第113回定時株主総会招集ご通知 証券コード : 8291
[提案の内容]
現行の定款に以下の章及び条文を新設する。
第8章 資本コストを意識した経営
第43条 (資本コストの開示および資本コストを踏まえた関連当事者取引の情報開示)
当会社は、株式会社東京証券取引所(以下「東証」という。)が2023年3月31日に要請した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に基づく最新の現状評価、方針・目標、取り組み・実施時期を記載したコーポレート・ガバナンスに関する報告書を、定時株主総会開催日の10週間前から8週間前までに同取引所に提出する。
②当会社は、関連当事者との間で、取引内容が土地の取得、建物の取得または土地・建物の取得として有価証券報告書に開示される取引を行う場合には、当該取引に利害関係を有しない取締役が、取引金額に対して、前項に定める株主資本コスト又は加重平均資本コストを乗じた金額を上回るリターンが見込まれることを検証しなければならない。その上で、当会社が当該取引を実行することを決定した場合には、当該決定から2週間以内に前記検証結果を東証の適時開示情報伝達システム(TDnet:Timely Disclosure network)を通じて公表する。
[提案の理由]
本議案は、当社において資本コストを実態に即した水準で認識すること、及びその認識を前提として、日産自動車株式会社との取引における不透明性の排除を図ることを企図しています。
当社が最後に資本コストを公表した2023年11月10日に、当社はエクイティスプレッドがプラスである、すなわち理論PBRが1倍を上回る旨を説明していますが、実際はPBR1倍を下回っています。そのため、当社が株主資本コストを実態よりも過小に想定していることが疑われます。
加えて、当社は2019年3月期から2024年3月期にかけて、日産自動車株式会社が議決権の92%を保有する日産ネットワークホールディングス株式会社から、総額約70億円に及ぶ土地・建物の取得を行っており、その結果、当社の土地の貸借対照表残高は270億円を超えています。このような不透明な取引が、当社の株主資本コストを引き上げる要因となっていることが懸念されます。
【取締役会の意見】
当社取締役会としては、本株主提案に反対いたします。
当社では、資本コストや株価を意識した経営を実践しており、現状分析や今後取るべき施策などの検討を具体的に進めているところであります。更に、会社の根本規範を定める定款に株主提案のような個別具体的な業務執行の内容を記載することは適切ではないと考えております。
また、関連当事者との土地・建物の取得に関しては、有価証券報告書に記載の通り、市場価格を勘案の上、交渉により価格を決定し、当社における適切な手続きを実行したうえで、土地・建物の取得を行っており、提案株主が指摘するような不透明な取引はありません。
当社の施設は地域の皆さまのカーライフにとって重要な役割を担っているものと自負しております。具体的には、コロナ禍において、公共交通機関の利用が控えられ、マイカーの利用が増加したさなか、店舗の営業を続け、整備等のニーズにお応えしてきたことがその一例です。このような役割を担っていることにも鑑み、土地・建物の所有者の変更による賃借人としての退去リスクを抱える賃貸借契約よりも、当社が購入し所有することの方が、当社の事業戦略上重要となる拠点で安定的に店舗運営等ができると判断し、購入を決定しております。加えて、賃貸借と購入それぞれの経済合理性も比較検討のうえ、店舗の収益力の向上等に資するものと判断した物件のみを購入しております。なお、当社の施設はその大半が賃借物件でありますが、所有する物件は重要性及び必要性に応じて所有に至ったものであり、現時点において今後積極的に増やす方針ではありません。
提案株主は土地・建物を取得する取引を実行することを決定した場合に株主資本コストや加重平均資本コストとリターンの検証結果を開示するよう要請していますが、個別取引にかかる当社の経営判断は、当該検証結果に限られるものではありません。また、個別取引にかかる当該検証以外の経営判断の情報も含めて全て開示することは、経営戦略上好ましい選択肢と言えないと考えます。
こうした個別具体的な業務執行の内容を会社の根本規範を定める定款に記載することは適切ではないと考えております。
以上の理由により、当社取締役会といたしましては、本株主提案に反対いたします。