1.提案の理由(本現物出資を行う理由)
当社は、海外生命保険子会社等の経営管理体制の基盤整備等を図るとともに、保険業法上の保険持株会社の要件のうち、総資産額に対する国内子会社の株式取得価額合計の比率(以下、「国内子会社比率」という。)が50%を超えるという要件を充足するために、当社の完全子会社である中間持株会社として第一生命インターナショナルホールディングス合同会社※1(以下、「本中間持株会社」という。)を設立し、アジアパシフィック地域における子会社株式等を本中間持株会社へ移管してまいりました※2が、当社の完全子会社であるProtective Life Corporation※3(以下、「プロテクティブ」という。)の株式については、外国子会社合算税制(以下、「CFC税制」という。)上の保険委託者特例※4が適用されないこと等から、追加の課税負担が発生すること等を踏まえて、本中間持株会社への移管を見送っておりました。
今般、税制改正によりCFC税制の保険委託者特例の対象が拡大することで課税面の課題が解消されることを受け、当社が保有するプロテクティブの株式を本中間持株会社に移管することといたします。これにより、国内子会社比率が大幅に上昇し、安定的に上記保険持株会社要件が充たされることになります。その結果、今後海外の事業会社買収等を機動的かつ柔軟に実施することが可能となります。
このため、当社は、2022年4月28日開催の取締役会において、当社が保有するプロテクティブの全株式を現物出資の方式で本中間持株会社に対して譲渡すること(以下、「本現物出資」という。)を決定し、同日付で本中間持株会社との間で現物出資契約(以下、「本現物出資契約」という。)を締結いたしました。
本議案は、会社法第467条第1項第2号の2(事業譲渡等の承認等)に従い、株主の皆さまに本現物出資契約についてご承認をお願いするものであります。なお、本現物出資の効力発生日は、本株主総会において承認が得られること及び米国の関係当局の認可等が得られることを条件として、2023年1月1日を予定しております。
※1 住所:東京都千代田区有楽町一丁目13番1号、代表社員:第一生命インターナショナル株式会社職務執行者甲斐章文
※2 2020年5月15日付「中間持株会社の設立について」、2020年6月9日付「中間持株会社の設立(子会社化)及び当該中間持株会社への当社海外子会社等株式等の一部移管に関するお知らせ」及び2020年12月9日付「中間持株会社への当社海外子会社等株式等の一部移管の実施に関するお知らせ」をご参照ください。
※3 住所:2801 Highway 280 South, Birmingham, Alabama 35223, USA、代表者:Richard J. Bielen
※4 CFC(Controlled Foreign Company)税制とは、外国子会社等を利用した租税回避を抑制するために経済的実体を伴わない外国子会社等の所得を日本の親会社等の所得とみなして合算し、日本で課税する制度です。CFC税制においては、日本の保険会社又は保険持株会社が保有する外国子会社等のうち、保険引受会社(保険委託者)と運営管理会社(保険受託者)のいずれかが税制上の実体的活動を伴わない場合であっても、それらを一体として実体があると判断される場合には、当該税制による課税の対象外とする保険委託者特例が認められています。今般の税制改正により日本の保険会社又は保険持株会社の傘下にある一定の中間持株会社が前述した外国子会社等を保有する場合にも当該特例の適用対象となり、プロテクティブの株式を本中間持株会社に移管した場合であっても、当該特例の適用対象となりました。
(ご参考)子会社株式の移管前後における体制イメージ
2.本現物出資契約の内容の概要
現物出資契約
第一生命ホールディングス株式会社(以下「DLHD」という。)及び第一生命インターナショナルホールディングス合同会社(以下「DLIHD」という。)は、DLHDからDLIHDに対する第1条で定義する本現物出資を実行することを目的として、以下のとおり本現物出資契約書(以下「本契約」という。)を締結する。以下、DLHD及びDLIHDを、個別に「当事者」といい、総称して「両当事者」という。
第1条(現物出資)
両当事者は、2023年1月1日を効力発生日として、DLHDがDLIHDに対して、DLIHDの持分と引換えに、別紙記載の資産(以下「本資産」という。)を現物出資として給付する(本条に基づく現物出資を以下「本現物出資」という。)ことに同意する。但し、会社法第467条第1項第2号の2に基づくDLHDの株主総会の承認及び米国当局による認可等の取得を条件とし、2023年1月1日までにこれらの取得ができない場合には、効力発生日をかかる条件が成就した日の属する月の翌々月1日とする。
第2条(本資産の価額)
本資産の価額は別紙記載のとおりとする。
第3条(本現物出資に関する両当事者間の協力等)
両当事者は、本現物出資が2023年1月1日に発効し、完了するために、適用ある法令上必要となる一切の手続(必要な書類の作成及び締結並びに必要となる措置の実施を含む。)を協力するものとする。
第4条(本現物出資の条件の変更又は解除)
本契約の締結日から第1条に規定する効力発生日に至るまでの間において、DLHD又はDLIHDの財産状態又は経営状態に重大な変動が生じた場合、本現物出資の実行に重大な支障となる事態が生じ又は明らかとなった場合、本契約の目的の達成が著しく困難となった場合その他の本契約の内容を変更又は解除する必要が生じた場合には、DLHD及びDLIHDは協議の上、本現物出資の条件その他本契約の内容を変更し、又は本契約を解除することができる。
第5条(準拠法・言語・管轄)
1.本契約は、日本法を準拠法としてこれに従って解釈されるものとする。
2.本契約に関する両当事者間の紛争については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
第6条(その他の事項)
前各条のほか、本契約に関連して発生する事項は、別途両当事者間の誠実な協議により決定するものとする。
本契約締結の証として本書2通を作成し、DLHD及びDLIHDがそれぞれ署名又は記名押印の上、各当事者が1通を保有する。
2022年4月28日
別紙 本資産
3.本現物出資契約に基づき当社が受け取る対価の算定の相当性に関する事項の概要
本現物出資は、当社が本中間持株会社に対しプロテクティブ株式を現物出資し、当該株式の簿価(本現物出資の効力発生日時点の当社における簿価)と同額の本中間持株会社の出資持分を取得するものであり、対価の相当性があると判断しています。
以 上