第80回定時株主総会 招集ご通知 証券コード : 2811
当社は2022年12月期から4年間を対象とする中期経営計画のもと、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業」を目指しております。基本戦略である「4つのアクション(①野菜摂取に対する行動変容の促進 ②ファンベースドマーケティングへの変革 ③オーガニック・インオーガニック、両面での成長追求 ④グループ経営基盤の強化と挑戦する風土の醸成)の有機的連携による持続的成長の実現」に取り組み、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。
当連結会計年度(2023年1月1日から2023年12月31日)は、世界的な原材料価格の高騰など、厳しい経営環境が継続しております。特に日本国内においては、物価上昇による生活者の節約志向の高まりなどを受け、景気の先行きは依然として不透明な状況が続きました。
国内加工食品事業においては、主要原材料をはじめとする売上原価の大幅な上昇を受け、野菜飲料やトマト調味料など一部製品の出荷価格を改定しました。改定後、需要の落ち込みがあったものの、食品カテゴリーや業務用カテゴリーの販売が好調であったことにより増収となりました。また、事業利益は原材料価格の高騰などにより減益となりました。
一方、国際事業においては、トマトペーストの販売価格の上昇、フードサービス企業向けの販売が好調であったことにより、増収増益となりました。
また、国内農事業において、気象条件に伴う生鮮トマト市況の不確実性やエネルギー、肥料の価格高騰によるコスト上昇等を総合的に勘案した結果、固定資産の減損損失を22億36百万円計上しました。
その結果、当連結会計年度の売上収益は、前期比9.3%増の2,247億30百万円、事業利益は前期比52.1%増の194億76百万円、営業利益は前期比37.0%増の174億72百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比14.4%増の104億32百万円となりました。
※ 事業利益は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除し、持分法による投資損益を加えた、経常的な事業の業績を測る利益指標です。
(注)
基本的1株当たり当期利益は期中平均発行済株式総数に基づき、1株当たり親会社所有者帰属持分は期末発行済株式総数に基づき、それぞれ算出しております。なお、期中平均及び期末の発行済株式総数は、いずれも自己株式を除いて算出しております。
セグメント別の業績の概況は、次の通りであります。(注)
事業利益の調整額には、事業セグメントに配分していないグループ本社機能に関する連結共通費用が含まれております。
各事業別の売上収益の状況は以下の通りであります。
主要製品及び商品等 ●野菜ジュース ●トマトジュース ●トマトケチャップ ●トマト系調味料など
国内加工食品事業では、飲料や調味料等の製造・販売を手掛けております。
[飲料]
トマトジュースは、血圧・コレステロールが気になる健康関心層に加え、美容関心層の新規ユーザーを獲得したことにより、好調に推移しました。「野菜生活100」シリーズは、価格改定や外出増に伴うまとめ買いの減少などにより、減収となりました。
[通販]
野菜飲料の定期顧客数が前年を下回り、減収となりました。
[食品他]
食品カテゴリーは、価格改定による需要の落ち込みに対して「オムライススタジアム」や「焼きケチャップ」などのメニュー情報発信と販促活動を強化したことにより、増収となりました。
業務用カテゴリーは、価格改定後も外食需要の高まりにより、増収となりました。
ギフト・特販カテゴリーは、受託製品の販売が減少したことで、減収となりました。
主要製品及び商品等 ●生鮮トマト(高リコピントマト、β-カロテントマト、ラウンドレッドなど) ●ベビーリーフ など
国内農事業では、主に生鮮トマト、ベビーリーフ等の生産・販売を手掛けております。当連結会計年度は、生鮮トマトの取扱量が増加したことにより、国内農事業は増収となりました。
主要製品及び商品等 ●トマトペースト、ダイストマト ●ピザソース、トマトケチャップ ●トマト・野菜種子 ●野菜飲料 など
国際事業では、種子開発から農業生産、商品開発、加工、販売まで垂直統合型ビジネスを展開しております。
KAGOME INC.(米国)は、販売価格の上昇、およびフードサービス企業向け販売が好調に推移したことにより増収となりました。Holding da Industria Transformadora do Tomate, SGPS S.A.(ポルトガル)は、主力商品であるトマトペーストの販売価格上昇により増収となりました。Kagome Australia Pty Ltd.(豪州)は、フードサービス企業向け販売が好調に推移したものの、トマトペーストの販売量が減少したことにより減収となりました。
主な事業 ●不動産賃貸業 ●業務受託事業 ●新規事業 など
その他の事業には、不動産賃貸業、業務受託事業、新規事業などが含まれております。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、42億96百万円であります。
当社は2023年10月1日付の組織改定において、イノベーション本部を発展的に解消・再編成し、「食健康研究所」と「グローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンター」を新設しました。
食健康研究所は、日本のみならず、世界中の人々のWell-Beingを実現するため、野菜や植物性食品の持つ可能性を様々な角度から検証してまいります。
主な研究分野
・行動変容研究
健康寿命の延伸や野菜摂取の行動変容に繋がる仕組みづくり・創出の研究、社外研究機関と連携した野菜摂取に関する行動変容研究など
・機能性研究
国内外の商品やサービス、素材の栄養・機能価値に関するエビデンスの取得、食における野菜摂取が健康寿命の延伸に寄与することを示すエビデンスの取得など
・事業貢献
一般社団法人ナトカリ普及協会との当社事業の支援、機能性表示食品の商品化に向けたエビデンス強化、行動変容コンテンツによる国内外における事業支援、野菜に関する情報の発信・普及と海外研究機関との共同研究など
地球温暖化に伴う異常気象の発生や、海外の人口増加を受け、世界的な農産原材料の安定生産が中長期的な重要な課題です。特にトマトにおいては近年世界的に需給が逼迫しており、長期的にも気候変動の影響を受ける可能性が高いことが想定されます。
グローバル・アグリ・リサーチ&ビジネスセンターは、中長期的な原材料の確保と、持続的な農業の確立を目指し、川上の新品種の開発と育種、アグリテックなど栽培技術の開発に、人材等の資源を集中的に投下してまいります。今後はグローバルで通用する技術開発と新規事業創造を進め、「低環境負荷トマト・野菜のプラットフォーマー」を目指します。