第122回定時株主総会招集ご通知 証券コード : 5482

事業の経過およびその成果

 当期の世界経済は、米国のトランプ政権が、中国・カナダ・メキシコ・EU・日本などに対して大幅な追加関税を相次いで導入した結果、各国の対抗措置により、米中間・米欧間などで追加関税が相次ぎ、企業の調達コスト・サプライチェーンコストが上昇、その一部は消費者価格に転嫁され、景気の下押し要因となりました。
 日本経済は、米国向け輸出(特に自動車)が関税の対象となったことや、日中関係の悪化による訪日中国人客数の減少により、企業収益も影響を受けましたが、DX・GX投資など、設備投資は拡大基調を維持しました。また、強い人手不足と企業収益の底堅さから、賃上げは高水準で維持され、個人消費は緩やかに回復し、関税影響を受けながらも、深刻な景気後退は回避できました。
 当社グループを取り巻く環境は、主要ユーザーである自動車産業においては、需要は概ね堅調に推移いたしました。引き続き、BEV(バッテリー式電気自動車)市場は成長を続けているものの、地域によって普及速度に差が生じ、HEV(ハイブリッド車)が好調を維持するなど、消費者の意向も多様化が進んでいます。加えて、各国の関税政策・国際対立・規制の不透明化・サプライチェーン分断により、自動車メーカーの戦略に影響を与えておりますが、当社といたしましては各市場や電動化の時流に合わせ、必要とされるものをタイムリーに良品廉価で提供してまいります。

 このような状況のなか、当期は2024ー26年度中期経営計画の2年目として、「変革のリーダー、私。」を引き続き、スローガンに掲げ、
1. 創業の精神に則り、自らの倫理観と仕事への誇りに基づいた正直で真っ当な企業行動
 ・安全・品質を絶対とし、お客様の期待に応える
2. 成長戦略を必ずやり遂げ、お約束を守り、未来への責任を果たす
 ・「稼ぐ力」を徹底的に鍛え、「成長戦略」のロードマップを具体化し着実に実行する
3. 厳しく温かく人が育つ風土を築き上げ、人を大切にする経営を実践
 ・問題解決を通じた人材育成とアイチの価値観共有による一体感のレベルアップ
といった取り組みをベースに、前年2月に公表した「中期経営計画アップデート」の経営目標実現に向け、当社の強みである資源循環型のモノづくりに磨きをかけるとともに、成長が期待される分野・地域にリソースを投入・積極投資を行うことで、中期経営計画の達成を確実なものにするよう、取り組んでまいりました。

1)マルチパスウェイへの貢献

 良品廉価なモノづくりを通じて、QCDやカーボンニュートラルの観点から競争力のある鋼材・鍛造品を提供し、トヨタグループのマルチパスウェイ戦略に貢献することが、当社の成長戦略の最重要課題の一つです。そこで、電動化に求められる高強度鋼のニーズにもお応えできる次世代製鋼プロセスの構築に取り組んでおり、2032年の新大型電気炉の稼働を目標に、専任チームで検討・企画を精力的に進めております。
1. 品質向上
 これまで培ってきた特殊鋼づくりの技術、知見をベースに、高清浄度・高強度化技術を盛り込み、マルチパスウェイで求められる高品質化、小型軽量化のニーズに応えてまいります。
2. カーボンニュートラル達成
 現在の電気炉よりCO2排出量30%削減を狙いとし、当社独自の省エネ技術を盛り込み、2050年度のカーボンニュートラル達成に向けて取り組んでまいります。
3. 働き方改革
 現状の人手による重筋作業や暑熱作業を自動化、省力化し、人にやさしい特殊鋼づくりができる設備を実現してまいります。

2)需要地変化への対応:グローバルサウス事業展開

 2019年から出資を行っているインドの特殊鋼メーカーであるバルドマンスペシャルスチール社(以下「バルドマン」)からの第三者割当増資を引き受け、追加出資後の当社の株式保有割合は、これまでの11%と合わせて24%となり、バルドマンは当社の持分法適用会社となりました。当社は、2019年の出資以降、バルドマンへの継続的な技術支援により品質改善、生産性向上などに取り組んでまいりました。その結果、バルドマンの鋼材品質は日系の四輪車・二輪車向けをはじめとしたお客様から高く評価され、インド国内およびアセアン(タイ、インドネシア、フィリピン)への鋼材供給が拡大しております。今後もさらに広がっていく市場に確実に貢献していくため、現状比30%以上の生産能力実現を目標に、取り組みを推進してまいります。今回の追加出資により、これまで以上にバルドマンとの連携を強化し、良品廉価な鋼材をタイムリーにお届けすることでお客様の現調化を支え、豊かで持続可能なインド社会の発展に貢献できるものと考えております。

3)社会課題へのソリューション提供

 ステンレスカンパニーでは、東京大学が主導して岐阜県飛騨市に建設を進めている次世代超大型水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置「ハイパーカミオカンデ」向けに、ステンレス製PMT(光電子増倍管)支持架構の製作を、当社グループ会社である愛鋼株式会社と協業で本格的に開始いたしました。今回の受注に至りましたのは、ステンレス鋼材メーカーとしての信頼性、ステンレス鋼構造物製作の技術力・実績が評価されたものと理解しており、引き続き、高品質かつ工期遵守のモノづくりを実践し、期待に応えてまいります。当社は今後とも、ステンレス鋼材からエンジニアリングまでの一貫製作の強みを活かし、ステンレス鋼構造物エンジニアリングによりお客様の多様なご要望にお応えし、付加価値の高い製品をお届けすることで、社会課題に対応してまいります。
 スマートカンパニーでは、自動走行を支援する磁気マーカシステム「GMPS」を用いた自動牽引走行車が株式会社豊田自動織機様の構内物流システムに採用されたのを足掛かりに、採用拡大に向けた活動を推進しております。GMPSは、高感度磁気センサで路面の磁気マーカを検出することにより、正確な自己位置推定を実現することができますので、構内物流のみならず、過疎地や物流における「ドライバー不足」による、自動走行のニーズの高まりに対するソリューションとして貢献してまいります。

4)資本政策

 資本効率や株価を意識した経営を強化し、中長期的な企業価値の向上に取り組んでおります。具体的には、財務健全性の維持を前提に、配当性向40%以上を目安とするのに加え、機動的な自己株式取得を実施してきました。前年2月に43億円、5月に262億円の自己株式取得を実施したのに加え、2025年度については、2026年4月28日付けで50億円の特別配当を決議しており、また、2026年度にも、50億円の特別配当を予定しております。今後も、2030年度のROE8%達成に向けて、成長戦略の実現と自己株式取得など機動的な資本政策を展開し、持続的な企業価値向上を目指してまいります。

5)サステナビリティの取り組み

 ガバナンス関連では、2月27日開催の取締役会において、6月16日開催予定の第122回定時株主総会における承認を条件として、現在の「監査役会設置会社」から「監査等委員会設置会社」に移行することを決議いたしました。一段と加速する社会環境の変化に確実に対応し、中長期的な企業価値向上を実現するためには、より一層の会社の成長に資する取締役会の改革が不可欠と考えているため、本移行により、取締役会の監督機能の強化および意思決定のスピードアップを実現し、さらなるコーポレート・ガバナンスの強化・充実を図ってまいります。
 環境関連では、2050年までのカーボンニュートラル早期実現を目標にした取り組みに加え、当社事業に不可欠な水資源の有効活用や水環境の保全に努めるとともに、台風や洪水などの水害リスクへの対策にも継続的に注力しております。さらに、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD(※1))の提言に基づき、自然への依存度や影響の分析を強化したほか、子会社を含む当社グループでのCO2排出量の算定・公表・第三者検証取得等にも取り組みました。これらの取り組みにより、CDP(※2)が実施する調査において、「気候変動」部門および「ウォーター」部門にて、昨年度の「B」評価から、今回は「A-」評価を取得することができました。今後とも「環境に一番やさしい鉄屋」として地道な省エネ活動、水素ガス燃焼などの技術開発に加え、再エネの活用や生物多様性保全に向けた取り組みを強化してまいります。

※1 Taskforce on Nature-related Financial Disclosures。
  組織が自身の経済活動における自然環境や生物多様性に関する、
  リスクと機会を評価し報告することを促す、2021年6月に設立されたイニシアティブ。

※2 企業や自治体を対象とした世界的な環境情報開示システムを運営する国際環境非政府組織(NGO)。
  企業などの環境への取り組みを、「A」から「D-」までの8段階で評価し、開示。


当期の経営成績

 当社グループの当期業績につきましては、販売価格の値下がりはあったものの、販売数量の増加により、売上収益は前期と比較して51億円(1.7%)増の3,043億円と過去最高となりました。売上収益の内訳は、鋼カンパニーで1,055億円、ステンレスカンパニーで388億円、鍛カンパニーで1,348億円、スマートカンパニーで221億円、その他で29億円となっております。
 利益につきましては、鉄スクラップ等購入品価格の値下がりや原価低減、子会社の増益などが増益要因となり、営業利益は前期比53億5千5百万円(44.6%)増の173億7千1百万円となりました。また、税引前利益は前期比65億7千8百万円(55.2%)増の184億8千5百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比34億2千8百万円(43.8%)増の112億4千8百万円となりました。

ご参考

鋼(ハガネ)カンパニー
 主力製品である特殊鋼の販売数量は増加したものの、販売価格の値下がりにより、当期の売上収益は、前期と比較して、12億1百万円(1.1%)減少し、1,055億6千7百万円となりました。

ステンレスカンパニー
 主力製品であるステンレス鋼の販売数量の減少や販売価格の値下がりにより、当期の売上収益は、前期と比較して、51億5千8百万円(11.7%)減少し、388億9千7百万円となりました。

鍛(キタエル)カンパニー
 主力製品である自動車用型打鍛造品の販売数量の増加や販売価格の値上がりにより、当期の売上収益は、前期と比較して、93億1千7百万円(7.4%)増加し、1,348億2千3百万円となりました。

スマートカンパニー
 電子部品の売上の増加により、当期の売上収益は、前期と比較して、15億1千4百万円(7.4%)増加し、221億7百万円となりました。

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2026/06/16 11:00:00 +0900
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