第121回定時株主総会招集ご通知 証券コード : 5482

対処すべき課題

 2025年度の国際経済は、トランプ政権による相互関税政策を発端とする貿易摩擦の激化も予想され、世界の貿易および各国での生産・投資活動の落ち込みや、個人消費の下振れなど経済活動の落ち込みが懸念されます。日本国内においても、輸出の落ち込みによる企業収益の悪化や、輸入物価の上昇により消費者物価が上昇し、個人消費が抑制される可能性があるなど、下振れリスクは大きいと考えられます。
 自動車業界では、関税政策の影響を大きく受けるのに加え、足元で成長スピードが鈍化している世界のBEVシフトは、中長期的に再加速する可能性が高く、自動車メーカーによる競争は激しさを増すことが予想されます。当社は創業以来、特殊鋼や鍛造品など素材や部品を通じてクルマの可能性を広げてまいりましたが、今後も、自動車の発展に貢献してきた技術を活かし、自動車のみならず、広く社会課題解決に貢献できる素材を提供する「環境に一番やさしい鉄屋」として社会に貢献してまいります。
 また、変化に強い企業体質を作るため、これまで注力してきた「モノを作る力」に加えて、DX・情報基盤の整備、強化によるリアルタイム経営の実現(経営判断の迅速化)や、ムダ・ムラ・ムリを徹底排除した高効率物流網の整備など、環境と物流ドライバーにやさしい高効率輸送の追求といった「物流改革」も含め、全方位での収益構造改革を推進することで、「稼ぐ力」を向上してまいります。
 さらに、2050年度を目標としているCNの早期実現も見据え、7工場のうち5工場は2022年度までにCNを達成しており、CNなエネルギーの使用も含め、2030年でのCO排出量50%削減(2013年度比)のメド付けも進んでおります。その先の2050年でのCN実現には水素活用における技術的なブレークスルーが必要と考えられるため、先に紹介しました、刈谷工場での水素・都市ガス兼用バーナでの実証実験、実用化に向けた取り組みなど計画的に進めてまいります。
 上記のとおり、当社グループは “世のため、人のため”、“お役に立つ” という創業の精神に立ち戻り、課題に現地現物で正面から向き合うことで、変化に強い企業体質を作りながら、成長戦略の実現に向け、当社グループ一丸で取り組み、企業価値を高めてまいります。
 具体的には、中期経営計画期間となる2024−26年度の2年目として、引き続き「変革のリーダー、私。」をスローガンに掲げ、一人ひとりが主役となって、以下の方針に則り、施策に取り組んでまいります。

1. 創業の精神に則り、自らの倫理観と仕事への誇りに基づいた正直で真っ当な企業行動

1−(1):常にお客様を意識し、その期待に応える
1−(2):安全・品質は絶対である
1−(3):社会への責任として持続性を自覚する

2. 成長戦略を必ずやり遂げ、お約束を守り、未来への責任を果たす

2−(1):「稼ぐ力」を徹底的に鍛え、「成長戦略」のロードマップを具体化し着実に実行する(自工程完結・日常管理・TPSの徹底と拡販)
2−(2):柔軟でスピーディーなリソーセス配分と強靭かつ機動的な財務政策

3. 厳しく温かく人が育つ風土を築き上げ、人を大切にする経営を実践

3−(1):問題解決を通した人材育成の強化
(真因を見極め最後までやり抜く改善マインド・改善能力)
3−(2):アイチの価値観の共有・徹底を通じた一体感のレベルアップ
3−(3):一人ひとりがイキイキと活躍できる健康経営の強化

 最後になりますが、当社は、PBR1倍割れ、ROE8%未満という、ステークホルダーの皆様のご期待にお応えできていない状況を踏まえ、成長戦略と財務・資本戦略を両輪で進め、資本収益性を向上していくことを、当年2月に中期経営計画アップデートとして公表いたしました。具体的な向上策といたしまして、2024−26年度において、財務健全性の維持を前提に、ROE向上に必要な資本コントロールとして、通常配当に加え、400億円程度の株主還元を実施させていただくこととしております。今後は、成長戦略の実現による営業キャッシュフローの向上と、資産圧縮、有利子負債活用により資金を創出し、それを成長投資、株主還元にバランスよく配分することで、2030年までの出来る限り早い段階でのROE8%実現を目指してまいります。

 株主の皆様におかれましては、引き続き変わらぬご支援とご指導を賜りますようお願い申し上げます。

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2025/06/18 11:00:00 +0900
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