当社は、当社グループの海外事業の更なる成長を企図して、2022年5月9日開催の取締役会において、当社グループの海外事業に日本電信電話株式会社(以下「NTT」といいます。)の完全子会社であるNTT株式会社(以下「NTT, Inc.」といいます。)グループの海外事業を統合すること(以下「本海外事業統合」といいます。)を決議しました。具体的には、当社は、基本契約書(以下「基本契約」といいます。)及び株主間契約(以下「株主間契約」といいます。)をNTTとの間で締結すること、当社が営む海外事業をNTT, Inc.に承継した上でNTT,Inc.及びその子会社を当社の子会社とするための吸収分割契約(以下「本吸収分割契約」といい、当該契約に基づく会社分割を「本吸収分割」といいます。)をNTT, Inc.との間で締結すること、また、本海外事業統合の一環として、本吸収分割の効力発生を条件としてNTTが保有するNTT, Inc.株式の一部を取得すること(以下「本株式追加取得」といいます。)をそれぞれ決議し、同日付で基本契約、株主間契約及び本吸収分割契約を締結いたしました。なお、本海外事業統合につきましては、本現物配当(以下に定義します。)及び本株式分割(以下に定義します。)の効力発生、並びに本定時株主総会において本吸収分割契約が承認されること及び必要に応じ関係官庁の許認可等の取得を条件として、2022年10月1日の実施を予定しております。
また、本吸収分割及び本株式追加取得に先立ち、NTT, Inc.は基本契約に基づき、NTT, Inc.の普通株式1株を49株とする株式の分割(以下「本株式分割」といいます。)を行うとともに、2022年10月1日を効力発生日として、その保有する当社普通株式760,000,000株(2021年9月30日現在の総議決権数に対する議決権割合54.2%)の全てをNTTに現物配当(以下「本現物配当」といいます。)する予定です。本現物配当によりNTT, Inc.は当社の親会社及び主要株主である筆頭株主に該当しないこととなり、新たにNTTが主要株主である筆頭株主に該当することとなる予定です。また、本吸収分割に伴い、上記のとおり新たにNTT, Inc.及びその子会社が、当社の子会社に該当することとなる予定です。なお、本吸収分割の効力発生日(2022年10月1日)までに、当社及びNTTは、NTT, Inc.の商号について協議する予定です。
さらに、本吸収分割に先立ち、NTT, Inc.は基本契約に基づき、本現物配当に加えて、NTT Limited(以下「NTT Ltd.」といいます。)以外のNTT, Inc.が保有する子会社であるNTT Disruption Europe, S.L.U.(以下「Disruption」といいます。)の普通株式全て、NTT Global Sourcing, Inc. (以下「Global Sourcing」といいます。)の普通株式全て、NTT Venture Capital, L.P. (以下「Venture Capital」といいます。)の持分全てをNTTに移管する予定です。
つきましては、本議案において、本吸収分割契約のご承認をお願いいたしたいと存じます。本吸収分割を行う理由、本吸収分割契約の概要等は以下のとおりです。
(1)取り組みの背景
社会を取り巻く環境は日々大きく変化しており、企業経営においても、新しい価値創造をはじめとした経済価値向上に加えて、社会課題の解決や地球環境への貢献等が求められています。また、テクノロジーの進化を背景に、企業活動から人々の消費・生活スタイルまで、社会トレンドが大きく変化しており、各業界において事業成長のためのデジタル関連の投資が加速しています。そうした背景の中、様々なモノや人がつながり、新たな価値提供を行う社会の実現に向けて動きはじめており、Edge to Cloud(注)といったConnectivityに関連した技術の重要性が高まっています。また、モノや人の行動などからセキュアに情報を収集し、それらを分析することによるデータドリブンな社会への期待も大きくなっています。
一方、ITマーケットを取り巻く競争環境についても変化してきており、様々なプレイヤーが社会・テクノロジーの変化に合わせてサービスラインアップを拡大してきました。
これまで当社は、国内での堅調な事業拡大に加えて、海外においてはM&Aを活用し事業規模を拡大してきました。特に、海外事業については、デジタル対応力の強化と収益性改善を目的とした事業構造改革に取り組むことにより、一定の成果が出てきています。
グローバルを展望した事業環境の変化を踏まえ、これからのお客さま事業の成長に貢献し、長きにわたり社会インフラを支える真のTrusted Global Innovatorとなるためには、NTTグループ連携を、もう一段加速し、更なる事業競争力の強化に取り組んでいく必要があると考えています。
(注)IoT端末やスマートデバイス、その近くに設置されたサーバーでデータ処理・分析を行うエッジコンピューティングと、データを集中管理・処理するクラウドコンピューティングを組み合わせたアーキテクチャー
(2)取り組みの目的、狙い
このたび、NTTグループにおいて、当社、NTT, Inc.及びNTT Ltd.のそれぞれが事業運営を行ってきたビジネスユーザ向け海外事業を統合し、グループ一体で事業展開していきます。
これまで当社は、深い顧客理解と高度な技術力によるつくる力で、様々な企業システムや業界インフラを支えてきましたが、今回の統合により、NTT Ltd.のもつつなぐ力と組み合わせることで提供価値を高めていきます。
具体的には、当社の持つコンサルティング、アプリケーション開発を主としたシステムインテグレーション力(つくる力)と、NTT Ltd.が得意とするデータセンター、ネットワーク、マネージドサービスを主としたEdge to Cloudのサービスオペレーション力(つなぐ力)を組み合わせ、ITとConnectivityを融合したサービスをTotalで提供する企業へ進化していきます。Connectivity領域を含むデジタルトランスフォーメーションに必要なサービスラインアップを一元的に整備し、複雑化・多様化するお客さまのニーズにグローバルレベルで対応していきます。
加えて、NTTグループの海外事業に関する人財を結集することで、海外各地域における事業特性やお客さま特性に合わせた迅速な意思決定を実現し、今後の事業成長を支える強固なグローバルガバナンス体制を構築していきます。
中長期的には、あらゆるモノがセキュアにつながるITとConnectivityを融合したEdgeからCloudまでを含む総合的なマネージドサービスの提供を通じて、企業・業界の枠を超えた新たな社会プラットフォームや革新的なサービスの創出に取り組んでいくとともに、NTTのIOWN技術を活用した革新的なサービスをグローバルで展開し、サステナブルな未来のしくみを創造できる企業をめざしていきます。
本海外事業統合は、世界のお客さまに対する一元的な理解を促進させ、世界中のお客さまからより信頼されるブランドとなるとともに、事業競争力の強化による更なる成長と企業価値向上を実現するものと考えています。
(3)具体的な取り組み
2022年10月1日より、本海外事業統合に伴いNTT, Inc.は海外事業会社として当社55%、NTT45%の共同出資体制へと移行する予定です。共同出資とすることで、戦略面・実務面でのNTT連携を進め、海外事業の成長を実現していきます。
具体的には、統一した事業戦略のもと、インフラからアプリケーションまでのEnd to End(注)のサービスを提供していきます。NTTの研究開発の成果も活用し、Smart Worldや5G等の分野におけるビジネスを推進していくと同時に、中長期的には、IOWN構想を中核とした環境価値、社会価値も提供可能な高度なサービスの実現に向けて取り組んでいきます。
2023年7月には、新たに設立する国内事業会社に当社の国内事業を吸収分割によって承継することにより当社が持株会社に移行し、その傘下に国内事業会社、海外事業会社を配置する事業運営体制に移行する計画です。
国内事業については、順調な事業成長により1.5兆円を超える事業規模になっており、また、多くのお客さまを抱えていることから、国内事業会社を中心に自律的な事業運営を推進していきます。
新たな事業運営体制により、外部環境の変化及び地域マーケットに応じた迅速な意思決定、機動性の向上、柔軟な制度設計等を通じて、より一層のガバナンス強化を進めていきます。持株会社はグループ全体最適の視点からの成長戦略の策定・遂行、経営管理等に特化し、グループ全体の企業価値向上に努めていきます。
当社とNTTの本海外事業統合後のNTT, Inc.株式保有比率については、一層の成長・発展が期待される海外事業からの利益をより多く取り込むことが当社株式価値の向上に資することを踏まえ、NTT, Inc.株式の追加取得(本株式追加取得)を行うこととしました。NTTの保有するNTT, Inc.株式の4%相当を総額1,120億円にて追加取得し、その結果、前述のとおり当社の保有比率を55%、NTTの保有比率を45%とすることでNTTと合意に至っています。
(注)アプリケーション開発から、ネットワーク・ITインフラの構築、システム運用まで、ITシステムに必要なサービスをTotalで提供すること
吸収分割契約書(写し)
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(以下「甲」という。)及びNTT株式会社(以下「乙」という。)は、2022年5月9日、以下のとおり吸収分割契約書(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(吸収分割の方法)
甲及び乙は、本契約の定めるところに従い、甲がその営む海外事業(以下「本事業」という。)に関して有する第3条第1項所定の権利義務を、吸収分割の方法により乙に承継させる(以下「本吸収分割」という。)。
第2条(商号及び住所)
甲及び乙の商号及び住所は、以下のとおりである。
(1) 甲:吸収分割会社
(商号)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
(住所)東京都江東区豊洲三丁目3番3号
(2) 乙:吸収分割承継会社
(商号)NTT株式会社
(住所)東京都千代田区大手町一丁目5番1号
第3条(権利義務の承継)
1. 乙が本吸収分割により甲から承継する資産、債務、契約その他の権利義務(以下「承継対象権利義務」という。)は、別紙記載のとおりとする。
2. 本吸収分割による甲から乙に対する債務の承継は、免責的債務引受の方法による。
第4条(本吸収分割に際して交付する金銭等に関する事項)
乙は、本吸収分割に際して、甲に対し、承継対象権利義務に代わる対価として、乙の普通株式3,315株を交付する。
第5条(乙の資本金及び準備金に関する事項)
本吸収分割により増加する乙の資本金及び準備金の額については、会社計算規則第37条又は第38条に定めるところに従って、乙が適当に定める。
第6条(効力発生日)
本吸収分割がその効力を生ずる日(以下「効力発生日」という。)は、2022年10月1日とする。但し、本吸収分割の手続の進行上の必要性その他の事由により必要があると認めるときは、甲及び乙が協議し合意の上、効力発生日を変更することができる。
第7条(本吸収分割の条件)
本吸収分割は、効力発生日の前日までに、第10条に定める乙の株式に係る株式分割の効力が発生していること、及び効力発生日において、乙から日本電信電話株式会社に対する、乙の保有する甲の普通株式全ての現物配当の効力が発生することを停止条件として、効力が発生するものとする。
第8条(株主総会決議)
甲及び乙は、効力発生日の前日までに、それぞれ、本契約の承認及び本吸収分割に必要な事項に関する株主総会決議(会社法第319条第1項により、株主総会の決議があったものとみなされる場合を含む。以下同じ。)を求める。
第9条(競業避止)
甲は、乙が承継する本事業について、会社法第21条に基づく競業避止義務を負わないものとする。
第10条(株式分割)
乙は、効力発生日の前日までに、乙の普通株式1株を49株とする株式の分割を行う。
第11条(剰余金の配当の制限)
1. 乙は、本吸収分割の効力が発生する前までに、第7条に定める甲の普通株式の現物配当の他、乙が保有するNTT Global Sourcing, Inc.、NTT Venture Capital, L.P. 及びNTT Disruption Europe, S.L.U. の株式又は持分全ての現物配当を行うことができる。
2. 乙は、前項に定める場合を除き、本契約締結日後、効力発生日より前の日を基準日とする剰余金の配当の決議を行ってはならない。
第12条(本吸収分割の条件の変更及び本契約の解除)
本契約締結後から効力発生日までの間に、甲若しくは乙の財産若しくは経営状態に重大な変更が生じた場合、本吸収分割の実行に重大な支障となる事態が生じ若しくは明らかとなった場合、又はその他本吸収分割の目的の達成が困難となった場合は、甲及び乙は、協議し合意の上、本吸収分割の条件その他本契約の内容を変更し、又は本契約を解除することができる。
第13条(本吸収分割の効力)
本契約は、効力発生日の前日までに、第8条に定める甲若しくは乙の株主総会の決議による承認を得られなかったとき、又は前条に基づき本契約が解除されたときは、その効力を失うものとする。
第14条(準拠法及び管轄裁判所)
1. 本契約は、日本法を準拠法とし、日本法に従って解釈される。
2. 本契約に関し紛争が生じたときは、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
第15条(協議事項)
本契約に定める事項のほか、本吸収分割に必要な事項は、本契約の趣旨に従い、甲及び乙が協議し合意の上、これを定める。
(以下余白)
本契約締結の証として本書2通を作成し、甲及び乙がそれぞれ記名押印の上、各1通を保有する。
2022年5月9日
別紙
承継対象権利義務明細
効力発生日において乙が甲から承継する権利義務は、効力発生日の直前における次に定める甲の権利義務とする。なお、乙が甲から承継する権利義務のうち資産及び債務は、2022年3月31日現在の甲の貸借対照表を基礎とし、これに効力発生日までの増減を加除したうえで確定する。
1. 資産
ア. 固定資産
(1) 株式及び持分:効力発生日時点において本事業に専ら属する会社の株式及び持分のすべて
(2) 不動産:なし
(3) その他の有形固定資産:効力発生日時点において本事業に専ら属する有形固定資産
(4) 無形固定資産:効力発生日時点において本事業に専ら属する無形固定資産
イ.流動資産:①第3項に定める承継する契約(雇用契約を除く。)に基づく一切の権利及び債権並びに②効力発生日時点において本事業に専ら属する流動資産
2. 債務
ア. 次項に定める承継する契約(雇用契約を除く。)に基づく一切の義務及び債務
イ. 効力発生日時点において本事業に専ら属する負債(なお、有利子負債は含まれない。)
3. 契約(雇用契約を除く。)
効力発生日時点において本事業に専ら属する契約
4. 雇用契約
乙は、甲から、甲の従業員との雇用契約を承継しない。なお、甲及び乙は、両社間で別途協議し合意された内容に従って、効力発生日以降、本事業に従事する甲の従業員の全部又は一部の乙への出向を実施する。
5. 許認可等
効力発生日時点において甲が保有又は取得等している本事業のみに関連する許認可等のうち、法令等に基づき承継が可能なもの(もしあれば)
各事項の内容につきましては、法令及び当社定款の規定に基づき、インターネット上の当社ウェブサイトに掲載しておりますので、株主総会参考書類には掲載しておりません。