第74回定時株主総会招集ご通知 証券コード : 2811
カゴメ株式会社取締役会の議論の内容、運営の仕方、付議者の能力などを多面的に評価していただいておりますが、今年は全ての評価項目で「A」をいただきました。過去、カゴメは内向きな会社と厳しいご批判も頂戴しましたが、3年を経て、外から見たときの問題点であった客観性と主観性のバランスが調和しつつあるように感じています。 また社外取締役の皆さまにいろいろな海外拠点を訪問していただき、それぞれの事業活動がバラバラなものではなく、企業理念やブランド・ステートメントなどの、重要な価値観でつながっていることや、社会問題の解決に取り組むチャレンジにも、手応えを実感していただけたようです。今後は、取締役育成プログラムの整備や、取締役会の変化の風を、どのように現場に落とし込むか、などが課題になると思っています。
近年、ESG投資が世界的な潮流になりつつあり、企業経営には環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の3つの視点が求められています。かつてOECD(経済協力開発機構)で勤務しながら、当時の資本・財務中心の論理に違和感をもった私にとって我が意を得たりという変化です。カゴメ創業以来の「感謝、自然、開かれた企業」という理念がいま世界に広がりつつあり、それは初めてカゴメのトマト畑を視察したときに、私が予感したことです。今後の国際事業の展開においても、この姿勢を貫くべきです。
脚注:ESG投資とは財務情報だけでなく、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)に関する情報も考慮して行う投資
昨年、米国法人を視察した際に、トマトの種子開発、栽培、加工にいたるカゴメのバリューチェーンのスケールの大きさに目を見張りました。カゴメはこうした強みを成長ドライブとして価値創造のプロセスを定義し、社会課題の中から貢献できる分野を抽出して「健康寿命の延伸」と「農」をテーマに取り組み成果をあげています。こうしたプロセスを、世界の共通言語となりつつあるSDGs『持続可能な開発目標』に結合し深化させることで、世界から尊敬される会社に飛躍できるものと確信しています。
脚注:SDGs(Sustainable Development Goals),国連が2015年に採択した17の目標と169のターゲットからなる持続可能な開発目標
健康長寿を阻む生活習慣病の予防・改善に「一日350g以上の野菜」が推奨されていますが、350gの野菜を摂っている人は60歳未満で2~3割、60歳以上でも4割が現状です。人々の健康に貢献できる「野菜の会社」としてカゴメがさらに発展するためには、野菜の栄養素等を活かして提供するための研究・技術開発、栄養価の高い野菜の生産、人々の生活スタイルや健康状態に即した手軽で便利に摂れる商品の提供が必要です。さらに、野菜摂取の習慣化を図る食育活動を通しての事業展開など、独自のノウハウを活かしたコト事業の展開にも期待しています。
新任候補
取締役常勤監査等委員候補監査等委員会の役割は、内部統制システムを利用して取締役の業務適法性、妥当性を監査し、業務執行の監督を行うことであると考えます。私は今までのカゴメでの経験を生かし、内部監査室や監査法人からの監査報告はもちろん、国内外の現場に足を運んで確認した事実をもとに、豊富な知見を持つ2名の社外の監査等委員と共に取締役会に臨み、カゴメの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上をめざして、誠実に仕事に取り組みたいと思います。
日射量が多く、昼夜の温度差が大きい、そして地下水が豊富に湧き出る山梨県北杜市に、世界最多収量をめざす最新鋭の施設を備えた明野菜園があります。2014年、トマト栽培を成功させ地域振興したいという地元の農業法人に、カゴメは最新鋭の施設を紹介し、技術指導を行いました。今は収穫されたトマトをカゴメが全量購入しています。明野菜園のように、持続的、自律的な地域社会創生にカゴメの強みを活かして貢献し、事業の成長につなげてゆくことを期待します。
日本において超高齢化が進むなか、医療・介護費の負担増などから健康寿命の延伸が社会的な課題となっています。トマトの会社から野菜の会社になろうとしているカゴメにおいて、食を通じて、こうした社会問題の解決に貢献することは、カゴメに課せられた社会的な使命であると考えます。健康をキーワードにした商品開発やイノベーションにより新たな需要を創造し、人口が減少する国内においても持続的に成長できるよう、さらなるチャレンジに期待しています。