第81回定時株主総会 招集ご通知 証券コード : 2811
当社は2022年12月期から4年間を対象とする中期経営計画のもと、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業」を目指しております。基本戦略である「4つのアクション(①野菜摂取に対する行動変容の促進 ②ファンベースドマーケティングへの変革 ③オーガニック・インオーガニック、両面での成長追求 ④グループ経営基盤の強化と挑戦する風土の醸成)の有機的連携による持続的成長の実現」に取り組み、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。
当連結会計年度(2024年1月1日から2024年12月31日)は、トマト加工品を中心とした世界的な原材料価格の高騰が継続いたしました。日本国内においては、物価上昇による生活者の節約志向の高まりなどを受け、景気の先行きは依然として不透明な状況が続きました。
このような環境のもと、国内加工食品事業においては、主要原材料の価格高騰を受け、野菜飲料やトマト調味料など一部製品の出荷価格を改定しました。これに対し、需要の落ち込みを最小限に抑えるべく積極的な需要喚起策に取り組みました。この結果、販売数量の減少を想定よりも抑えることができ、増収増益となりました。
国際事業においては、トマトペーストの販売価格が上昇したことに加え、フードサービス企業向けの販売が好調に推移しました。また、インオーガニックの成長として、持分法適用会社であったIngomar Packing Company, LLC(以下、Ingomar)の持分を2024年1月に追加取得し、連結子会社化したことにより、売上収益が純増となりました。この結果、国際事業は増収増益となりました。なお、取得日直前に保有していたIngomar持分を取得日における公正価値で再測定した結果、93億23百万円の段階取得に係る差益を「その他の収益」に計上しました。
その結果、当連結会計年度の売上収益は、前期比36.5%増の3,068億69百万円、事業利益は前期比39.1%増の270億94百万円、営業利益は前期比107.3%増の362億21百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比139.8%増の250億15百万円となりました。
※ 事業利益は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除し、持分法による投資損益を加えた、経常的な事業の業績を測る利益指標です。
(注)基本的1株当たり当期利益は期中平均発行済株式総数に基づき、1株当たり親会社所有者帰属持分は期末発行済株式総数に基づき、それぞれ算出しております。なお、期中平均及び期末の発行済株式総数は、いずれも自己株式を除いて算出しております。
セグメント別の業績の概況は、次の通りであります。
当期にIngomarを連結子会社化したことを契機に、セグメントの管理区分の見直しを行いました。この結果、国際事業の内訳として「トマト他一次加工」、「トマト他二次加工」を新たに開示しております。また、「国内農事業」及び、国際事業に含まれていた「種苗の生産・販売事業」を「その他」へ集約いたしました。
なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の区分により作成したものを記載しております。
(注)事業利益の調整額には、事業セグメントに配分していないグループ本社機能に関する連結共通費用が含まれております。
※1トマト他一次加工:農作物を加工した、ペーストなどの製造・販売
※2トマト他二次加工:主に、農作物の一次加工品に調味料などを加えて加工した、ピザソースなどの製造・販売
各事業別の売上収益の状況は以下の通りであります。
1 国内加工食品事業
主要製品及び商品等 ●野菜ジュース●トマトジュース●トマトケチャップ●トマト調味料 など
売上収益 1,557億11百万円(前期比9.5%増)
国内加工食品事業では、飲料や調味料等の製造・販売を手掛けております。
[飲料]
飲料カテゴリーは、トマトジュースにおいて、血圧・コレステロールが気になる健康関心層に加え、美容関心層の新規ユーザーを獲得したことにより、好調に推移しました。
「野菜生活100」シリーズは、「野菜生活100 レモンサラダ」など新商品の発売や、「朝を味方に。」をテーマとした需要促進策が一定の効果をもたらしました。
[通販]
通販カテゴリーは、つぶより野菜により定期顧客数を伸ばしたこと、また、スープが好調に推移しました。
[食品他]
食品カテゴリーは、価格改定後のトマトケチャップ需要の落ち込みに対し「焼きケチャップ」などのメニュー情報発信と販促活動を強化したことにより、好調に推移しました。
業務用カテゴリーは、価格改定後も継続的な外食需要の増大などにより、好調に推移しました。
ギフト・特販カテゴリーは、長期保存可能な備蓄用製品の販売が好調に推移しました。
2 国際事業
主要製品及び商品等 ●トマトペースト、ダイストマト●ピザソース、バーベキューソース●トマトケチャップ など
売上収益 1,493億3百万円(前期比91.0%増)
国際事業では、農業生産、商品開発、加工、販売を展開しております。
[トマト他一次加工]
トマト他一次加工カテゴリーは、米国、欧州、豪州においてトマトペーストやダイストマト等の製造、販売を手掛けております。
トマト一次加工品は、世界的な需給の逼迫を受け、市場価格が高騰いたしました。
米国においては、「事業の更なる成長」「トマト加工事業のグローバルネットワークの拡充」「持続可能なトマト加工事業構築」を目的にIngomarを連結子会社化し、事業を拡大しました。欧州のHolding da Industria Transformadora do Tomate, SGPS S.A.、及び豪州のKagome Australia Pty Ltd.においては、販売価格の上昇により、それぞれ増収となりました。
[トマト他二次加工]
トマト他二次加工カテゴリーは、米国、欧州、豪州、台湾、インドにおいて主としてフードサービス企業向けにピザソースやバーベキューソース、トマトケチャップ等の製造、販売を手掛けております。
トマト他二次加工品においては、世界的な原材料やエネルギーを始めとしたコストの増加に伴い、一部商品の価格改定を実施しました。
米国のKAGOME INC.をはじめ、各地域において、フードサービス企業向けの販売が好調に推移しました。
3 その他
主な事業等
●国内農事業●種苗の生産・販売、新品種・栽培技術などの研究開発●不動産事業●業務受託事業●新規事業 など
売上収益 218億61百万円(前期比11.7%増)
●会社の経営上の重要な事項
該当事項はありません。
●研究開発の状況
当連結会計年度の研究開発費の総額は、50億94百万円であります。
持続可能な農業の実現に向けた開発能力を高めることを目的として、国内外に分散していた品種開発や栽培技術の開発部門を一つの組織に結集し、2023年10月に「グローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンター(GARBiC)」を設立しました。この組織の傘下にはこれまで日本の研究所で行ってきた農資源開発や、ポルトガルのKagome Agri-business Research and Development Center, Unipessoal Lda、種子の開発・生産・販売を行うUnited Geneticsグループなどを配置しています。
2024年には、農業分野の新技術や新サービスが多様に迅速に展開されている米国カリフォルニア州に、米国拠点「Global Agricultural Research & Business Center USA LLC」、およびコーポレート・ベンチャーキャピタルを新たに設立しました
GARBiCとIngomar、契約農家が強固に連携し、加工用トマト生産者が抱える課題の抽出と、対応する品種や栽培技術の開発・実装・事業化までをグループの連携によって実現することで、農を起点とした一貫した価値形成を行っていきます。