第120回定時株主総会招集ご通知 証券コード : 5482

事業の経過およびその成果

当期の経営成績

 当社グループの当期業績につきましては、販売数量は減少したものの、販売価格の値上がりにより、売上収益は前期と比較して113億円(4.0%)増の2,965億円と過去最高となりました。売上収益の内訳は、鋼カンパニーで1,082億円、ステンレスカンパニーで412億円、鍛カンパニーで1,242億円、スマートカンパニーで199億円、その他で28億円となっております。
 利益につきましては、販売数量は減少したものの、販売価格の値上がりや購入品価格の値下がり、原価低減等が増益要因となり、営業利益は前期比71億1千2百万円(218.2%)増の103億7千2百万円となりました。また、税引前利益は前期比68億4千7百万円(167.0%)増の109億4千7百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比49億8千2百万円(309.4%)増の65億9千3百万円となりました。

ご参考



 特殊鋼の販売数量の減少はあったものの、販売価格の値上がりにより、当期の売上収益は、前期と比較して、25億2千8百万円(2.4%)増加し1,082億1千6百万円となりました。

〔主な取り組み〕
① 2025年度までに損益分岐点を20%引き下げるプロジェクトを始動し、寄せ止めをベースに生産に左右されない原単位低減や、小さく構えて急な環境変化に対応できる発注管理(保全費、消耗品等)、製造ラインをまたぐ多能工化推進による労働生産性向上に取り組みました。また、購入品価格の高騰継続に対し、社内製鋼能力の拡大や製鋼〜圧延の一貫歩留向上、鉄屑、合金鉄、副原料資源、消耗品、資材等の安価資材探求に加え、いわゆる2024年問題を見据えた物流ルート別費用解析によるロスの見える化と直送化、積載率向上等の発送費の低減などに取り組みました。
② アセアン地域での競争力向上、インド市場進出および日本国内の激しい需要変動に対応する生産の上方弾力性確保を目的に、バルドマン スペシャル スチール社(以下、バルドマン)への資本参加と現地現物での技術支援を継続的に実施してきました。これまでの支援により、バルドマンの品質・生産能力が向上し、日系のお客様に満足いただける製品を製造できるようになったことから、昨年1月より、当社グループのアセアン鍛造拠点(タイ、インドネシア)への鋼材供給を開始するとともに、当期には同社の鋼材が、現地日系自動車メーカーからインド材として初めて、ギア用鋼としてアプルーブ(認証)を取得し、ユーザーの現調化進展による需要増にお応えできる準備が整いました。



 ステンレス鋼の販売価格は値上がりしたものの、販売数量の減少により、当期の売上収益は、前期と比較して、9億8千5百万円(2.3%)減少し、412億5千9百万円となりました。

〔主な取り組み〕
① 2026年度までに、ステンレス鋼全体の供給能力を2019年度比で4割増の年9万トンに高める計画に基づき、設備更新を順次進めております。前期までに原材料の溶解効率を高めた新しい電炉に刷新し、当期は、知多工場のラインの圧延(鋼材の形状をつくる工程)能力を増強し、刈谷工場で圧延していた一部製品を移管いたしました。新ラインには新たにセンサーや画像処理システムも導入し、生産性を高めて供給量の引き上げに備えております。一方、刈谷工場では、特殊なサイズの製品などを増産いたします。2026年度には、同工場の熱処理や検査工程の設備を増強し、安定供給できる体制を整えてまいります。
② ステンレス鋼構造物のエンジニアリング機能拡大・内製強化のため、子会社である愛鋼株式会社の衣浦工場が、「ステンレス建築構造物製作工場(※)」の認定を取得しました。これにより、これまでの土木・水処理分野に加え、建築分野でのステンレス鋼構造物の製作を手掛けることが可能となります。引き続き、ステンレス鋼材のエンジニアリング技術により、付加価値の高い製品を市場に提供し、地球に優しい社会の実現に貢献してまいります。

※ 一般社団法人日本鋼構造協会 建築鉄骨品質管理機構が、ステンレス建築構造物の鉄骨製作の品質確保に対する技術力を評価し、安定した品質および性能の製品を供給できる工場を認定する制度


 鍛造品の販売数量増加や販売価格の値上がりにより、当期の売上収益は、前期と比較して、97億9千8百万円(8.6%)増加し、1,242億6千2百万円となりました。

〔主な取り組み〕
① 主要ユーザーの生産量が不透明な状況が続くなか、量変動対応力の強化として、「売り、つくり、買い」の改革による収益改善に取り組んでまいりました。「売り」の改革では、次世代e-Axle向け部品の営業活動による部品の受注確保、「つくり」の改革では、原単価=購入単価×原単位に紐づく、皆で腹落ちしたKPIを用いた日々の原単価フォローによる改善活動推進や日々の労働生産性管理を通じた要員管理により、繁閑差の激しい工場間での応受援体制を構築しました。これらによる品質・生産性向上が、モノづくり力の強化で大きな成果を上げました。
② 多品種かつ少量でも、良品廉価な製品を生産できる「多品種少量生産ライン」開発の第1ステップとして、既存設備改造によるモデルラインの構築に取り組んでおり、2024年度中の号口稼働を目指しております。今後も、2030年に向けた自動車の機構変化による数量変化が見込まれることも踏まえ、競争力を向上し、「日本の鍛造業を背負って立つ」意気込みで、取り組みを続けてまいります。



電子部品の売上は増加したものの、磁石の売上減少により、当期の売上収益は、前期と比較して、3億3百万円(1.5%)減少し、199億4千万円となりました。

〔主な取り組み〕
① 電子部品事業では、電動車の需要増加を見据え、岐阜工場(岐阜県各務原市)にてパワーカード(※)用リードフレーム(以下、リードフレーム)第4ラインの建設を進めており、2024年5月に稼働いたしました。本ラインでの量産開始により、当社のリードフレームの生産能力は計約7,200万個/年から約25%増える見通しで、主要顧客の需要拡大にきちんと供給責任を果たしてまいります。
② 自動運転を支援する磁気マーカシステムのGMPSは、2022年度にJR東日本気仙沼線BRT(Bus Rapid Transitの略。バス専用道等を用いた高速輸送システム)に採用され、社会実装が始まり、今年には区間延長される予定です。当社はBRTへの導入後に磁気マーカの性能などを検査する車両も用意しており、メンテナンスにも対応可能です。当システムにより、ドライバー不足の物流2024年問題や工場内物流などでの自動運転ニーズの加速といった社会課題の解決に貢献してまいります。

※ パワー半導体が複数セットされたカード型のパワーモジュール。車1台に複数枚が使われている。

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2024/06/13 12:00:00 +0900
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