1 提案の理由及び当該報酬を相当とする理由
当社の業務執行取締役(国内非居住者を除く。以下、「取締役」といいます。)の報酬は、「基本報酬」「賞与」及び「事後交付型株式報酬(PSU・RSU)」で構成されていますが、現行の株式報酬制度であるPSU(業績連動型株式ユニット)及びRSU(譲渡制限付株式ユニット)に代えて、信託を通じて当社普通株式の交付を行う事後交付型株式報酬の一つである信託型株式報酬制度(以下、「本制度」といいます。)への切替えをお願いするものであります。
なお、本議案の承認可決を条件として、2020年6月26日開催の第209期定時株主総会においてご承認いただきました現行の株式報酬制度に関する報酬枠を廃止し、以後、現行の株式報酬制度に基づく新たなユニット付与は行わないことといたします。また、本制度の対象となる取締役に対し現行の株式報酬制度により過去付与されたユニットのうち、これに相当する当社普通株式の交付及び金銭の給付が行われていないものにつきましては、本議案が承認可決されること、及び、本制度が開始されることを条件として、当該取締役において権利放棄することとし、現行の株式報酬制度からの移行措置として、放棄したユニットの目的となる株式数相当分のポイントを本制度において付与いたします。
本制度は、取締役が中長期的な業績向上と企業価値増大への貢献意識をより一層高めることを目的としておりますが、現行の株式報酬制度とは異なり、毎年の株価変動が当社の会計処理に影響を与えず、当社においてより安定的かつ効率的な株式報酬制度の運営を実現することが可能となるため、本制度への切替えをお諮りするものであります。
当社は、本議案をご承認いただくことを条件として2025年5月12日開催の取締役会において新たな取締役の個人別の報酬等の内容にかかる決定方針を定めており、その概要は後記のとおりです。本議案は、当該方針に沿った取締役の個人別報酬等を付与するために必要かつ合理的な内容となっていることから、本議案の内容は相当であると考えております。なお、本制度への切替え後も、取締役の株式報酬に係る報酬水準や支給基準等の主な取締役の個人別の報酬等の内容にかかる決定方針に変更はございません。
本制度への切替えにあたり、当社は報酬決定プロセスにおける透明性・客観性等を確保するため、任意の指名・報酬委員会(独立社外取締役を委員長とし、委員の過半数を独立社外取締役で構成)における審議を経ております。
本制度の対象となる取締役の員数は、第1号議案「取締役(監査等委員である取締役を除く。)8名選任の件」が原案どおり承認可決されますと4名となります。
本議案が原案どおり承認可決された場合、今後の取締役の報酬体系は、「基本報酬」「賞与」及び「信託型株式報酬」により構成されることとなります。
なお、本議案につきましては、監査等委員会で検討がなされましたが、会社法の規定に基づき株主総会で意見陳述すべき特段の事項はございません。
2 本制度における報酬の額及び内容等
(1)本制度の概要
本制度は、当社が拠出する取締役の報酬額を原資として当社普通株式が信託を通じて取得され、当社が掲げる中期経営計画の期間(以下、「対象期間」といいます。)を対象として、会社業績指標の達成度等に応じて、取締役に当社普通株式及び当社普通株式の換価処分金相当額の金銭(以下、「当社普通株式等」といいます。)の交付及び給付(以下、「交付等」といいます。)を行う制度です。なお、2026年3月31日で終了する事業年度から開始する当初の対象期間(以下、「当初対象期間」といいます。)は、現在の当社の中期経営計画「Re:Start2025第2フェーズ」の残存期間に対応した1事業年度を対象とします。
本制度は以下の2つに分類されます。
(ⅰ) 対象期間中、事前に定める数のポイント(以下、「固定ポイント」といいます。)を毎年付与し、退任後に当社普通株式等の交付等を行う固定株式報酬(Restricted Stock、以下、「RS」といいます。)
(ⅱ) 対象期間中、事前に定める数のポイント(以下、「業績連動ポイント」といいます。)を毎年付与し、対象期間終了後の業績目標達成度に応じて0〜150%の範囲で変動させたうえで、退任後に当社普通株式等の交付等を行う業績連動株式報酬(Performance Share、以下、「PS」といいます。)
なお、取締役が当社普通株式等の交付等を受ける時期は、取締役の退任後(死亡による退任を含みます。以下、本議案において同じです。)とします。(詳細は下記(2)以降のとおり。)
(2)当社が拠出する金員の上限
当社は、対象期間毎に取締役の報酬として拠出される信託金の上限を、150百万円に当該対象期間の事業年度数を乗じた金額としたうえで、かかる信託金を取締役の報酬として拠出し、受益者要件を充足する取締役を受益者として当該対象期間に対応する期間の信託(以下、「本信託」といいます。)を設定します。ただし、当初対象期間において、上記金額に加えて、事後交付型株式報酬制度からの移行措置として付与されるポイントにかかる当社普通株式の取得原資として、別途600百万円を上限とする金員を本信託に拠出するものとします。
本信託は、信託管理人の指図に従い、信託された金員を原資として当社普通株式を株式市場又は当社(自己株式処分)から取得します。当社は、信託期間中、取締役に対するポイント(下記(3)のとおり。)の付与を行い、本信託は取締役が受益者要件を充足した場合に当社普通株式等の交付等を行います。
なお、本信託の信託期間の満了時において、信託契約の変更及び追加信託を行うことにより、本信託を継続することがあります。その場合、原則として、本信託の信託期間を、その時点において当社が掲げる中期経営計画に対応する期間と同期間延長し、当該中期経営計画に対応する事業年度を新たな対象期間とします。当社は、延長された信託期間ごとに、本株主総会で承認を受けた範囲内で金員を追加拠出し、引続き延長された信託期間中、取締役に対するポイントの付与及び当社普通株式等の交付等を継続します。この信託期間の延長は、一度に限らず、その後も同様に信託期間を延長することがあります。
ただし、かかる追加拠出を行う場合において、延長する前の信託期間の末日に信託財産内に残存する当社普通株式(取締役に付与されたポイントに相当する当社普通株式で交付等が未了であるものを除く。)及び金銭(以下、当社普通株式とあわせて「残存株式等」といいます。)があるときは、残存株式等の金額と追加拠出される信託金の合計額は、150百万円に対象期間の事業年度を乗じた金額の範囲内とします。
また、信託期間の満了時(上記信託期間の延長が行われた場合には延長後の信託期間の満了時)に信託契約の変更及び追加信託を行わない場合には、それ以降、取締役に対する新たなポイント付与は行われません。ただし、当該時点で受益者要件を満たす可能性のある取締役が在任している場合には、当該取締役に対する当社普通株式等の交付等が完了するまで、一定期間に限り、本信託の信託期間を延長させることがあります。
(3)取締役に交付等が行われる当社普通株式等の数の算定方法及び上限
対象期間中、各取締役に対して毎年一定の時期に、毎事業年度における役位等に応じて、RSである「固定ポイント」と、PSである「業績連動ポイント」をそれぞれ付与します。なお、業績連動ポイントは対象期間終了後の業績目標(当初対象期間においては、連結当期純利益等)の達成度等に応じて0〜150%の範囲で変動します。
ただし、当初対象期間については、本信託の設定後、遅滞なく、本制度への切替えに伴い事後交付型株式報酬としてのユニットを放棄した取締役に対して、事後交付型株式報酬制度からの移行措置として、放棄したユニットの目的となる株式数相当分のポイントを別途本制度において付与します。なお、このうち、現在の中期経営計画期間中に付与された業績連動ユニットに相当する部分に関しては、現在の中期経営計画の終了後に業績目標(連結当期純利益等)の達成度に応じて業績連動係数(0〜150%)を乗じて変動するものとします。
付与したポイントは、毎年累積し、取締役の退任後にポイントの累積値(以下、「累積ポイント」といいます。)に応じて当社普通株式等の交付等を行います。
なお、1ポイントは当社普通株式1株とします。ただし、対象期間中に当社普通株式の株式分割・株式併合等によるポイントの調整を行うことが合理的であると認められる事象が生じた場合、分割比率・併合比率等に応じて、1ポイントあたりの当社普通株式数の調整がなされます。
取締役に対象期間中に付与されるポイントの総数の上限は、400,000ポイントに対象期間の事業年度数を乗じたポイント数を上限とします。このポイントの上限は、上記の当社が拠出する金員の上限を踏まえ、当社の株価推移等を参考に設定しています。ただし、当初対象期間については、かかるポイントの総数とは別に、事後交付型株式報酬制度からの移行措置として、260,000ポイントを上限とするポイントを付与します。
(4)取締役に対する当社普通株式等の交付等の方法及び時期
受益者要件を充足した取締役は、当該取締役の退任時に、上記(3)に基づき算出される数の当社普通株式等の交付等を受けるものとします。このとき、当該取締役は、累積ポイントの一定割合に相当する数の当社普通株式(単元未満株式は切り捨て)の交付を受け、残りについては本信託内で換価したうえで、換価処分金相当額の金銭の給付を受けるものとします。
なお、対象期間中に取締役が死亡した場合、その時点の累積ポイントに応じた当社普通株式について、その全てを本信託内で換価したうえで、その換価処分金相当額の金銭の給付を当該取締役の相続人が受けるものとします。
(5)クローバック・マルス制度
取締役会が、取締役の在任期間中に重大な不適切行為等があったと判断した場合には、指名・報酬委員会での審議・答申結果を踏まえて、取締役会における決議により、当該取締役に対して、株式報酬を受ける権利の全部もしくは一部の没収、又は既に交付等を行った当社普通株式等相当の金銭の全部もしくは一部の返還請求を求めることができるものとします。
(6)本信託内の当社普通株式に関する議決権の取扱い
本信託内の当社普通株式については、経営への中立性を確保するため、信託期間中、議決権は行使されないものとします。
(7)本信託内の当社普通株式に関する配当の取扱い
本信託内の当社普通株式について支払われた配当は、本信託が受領した後、本信託の信託報酬・信託費用に充てられます。
(8)その他の本制度の内容
本制度に関するその他の内容については、本信託の設定、信託契約の変更及び本信託への追加拠出の都度、取締役会において定めます。
(ご参考)
本制度への切替えについて、本株主総会において株主の皆さまのご承認を得られることを条件に、当社の取締役を兼務しない執行役員に対しても、上記同様に、事後交付型株式報酬制度(PSU・RSU)から信託型株式報酬制度への切替えを行う予定です。
(ご参考)取締役の個人別の報酬等の内容にかかる決定方針
当社は、報酬ポリシーを定めており、本議案の承認可決を条件として、以下のとおり、報酬ポリシーを改定いたします。
<報酬ポリシー>
当社は、指名・報酬委員会の審議・答申を踏まえて、取締役会決議により、以下のとおり報酬ポリシーを定めております。
1.経営方針
当社は、“お客さま本位の業務運営の先にある当社が目指す姿”、“そのために追求するべきこと” を検討した結果、「あってよかった、出会えてよかった、と思われる存在でありたい。」と表現する新たな企業理念に至りました。
お客さま本位の業務運営を徹底し、当社の強みであるリテールバンキングを通じた独自の価値提供によりお客さまに心から満足していただき、結果として、株主、社員、そして社会にも価値提供することができる “新しいスルガ銀行の姿” の創出を目指します。
2.役員報酬の基本方針
当社は、役員報酬を上記の経営方針を実現するための位置づけとし、以下の点に基づき、構築・運用するものとします。
・当社グループの業績や株式価値との連動を重視し、短期的な業績のみならず、中長期的に継続した業績向上と企業価値向上への貢献意欲を一層高める制度とします。
・経営方針の実現を担う優秀な人材を社内外から確保することを目的に、各職責に応じた適切な報酬水準・報酬体系とします。
・報酬決定プロセスの客観性・透明性を確保し、全てのステークホルダーの皆さまから信頼される報酬制度とします。
・具体的な役員報酬制度の設計については、今後の法制度の動向や社会的な動向を踏まえ、常に適切な報酬制度であり続けるよう継続して検討します。
3.報酬ガバナンス
役員報酬制度の内容の独立性・客観性・透明性を高めるために、取締役会の任意の諮問機関として、委員長及び委員の過半数を独立社外取締役とする指名・報酬委員会を設置しております。役員報酬の基本方針や役員報酬制度の内容等につき十分な審議を経たうえで、取締役会に対して助言・提言を行います。また、社外からの客観的視点及び役員報酬制度に関する専門的知見を導入するため、外部の報酬コンサルタントを起用し、その支援を受け、外部データ、経済環境、業界動向及び経営状況等を考慮し、報酬制度の内容について検討することとします。
取締役会は、個人別の報酬額について、指名・報酬委員会に原案を諮問するとともに、代表取締役社長に対し、個人別の報酬額の具体的内容を、指名・報酬委員会の答申を踏まえて決定することを委任するものとします。指名・報酬委員会に諮問する内容は、各取締役の基本報酬の額、各取締役の目標達成度等を踏まえた賞与の評価配分、株式報酬の基準額及び業績連動の内容とします。また、上記の委任を受けた代表取締役社長は、当該諮問による答申の内容を踏まえた決定をしなければならないこととします。
4.報酬水準
役員報酬の水準については、上記の基本方針に基づき適正な水準になるよう決定しております。具体的には、当社の事業内容及び経営環境を考慮しながら、外部調査機関の提供するデータベースを定期的に確認し、同業他社(地方銀行)や利益水準が同規模である企業の役員報酬水準を参考に決定します。
5.報酬構成
当社の取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く。以下同じ。)の報酬は、各役員の役割や役位に応じた「基本報酬(金銭)」、短期インセンティブ報酬としての「賞与(金銭)」、及び中長期インセンティブ報酬としての「株式報酬(株式)」の3部構成とします。また、報酬構成の標準モデルは、基本報酬60%、賞与20%、株式報酬20%を原則としますが、各役員の役割や役位によっては、会社業績及び企業価値向上へのコミットメントをより強める観点から、インセンティブ報酬の比率を高める設計とすることで、中長期的な企業価値の向上を後押しするための報酬構成としております。なお、社外取締役及び監査等委員の報酬は、過度なリスクテイクを防止し、取締役を適切に監督する観点から、業績には連動させず、「基本報酬」のみで構成されます。
6.報酬項目の概要
<基本報酬>
職責の大きさに応じて役割や役位ごとに金額を決定し、月額の固定報酬として支給します。
<賞与>
年度ごとの当社グループの会社業績、担当部門の業績及び取締役個人の業務執行に対するインセンティブ付与を目的として、原則、事業年度終了後3ヵ月以内に支給します。本報酬は、各役員の目標達成度等に応じて、0〜150%の範囲内で変動します。
<株式報酬>
当社グループの中長期的な会社業績及び企業価値の向上に対するインセンティブ付与及び株主との利害意識の共有を促すことを目的として、原則として退任時に支給します。
株式報酬は、中期経営計画の目標達成度等に応じて決まる業績連動(Performance Share)部分と、株主との利害意識の共有を促す非業績連動(Restricted Stock)部分により構成され、業績連動部分の割合はおおむね5割以上とします。
・業績連動(Performance Share)
中期経営計画における財務目標である連結当期純利益等を指標とし、目標達成度等に応じて0〜150%の範囲内で変動します。
・非業績連動(Restricted Stock)
株主価値との連動を一層促すため、交付株式数固定の株式報酬として支給します。
なお、本制度は、対象者に対して毎年一定の時期に、役位等に応じて、業績連動部分及び非業績連動部分にかかるポイントをそれぞれ付与し、退任時に、当社が設定した信託を用いて、ポイントの累積値に相当する当社株式を交付するものです。業績連動部分にかかるポイントは、中期経営計画の期間の終了後に、中期経営計画における業績目標の達成度に応じて業績連動係数を乗じて変動します。
7.株式報酬の没収(クローバック・マルス)
過度なリスクテイクを抑制し、経営の健全性を確保するとともに、会計不正等の重大な不祥事や過年度決算の大規模訂正を未然に防止することを目的に、株式報酬の全部又は一部の没収を求める条項(いわゆるクローバック条項、マルス条項)を株式交付規程に制定いたします。
取締役会が、取締役の在任期間中に重大な不適切行為等があったと判断した場合には、指名・報酬委員会での審議・答申結果を踏まえて、株式報酬を受ける権利の全部若しくは一部の没収、又は支給済み株式報酬の全部若しくは一部の返還を当該取締役に請求するか否かにつき決議するものとします。
8.情報開示等の方針
役員報酬制度の内容については、ディスクロージャー・ポリシーに基づき、各種法令等に従い作成・開示することとなる有価証券報告書、株主総会参考書類、事業報告、コーポレート・ガバナンス報告書及びホームページ等を通じ、迅速かつ積極的に開示します。また、株主や投資家の皆さまとのエンゲージメントについても、積極的に実施します。
以 上