デンカのSDGsに対する取組み

 SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、2015年9月に国連において採択された、気候変動・エネルギー、健康や雇用等の課題に対する、17の目標と169のターゲットからなる2030年までの行動計画です。
 持続可能な社会の実現のために、社会の一員としての責任を果たすため、デンカは未来に向けて何をすべきかを考え、人類共通の課題であるSDGsの目標達成に貢献してまいります。
 本特集では、デンカのSDGsに対する取組みにおける最新トピックスをご紹介いたします。

インフルエンザ診断用医療機器「クイックナビリーダー™」の発売 

 デンカの主要グループ会社であるデンカ生研株式会社は販売提携先の大塚製薬株式会社と体外診断用医薬品「クイックナビ™-Flu2」専用のデンシトメトリー(光学密度測定)分析装置「クイックナビリーダー™」を、2018年10月に発売いたしました。
 「クイックナビ™-Flu2」は、検体中に存在するインフルエンザウイルスを迅速かつ高感度に検出できる国内トップシェアの迅速検査キットで、検査キットに出現するラインの有無により5分で判定可能です。
 インフルエンザ検査では、このラインの有無を医療従事者が目視で判定しますが、目視では判定結果に個人差が生じる場合があります。
 「クイックナビリーダー™」は、光学センサーにより「クイックナビ™-Flu2」のラインを撮像・画像解析し、設定された閾値との比較により陽性・陰性を判定するデンシトメトリー(光学密度測定)分析装置で、検査結果を客観的に個人差無く正確に判定することを可能としております。
 「クイックナビリーダー™」には、判定時間が経過した後のテストデバイスを挿入して結果を表示する「スグヨミトリモード」(約5秒で判定されます。)、試料滴加後直ちにテストデバイスを装置に入れることで、結果判定まですべて自動でおこなう「ジドウヨミトリモード」(1分ごとに読み取りをおこない、陽性の閾値以上になった時点で結果が表示されます。)の2つのモードがあり、診療現場をサポートしております。
 デンカ生研は『クイックナビ™シリーズ』として、既にインフルエンザウイルス、ノロウイルス等の検査試薬を販売しております。今後も感染症検査のためのラインナップを拡充し、医療の現場に貢献してまいります。


自動車向け放熱材料事業拡大に向けた戦略投資-生産能力を大幅に増強しグローバル市場を牽引- 

 デンカは、「窒化珪素セラミックス基板」と「球状アルミナ」のトップメーカーとして、自動車業界の電動化に伴う放熱材料のグローバルな需要拡大に迅速に対応すべく、グループ全体で、総額約80億円の設備投資による生産能力の増強をおこないます。
 「窒化珪素セラミックス基板」は、デンカが約30年にわたり、原料(窒化珪素粉)から一貫生産する製品で、窒化アルミニウム基板、金属基板とともに、多様なニーズに応えるソリューションを提供し、お客様より高い評価をいただいております。
 近年では、環境対応車のモーター駆動用パワーモジュールに使用される絶縁放熱部品として、放熱特性と熱サイクル信頼性に優れた当製品の需要が拡大しております。今回の設備投資では、前工程に最先端の自動化プロセスを導入することで、生産能力を約3倍(2018年度比)に高めます。
 また、同じくトップシェアを誇る「球状アルミナ」は、デンカ独自の高温溶融技術を活かした製品で、他社の追随を許さない地位を確立しております。環境対応車のリチウムイオンバッテリーや各種制御装置向けの熱対策材料としてのニーズの高まりや、デバイスの高機能化により需要は今後一層拡大する見通しで、同製品を製造する大牟田工場に続き、シンガポールの連結子会社に生産設備を増設いたします。これにより、生産能力を約5倍(2018年度比)に増強するとともに、生産拠点の分散によるBCPを確立して、伸長著しいグローバル市場に応える供給体制を確立します。

 デンカは、経営計画「Denka Value-Up」において、「環境・エネルギー分野」を重点分野のひとつに位置づけております。SDGsが掲げるクリーンエネルギーの普及やエネルギー効率向上といった目標に、化学のモノづくりを通じて取組み、世界の持続的発展に貢献することを目指してまいります。

バイオスティミュラント市場への本格参入を決定 

 デンカは、経営計画「Denka Value-Up」のもとで推進しているスペシャリティー事業の成長加速化の一環として、バイオスティミュラント市場への本格参入を決定いたしました。
 バイオスティミュラントとは「植物やその周辺環境が本来持つ自然な力を活用することにより、植物の健全さ、ストレスへの耐性、収量と品質などに良好な影響を与える様々な物質や微生物」*1と定義されます。人口増加による農産物需給のひっ迫と、地球温暖化と気候変動による、農産物被害の深刻化などの社会問題の解決手段の一つとして、バイオスティミュラントに大きな期待が寄せられております。世界市場規模は2018年の約22億USドルから2022年には約33億USドルへと拡大し、その成長率は年率10.4%になると予測されています*2。
 当社は50年以上にわたり、バイオスティミュラントの一つである腐植酸を使用した肥料「アヅミン®」を販売しております。土壌の改善効果に加えて、厳しい環境のもとでも生育改善に大きな効果を発揮する製品で、国連のSDGsの目標である持続可能な農業の推進と、気候変動や自然災害に対する農地の強靭化(レジリエント)への貢献が期待され、多くの農業生産者より高い評価をいただいております。
 今回のバイオスティミュラント市場への本格参入によって、長年にわたり蓄積した技術的知見を基盤とした高機能化とオープンイノベーションによる新製品開発に取組んでいます。さらに、海外ネットワークを活用した販売拡大や、海外のバイオスティミュラントメーカーとの事業アライアンスも視野に入れています。デンカはこれからも世界の農産物の生産拡大を支援し、人類共通の課題のSDGs達成に貢献してまいります。

*1出典:日本バイオスティミュラント協議会HP(一部改) *2出典:MarketsandMarkets 2017年

海洋プラスチック削減への取組み 

 海洋プラスチック問題は最近、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどのマスメディアで幅広く取り上げられ、深刻な海洋汚染問題として国際的に関心が高まっています。
 欧州議会では「特定の使い捨てプラスチック製品等の使用禁止」を可決し(2021年発効)、アジア諸国ではレジ袋有料化と使用制限等の具体的な規制が一部開始されました。加えて、2018年のG7シャルルボワサミットで「海洋プラスチック憲章」が発表され、その理念である使い捨てプラスチックの3R(リデュース、リユース、リサイクル)の規制強化が、本年6月開催予定のG20サミット等の国際会議等で合意される機運が高まっています。
 当社は、廃棄物削減と省資源の見地から、セメント製造プラントでのプラスチック廃棄物等の資源リサイクルをおこなっています。2017年度は、廃プラスチック、自動車解体により発生するシュレッダーダスト、上下水道汚泥、建設残土、工場副産物など、あわせて約85万トンを受け入れて、セメント製造時の原材料および燃料として活用しました。従来は埋め立てられていた廃棄物を、資源として活用する優れた環境技術は、SDGsが掲げる廃棄物発生防止やリサイクル推進に貢献する重要な役割を担っています。
 一方デンカは、プラスチック製品を製造・販売する企業として、2018年9月に当社を含む22社が発起人となり設立した海洋プラスチック問題対応協議会に参加しました。同協議会では、プラスチック廃棄物を多く排出している国・地域に対して、3R推進の啓発活動をおこなっております。


 さらに製品開発の取組みとしては、従来のA-PET製容器と比較してプラスチック使用量の約35%を削減するスチレン系プラスチックシートを発売、さらに植物由来原料「バイオマスプラスチック」を25%以上使用した環境配慮素材も開発して、環境にやさしい食品包装容器を提供しております。

グループ会社デンカポリマー社の新規環境配慮型製品

高強度BOPS(二軸延伸ポリスチレンシート)を使用した食品容器「クリアリード™」。従来のA-PET(非晶性ポリエチレンテレフタレート)製容器と比較して35%の軽量化を実現しております。

でんぷんなどの植物由来のプラスチック素材であるポリ乳酸とポリスチレンを複合させた原料を使用したバイオプラスチック素材「プラピス™」を使用した食品容器。

2019/06/20 12:00:00 +0900
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