当社グループは、「信頼されるブランドの浸透」により2025年のGlobal 3rd Stage において、Global Top 5として世界のお客様から信頼される企業をめざしています。
前中期経営計画(2019年度~2021年度)は今後の成長力の源泉となる強みを明確化して徹底的に磨き、実行していく期間として、「変わらぬ信念、変える勇気によってグローバルで質の伴った成長」を推進し、前中期経営目標として「連結売上高2.5兆円」、「顧客基盤80社以上」、「連結営業利益率8%」、「海外EBITA率7%」(注1)の達成をめざしてきました。
[変える勇気]
「変える勇気」として、デジタルへの取り組みの更なる加速とグローバルシナジーの最大化によるお客様への提供価値最大化をめざし、以下の4つの戦略を実行してきました。
戦略1:グローバルデジタルオファリング(注2)の拡充
「グローバルマーケティングの加速」、「積極投資によるオファリング創出」では、「グローバルマーケティングの加速」で定めた注力インダストリーに対して「積極投資によるオファリング創出」に取り組むことで、複数の商用化オファリングを創出し、その一つである生保BPaaSでは2020年度に引き続き、北米で大型案件を受注しました。
「技術集約拠点(CoE(注3) ) の拡充」ではBlockchain、Digital Design、Agile/DevOps(注4)、AI等の7分野のデジタルの技術・知見の共有や展開をグローバルで推進しています。
戦略2:リージョン特性に合わせたお客様への価値提供の深化
国内では、官公庁や金融機関、法人のお客様における基幹システム等、複数の大型案件を受注しただけでなく、国庫金キャッシュレスサービス等の分野・業界を跨いだ社会課題の解決や新しい社会のしくみづくりにつながるサービスを創出しています。
また、北米やEMEA・中南米においても、大手サービス企業のデジタルパートナー案件や、鉄道会社のMaaSプラットフォーム案件等、複数年のデジタル大型案件の受注につながりました。
戦略3:グローバル全社員の力を高めた組織力の最大化
デジタル活用人財強化のための研修プログラムやADP制度(注5)・TG制度(注6)等の人事制度の活用に加え、2021年度には人財の多様化に向け、ジョブ型雇用の拡大や女性活躍を推進し、人財の拡充や社内風土及び意識の変革を進めてきました。
また、コンテンツやノウハウを社内で共有するためのデジタルナレッジシェアをグループ会社にも展開するなど、デジタルを活用した働き方の変革を推進してきました。
NTTグループ連携の強化
NTTグループの共創案件の参画では、オーストラリア ビクトリア州の交通システムを支えるチケットシステム「myki」の構築・運用・支援に参画し、NTT Smart SolutionsによるAIを活用したリアルタイム混雑状況把握などのデジタル事例に貢献しました。
また、IOWNを活用したデジタル社会変革創造では、2020年度に立ち上げたIOWN推進室を中心に社内からIOWN成果活用可能な事業構想を収集し、データ連携基盤構想など、IOWN技術活用に向けた基盤的取り組みを推進しています。
上記に加え、前中期経営計画の完遂に向けては重要経営課題である「不採算案件の抑止」、「海外事業の収益性改善」に重点的に取り組みました。
「不採算案件の抑止」では、プロジェクト審査委員会等の取り組みに加え、1.リスクへの早期対応強化、2.現場力の更なる強化、3.管理プロセス強化、4.ナレッジの更なる蓄積と活用の4つの施策に取り組むことで不採算案件を大幅に減少させ、営業利益の確保に貢献しました。
「海外事業の収益性改善」では、北米とEMEA・中南米における事業構造改革の成果により、EBITA率の改善とデジタルビジネスの拡大が進んでおります。
[変わらぬ信念]
「変わらぬ信念」として、当社の企業理念「情報技術で、新しい『しくみ』や『価値』を創造し、より豊かで調和のとれた社会の実現に貢献する」を根底に、「NTTデータのESG経営」として、ESGの考え方を明確にし、経営戦略に織り込むことで、事業と企業活動を通じてSDGsの達成に貢献するとともに、企業価値を持続的に向上させています。
また、主な活動実績として、2019年3月国連グローバル・コンパクトとUnited Nations Entity for Gender Equality and the Empowerment of Womenが女性の活躍推進に積極的に取り組むための行動原則を示した「WEPs」の趣旨に賛同し、同原則に基づき行動するためのステートメントに署名しました。2020年6月には、持続的な企業価値向上に向けてコーポレート・ガバナンス態勢のいっそうの充実を図るため、監査等委員会設置会社へ移行しました。更に2021年10月、カーボンニュートラルへの社会的な要請の高まりをうけて、グリーンイノベーション推進室を新設し、お客様や業界のCO2削減を推進し、脱炭素化社会の実現に貢献しました。
これらの取り組みにより、前中期経営目標である「連結売上高2.5兆円」、「顧客基盤80社以上」、「連結営業利益率8%」(注1)を達成しました。「海外EBITA率7%」(注1)については新型コロナウイルス感染症影響による一時的な遅れがありましたが、北米では達成しました。
(注1)前中期経営計画の目標値は以下の前提でのものとなります。
・顧客基盤の対象は、年間売上高50億円以上(日本)、もしくは50百万ドル以上(日本以外)のお客様となります。
・連結営業利益率及び海外EBITA率は、M&A・構造改革等の一時的コストを除いたものとなります。
(注2)デジタルオファリング
最先端技術を活用してお客様へ提供する商品・サービス等のことです。
(注3)CoE(Center of Excellence)
高度な研究・開発活動を行い、人財及び事業の創出・育成の中核となる拠点のことです。
(注4)DevOps
開発チームと運用チームが連携してシステムに対するお客様要求に高品質・柔軟・短期間に対応するために、ツールや開発手法等で構成される仕組みのことです。
(注5)ADP(Advanced Professional)制度
AI、IoT、クラウドなど先進技術領域やコンサルティングの領域において卓越した専門性を有した人財を外部から市場価値に応じた報酬で採用する制度です。
(注6)TG(Technical Grade)制度
専門的スキルを持つ人財の潜在能力を最大限に活かして評価する制度です。