株主のみなさまにおかれましては、平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申しあげます。当社の第160回定時株主総会招集ご通知をお届けするにあたり、ひとことご挨拶を申しあげます。
2019年5月
代表取締役社長
社長執行役員
山本 学
2018年度は、国内では、個人消費の持ち直しや設備投資が増加するなど、景気は緩やかに回復しましたが、米中貿易摩擦の顕在化やBREXITなどによる先行きに対する懸念の高まりを反映して、期後半には輸出や生産の一部に弱さがみられました。化学工業界におきましては、原材料価格の上昇などがありましたが、企業収益は総じて堅調に推移しました。
このような経済環境のもとで、当社グループは、企業理念“ The Denka Value ”を実現すべく、2018年度より5ヵ年の新経営計画「Denka Value-Up」をスタートさせております。「Denka Value-Up」では、3つの成長ビジョン「スペシャリティーの融合体」「持続的成長」「健全な成長」に基づき、2つの成長戦略である「事業ポートフォリオの変革」と「革新的プロセスの導入」を推進し、業容の拡大と収益の確保に注力いたしました。
この結果、新経営計画の初年度となる当期の業績は、原材料価格の上昇に応じた販売価格の改定や、電子・先端プロダクツ製品を中心とした販売数量の増加により、売上高は前期比増収となり、過去最高を更新しました。収益面でも、スチレンモノマーの定期修繕や、ヘルスケア分野などで将来に向けた先行投資による費用負担が増加しましたが、販売数量の増加や交易条件の改善により、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益とも、それぞれ2期連続で過去最高益を更新しました。昨年度に引き続き過去最高益を更新することができたことにより、「Denka Value-Up」の成長ビジョンが確実にデンカグループ内に浸透しつつあることを実感しています。
2年目となる本年度は、これまで「Denka Value-Up」のもとで実行してきた施策の成果を、本格的に具現化し始める1年と位置づけ、更なる高い目標に向かって計画の着実な遂行を加速していく必要があります。その具体的な方策の一つは、2020年4月1日付で実施することを決定したデンカグループの2つの再編です。1つはヘルスケア事業の強化を目的とするデンカ生研株式会社とデンカの合併、もう1つはグループ商社機能の最適化を目的とする、ともに連結子会社である株式会社アクロス商事と株式会社YKイノアスの統合です。本再編に関する詳細に関しては本招集ご通知44ページをご参照ください。
当社は従来より、コーポレートガバナンスの強化を経営上の重要な課題と位置づけ、監督・意思決定機能と業務執行機能を明確に分離することを目的とした執行役員制度の導入や、取締役の任期の短縮、3名の社外取締役の招聘、社外役員を中心とした任意の委員会である「経営諮問委員会」の設立など、様々な施策を実行に移し、経営の透明性と健全性の確保に努めてまいりました。
この度、コーポレートガバナンスの更なる強化を図るべく、①業務執行と監督の分離の更なる推進、②社外取締役の増員、③取締役会の多様性の強化を目的に、本定時株主総会にてご承認いただくことを条件に、「監査役会設置会社」から「監査等委員会設置会社」へ移行することといたしました。これにより、迅速な意思決定を実現するとともに、監査等委員である取締役が取締役会における議決権を持つことで、取締役会の監督機能をより一層高めてまいります。