第46回定時株主総会招集ご通知 証券コード : 9984
OpenAIによる2022年11月の対話型生成AIサービス「ChatGPT」公開を契機に世界的に加速したAIの普及と進化は、2025年度においても一段と進展しました。AIは、ソフトウエア開発、顧客対応、データ分析、業務自動化など、さまざまなデジタル領域で活用が広がるとともに、ロボットや自動運転をはじめとする現実世界(フィジカル空間)の自動化・自律化へと用途を急速に広げています。
こうした中、AIモデルの性能向上の競争はさらなる激化を見せています。生成AIの開発と普及で先行するOpenAI、高い推論能力や安全性を強みとするAnthropic PBC、そして強固な計算基盤とエコシステムを持つGoogle LLCなどがしのぎを削っています。そして、AI分野における競争は、生成AIの高度化にともなう実用化(推論)需要の急増を受け、計算処理を担うAIチップ、それらを大規模に稼働させるためのAIインフラ、さらにはAIの「体」となるフィジカルAIに至るまで、AIの進化を支える基盤全体へと広がっています。
あわせて、AI関連投資の大型化が進む中、投資機会を的確に捉えるために、必要な投資資金を機動的に調達することも重要になっています。また、AIの普及は、AIに対する社会からの信頼を育みながら、社会・環境が持続可能な形で進めることが不可欠であり、AIを開発・提供・活用する企業にとって「責任あるAI」への取り組みが重要課題となっています。
このような経営環境の下、当社グループは中長期的な経営戦略を推し進める上で、「AIの進化を加速させるための積極的な投資と既存投資先の価値拡大」「財務方針の堅持」「サステナビリティの推進」の3つを重要課題と位置付け、以下のとおり重点的に取り組んでいます。
1 AIの進化を加速させるための積極的な投資と既存投資先の価値拡大
a.AIモデル
AIモデルとは、大量のデータを学習することで文章・画像・音声などを生成したり、質問への回答や複雑な問題の分析・推論を行ったりする、AIの中核をなすシステムです。AIモデルの性能向上が、産業全体のイノベーションを牽引しています。
当社グループが出資するOpenAIは、「AGI(Artificial General Intelligence:汎用人工知能)が全人類に利益をもたらすようにする」という使命の下、生成AIの先駆けとなったAIモデル開発企業であり、「ChatGPT」やAPI(外部サービスにAI機能を組み込むための接続の仕組み)を通じて、個人向けから企業向けに至るまで多角的に事業を展開しています。継続的なモデル性能の向上に加え、マルチモーダル対応(文字・音声・画像など複数の形式への対応)の進化により、文章生成、ソフトウエア開発、データ分析など幅広い領域で高い実用性を実現しています。そのユーザー基盤は急速に拡大しており、「ChatGPT」の週間アクティブユーザー数(注1)は、2025年3月の5億人から2026年2月には9億人超へと、1年足らずで2倍近い水準に成長しました。
このように、OpenAIは卓越した技術力と大規模で急成長中のユーザー基盤を兼ね備えており、AIが未来をかたちづくる決定的な力になりつつある中、当社グループは同社が今後もAI分野における中核的な存在であり続けると確信しています。こうした認識の下、当社グループは2024年9月の初回出資を皮切りに同社への追加出資を重ねており、2025年度末時点における累計投資額は346億米ドルとなりました。さらに2026年2月に新たに300億米ドルを追加出資することを決定しました。当該出資は2026年に3回に分けて行う予定であり、同年4月にはそのうち第1トランシェとして100億米ドルの出資を実行しました。これらの出資を通じて、同社の研究開発の加速およびエコシステム(同社のAIモデルを活用するサービスや企業が集まる生態系)の拡大を後押しするとともに、長期的なパートナーシップを強化しています。
b.AIチップ
AIチップとは、AIの学習や推論を高速かつ効率的に処理するための半導体の総称であり、AIの進化を支える重要な基盤技術の一つです。近年、AIの活用は学習中心から大規模な推論へと移行し、複数のモデルやタスクを組み合わせて自律的に動くエージェント型AIの普及にともない、これを制御・管理するCPUの重要性が高まっています。CPUは、GPUやアクセラレーターと役割を分担しながら、システム全体の制御やデータ処理、複雑なワークロードの管理において不可欠な役割を担っています。
この領域で重要な位置を占めるのが、当社子会社であるArmです。Armは、半導体IPを中核とするコンピュートプラットフォームのグローバルリーダーであり、そのCPUアーキテクチャは高い性能と優れた電力効率を兼ね備えています。AIワークロードへの対応を強化した最新世代アーキテクチャ「Armv9」やコンピュート・サブシステムの提供により、顧客が高性能かつ電力効率に優れたAIチップを迅速に開発・展開できるよう支援しています。
2026年3月、ArmはAIデータセンター向けCPU「Arm AGI CPU」を発表しました。これは、Armのプラットフォームを自社設計チップへと拡張するものであり、同社のコンピュートプラットフォームの進化における重要な一歩です。同チップは、AI推論の大規模化やエージェント型AIの普及にともない拡大するデータセンター向けCPU需要に対応するものです。高い処理性能に加え、大規模環境での拡張性や電力・コスト効率を重視して設計されています。Meta Platforms, Inc.は本チップの共同開発パートナーであり、自社データセンターへの広範な導入を計画しています。
当社グループはArmがAI時代の計算基盤を支える中核技術の担い手になっていくと確信しています。こうした認識の下、当社グループは中長期戦略を推し進める上でArmを中核子会社に位置付け、同社を通じてAI時代の計算基盤の進化をリードしていきます。
c.AIインフラ
AIモデルの高度化と推論需要の拡大が進む中、AIデータセンターと電力供給の整備・確保は、AI産業全体の成長を左右する重要な要素となっています。AIモデルやAIチップが進化しても、それらを安定的かつ大規模に稼働させるAIインフラが確保されなければ、AIの活用拡大には限界が生じます。そのため、当社グループはAIインフラをAIの進化を支える重要な領域の一つと位置付けています。
こうした中、2025年1月、当社は、OpenAIのために米国内で新たなAIインフラを構築する「Stargate Project」をOpenAIなどと共同で発表しました。その一環として、2026年1月には当社子会社のEnergy GlobalがOpenAIと戦略的パートナーシップを締結し、テキサス州ミラム郡における1.2GW規模のAIデータセンター計画において、電力・通信接続設備などを備えたデータセンター用の建屋(パワードシェル)の建設を進めています。
さらに、2026年3月、米国エネルギー省(DOE)および米国商務省(DOC)は、当社、Energy GlobalおよびAEP Ohio(米電力大手American Electric Power Company, Inc.傘下の地域電力会社)とともに、オハイオ州パイクトンの「PORTS Technology Campus」において10GW規模の発電設備と10GW規模のAIデータセンターを開発する官民連携プロジェクトを発表しました。このうち9.2GW規模の発電設備の整備計画は、日米政府間の合意に基づく総額5,500億ドル規模の「戦略的投資イニシアティブ」の対象の一つです。
当社グループは、これらのプロジェクトに多額の資金を要することを踏まえ、外部資金を活用することで自己資金負担を抑制しつつ、AIの活用拡大を支えるインフラの構築を着実に推し進めていきます。
d.フィジカルAI
フィジカルAIとは、ロボットや自動運転車などの自律マシンが、現実の世界を認識、理解して、複雑な行動ができるようになることで、当社グループは、同領域をAIの進化を支える重要な領域の一つであると捉えています。AIモデルがデジタル空間で知的な判断や最適化を実現する一方で、フィジカルAIはそれらをフィジカル空間の動作へと具現化し、幅広い産業分野で具体的な価値を創出します。
この分野での取り組みを加速するため、当社グループは、2024年度から2025年度にかけて、グループ内で複数のエンティティに分散していたロボティクス関連投資のうち約20社を中間持株会社(ロボHD)の傘下に集約しました。これにより、各投資の技術、人材、事業基盤を必要に応じて横断的に連携させ、シナジー創出を最大化する体制を整えています。さらに、2025年10月、当社はABB Ltd(以下「ABB」)のロボティクス事業を買収する最終契約を締結しました。同事業は、50カ国以上に展開する強固な販売チャネルと幅広い顧客基盤、そして累計50万台を超えるロボット出荷実績を誇り、高い信頼性と性能を備えた製品・ソリューションを世界規模で提供しています。本買収は2026年後半に完了する見込みです。
当社グループは、ABBのロボティクス事業を含むグループ内のロボティクス関連投資を結集し、AIとロボットの融合を通じて、フィジカルAIの普及と進化をリードしていきます。
2 財務方針の堅持
ソフトバンクグループ㈱は、LTV(Loan to Value:調整後純有利子負債÷保有株式価値で算出(注2))を金融市場の平時は25%未満、異常時でも35%を上限として管理するとともに、2年分の社債償還資金以上の手元流動性を確保することを財務方針として掲げています。2025年度においては、OpenAIへの大型投資に加えて、Ampere買収を行いましたが、2025年度末のLTVは資産の資金化や保有株式価値の上昇により2024年度末から改善し、手元流動性も2024年度末と同水準を維持しました。
2026年度においても、引き続きAIの進化を加速させるために積極的に投資を行っていく予定であり、その中でも最大の投資案件は2026年2月に決定したOpenAIへの300億米ドルの追加出資です。本追加出資に必要な資金の調達を主な目的として同年3月に総借入限度額400億米ドルのブリッジファシリティ契約を締結しました。2026年度は、本ブリッジファシリティの長期資金への借り換えや返済に優先的に取り組んでいきます。上記の財務方針に沿ってLTVを適切にコントロールしつつ、資産の資金化や負債調達も活用し、これらの対応を着実に進めていきます。
3 サステナビリティの推進
当社グループは、社会の持続的な発展と当社グループの中長期的な成長の両立を実現するために、企業活動においてサステナビリティを推進することが重要だと考えています。こうした考えの下、サステナビリティに関するリスクおよび機会を認識した上で、それぞれのリスクの軽減と機会の追求に取り組んでいます。
当社グループは、優先して取り組むべきサステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)を特定し、特に優先度の高い(a)責任あるAI、(b)気候変動、(c)人的資本について目標・アクションプランを設定した上で、継続的に取り組み、その状況をモニタリングしています。