてまいります。

(ご参考)
競争力強化を見据えたモノづくり道場の開設

 モノづくり人財の育成の一環として、青柳事業場内に「モノづくり道場」を開設いたしました。
 モノづくり人財とは、設備と品質に精通し、それらを改善、維持できる人財です。モノづくり道場では、意識・知識・知恵・技能の伝承を目的に、製造現場で使用する設備や部品を使い、組立、加工などの実践的な教育を展開しております。また、巻き込まれや感電といった危険を認識するための安全体感装置を設置し、安全・危険予知を幅広く学ぶ場としても活用しております。人財育成を通じて現場力を向上させ、事業の競争力強化につなげてまいります。

中期経営計画を支える大野事業場の建屋完成

 大野事業場は、電子事業の主力工場として、2025年度第2四半期より製品量産を順次進めてまいります。
 市場が急拡大するAI向けを中心とした高機能ICパッケージ基板の生産能力拡大のみならず、デジタル技術を駆使した生産技術、生産体制のモデル拠点として運用いたします。国内外の各拠点の管理・仕組みを統一し、その情報を集約・共用・活用することで、全拠点を大きな一つの工場と見立てた「One Factory構想」を推進いたします。
 当社グループは、高付加価値製品の安定供給を通じて、グローバルな半導体産業の発展に貢献してまいります。

「誇れる、必要とされる会社」を目指した企業文化の改革

 中期経営計画の中で、企業文化の改革を柱の一つに置き、多様な考えを持つ社員がそれぞれの立場で対等に意見を言い合える風土作りを進めております。
 経営トップとの対話集会や毎年実施しているエンゲージメント調査などの各種施策に加え、上司部下の信頼関係を強固にする評価制度の見直しや、社員への情報発信強化を進め、会社運営への参画意識向上に取り組んでまいります。
 やりがいと働きやすさを両立した環境を整備し、「働いていて良かったと誇れる会社」、「世界のあらゆるインフラを支え、必要とされる会社」を目指してまいります。

(ご参考)成長投資と株主還元

成長投資
 当社グループは、コア技術をベースに、そこから派生する技術を顧客・社会のニーズに合わせて変化させ、伸びる市場に対し、積極果敢な設備投資を行うことで成長してまいりました。引き続き、当社グループの事業拡大、収益力向上による株主価値の拡大を目指し、中長期的な需要拡大が見込まれるICパッケージ基板の生産能力増強を目的に、大野事業場の計画通りの量産立ち上げを進めてまいります。なお、設備投資に伴う減価償却費の負担増加が見込まれますが、生成AIを含む最先端の高機能サーバー向けを主とした高付加価値製品の割合を増やすことで、投資回収リスクの最小化と資本コストを上回るROEを目指してまいります。

株主還元

 当社の主力事業であり、収益をけん引している電子事業は、市況変化の大きい業界です。その変動に対応するためにも、高い自己資本比率に代表される強固な財務基盤の構築が必要であると認識しております。株主還元につきましては、当面は資本配分の考え方として、事業拡大に向けたICパッケージ基板向けの設備投資を優先いたしますが、長期安定配当とのバランスを総合的に検討して実施しております。なお、2024年度の1株当たり年間配当金につきましては、2024年11月に実施した1株当たり20円の中間配当金と合わせ、2023年度と同額となる1株当たり40円とさせていただきました。

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2025/06/20 15:00:00 +0900
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