第120回定時株主総会招集ご通知 証券コード : 5482

対処すべき課題

 当社グループを取り巻く環境は、春季労使交渉での高い賃上げ率や物価上昇とも相まってデフレからの脱却の兆しが見え、個人消費の改善や企業の強い投資意欲、自動車の生産回復で輸出増加、インバウンド需要の増加など緩やかな回復が期待されます。一方、幅広い業種で人手不足が深刻化しつつあるなど、景気回復テンポが鈍るリスクもあり、予断を許さない状況にあります。
 また、自動車業界では、足元ではBEVの成長スピードが鈍化しておりますが、中長期的には世界のBEVシフトは再加速する可能性が高く、自動車メーカーによる競争は激しさを増すことが予想されます。当社は創業以来、特殊鋼や鍛造品など素材や部品を通じてクルマの可能性を広げてまいりましたが、今後はお客様のニーズの変化にしっかりとお応えするため、開発と一体となった提案型の営業体制により、鍛鋼一貫の強みを活かして、「お客様が何にお困りか」「その解決には、どんな素材・技術・部品が必要か」を全員で考え、変化に応じた良品廉価な製品・サービスを提供していくことで、お客様のお役に立ち続ける会社を目指してまいります。
 目指す姿に必要な、変化に強い企業体質を作るため、これまで注力してきた「モノをつくる力」に加えて、カンパニーをまたぐ課題への対応や、製品・サービス軸の事業運営へのシフト、さらには、コーポレートの横串機能を強化し、リソーセスの最適配分を図るなど、全方位での収益構造改革を推進することで、「稼ぐ力」を向上してまいります。
 さらに、2050年度を目標としているカーボンニュートラル(CN)の早期実現も見据え、7工場のうち5工場は2022年度までにCNを達成しており、CNなエネルギーの使用も含め、2030年でのCO2排出量50%削減(2013年度比)の目途付けも進んでおります。その先の2050年でのCN実現には水素活用における技術的なブレークスルーが必要と考えられるため、先に紹介しました、刈谷工場での水素・都市ガス兼用バーナでの実証実験、実用化に向けた取り組みなど、計画的に進めてまいります。
 上記のとおり、当社グループは“世のため、人のため”、“お役に立つ” という創業の精神に立ち戻り、課題に現地現物で正面から向き合うことで、変化に強い企業体質を作りながら、次世代への成長戦略推進に、愛知製鋼グループ一丸で取り組み、企業価値を高めてまいります。
 具体的には、「2030年ビジョン」実現を目指し、新しい中期経営計画期間となる24−26年度において、「変革のリーダー、私。」をスローガンに掲げ、一人ひとりが主役となって、以下の方針に則り、施策に取り組んでまいります。

1. 創業の精神に則り、正直で真っ当な企業をもう一度目指す(コンプライアンス・ガバナンスの強化)

1−(1):常にお客様を意識し、期待に応える
1−(2):安全・品質は絶対である
1−(3):持続可能性を自覚し、社会的責任を果たす

2. 足元の稼ぐ力を取り戻し、将来の成長戦略を明確にし、未来への責任を果たす

2−(1):(稼ぐ力)鋼・鍛のポテンシャルを最大限に発揮する(TPSの徹底・拡販)
2−(2):(成長戦略)2030年ビジョン達成に向けた実現性のある“ロードマップ”の作成と更なる事業戦略・開発戦略の策定
2−(3):チャレンジを可能とする安定的な財務基盤の構築

3. 厳しく温かく人が育つ風土の醸成

3−(1):問題解決を通した人材育成の強化(改善マインド・改善能力)
3−(2):アイチの価値観の共有・徹底を通じた一体感のレベルアップ

 最後になりますが、当社グループは、PBRを踏まえ企業価値について市場から大変厳しい評価をいただいていると自覚し、従来以上に、企業価値向上を図ってまいります。当社グループの資本収益性は資本コストを大幅に下回る状況にあり、改善には利益率の改善が急務と考えておりますので、先に説明させていただいた諸施策により、営業利益の回復を進めてまいります。その過程で資産の売却など資産のスリム化や、生み出したキャッシュを持続的成長のために振り向けていくとともに、配当方針の変更や自己株式の取得など、資本政策も併せて検討してまいります。

 株主の皆様におかれましては、引き続き変わらぬご支援とご指導を賜りますようお願い申し上げます。

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2024/06/13 12:00:00 +0900
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