事業の経過および成果

〈全般の状況〉
 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大によって深刻な影響を受けました。感染防止と経済活動のバランスに腐心しつつ景気回復に向けた取り組みが各国で進められたものの、歴史的な景気後退からの回復ペースは緩慢なまま推移しました。
 当社の主力事業である半導体試験装置事業においては、コロナ禍の中でもリモートワークの普及や巣ごもり消費が拡大したことで、データセンターやゲーム機器関連の需要が年間を通じて堅調に推移しました。自動車や産業機器関連では、コロナウイルス封じ込めのための都市封鎖や人的移動制限の影響下、春先から需要停滞が続きましたが、最終製品の生産回復を受け、下期より市況が改善しました。スマートフォン関連領域では、米中摩擦が先鋭化したことで試験装置需要の大幅な調整に遭遇しましたが、その影響を補うべく、端末性能の競争を背景に生じた新規試験装置需要の取り込みに努めました。また半導体の性能進化や信頼性保証ニーズが一段と進展する中、メカトロニクス事業製品やシステムレベルテスト事業製品など、統合的なテスト・ソリューション販売の推進にも取り組みました。
 これらの結果、当社は、受注高、売上高、当期利益において、過去最高となる実績を収めました。これをもって、2018年度を起点とした3年間の第1期中期経営計画で設定した経営指標を全て達成することができました。当連結会計年度における受注高については3,306億円(前期比14.9%増)、売上高は3,128億円(同13.4%増)となりました。利益面については、売上総利益率の良い製品群の売上構成比が減少したものの、事業譲渡益やドイツ子会社の年金制度を統一した確定給付型年金制度へ移行したことに伴う利益など一過性の利益約81億円を計上したことで、営業利益は707億円(同20.5%増)、税引前利益は696億円(同18.9%増)となりました。また将来一定期間に実現する可能性が高い繰延税金資産を第4四半期に計上した結果、当期利益は698億円(同30.4%増)となりました。当連結会計年度の平均為替レートは米ドルが106円(前期109円)、ユーロが123円(同121円)、海外売上比率は95.5%(同94.6%)でした。


〈部門別の状況〉
(半導体・部品テストシステム事業部門)
 当部門では、リモートワークの拡大等を背景にHPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)用SoC半導体向けで堅調な需要環境が続きました。またスマートフォンの高性能化を背景にディスプレイドライバーICやイメージセンサーの高機能化が促進されたことで、これら品種の試験需要が大きく伸び、受注高の増加に寄与しました。年度末にかけて車載用半導体等で在庫確保の動きが強まったことも、SoC半導体用試験装置の受注高を押し上げました。一方、米中摩擦先鋭化に伴い、スマートフォン関連の一部SoC半導体顧客において昨夏を中心に大幅な需要調整が発生し、当部門の収益悪化の一因となりました。メモリ半導体用試験装置は、データサーバーやゲーム機器用のメモリ半導体の試験需要の伸びを背景に高水準で推移しました。
 以上により、当部門の受注高は2,272億円(前期比18.0%増)、売上高は2,072億円(同5.1%増)、セグメント利益は616億円(同5.4%減)となりました。


(メカトロニクス関連事業部門)
 当部門では、メモリ半導体用試験装置の需要が伸長する中、同装置と事業関連性の高いデバイス・インタフェース製品の販売が伸びました。またプローブ・カード事業譲渡益として約25億円を当事業のセグメント利益に計上しました。
 以上により、当部門の受注高は421億円(前期比16.1%増)、売上高は400億円(同10.2%増)、セグメント利益は50億円(同55億円改善)となりました。

(サービス他部門)
 当部門では、半導体市場の好調を背景として、当社に対するサービス需要が堅調に推移しました。また当社は2020年1月に米Essai, Inc.を買収していますが、同社の連結効果に加え、同社製品を含めた各種システムレベルテスト機器需要が半導体の高性能化や信頼性強化を背景に好調に推移したことで、大幅な増収を達成しました。
 以上により、当部門の受注高は625億円(前期比5.8%増)、売上高は668億円(同57.0%増)、セグメント利益は104億円(同3.5倍)となりました。

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2021/06/23 12:00:00 +0900
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