<株主提案>
 本議案は、株主様1名からのご提案によるものです。
 なお、以下の提案の内容(議案の要領)及び提案の理由は、提案株主から提出されたものを原文のまま記載しています。

第5号議案
定款の一部変更の件(パリ協定の目標に沿った事業活動のための事業戦略を記載した計画の策定、及び開示)

提案の内容(議案の要領)

 「当会社が気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同していることに留意し、当会社は、石炭、石油、ガス事業関連資産の保有量、事業規模をパリ協定の目標に沿ったものにするための指標と短期、中期、長期の目標を含む事業戦略を記載した計画を決定し、年次報告書にて開示する。」という条項を、定款に規定する。

提案の理由

 本提案は、当会社がパリ協定の目標に沿った事業を行うための指標及び目標を含む事業戦略を記載した計画の決定・開示を通して、気候変動リスクの適切な管理及び株主資産の保全を目的としている。
 気候変動は、人間社会及び経済システムに深刻なリスクをもたらす。この危機を回避するための条約であるパリ協定は、世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2度を十分に下回ること並びに1.5度に留めるよう努力することを目標にしている。
 他の商社が石炭関連資産(一般炭鉱及び発電所)を処分する中、当会社の石炭事業方針は現在でも、既存の炭鉱取得や発電所新設を許容している。当会社は、石油、ガス事業に関しても、パリ協定と整合するカーボンニュートラル化への道筋を示していない。当会社は、自らの不十分な方針とその実行により脱炭素経済への移行に伴う重大な経済リスクに晒される。本提案により株主は、当会社の当該リスク管理が適切か否かを知り得る。

当社取締役会の意見

1.ᅠ当社取締役会の意見とその理由

 当社は、持続可能な社会の実現に向けて、気候変動緩和を重要社会課題の一つとして捉えており、パリ協定で定められた目標の達成を含む気候変動緩和の各種課題解決を目指しています。
 この前提のもと、当社は、後述の第2項の経営方針に基づいて、定款に定める多様な事業を手掛けるとともに、気候変動問題に関するリスクを適切に管理し、企業価値の毀損を防止しつつ、変化を機会と捉えて持続的成長と企業価値の拡大に努めることで、これからも株主の皆様の期待に応えてまいります。
また、当社は本株主提案に含まれる事業戦略を記載した計画の策定や開示に既に取り組んでおり、本株主提案が求める内容を新たに定款に記載する必要はございません。なお、定款は会社の組織等に関する基本的な事項を定めるものであり、また、必要に応じて機動的に方針や計画を変更し、それを速やかに実行していく観点から、個別具体的な方針等を定めることはせず、現行定款の内容を維持したいと考えています。
 したがって、当社は本株主提案に反対いたします。

2.ᅠ取締役会意見の決定に至った背景

(1)当社のこれまでの取組

 当社グループは、その経営理念において、健全な事業活動を通じて、株主、取引先、地域社会の人々、社員も含めた、世界中の人々の経済的・精神的な豊かさと夢を実現することを社会的使命として掲げ、広く社会に貢献するグローバルな企業グループを目指しています。当社には、約430年前から説かれている住友の事業精神、「自利利他公私一如」(自らに価値をもたらすと同時に自らを取り巻く社会にも価値をもたらし、ともに成長を実現すべし)という考えのもと、環境問題や地域社会への貢献にいち早く取り組む精神が受け継がれています。これは、2020年6月に目標に掲げた「2050年の事業活動におけるカーボンニュートラル化」にも表れています。

 2020年に、サステナビリティ経営の高度化の一環で、当社が取り組むべき6つの重要社会課題「気候変動緩和」「循環経済」「人権尊重」「地域社会・経済の発展」「生活水準の向上」「良質な教育」を定め、各課題の長期目標を設定し、率先して「2050年の事業活動におけるカーボンニュートラル化」を掲げて活動してきました。2021年5月7日には、長期目標の実現に向けた中期目標とKPIも策定し、新中期経営計画や気候変動問題に対する方針の見直しと合わせて対外発表しました。

(2)2050年カーボンニュートラル化に向けた中期目標と気候変動方針の見直しについて

 今般新たに対外発表を行った以下の内容は、火力発電事業や化石エネルギー権益事業の方針などカーボンニュートラル化に向けた道筋を具体的に示したものであり、ステークホルダーのご意見を踏まえ、経営会議及び取締役会における徹底した議論を経て機関決定しました。

  • (*1)2020年現在:石炭50%、ガス30%、再エネ20%
  • (*2)他者のエネルギー資源使用に伴う間接排出量
  • (*3)個別事業で目標を設定し削減に注力
  • (*4)2020年現在:1.5GW(1GW=10億W)
  • (*1)唯一の例外として、当社が建設請負工事業者として現在参画しているバングラデシュ マタバリ1&2の拡張案件として同国・本邦政府間で検討が進められているマタバリ3&4号機については、今後、様々なステークホルダーと対話を重ね、パリ協定との整合性を確認したうえで、参画の是非を検討する。(当社として、今後検討する可能性がある石炭火力発電事業・建設工事請負案件は本件のみ)

 今後は、これらの目標の進捗をモニタリングし、当社グループの事業ポートフォリオが社会に求められる価値を創造していけるよう、戦略的な経営資源配分を進めていきます。

(3)気候変動問題に関する当社の開示方針

 当社は、『統合報告書』において、経営理念や、地球環境との共生などの6つのマテリアリティを起点とした経営戦略を示し、毎年の活動状況を開示し、また『ESGコミュニケーションブック』において、非財務情報を中心にサステナビリティに関する情報を開示しております。さらに2019年3月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、2020年からESGコミュニケーションブックにおいて、そのフレームワークに沿った開示を行っております。今後も、リスク分析の対象範囲やシナリオの拡充(対象事業・対象リスクの拡大、1.5度シナリオの考慮等)、中期・長期目標達成に向けた施策の開示、定量情報等開示データの更なる充実に努め、2021年版のESGコミュニケーションブックにて反映します。

(4)リスク管理とガバナンス

 当社は、当社グループの気候変動関連リスクの状況について、定期的に経営会議・取締役会にてモニタリングを行っています。さらに、2020年4月からは、新規投融資の実行前に、社会・環境への影響に関する評価を踏まえた意思決定がなされる体制も整えております。また、気候変動に関わる事項は、サステナビリティ推進委員会で議論し、経営会議及び取締役会(取締役11名中5名が社外取締役、監査役5名中3名が社外監査役)で活発な議論を行い、決定しています。

(5)将来への布石

 当社は、新中期経営計画の重点施策として、脱炭素・循環型エネルギーシステムによるカーボンニュートラル社会の実現に資する次世代事業の創出を掲げ、エネルギーイノベーション・イニシアチブを2021年4月に新設しました。

 この新組織を通じて、社内外の多様な知見・人材を活用した多角的なアプローチにより、バリューチェーン全体を俯瞰し、「カーボンフリーエネルギーの開発・展開」「新たな電力・エネルギーサービスの拡大」「CO2の吸収・固定・利活用」の3つのテーマを軸に、エネルギーマネジメントビジネスの創出に注力します。この取組により、「気候変動緩和」「循環経済」などの重要社会課題を解決し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献します。

 上記のとおり、当社は、気候変動緩和を、サステナビリティ経営を推進・加速するための重要社会課題の一つとして設定し、リスクだけでなく機会と捉え、施策、開示、リスク管理、ガバナンスの観点で取組を強化・改善しており、2050年のカーボンニュートラル化及び2035年の中期目標の達成に向けて、具体的な取組を通じて当社企業価値の向上に努めております。

以上

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2021/06/22 11:00:00 +0900
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