第87期 定時株主総会招集ご通知 証券コード : 6645

事業の経過およびその成果

全般的概況
 当期の当社グループの売上高は、前期比で減少しました。血圧計等の健康機器需要が中国や欧州を中心に回復したヘルスケア事業や、拡大する再生可能エネルギー需要を捉えた社会システム事業は好調に推移しましたが、制御機器事業において、グローバルで製造業における設備投資需要の低迷が継続したことに加え、販売代理店における在庫調整の影響を受けたことにより、前期比で大きく減少しました。また、電子部品事業においても、民生業界向けの需要低迷の継続により前期比で大きく減少しました。
 売上総利益率は、価格適正化や変動費コストダウンの取り組みの成果はあったものの、事業構成比変動影響や制御機器事業における商品の構成比変動、滞留在庫に対する評価損の計上による付加価値率の低下の影響が大きく、前期比で低下しました。
 販売費及び一般管理費については下期以降、固定費の生産性改善取り組みを進めたものの、インフレによる人件費増や一部の厳選投資・全社のシステム投資等を進めた結果、通期では増加しました。
 以上により営業利益については、前期比で大きく減少しました。
 当社株主に帰属する当期純利益は、営業利益の減少に加え、株式会社JMDC(以下、JMDC社)の株式について追加取得時点の市場価格にて再評価を行ったことによる損失等(120億円)を計上したことなどの影響もあり、81億円と前期比で大きく減少しました。なお、当損失影響を除く、当社株主に帰属する当期純利益は201億円(前期比72.8%減)です。
 なお、当期の業績を踏まえ、当社が抱える本質的な課題に対して、より抜本的な解決に取り組むべく、2024年4月から2025年9月までを「業績の立て直し」と「収益・成長基盤の再構築」に集中する期間とした構造改革プログラム「NEXT2025」を2024年2月26日に発表し、取り組みをスタートさせています。(詳細は、[4]対処すべき課題を参照ください。)
 また、2023年12月21日付で新たにデータソリューション事業本部を新設しました。これに伴い、当社グループのオペレーティング・セグメントにデータソリューション事業(DSB)を追加しております。データソリューション事業では、当社グループの既存のビジネスカンパニーとJMDC社が協働し、データを軸に新たな価値を創造するソリューションビジネスへの進化を先導します。JMDC社の財務数値は、当データソリューション事業に含めて開示します。

 なお、当期における対米ドル、対ユーロおよび対人民元の平均レートはそれぞれ143.9円(前期比8.7円の円安)、156.3円(前期比15.4円の円安)、20.1円(前期比0.4円の円安)となりました。


部門別概況
○当社グループ(連結)の部門別売上高

(注)
  1. 「本社他(消去調整含む)」には、上記各部門に属さない子会社などが含まれます。
  2. データソリューション事業には、当社が2023年10月16日に連結子会社化したJMDC社の、同日以降の売上高を含んでいます。データソリューション事業は当期に新設した部門であることから、前期比は記載していません。


 製造業における設備投資需要は、グローバルで年間を通して低調に推移しました。特に、EV向け二次電池や半導体関連の投資延期・縮小の影響を大きく受けました。また、課題となっていた販売代理店における在庫については減少傾向にあるものの、引き続き高水準で推移しました。これらの結果、売上高は前期比で大きく減少しました。
 売上高の減少に加え、売上商品構成の変化や滞留在庫に対する評価損の計上などによる売上総利益率の低下により、営業利益は前期比で大きく減少しました。
 この結果、当部門の当期の売上高は、3,936億円(前期比19.0%減)、営業利益は、215億円(前期比75.0%減)となりました。

主要な事業内容
制御機器事業は、「オートメーションで人、産業、地球の豊かな未来を創造する」をビジョンに、オムロンがこれまでに培ってきた“センシング&コントロール + Think”のコア技術を基盤に、世界中の製造業のモノづくりを先進のオートメーションで革新し、産業の発展に貢献してきました。独自の価値創造コンセプト“i-Automation!”(*)を掲げ、業界随一の幅広い制御機器を軸に、製造業を中心に急激に変化する社会課題を革新的ソリューションで解決し、産業の高度化とともに働く人々の幸せの実現に貢献する社会価値の創出を目指します。

○プログラマブルコントローラ、モーションコントロール機器、センサ機器、産業用カメラ・コードリーダ機器、検査装置、セーフティ用機器、産業用ロボット

(*) “i-Automation!” ・・・ 当社は、モノづくり現場の課題解決を通じて社会価値を創出する価値創造コンセプト“i-Automation!”を提唱し、モノづくり革新を牽引しながら地球環境との共存と人々の働きがいを実現するサステナビリティに向けたオートメーションの提供を推進しています。“i-Automation!”は、人をより創造的な役割に誘い、現場生産性の最大化とエネルギー効率を両立する「人を超える自働化」、人の可能性を最大に引き出し、人と機械が共に成長・進化する「人と機械の高度協調」、そして製造現場や設備をデジタル空間で再現し、モノづくり現場のDXを加速させ、業務プロセスの革新に貢献する「デジタルエンジニアリング革新」の3つのコンセプトの具現化を目指しています。


 欧州などの一部地域で主力製品である血圧計の需要が好調に推移しました。また、中国では肺炎など呼吸器疾患の増加により、ネブライザに対する需要が大きく増加しました。これらの結果に加え、円安による為替影響もあり、売上高は前期比で増加しました。
 売上高の増加に加え、物流費や部材費のコストダウンにより、営業利益は前期比で大きく増加しました。
 この結果、当部門の当期の売上高は、1,497億円(前期比5.3%増)、営業利益は、185億円(前期比15.3%増)となりました。

主要な事業内容
ヘルスケア事業は、「地球上の一人ひとりの健康ですこやかな生活への貢献」をミッションに、誰でも簡単・正確に測定できる使いやすさと、医療現場からも信頼される精度にこだわり、商品やサービスを開発しています。商品では、血圧計や体温計、喘息治療薬を吸入するための機器であるネブライザなど、各国の医療機器認証を取得したデバイスの販売を世界130ヵ国以上で展開しています。サービスでは、医師が遠隔で患者をモニタリングし処方・治療支援を行う遠隔診療サービスの提供を主要国から進めています。

○電子血圧計、ネブライザ、低周波治療器、心電計、酸素発生器、電子体温計、体重体組成計、歩数計・活動量計、電動歯ブラシ、マッサージャ、血糖計、動脈硬化検査装置、内臓脂肪計、遠隔患者モニタリングシステム、遠隔診療サービス


 エネルギーソリューション事業は、再生可能エネルギーの自家消費ニーズの高まりや補助金制度の利用、産業・商業領域でのカーボンニュートラルに向けた取り組み加速による投資拡大を受け、蓄電システムなどが好調に推移しました。また、駅務システム事業は、旅客者数の回復と運賃改定による鉄道各社の好調な業績を背景に、設備投資需要が好調に推移しました。これらの結果、
 売上高は前期比で大きく増加しました。売上高の増加により営業利益は前期比で大きく増加しました。
 この結果、当部門の当期の売上高は、1,416億円(前期比32.0%増)、営業利益は、140億円(前期比87.2%増)となりました。

主要な事業内容
社会システム事業は、「世界中の人々が安心・安全・快適に生活し続ける豊かな社会を創造する」をミッションとしています。太陽光発電用パワーコンディショナー、蓄電システム、自動改札機や券売機などの駅務システム、交通管制システム、決済システム、UPSなどのデータ・電源保護といった、多岐にわたる端末・システム、さらにソフトウェア開発、保守メンテナンスによるトータルソリューションを提供し、社会インフラを支えています。

○エネルギー事業(太陽光発電、蓄電システム)、駅務システム、交通管理・道路管理システム、カード決済ソリューション、IoT(電源保護・データ保護)ソリューション、ソフトウェア開発、保守メンテナンス事業


 民生業界向け部品の需要は、顧客の投資抑制や生産活動が停滞したことに加え、顧客での在庫調整の影響を受け、米州、中国を中心に大きく減少しました。自動車向け部品の需要は、下期に一部市場で自動車生産台数の増加は見られたものの、総じて低調に推移しました。これらの結果、売上高は前期比で大きく減少しました。
 売上高の減少などにより、営業利益は前期比で大きく減少しました。
 この結果、当部門の当期の売上高は、1,144億円(前期比17.6%減)、営業利益は、31億円(前期比79.7%減)となりました。

主要な事業内容
電子部品事業は、「我々のデバイスとモジュールで、顧客の価値を創造し、地球上の人と社会に貢献する」をミッションとしています。EV・モビリティやエネルギーインフラ、家電製品、産業機器など、幅広い業界の顧客に対して、電気を繋ぐ・切るためのコア部品となる、リレー、スイッチ、コネクターや、さまざまな製品の目や耳になるセンサなどのデバイスやモジュールを、全世界で提供するオムロンの基盤事業です。

○リレー、スイッチ、コネクター、IoT通信モジュール、汎用センサ、アミューズメント機器用部品・ユニット、顔認識ソフトウェア、画像センシングコンポ、MEMSセンサ


*データソリューション事業は、当社の既存のビジネスカンパニーとJMDC社が協働し、データを軸に新たな価値を創造するソリューションビジネスへの進化を先導するため、2023年12月に新設しています。

 JMDC社における契約健康保険組合数、データ利活用先である製薬企業および保険会社との取引量、さらに遠隔読影サービスを利用する医療機関数などが引き続き拡大し、売上高は堅調に推移しました。
 売上高の増加により、営業利益は堅調に推移しました。
 この結果、当部門の売上高は、174億円、営業利益は、22億円となりました。

(注)

JMDC社の連結子会社化によって識別した無形資産の償却費などの費用を当セグメントに含めています。

主要な事業内容
データソリューション事業は、オムロングループの価値創造を、モノづくりからデータを活用したソリューションへと進化させます。オムロンがSF2030で掲げる3つの社会的課題「カーボンニュートラルの実現」「デジタル化社会の実現」「健康寿命の延伸」を解決するためには、データの活用が重要です。2023年10月にグループ会社となったJMDC社との協業により、ヘルスケアドメインに留まらず、他事業のデバイスやコンポーネントから得られる膨大な現場データに、JMDC社のデータマネジメント力とソリューション開発力を組み合わせることで、社会的課題の解決につながる成長事業を創造します。

○データヘルスケア事業、コーポレートヘルス事業、スマートM&S(マネジメント・サービスソリューション)事業、カーボンニュートラルソリューション事業、データ活用ソリューション事業、自立支援事業


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2024/06/20 11:30:00 +0900
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