当期の経済情勢を概観しますと、世界経済はインフレ鎮静化を背景に緩やかな成長を持続したものの、欧州や中東情勢をはじめとした地政学リスク、各国の政策動向などによる不透明感が強まりました。また、日本経済は、賃上げや企業の設備投資意欲が継続するなど経済に前向きな動きはありましたが、緩やかな回復にとどまりました。このような情勢のなかで、当社グループは、品質優先を基本に、お客様の信頼におこたえしますとともに、各市場の動きに的確に対応して、販売の拡大に努めてまいりました。
その結果、当期の売上高につきましては、前期を2,517億円(7%)上回る4兆849億円となりました。
利益につきましては、人件費の増加、減価償却費や研究開発費を含む諸経費の増加などがありましたものの、売上の増加、為替変動による影響、国内エンジン認証関連費用の減少などにより、営業利益は前期を212億円(11%)上回る2,216億円、税引前利益は前期を423億円(14%)上回る3,514億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期を336億円(15%)上回る2,623億円となりました。
部門ごとの経営成績は次のとおりであります。
〔自動車部門〕
自動車におきましては、市場は欧州や北米などで低迷し、世界全体で縮小しました。こうしたなかで、当部門の売上高は前期を638億円(6%)上回る1兆1,602億円となりました。営業利益は前期を268億円(147%)上回る450億円となりました。
このうち車両につきましては、トヨタ「RAV4」が国内、海外向けともに減少したものの、部品出荷の増加などにより、売上高は前期を17億円(2%)上回る1,025億円となりました。エンジンにつきましては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンが増加したことにより、売上高は前期を153億円(5%)上回る3,461億円となりました。カーエアコン用コンプレッサーにつきましては、販売台数は減少したものの、電動コンプレッサーの増加や為替変動による影響により、売上高は前期を148億円(3%)上回る4,809億円となりました。電子機器ほかにつきましては、電池やDC-DCコンバーターなどが増加したことにより、売上高は前期を320億円(16%)上回る2,305億円となりました。
〔産業車両部門〕
産業車両におきましては、市場は欧州やアジアで拡大し、世界全体で小幅に回復しました。そのなかで、主力のフォークリフトトラックが北米や欧州で減少したものの、値上げ効果や為替変動による影響により、売上高は前期を1,991億円(8%)上回る2兆7,863億円となりました。営業利益は前期を11億円(1%)上回る1,667億円となりました。
〔繊維機械部門〕
繊維機械におきましては、市場は主力市場であるアジア地域を中心に、低調に推移しました。こうしたなかで、紡機や繊維品質検査機器が減少したことにより、売上高は前期を134億円(14%)下回る799億円となりました。営業利益は前期を55億円(69%)下回る25億円となりました。