第88期定時株主総会招集ご通知 証券コード : 6645

事業の経過およびその成果

全般的概況

 当期(2025年3月期)における当社グループの業績は、売上高は前期比で減収となりましたが、営業利益は増益となりました。売上高は、社会システム事業が前期比で増加したものの、制御機器事業や電子部品事業において設備投資需要が総じて低調に推移したこと、ヘルスケア事業の中国市場における需要が減少した影響が大きく、加えて制御機器事業においては、前年上期の売上高が受注残に支えられていたこともあり、全体としては前期比で減少しました。
 営業利益については、売上総利益率が前期比で改善したことに加え、2024年2月26日に発表した構造改革プログラム「NEXT2025」の効果もあり収益性は着実に改善し、前期比57.4%の増益となりました。
 税引前当期純利益については、営業利益が増益となる一方、「NEXT2025」の経営施策のひとつである、人員数・能力の最適化に伴う一時的費用220億円を計上したことにより前期比で減少しました。なお、その他収益-純額-には、一時的費用および収益として計上した、データソリューション事業にかかるのれんの減損117億円、投資有価証券評価益123億円を含んでいます。
 当社株主に帰属する当期純利益については、構造改革を進める中でも、前期比100.7%と大幅な増益となりました。

 なお、当期における対米ドル、対ユーロおよび対人民元の平均レートはそれぞれ152.6円(前期比8.7円の円安)、163.7円(前期比7.4円の円安)、21.1円(前期比1.0円の円安)となりました。


部門別概況
○当社グループ(連結)の部門別売上高

(注)

1.「本社他(消去調整含む)」には、上記各部門に属さない子会社などが含まれます。
2.データソリューション事業は2024年3月期第3四半期連結会計期間に新規に設定したセグメントであり、当セグメントにかかる開示は同期間より開始しています。なお、増減率については比較の比率として有効でないため、表示していません。

 製造業における設備投資需要は、日本においては半導体市場が、中国の半導体国産化の投資需要を受けて好調に推移しました。一方、中国においては太陽光発電関連投資と二次電池投資の需要停滞が継続し、欧州および東南アジアにおいては電気自動車(EV)向け投資需要が減速し、全体としては低調に推移しました。これらの結果、売上高は、前年上期の売上高が受注残に支えられていたこともあり、前期比で減少しました。
 売上高は減少しましたが、売上総利益率の改善や構造改革を通じた固定費圧縮効果が寄与し、営業利益は前期を大きく上回りました。
 この結果、当部門の当期の売上高は、3,608億円(前期比8.3%減)、営業利益は、363億円(前期比69.0%増)となりました。

主要な事業内容
制御機器事業は、「オートメーションで人、産業、地球の豊かな未来を創造する」をビジョンに、オムロンがこれまでに培ってきた“センシング&コントロール + Think”のコア技術を基盤に、世界中の製造業のモノづくりを先進のオートメーションで革新し、産業の発展に貢献してきました。独自の価値創造コンセプト“i-Automation!”(*)を掲げ、業界随一の幅広い制御機器を軸に、製造業を中心に急激に変化する社会課題を革新的ソリューションで解決し、産業の高度化とともに働く人々の幸せの実現に貢献する社会価値の創出を目指します。

○プログラマブルコントローラ、モーションコントロール機器、センサ機器、産業用カメラ・コードリーダ機器、検査装置、セーフティ用機器、産業用ロボット

(*) “i-Automation!” ・・・ 当社は、モノづくり現場の課題解決を通じて社会価値を創出する価値創造コンセプト“i-Automation!”を提唱し、モノづくり革新を牽引しながら地球環境との共存と人々の働きがいを実現するサステナビリティに向けたオートメーションの提供を推進しています。“i-Automation!”は、人をより創造的な役割に誘い、現場生産性の最大化とエネルギー効率を両立する「人を超える自働化」、人の可能性を最大に引き出し、人と機械が共に成長・進化する「人と機械の高度協調」、そして製造現場や設備をデジタル空間で再現し、モノづくり現場のDXを加速させ、業務プロセスの革新に貢献する「デジタルエンジニアリング革新」の3つのコンセプトの具現化を目指しています。


 主力製品である血圧計市場において日本や欧州などの一部地域で需要は堅調に推移したものの、中国における個人消費の低迷により、需要停滞が継続しました。また、前年の呼吸器疾患特需の反動を受け、ネブライザ・酸素濃縮器の需要が減少したことなどにより、売上高は前期比で減少しました。
  売上高の減少や物流費増加の影響を受け、慎重な固定費運用を行いましたが、営業利益は前期比で減少しました。
 この結果、当部門の当期の売上高は、1,459億円(前期比2.6%減)、営業利益は、175億円(前期比5.3%減)となりました。

主要な事業内容
ヘルスケア事業は、「地球上の一人ひとりの健康ですこやかな生活への貢献」をミッションに、誰でも簡単・正確に測定できる使いやすさと、医療現場からも信頼される精度にこだわり、商品やサービスを開発しています。商品では、血圧計や体温計、喘息治療薬を吸入するための機器であるネブライザなど、各国の医療機器認証を取得したデバイスの販売を世界130ヵ国以上で展開しています。サービスでは、医師が遠隔で患者をモニタリングし処方・治療支援を行う遠隔診療サービスの提供を主要国から進めています。

○電子血圧計、ネブライザ、低周波治療器、心電計、酸素発生器、電子体温計、体重体組成計、歩数計・活動量計、電動歯ブラシ、マッサージャ、血糖計、動脈硬化検査装置、内臓脂肪計、遠隔患者モニタリングシステム、遠隔診療サービス


 エネルギーソリューション事業は、再生可能エネルギーの自家消費ニーズの高まりや補助金制度の利用、産業・商業領域でのカーボンニュートラルに向けた取り組み加速による投資拡大を受け、蓄電システムなどが好調に推移しました。また、駅務システム事業は、旅客者数の回復と運賃改定による鉄道各社の好調な業績を背景に、設備投資需要が好調に推移しました。これらの結果、売上高は前期比で増加しました。
 売上高の増加により営業利益は前期比で大きく増加しました。
 この結果、当部門の当期の売上高は、1,456億円(前期比2.8%増)、営業利益は、168億円(前期比19.7%増)となりました。

主要な事業内容
社会システム事業は、「世界中の人々が安心・安全・快適に生活し続ける豊かな社会を創造する」をミッションとしています。太陽光発電用パワーコンディショナー、蓄電システム、自動改札機や券売機などの駅務システム、交通管制システム、決済システム、UPSなどのデータ・電源保護といった、多岐にわたる端末・システム、さらにソフトウェア開発、保守メンテナンスによるトータルソリューションを提供し、社会インフラを支えています。

○エネルギー事業(太陽光発電、蓄電システム)、駅務システム、交通管理・道路管理システム、カード決済ソリューション、IoT(電源保護・データ保護)ソリューション、ソフトウェア開発、保守メンテナンス事業


 民生業界向けの需要は、中国などの一部エリアや先端半導体関連など一部の業界では回復が見られるものの、欧州や日本では、顧客での在庫消化の停滞や生産計画の見直しなどにより低調に推移しました。自動車業界向けの需要は、中国では増加したものの、欧州では電気自動車(EV)優遇施策見直しにより低調に推移しました。これらの結果、売上高は前期比で減少しました。
 売上高減少に加えて原材料価格高騰などの影響もあり、営業利益は前期比で大きく減少しました。
 この結果、当部門の当期の売上高は、1,054億円(前期比7.8%減)、営業利益は、3億円(前期比90.3%減)となりました。

主要な事業内容
電子部品事業は、「我々のデバイスとモジュールで、顧客の価値を創造し、地球上の人と社会に貢献する」をミッションとしています。EV・モビリティやエネルギーインフラ、家電製品、産業機器など、幅広い業界の顧客に対して、電気を繋ぐ・切るためのコア部品となる、リレー、スイッチ、コネクターや、さまざまな製品の目や耳になるセンサなどのデバイスやモジュールを、全世界で提供するオムロンの基盤事業です。

○リレー、スイッチ、コネクター、IoT 通信モジュール、汎用センサ、アミューズメント機器用部品・ユニット、顔認識ソフトウェア、画像センシングコンポ、MEMSセンサ


 JMDC社における契約健康保険組合数や、データ利活用先である製薬企業および保険会社との年間取引量、さらに遠隔読影サービスを利用する医療機関数の拡大により、売上高は増加しました。
 ソリューション事業創出に向けた投資を着実に実施した一方、JMDC社の売上高が増加したことにより、営業利益は堅調に推移しました。
 この結果、当部門の売上高は、427億円、営業利益は、28億円となりました。

(注)

1.データソリューション事業は2024年3月期第3四半期連結会計期間に新規に設定したセグメントであり、当セグメントにかかる開示は同期間より開始しています。なお、増減率については比較の比率として有効でないため、表示していません。
2.JMDC社の連結子会社化によって識別した無形資産の償却費などの費用を当セグメントに含めています。

主要な事業内容
データソリューション事業は、オムロングループの価値創造を、モノづくりからデータを活用したソリューションへと進化させます。オムロンがSF2030で掲げる3つの社会的課題「カーボンニュートラルの実現」「デジタル化社会の実現」「健康寿命の延伸」を解決するためには、データの活用が重要です。2023年10月にグループ会社となったJMDC社との協業により、ヘルスケアドメインに留まらず、他事業のデバイスやコンポーネントから得られる膨大な現場データに、JMDC社のデータマネジメント力とソリューション開発力を組み合わせることで、社会的課題の解決につながる成長事業を創造します。

○データヘルスケア事業、コーポレートヘルス事業、スマートM&S(マネジメント・サービスソリューション)事業、カーボンニュートラルソリューション事業、データ活用ソリューション事業、自立支援事業

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2025/06/24 11:00:00 +0900
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