第85回定時株主総会招集ご通知 証券コード : 9409
1.政権に忖度しない公正な報道を目指すことを宣言する株主提案(定款の追加)
テレビ朝日の個別番組に対して、公権力からの圧力、介入があった場合はその事実、並びにそれに対してテレビ朝日のとった対応についてもHPに公表する旨を本法人の定款に新しく追加する。
2.提案の理由
昨年の株主提案で「報道ステーション」における古賀茂明氏の発言を巡って政権幹部から介入があった旨を指摘して独立した第三者委員会の設置等を求めた。これに対し会社は「ご指摘のような事実は一切ございません」と否定し、株主総会でも篠塚社長はその旨説明した。
だが、この件につき「報道局はパニックに陥」り、「番組終了直後から、篠塚報道局長(当時。現社長)が藤岡信夫政治部長(当時)らと対応策を協議」し、チーフプロデューサーが呼び出されて「なぜあんな発言をさせたのか」とつるし上げられるのを複数のスタッフが目撃したとする文献(古賀茂明著・講談社刊『日本中枢の狂謀』)がある。事実でないなら抗議に値する記述であるが、会社は抗議をしていない(昨年度総会社長答弁)。
今後、権力からの介入の疑念が会社に提示された場合には、会社の応答をHPに報告する義務を定款に定め、介入を抑止するとともに社会の信頼を確保するよう株主提案する。
【当社取締役会の意見】
当社では、過去に「公権力からの圧力、介入があった場合」は、一切ないと考えております。また、株主様が提案の理由において引用されている書籍には、あたかもテレビ朝日が公権力からの圧力、介入を受けて対応したかのような記述がありますが、そのような事実はございません。
なお、提案の理由においては、書籍の記述が「事実でないなら抗議に値する」旨述べられております。しかし、当該書籍が出版されたのは、当該書籍が記述の対象としている放送がなされてから2年以上経過した後であるところ、それまでの間に当該書籍の記述と同様の内容が他メディアで報じられており、これに対してテレビ朝日の見解も繰り返し説明しておりました。また、出版から現時点で8年を経過していることや、書籍での表現は著者の個人的な見解であることなどから、これから改めて抗議をするような性質のものでもないと考えております。
当社の事業子会社であるテレビ朝日は、すでに番組づくりの指針である「テレビ朝日『放送番組基準』」を策定し、番組および広告の企画、制作、実施に当って守るべき基準と限界をまとめた「民放連放送基準」に則ることで、政治的権力に迎合せず、自主・自律の姿勢で適正な放送が行われるためのルールを確立し、その徹底を図っております。
当社グループの放送事業は、放送という一連の業務執行として、会社法に基づき、放送法はもとより諸法令に適合していることを確保するための体制のもとで行われております。今回の株主様のご提案にあります「公権力からの圧力、介入」の定義が不明確である中、業務執行行為の一部をことさらに切り出して定款において義務付けることは、業務の適時適切な執行を著しく阻害するものと考えます。
株主様からの今回のご提案は、私どもの企業活動に対する真摯なご提案であると理解いたしますが、私ども取締役会は、以上のような考え方に基づき、ご提案には反対いたします。