事業の経過及びその成果

 当社は2019年12月期から3年間を対象とする中期経営計画のもと、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業」を目指しております。中期経営計画の基本戦略である①収益力強化の継続、②新事業・新領域への挑戦による成長に取組み、更なる企業価値の向上に努めております。

 当連結会計年度(2020年1月1日から2020年12月31日)においては、新型コロナウイルス感染症拡大により、巣ごもり消費が加速したことで、国内における飲料や内食向け商品の販売は拡大しました。他方、外食需要の落ち込みにより、外食向け商品の販売は減少しました。
 また、ポルトガル子会社であるHolding da Industria Transformadora do Tomate,SGPS S.A.において、保有する固定資産の減損損失を30億28百万円計上しました。

 その結果、当連結会計年度の売上収益は、前期比1.2%増の1,830億41百万円、事業利益は前期比10.5%増の135億99百万円、営業利益は前期比24.1%減の106億82百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比27.2%減の74億25百万円となりました。
※ 事業利益は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除し、持分法による投資損益を加えた、経常的な事業の業績を測る利益指標です。

●売上収益・事業利益

●基本的1株当たり当期利益(EPS)・1株当たり親会社所有者帰属持分(BPS)

(注)

基本的1株当たり当期利益は期中平均発行済株式総数に基づき、1株当たり親会社所有者帰属持分は期末発行済株式総数に基づき、それぞれ算出しております。なお、期中平均及び期末の発行済株式総数は、いずれも自己株式を除いて算出しております。


セグメント別の業績の概況は、次の通りであります。

 なお、当連結会計年度より、従来「国内事業」の「その他」に含めて記載していた国内から海外への輸出販売取引について、報告セグメントの数値管理方法の見直しを行った結果、「国際事業」に含めて記載する方法に変更しております。

(注)
  1. 国内事業内のセグメント間売上収益を消去しております。
  2. 国内事業と国際事業間のセグメント売上収益を消去しております。

国内事業売上収益 1,454億68百万円(前期比1.7%増)

各事業別の売上収益の状況は以下の通りであります。

 1  加工食品

主要製品及び商品等 野菜ジュース トマトジュース トマトケチャップ トマト系調味料 など

売上収益 1,344億95百万円(前期比1.5%増)

 加工食品事業では、飲料や調味料等の製造・販売を手掛けております。
[飲料]
 野菜飲料においては、日本における野菜摂取量を「あと60g増やす」ことを目指した『野菜をとろうキャンペーン』の展開に加えて、新型コロナウイルス感染症拡大によって健康に対する関心が高まり、飲用機会の増加につながりました。「野菜生活100」シリーズにおいては、野菜と果実に豆乳を加えた「野菜生活Soy+(ソイプラス)」を2月に発売し好調に推移しました。また、「野菜一日これ一本」についても、堅調に推移しています。
[食品他]
 食品においては、内食需要の拡大によって家庭内での調理機会が増加したことなどにより、トマトケチャップやパスタソースの販売が堅調に推移しました。
 業務用においては、外食需要の落ち込みにより販売が減少しました。特に、ホテルやレストラン向けの商品の販売が落ち込みました。
 通販においては、通販の主力飲料である「つぶより野菜」に加え、野菜の美味しさを味わうポタージュが引き続き堅調です。

 2  農事業

主要製品及び商品等 生鮮トマト(高リコピントマト、β-カロテントマト、ラウンドレッドなど) ベビーリーフ など

売上収益 101億89百万円(前期比6.5%増)

 第1四半期連結累計期間は、日照不足等により生鮮トマトの調達量が低下しましたが、第2四半期以降は、調達量の増加や販路拡大により売上が増加しました。また、固定費削減などの収益構造改革に引き続き取り組んでいます。
 また、当社農事業の会社分割を行う方針を決定するとともに、2021年1月1日の事業開始に先立ち、カゴメアグリフレッシュ株式会社を2020年10月1日に設立しました。本組織再編により、同事業の収益基盤を強固なものとし、利益を確実に生み出すことのできる体質に変えていくとともに、お客様により満足いただける商品の提供、販売促進の強化に努めてまいります。

 3  その他事業

主要製品及び商品等 不動産賃貸業 業務受託事業 など

売上収益 7億86百万円(前期比79.6%減)

 2019年4月の物流事業再編に伴い、当社子会社であったカゴメ物流サービス㈱をF-LINE㈱へ統合し、連結の範囲から除外いたしました。


国際事業売上収益 443億44百万円(前期比0.1%減)
     国際事業

主要製品及び商品等 トマトペースト、ダイストマト ピザソース、トマトケチャップ  トマト・野菜種子 野菜飲料 など

国際事業では、トマトの種子開発から農業生産、商品開発、加工、販売事業を展開しております。

 KAGOME INC.(米国)は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うロックダウンなどの影響を受け、外食需要が大きく落ち込んだことにより、減収減益となりました。Holding da Industria Transformadora do Tomate, SGPS S.A.(ポルトガル)は、食品メーカー向け販売が好調に推移したものの、低利益率商品の売上構成比が高かったことなどにより、増収減益となりました。Kagome Australia Pty Ltd.(豪州)は、同国内向け、グループ会社向け販売が共に好調に推移したものの、当第1四半期連結累計期間に発生した工程不具合により、増収減益となりました。United Genetics Holdings LLC(米国)は、欧州向け種子販売が堅調に推移し、増収増益となりました。
 なお、上記のほか、持分法適用会社であるIngomar Packing Company, LLCへの投資について、出資時のれん部分に係る減損損失9億96百万円を計上しております。

会社の経営上の重要な事項

 該当事項はありません。

研究開発の状況

 当社グループは、独創的でイノベーティブな製品開発や健康情報発信を行うため、品種・栽培技術、素材・加工技術、機能性エビデンスに関する研究を研究施設併設の試験圃場やパイロットプラント等で行っております。また、当社グループの事業基盤を強化するため、品質保証技術の高度化と、知的財産の保護・活用に取り組んでおります。
 また、長期経営ビジョン「トマトの会社から、野菜の会社に」の実現に向け、経営戦略と研究テーマの連動、社内外の連携・協働による新たな研究テーマやコンセプトの創出を積極的に進めております。また、外部研究機関に研究員を派遣した、ネットワーク型研究拠点を拡充することで、オープンイノベーション型研究の強化を行っており、新たな価値創りを加速させております。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、35億57百万円であります。

本年度の主な概要とその成果は、次の通りであります。

 ①弘前大学医学研究科との共同研究講座「野菜生命科学講座」にて、当社独自の野菜摂取量レベル測定機「ベジチェック®」で測定する皮膚のカロテノイド量が多いほど、メタボリックシンドロームの指標となる数値が健康的であることを明らかにしました。本成果は、健康診断等「ベジチェック®」の測定を行った際の、生活習慣指導に活用できるものです。今後も野菜摂取量と健康との関係性を明らかにする研究に取り組んで参ります。
 ②植物性乳酸菌“Lactobacillus brevis KB290 殺菌体(ラブレ菌殺菌体)” と、緑黄色野菜に含まれる“β-カロテン” との継続的な併用摂取が、40 歳未満の健康な成人男女のインフルエンザ罹患率を低減する可能性があることを、大規模ヒト試験により明らかにしました。自然免疫機能を高めることが報告されているラブレ菌とビタミンAとの併用が、ヒトの免疫機能を相加的に向上させることを示唆する結果であり、これらの免疫機能向上効果を継続的に発信していくことで、お客様の健康長寿へ貢献して参ります。
 ③品種・栽培技術研究の分野においては、国産トマトジュース用加工用トマト品種と、北海道の農業で深刻な問題となっている外来土壌害虫「ジャガイモシストセンチュウ」および「ジャガイモシロシストセンチュウ」に対する抵抗性および土壌中密度低減効果を持つトマト品種の2件の品種登録出願を行いました。園芸分野では、トマトを家庭で栽培する方に向けて、カゴメのトマト栽培技術を活用したトマト栽培支援アプリ“トマサポ!” を開発・無料公開いたしました。
 ④商品開発において、飲料分野では“野菜生活100” ブランドから果実・野菜・大豆ミックス飲料の新シリーズ「野菜生活Soy+」、同ブランド初の機能性表示食品「野菜生活100 Care+」を導入しました。また、既存の「野菜一日これ一本」から糖質を50%オフした「野菜一日これ一本Light」の導入により、野菜飲料で低糖質という新機軸を打ち出しました。調味料・調理食品分野では、パスタソース「アンナマンマ」シリーズの改良により、家庭内需要を活性化しました。業務用チャネル向けには、「野菜だし調味料(濃縮タイプ)1kg」にて野菜だしラインアップを拡充した他、ヴィーガン・ベジタリアン向けメニューとして植物素材を使った野菜カレー、冷凍スープを導入しました。BtoB領域では、コンビニエンスストア惣菜向け調味料や、カゴメ独自の高リコピントマトを用いたトマト調味料が採用されました。



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2021/03/26 12:00:00 +0900
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